それでも好きだよ(DVD付B)(DVD付C)(指原莉乃/avex trax)
え? なに? 結局、おまえはType-AもBもCも全部買ったのではないかって? いやまあ、そうだが、なにか文句があるか。おれは「さしこのソロデビューシングルは、Type-Aしか予約しとらん」と言っていただけであって、Type-BやType-Cは予約せずに発売後に買ったのである。初日の売上げ枚数が乃木坂46にダブルスコアで負けたというので、急遽、追加注文をすることにしただけだ。べつにブレとらん。全然、ブレとらん。「予約」という言葉の意味は、辞書を引いてもらえばわかる。はっはっは、これからおれのことを「枝野」と呼んでくれたまえ。
まあ、指原莉乃 vs. 乃木坂46の同日発売シングル対決は、もちろんプロレスみたいなもんであって、勝っても負けても、どちらのファンにとってもおいしいし、秋元康は笑いが止まらんという仕掛けにはなっている。だいたい、さしこはそもそもがAKB48のいろもの担当なのであって、勝てば勝ったで、「ヘタレだが努力家のさしこが……」となり、負けたら負けたで、「じつに指原らしい展開」ということになるわけで、論理的に無敵なのだ。
さて、これら3タイプのシングルの収録曲は、「それでも好きだよ」「初恋ヒルズ」の二曲は同じで、三曲めと、特典映像がタイプによって異なる。Type-Aの三曲めは「恋愛総選挙 ~指原莉乃 solo ver.~」、Type-Bは「愛しきナターシャ」、Type-Cはハロプロ好きの指原がとびきり好きだという、はるな愛――じゃない、松浦亜弥の「Yeah!めっちゃホリディ」のカバーである。DVDじゃないので、乳首をいじりながら唄っているかどうかはさだかでない。いやしかし、 「Yeah!めっちゃホリディ」が存外にいいのでちょっと驚いた。やっぱり、消費者側のときに育んだ愛がハンパではないのであろう。しょこたんカバーみたいなもんだ。
それにしても、このところの指原莉乃の快進撃にいちばん驚き戸惑っているのは、指原本人であろうと思う。ちょっと前まで、エスパー伊東の“爆裂鼻風船”を渋谷の街頭でやっていたいろものアイドルだとはとても思えない。まあ、さしこなら、いまでも平気でやってくれるとは思うが。
指原にとっては、冠番組を持てとか、さんまと渡り合えとか、フォトブックを出せとか、ソロデビューしろとか、サマンサタバサのモデルになれとか、テレビドラマで主演しろとか、そいつが映画になるのでもちろんやれとか、大分の観光大使になれとか、そういったことどもも、爆裂鼻風船とさほど変わらぬ、向こうからやってくるならありがたく受けて立とうという仕事のひとつにすぎないのだろう。きっと、あれよあれよという間に、嵐に巻き込まれているかのような感じだろうな。
ともあれ、消費者としての愛を忘れていないさっしーには、おれは好感が持てる。いずれ指原莉乃は、放送作家かプロデューサーか、なんであれ提供側に回るタイプの才能だろうとおれも秋元康と同じように思うが、アイドルとして輝いている、いま、この瞬間を大切にしてほしいと思う。憧れのバトンを、次の世代のヘタレ少女たちに渡してくれるはずだ。
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