“下痢小説”なんてジャンルがあったのか……
《ヘンな検索語》シリーズなんだけど、こ、これはたしかにヘンだ――
いやね、これが「女子高生 下痢 小説」というのなら、まだわからんでもないよ。たぶん、『ミッションスクール』(田中哲弥)のタイトルを忘れた人が、「ええと、なんだっけな、女子高生が下痢のための一刻も早く排便したいのですとか言うケッタイな書き出しの小説だったんだけどな」と悩んだ末に検索してみたのだろうと、おれも納得するわけだ。
だけど、これはちがう。複合検索ではない。堂々と単独の検索語として「女子高生下痢小説」と検索しているのである。どこの世界に“女子高生下痢小説”などというジャンルがあるものか。そんなものを書きそうなのは、田中哲弥くらいのものである。とてもひとつのジャンルを形成し得るとは思えない。
単に“下痢小説”だとしても、やはりジャンルになるほど作品数があるかどうかは疑問である。“下痢小説”と言われて思い浮かぶのは、筒井康隆の「おれは裸だ」くらいかなあ。あなた、ほかになにか思い浮かびますか?
かくなるうえは、出版社の方、いっそ下痢小説アンソロジーを企画してみてはいかがだろう? 下痢というのは、たしかに日常生活の中で最も存在の不条理を感じる事態である。ひょっとしておれはいま取的に追いかけられているのではなかろうかと思いながら、駅のトイレに駆け込んだ経験のある方は少なくないだろう。たかが腹具合が悪いというだけのことで、人間というものはそれで頭がいっぱいになってしまうのだ。なんともバカバカしく、そして、いとおしいではないか。案外ウケるかもしれないぞ、下痢小説アンソロジー。
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