カテゴリー「ビジネス」の48件の記事

2008年6月24日 (火)

「水と空気だけで発電し続けます」はないだろう

日経BPが永久機関の話にだまされちゃ困るだろう (Life is beautiful)
http://satoshi.blogs.com/life/2008/06/bp.html

 日経エレクトロニクスの愛読者として日経BPにはいろいろとお世話になっている私だが、今回のは完全なミスなので日経BPのためにも指摘しておきたい。こんな詐欺のような話は頭から無視すべきなのは明々白々。こんなくだらない話を記事にした記者には厳重注意を与えるべき。日経BPとしてこれ以上の権威失墜を避けるためにも、ここから先の報道は控えた方が良いだろう。できることならば、「なぜこの手の永久機関が不可能なのか」を丁寧に解説して、不幸にも誤解してしまった読者を救済すべき。

 これはじつにもっともな指摘である。アントニオ猪木ならともかく、天下の日経BPがこういう胡散臭い発表の片棒を担ぐかのような報道をするのはまずい。永久機関ではないと言っているにせよ(あたりまえだ、言っていたらそれこそトンデモだ)、中島聡氏の指摘するように、この会社も日経BPも、非常にミスリーディングなもの言いをしている。犯意があると疑われてもしかたのない発表のしかただ。

 おれとしては、“ニセ科学”の匂いがしたもんで、SFファン的野次馬根性で上記の中島氏の指摘や当該記事を興味深く眺めたのだけれども、どうもこれは“ニセ科学”というよりは、単なる“誇大広告”のようだ。それに日経BPが不注意にも乗せられてしまったということだろう。日経BPは善意の第三者(?)といった好意的な解釈もできようが、一企業の発表を内容も吟味せずウラも取らずにそのまま記事にしてしまうというあたりが、日経BPというブランドを背負っている記者としてはあまりに不注意だ。『探偵!ナイトスクープ』だって、それくらいのことはするぞ。『探偵!ナイトスクープ』がこんなネタをそのまま咀嚼もせずに取り上げたら、上岡龍太郎前局長なら怒って席を蹴って帰るよな。



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2008年6月12日 (木)

アメリカでLPレコードが復興中

Retailers giving vinyl records another spin (CNN.com)
http://www.cnn.com/2008/US/06/10/vinyl.records.ap/index.html

PORTLAND, Oregon (AP) -- It was a fortuitous typo for the Fred Meyer retail chain.
This spring, an employee intending to order a special CD-DVD edition of R.E.M.'s latest release "Accelerate" inadvertently entered the "LP" code instead. Soon boxes of the big, vinyl discs showed up at several stores.
Some sent them back. But a handful put them on the shelves, and 20 LPs sold the first day.
The Portland-based company, owned by The Kroger Co., realized the error might not be so bad after all. Fred Meyer is now testing vinyl sales at 60 of its stores in Oregon, Washington and Alaska. The company says, based on the response so far, it plans to roll out vinyl in July in all its stores that sell music.
Other mainstream retailers are giving vinyl a spin too. Best Buy is testing sales at some stores. And online music giant Amazon.com, which has sold vinyl for most of the 13 years it has been in business online, created a special vinyl-only section last fall.
The best-seller so far at Fred Meyer is The Beatles album "Abbey Road." But musicians from the White Stripes and the Foo Fighters to Metallica and Pink Floyd are selling well, the company says.
"It's not just a nostalgia thing," said Melinda Merrill, spokeswoman for Fred Meyer. "The response from customers has just been that they like it, they feel like it has a better sound."
According to According to the Recording Industry Association of America, manufacturers' shipments of LPs jumped more than 36 percent from 2006 to 2007 to more than 1.3 million. Shipments of CDs dropped more than 17 percent during the same period to 511 million, as they lost some ground to digital formats.

The resurgence of vinyl centers on a long-standing debate over analog versus digital sound. Digital recordings capture samples of sound and place them very close together as a complete package that sounds nearly identical to continuous sound to many people.

Analog recordings on most LPs are continuous, which produces a truer sound -- though, paradoxically, some new LP releases are being recorded and mixed digitally but delivered analog., manufacturers' shipments of LPs jumped more than 36 percent from 2006 to 2007 to more than 1.3 million. Shipments of CDs dropped more than 17 percent during the same period to 511 million, as they lost some ground to digital formats.

The resurgence of vinyl centers on a long-standing debate over analog versus digital sound. Digital recordings capture samples of sound and place them very close together as a complete package that sounds nearly identical to continuous sound to many people.
Analog recordings on most LPs are continuous, which produces a truer sound -- though, paradoxically, some new LP releases are being recorded and mixed digitally but delivered analog.

 へぇ~。早い話が、アメリカではいわゆる“バイナル”、つまり、ポリ塩化ビニル製のアナログレコードのセールスがこのところ“伸びている”らしい。音源がデジタルなのに、わざわざアナログ媒体にしたりする例もあるそうな。

 小売チェーンのフレッド・マイヤーが、発注の際にうっかり「LP」のコードを打ち込んでしまったところ、各店舗にドカっと、あの“レコード”が届いた。返品してしまった店舗も多かったが、そのまま店に並べたところでは、面白い現象が起こった。売れたのだ。初日で二十枚も売れたという。フレッド・マイヤーだけでの事件ではない。the Recording Industry Association of America によれば、二〇〇六年から二〇〇七年にかけて、LPレコードの出荷量は、三六パーセントもの伸びを見せているそうだ。一方で、同じその期間に、CDの売れ行きは一七パーセントも落ちているという。

 てなわけで、なにやらアメリカでは、ちょっとしたLPレコード復興ブームが起こっているらしい。奇妙なもんだねえ。いや、むろん、絶対量としては、いまやウォルマートを抜いて世界でいちばん音楽を売っている小売店、iTunes Store を脅かすほどのことではないが、“バイナル”にこだわる音楽ファン(“音響ファン”と呼ぶべきかもしれないけれども)の需要には、けっこう根強い(根深い?)ものがあるようだ。

 これが一時期だけの現象なのか、今後、もっと大きなうねりになってくるのかには興味津々だけど、ちょっと日本では考えにくいブームだよねえ。日本の場合、往年の名盤や幻のアルバムの復刻などが、いわゆる“紙ジャケ”というカタチでちょっとした人気を博していることはいるけれども、まあ、あれだって中身はCDである(LPレコードそっくりの外観に模してあったりするのが食玩感覚で愉快だが)。

 アメリカという国の面白いところは、最先端の技術の産物を謳歌している層があるかと思えば、まるで時間が止まったかのような枯れた技術やインフラをごくふつうに使っている層が平然とあったりするあたりだ。振幅がやたら大きいのだ。スペースシャトルを飛ばしている国だからといって、みんながみんな光ファイバーのブロードバンドでバカスカインターネットを使っているわけではなく、いまだに「ピーーーー、ガガガガガ……」などと56Kモデムであたりまえのように通信していたりする人たちがいる。その点、日本のほうがずっと均質である。韓国ともなると、後発のメリットで、最初から一気に与えられたブロードバンドしか知らないような層がマジョリティーだ。

 このLPレコードブームも、アメリカならではという気がするなあ。ごくごく一部のオーディオマニアだけじゃなく、きっと“針を落として”聴くむかしのプレイヤーがまだまだ家にあるという世帯がかなりあるのだろう。まあ、日本にもそういう人(「やっぱり超音波や低周波を身体で感じないと、ホントの音楽じゃない!」と熱弁をふるうタイプのああいう人たち)はいることはいるけど、こんな社会現象(?)を作り出すほどの数ではないと思うね。

 この現象が日本に渡ってくるかどうかは、たいへん興味深いところだ。おれは渡ってこないと思うけどね。この時代に、データじゃなく記録媒体で販売する音楽の売り上げが“伸びる”なんてのは、まことにアメリカらしい面白い現象だと思うね。ある意味、ハイテク必ずしも善ならず、先端ならずという価値観を持った人が多いわけで、不均質であるがゆえに多様性を許容する市場があるというあたりこそ、アメリカの底力だと思う。多様であることは、非効率ではあっても善であるというベースの価値観がアメリカ人にはある。これはちょっと、おれたちも見習いたいところだよね。まあ、おれ個人はものぐさなので、いまLPレコードが欲しいなどとは、まず思わないけど……。やはり、iTunes Store の便利さにはかなわない。



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2008年4月 8日 (火)

胡散臭いにもほどがある“人間力”

 どうも近ごろ“人間力”とかいういやらしい言葉をあちこちで耳にするので胸が悪くなる。“ヒューマンスキル”とかいういやらしい言葉も同類だ。人間力もへったくれも、こちとら幸か不幸かすでに人間だ。文句あるか? ヒューマンスキル? なんじゃ、そりゃ? 岩城淳一郎のスキルか? それとも、紙で作った円盤に鉛筆刺してくるくる回すスキルか? (わ、わからん人は、四十代後半以上のおじさん、おばさんに訊いてね)

 だいたい、“人間力”だの“ヒューマンスキル”だのと企業の研修担当者とかがやたら言い出したら、そろそろその会社は危ないと思ったほうがよかろう。なんであれ本業のスキルなんてものは一朝一夕には身につかないものにちがいないから(だからこそ、そういうものを身につけると金がもらえるのだ)、ごまかしに“人間力”だの“ヒューマンスキル”だのにやたら力を入れて、お茶を濁すのである。おれが突然手術を受けなきゃならない病気になったとしたら、“人間力”とかいうわけのわからないものだけがなぜか高いとされているヤブ医者よりも、知識と判断力と手技が確かで経験豊かな医者に腹を切ってもらいたい。少々性格が悪かろうが、そんなことは些細な問題に思えるほどに本業での能力があれば文句はない。

 思うに、どんな商売であろうが、プロとしての判断・決断をするときには、むしろおのれが人間であることが一時的に邪魔になるものなのではなかろうか?

 

人間的な、余りに人間的なものは大抵は確かに動物的である。

――芥川龍之介『侏儒の言葉』



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2008年3月20日 (木)

映画『楽園の泉』?

 そういえば、十年以上前にこんな文章を書いていたのを思い出した。『楽園の泉』を映画化するとしたら、このカットはぜひ実現してほしいんだよなあ!

 クラークの訃報を聞いたときに、なぜかヴァニーヴァー・モーガンの最期が脳裡に浮かんでしまった。あの、アラームが虚しく鳴っているシーンね。

 なんか、意外な人が『楽園の泉』に言及しているんで、ちょっとびっくりした。名作というのは、こういうものなのですなあ。



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2008年3月11日 (火)

民営化とはどういうことか、身を以て知るがよい

ゆうちょ銀、ヤマトのメール便使う 日本郵政社長が怒る (asahi.com)
http://www.asahi.com/business/update/0303/TKY200803030552.html

 日本郵政(JP)グループのゆうちょ銀行が2月に全国の郵便局向けに冊子を送った際、ライバルのヤマト運輸のメール便を使っていたことがわかり、グループ内でやり玉に挙がっている。ゆうちょ銀は郵便事業会社に打診したが条件が折り合わなかった。受け取った局員からは批判の声がわき上がり、西川善文JP社長は全郵便局長に「極めて遺憾」「動揺しないよう」などとする文書を配布した。
 ゆうちょ銀が送ったのは預金保険機構の制度を知らせる冊子。民営化で機構に入ったため全国約2万4000の各局に送る必要があった。事前に郵便会社に、あて名作成や配送の話を持ち込んだが、「繁雑な作業」と難色を示された。やむなく一般競争入札にかけるとヤマト運輸が落札した。数百万円だった模様だ。

ゆうちょ銀がヤマトに仕事依頼 「なぜ悪いのか」ネットで話題 (J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2008/03/05017489.html

日本郵政(JP)グループのゆうちょ銀行が、同じグループの郵便事業会社の日本郵便ではなく、ヤマト運輸にテキスト発送を頼んでいた。JP本体は、傘下のゆうちょ銀の対応を批判したが、ネットでは、「グループ内でも競争させるのが当たり前」といった、ゆうちょ銀支持が圧倒的だ。

 これがネットで話題になっているとは知らなかった。おれも最初の報道を読んだときに、日本郵政社長はアホちゃうかと思ったクチなので、「ゆうちょ銀支持が圧倒的」というのはよくわかるな。そんなもん、民間じゃあたりまえのことだ。より安い、より優れたサービスがあるのなら、グループ会社なんて関係あるか。こういう基本的なところで、いまの世の中についていっていないということを露呈しちゃったわけだな。世間知らずの社長が要らんことを言うもんじゃありません。

 いやそりゃ、たしかに民間にも日本郵政の社長みたいな考えかたの人も、まだいることはいるし、そういう企業グループもあるにはあるよ。だけど、そんな考えかたのところは、結局、物流子会社やら情報子会社やらをスポイルしてしまって、箸にも棒にもかからないような会社にしてしまっている。ま、大ざっぱにいうと、物流子会社には親会社から突き放されて成長しているところが多いような気がするし、情報子会社は親会社にスポイルされて“ナマの市場”では闘えない程度のところが多いような気がするけどね。えーと、あくまで“気がする”だけですんで、アイタタタタと思ってしまった方は、くれぐれもお気を悪くなさらぬよう。あなたのように、アイタタタタと思える人がいるうちは、まだまだ捨てたもんじゃないのである。

 まあ、ゆうちょ銀にはちゃんとわかっている人がいるみたいだから、日本郵政グループも捨てたもんじゃないかもしれないね。長い目で見てやろうよ。社長がこんなことを言ってるようじゃ、いまの日本郵政は、さしずめ東西ドイツ合併時の東ドイツの労働者みたいなものなのだと思っておけばよいのではなかろうか。連中だって好きで民営化されたわけじゃなし、しばらくは資本主義に慣れるための研修期間が必要なんだろう。



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2008年3月 8日 (土)

CGMの資産価値

 昨日ネタにした mixi の規約改定騒ぎだが、おれはたぶん mixi の法務担当者がとんでもなく顧客視点を欠いたアホか、そもそも法務担当がいないのであろうと推測している。つまり、mixi の今回の大ボケは、mixi がいよいよ肥らせたユーザを取って食おうと、かねてから周到に研いでいた邪悪な牙を剥いたなどという上等な事件ではなく、単に mixi が上場企業としては信じられないレベルの幼稚な体制しか持っていない(下手すると、笠原社長は新規約を見てもいない)といった程度の、“はらほろひれはれ”なポカミスなのではないかと疑っているのだ。新規約とやらは、若造が適当にコピペして作ったのではないかとすら思っている。

 でも、もしそうではなく、一応ちゃんと考えて作って発表したのだとしたら、mixi はいわゆるCGM(Consumer-Generated Media ……って言葉は英語圏ではあんまり使われていないみたいなんだが)というものをまったく理解せずにそう呼ばれるサービスをうっかり提供してしまっているのではないかと思われる。

 今回の事件を機に、CGMなるものの資産価値は那辺にあるのかを、改めて考えさせられた。ユーザが作ったコンテンツに資産としての価値があるのか? いや、ちがうちがう。そう勘ちがいしがちだが、そうではない。コンテンツは、CGMの副産物あるいは老廃物にすぎないのではあるまいか――そう考えてゆくと、CGMの本質は、昨年のベストセラーにちゃんと書いてあった。なにしろベストセラーであるから、相当多くの人がすでに読んでいるはずなのだ。ちょっと長くなるが、あえて引用しよう。これこそ、CGMの本質、CGMの価値である。

 さらにシェーンハイマーは、投与された重窒素アミノ酸が、身体のタンパク質中の同一種のアミノ酸と入れ替わったのかどうかを確かめてみた。つまりロイシンはロイシンと置き換わったかどうかを調べたのである。
 ネズミの組織のタンパク質を回収し、それを加水分解してバラバラのアミノ酸にする。二十種のアミノ酸をその性質の差によってさらに分別する。そして各アミノ酸について、重窒素が含まれているかどうかを質量分析計にかけて解析した。確かに実験後、ネズミのロイシンには重窒素が含まれていた。しかし、重窒素を含んでいるのはロイシンだけではなかった。他のアミノ酸、すなわち、グリシンにもチロシンにもグルタミン酸などにも重窒素が含まれていた。
 体内に取り込まれたアミノ酸(この場合はロイシン)は、さらに細かく分断されて、あらためて再分配され、各アミノ酸を再構成していたのだ。それがいちいちタンパク質に組み上げられる。つまり、絶え間なく分解されて入れ替わっているのはアミノ酸よりもさらに下位の分子レベルということになる。これはまったく驚くべきことだった。
 外から来た重窒素アミノ酸は分解されつつ再構成されて、ネズミの身体の中をまさにくまなく通り過ぎていったのである。しかし、通り過ぎたという表現は正確ではない。なぜなら、そこには物質が「通り過ぎる」べき入れ物があったわけではなく、ここで入れ物と呼んでいるもの自体を、通り過ぎつつある物質が、一時、形作っていたにすぎないからである。
 つまりここにあるのは、流れそのものでしかない。

―― 『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一/講談社現代新書)

 ユーザが作ったコンテンツがCGMの資産価値だと思うのは、アミノ酸やタンパク質やDNAに蓄えられている情報が生命の本質だと思い込むようなものだ。ちゃうちゃう。そこにある“流れそのもの”がCGMの資産価値なのである。

 CGM(って言葉自体、おれはあんまり好きじゃないけど)を“マネタイズ”したいと考える企業家たちは、基礎教養として生物学を学ぶべきではないかとすら、おれは本気で思う。うまくすれば、大腸菌に人間にとって有益な物質を作り続けさせたり、DNAに演算をさせたりするようなことが、CGMを利用したビジネスモデルにも可能であるかもしれないじゃないか。



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2008年3月 7日 (金)

あったらコワイ利用規約改定のお知らせ

第18条 ユーザーの肉の使用許諾等


  1. 本サービスを利用する場合には、ユーザーは弊社に対して、自身の肉1ポンドを日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(切除、調理、摂取、展示、頒布、改変等を行うこと)を許諾するものとします。

  2. ユーザーは、弊社に対して流血権を行使しないものとします。



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2008年3月 2日 (日)

微笑ましく家族でドライブ

 これには大爆笑! これって、英語を教える学校のCMなのに、アメリカのテレビでは流せないよな。Engels leren? ってのは、よく知らんがオランダ語だろう。ドイツ語によく似ている。

 後部座席に座っている子供たちには英語がわかっているんだろうね。子供たち同士が微妙に笑いながら顔を見合わせるところで、それを示唆しているのだろう。

 不思議なのは、英語がまったくわからないオランダ人にはこのCMはちっとも面白くないはずだという点だ。つまりその、なんというかアレだ、“ある種の性交様式を試みたい”といった程度の英語は、多くのオランダ人には理解できるからこそ成り立つCMなのでしょうなあ。というか、オランダ人の中で“ある種の性交様式を試みたい”といった程度の英語がわかる層こそ、おそらくもっと英語をちゃんと身につけたいと思っているはずの、この語学学校のターゲット層であり、そこにピンポイントで訴求することを狙ったレーザービーム的広告なのかもしれない。英語がまったくわからないオランダ人であったとしても、「あのCM面白いね」と周囲で話題になったら、「え、私だけわからなかったのか。こりゃ、少しは英語覚えんといかんな」と焦るだろうしね。

 まったく広告屋さんというのは、どこの国でも怖ろしく頭がいい。



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2008年2月21日 (木)

普及型“電脳メガネ”の嚆矢

あの「スカウター」にそっくり メガネ装着「超小型ディスプレイ」 (J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/mono/2008/02/19016864.html

 人気マンガ「ドラゴンボール」に登場するアイテム「スカウター」によく似た超小型ディスプレイが発売され、話題を呼んでいる。光学・分析機器メーカー、スカラが開発した「Teleglass(テレグラス)T3-A」という名の商品。メガネに装着してディスプレイを覗くと、目の前に大きなスクリーンがあるように見えるのだという。

Teleglass T-3F/T-3A (スカラ
http://www.scalar.co.jp/teleglass/t3.html

 ををを、ついにここまで来たかー。やはり、普及型となると、これくらいの値段であってほしい。五年前に、塚本昌彦さんの研究室を見学に行ったとき(2003年3月1日の日記)、塚本先生はすでに「スカウターみたいな」アプリケーションの話とか「三、四万はいい線」とかいった話をなさっていたからなあ。

 この T-3A のすごいところは、T-3F とちがって自分の眼鏡に装着できることだ。こりゃあ、マジで普及するかもね。宣材のおねーちゃんが装着している姿は十分にかっこいいが、爆発的に普及させるには、ハードウェアのカラーヴァリエーションと、なによりキラーアプリケーションが欲しいところだ。Nintendo DS や Wii のハードウェアを活かすソフトがあったればこそ、両者はここまで普及しているのである。あとは、ドラマで小栗旬にでも装着させることだよな。

 いやあ、これで Google Earth とか見たら、どんな感じなのかなあ。最初は酔うかもしれんが、なんか奇妙な“全能感”を覚えそうだよね。なんちゅうか、“現実が拡張される”という感覚が理屈抜きでわかるような体験ができそうだ。現実が拡張されるということは、すなわち人間が拡張されるということであって、マクルーハンがこいつを見たら、どんな感想を漏らしたろうねえ。

 このハードウェアとの併用を前提とした、あっと驚くソフトウェアを、ソフトウェア開発会社のみなさんにはぜひ考案してほしいものだなあ。処理時間の問題はあるだろうが、こいつにカメラをくっつけるだけでも、弱視者用の補助器具に化けそうな気もする。

 来年のいまごろには、電車に乗ると、この“スカウター”を装着した人が同じ車両に二、三人はいる――なーんてことにならないかな。



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2008年2月12日 (火)

自分が高潔だからといって、他人が下賤なわけじゃないだろう

経産次官「デイトレーダーはバカで無責任」 講演で発言 (asahi.com)
http://www.asahi.com/business/update/0207/TKY200802070395.html

 経済産業省の北畑隆生事務次官が講演会で、インターネットなどで株売買を短期間に繰り返す個人投資家のデイトレーダーについて「最も堕落した株主」「バカで浮気で無責任」などと発言していたことが分かった。北畑氏は7日の記者会見で発言内容を認め、「申し訳ない」と陳謝した。

(中略)

 北畑氏はデイトレーダーについて「経営にまったく関心がない。本当は競輪場か競馬場に行っていた人が、パソコンを使って証券市場に来た。最も堕落した株主の典型だ。バカで浮気で無責任というやつですから、会社の重要な議決権を与える必要はない」と発言。デイトレーダーに適した株式として、配当を優遇する代わりに議決権のない「無議決権株式」を挙げ、上場解禁を唱えた。

 いやまあ、おれも個人的にはね、デイトレーダーってのは節操がないとは思うよ。なんかこう、自分で作ったコンテンツが一切ないブログでアフィリエイト収入やら広告収入やらを得ようとしているスパムブログみたいなものを連想する。ああいうブロガー(?)にとっては、ブログの中身はどうでもいいわけだしね。

 だが、プレイヤーの志が高かろうが低かろうが参入できる仕組みだからこそ、ウェブと同じく、株式市場ってのは健全なダイナミズムを保つものなんじゃないのかなあ。美学ってのはおのれが持つものであって、他人に持たせられるものではない。

 なんちゅうか、この事務次官の言い種には、いかにも官僚的なものの考えかたが如実に表れてますなあ。語るに落ちているというか。世の中、手前の美学を共有する人間だけでできてるわけではない。それはおれにとっては不愉快で忌々しいことではあるが、おれの美学を不愉快で忌々しいと思っている人もたくさんいるのが道理だから、お互いさまなのである。この“お互いさま”という発想・認識が完全に欠落しているあたりが、いかにも官僚的なのだ。デイトレーダーにはデイトレーダーの美学があるのかもしれんしね(おれ個人はそんなものを共有したくはないけれども)。おれ自身は株はやったことがないし、一切保有もしていないから(そもそもそんな余裕なんかねえよ)、この御仁の論理でゆけば、企業に投資するという形ではまったく社会貢献をしていないおれは「バカで無責任」以下ということになるのだろう、たぶん。

 たとえば、ある作家の書いた本がベストセラーになったとしようや。だが、どう考えても、百万も二百万もの人がその本をちゃんと“理解”して読んでくれているとは思えず、まあ、大半は“巷で話題になっているから買ってみた”という程度の読者だったとしようや。

 そのとき、「理解もできないくせに、ただ話題になっているというだけの理由でおれの本を買うようなやつは、最も堕落した読者であり、バカで浮気で無責任である」などとその作家がほざいたら、身のほど知らずを晒すだけだろう(そういうことを文学的営為として意図的・実験的に行う作家はいるけど、これはそういう話じゃない)。なぜなら、市場に出した時点で、その“作品”はすでに作家のものではないからである(著作権とか、そういう話じゃないよ)。完全にコントロールできるという意味では、作家の制御を離れている。その制御を万人に委ねるという行為こそが、出版する、作品を世に問うという意味にほかならない。作家が「最も堕落した読者」呼ばわりしている読者の中にも、必ずや作家の意図をはるかに超えた読みかたをする人がいるにちがいない。そのような読みかたをされることで、その作品は価値を増すのだ。読者がひとり残らず作家の意図どおりの読解をするのだとしたら、そんな作品にはたいした価値はないと思う。株式市場だって似たようなものだろう。企業の経営なんてどうでもよくて、単に株式市場という仕組みの中に生じる電位差から微弱な電流を掠め取ってただただ蓄電しようとするプレイヤーだって、そのことによっておのれの意図を超えた価値をどこかに作り出しているかもしれないのだ。

 この事務次官の発言におれが決定的な違和感を覚えるのは、おそらく“価値”というものの捉えかたが、この人とおれとではまったく異なっているからだろう。たぶん、この人とおれは、まったくちがう世界を見ている。こういう人とは、いくら話し合っても、永遠にすれちがうだろうと想像するんだなあ。おれの身のまわりには、こういう人はあんまりいてほしくないなあ。うざい。「それはちがう! これはこうあるべきであって、そう思わないおまえなど、最も堕落した無責任なバカだ」と、しょっちゅう断じられてしまいそうだ。



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2008年1月31日 (木)

ひらかたパークと村上ショージの親和性

Murakami_shouji ちょっと前から京阪電車の利用者を苦笑させているのが、ひらかたパーク(の屋外スケートリンク)の、この広告――「すくなくとも村上ショージよりは、絶対おもしろい。」

 「すくなくとも村上ショージよりは、絶対おもしろい。」というのが、いったい全体、どのくらいの面白さを保証しているものなのか、人は一瞬理解に苦しむ。村上ショージという人は、“面白くない芸人の代名詞としていじられるさまがそこそこ面白い”という、非常に特殊なニッチを確立している人である。それを利用した広告では、すでにミスタードーナツのCM「敏感」篇がおなじみだ。師匠らしき村上ショージのもとに、相武紗季がドーナツを手土産にやってくる。相武は「つまらないものですが……」とドーナツを差し出すのだが、村上はなぜか「つまらない」という言葉に異常に敏感になっていて、相武が「つまらない」というたびにいちいちビクビクするのであった。

 ひらかたパークの広告は、このストレートなCMのさらに上を行っている。「すくなくとも村上ショージよりは、絶対おもしろい。」というのは、その言明のレベルで解釈すれば、“最低保証の水準が低い”と言っていることになってしまうのであるが、「すくなくとも村上ショージよりは、絶対おもしろい。」という札を掲げて広告に出ている村上ショージは充分面白いので、メタレベルで考えると、ひらかたパークはかなりの面白さをアピールしているということになる。村上ショージという芸人は、その面白さを“面白くない芸人の代名詞として人口に膾炙している”という点に依っているところ大であるから、芸能界における存在様態がそもそも多分に自己言及的なのである。その自己言及的芸人がおのれの自己言及的なありかたにさらにメタレベルから言及するさまそのものが、最初の自己言及に反する面白さを醸し出してしまう。えーと、ついてきていただいているでしょうか? なにやら自分でも言ってることがこんがらかってきたが、とにかくまあ、関西ではここまでやるのである。こういうのはクレタ人広告」とでも名付けたいね。

 ここ十年ばかり、ひらかたパークのブランディングのベースにあるのが、ほかならぬこの自己言及による開き直りだ。ずいぶんむかしにも書いたが、みずからを「ひらパー」などとビミョーにスベった名で呼び、“背伸びしてかっこよく見せようとしている姿がもののみごとにスベっている(と自分でわかっている)イメージ”を開き直って打ち出したあたりから、ひらパーは化けた。遊園地として煮え切らない中途半端な存在であることを、“強み”としてポジティブに打ち出したのである。つまり、村上ショージとひらパーは、その“強み”の構造が非常に似通っていて、とても相性がいいのだ。ひらパーが村上ショージを起用したのも、むべなるかなである。

 ちなみに上のポスターで村上ショージのうしろをなにげなく滑っているのは、「ピピン」というマスコットキャラクターである。最初に見たとき、「ああ、ひらパーがまたやっとる」と思った。作ったように(作ってるんだが)“昭和の薫り”が漂う、いかにも遊園地のマスコットでございますと言いたげな時代錯誤なキャラなのだが、キモカワやらヌルキャラやらがあまりに当然のものとして巷に溢れているこのご時世に「ピピン」をぶつけられると、あまりの開き直りに笑ってしまう。どこかねじ曲がった歪んだキャラが受ける時代だからと、どんどんねじ曲がった、歪んだ方向に考えた結果、三百六十度ねじ曲がってしまいましたーというわけなのだろう。この「ピピン」にも、“遊園地のマスコットキャラクターなるもの”をメタレベルからくすぐった自己言及的な構えがある。ひらパーの広告を仕掛けている、才能豊かなねじ曲がった連中の“どや顔”が目に見えるようだ。

 なんだかんだ言って、おれはひらパーの広告が好きである。次にどんな手でおれを感心させてくれるのか、楽しみにしているのだ。京阪神に住んでいてよかった。



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2008年1月23日 (水)

ゴーロイスを吸ったことがあるかい

ゴロワーズが「英国籍」に=仏の国民的たばこ、身売り (時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date1&k=2008012300188

 【パリ22日時事】かつてフランスの「国民的シンボル」とも呼ばれた紙巻きたばこ「ゴロワーズ」の製造元の仏・スペイン系たばこ大手アルタディスが22日、英の同業インペリアル・タバコに事実上買収された。
 インペリアルは同日、「アルタディス株の約93.5%を持つ株主から承認を得た」との声明を出した。AFP通信によると、買収額は128億ユーロ(約2兆円)に上る。


 ひええ、なんか味気ねー! かまやつひろしムッシュかまやつ)の名曲はどうなるのよ?


 ♪ゴロワーズというタバコを吸ったことがあるかい
  ほらジャン・ギャバンがシネマの中ですってるやつさ
  よれよれのレインコートのエリを立てて
  短くなる迄 奴はすうのさ


 イギリスの煙草になっちゃったんだなあ……。「ひと口すえば君はパリにひとっとび」なのになあ……。

 そのうち、「ハーキュリーズ・ポイロットさんがお見えです」などと名探偵を上司に取り次ぐ“教育が悪かった”若いブロンド娘の類なんかは、「ゴーロイス? イギリスの煙草ですけどなにか?」などとほざくようになるのだろうなあ。味気ないとは思わんかね、モナミ・ヘイスティングス?



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2007年11月20日 (火)

ドリルが買いたいのではなく、穴が欲しいのだ

Renkonage 酒リーマンさんという方も絶賛してらっしゃるが、たしかにこれはいいんだよ! 芋焼酎に非常によく合う。

 いや、中身もうまいんだが、商品名がいいよねえ。この商品、あくまで「焼酎うま!!」というのがメインの名称であって、「れんこん揚げ」だの「カラシれんこん風味」だのというのは、付随的な説明にすぎないのである。要するに、これをつまみに飲めば、とにかく焼酎がうまいということがいちばん言いたいのだ。焼酎さえうまければ、中身はなんであってもかまわないと言わんばかりの、ソリューション指向のネーミングがすばらしい。セオドア・レヴィットがもう少し長生きしていたら、きっと絶賛したであろう。レヴィットが焼酎飲んだかどうかは知らんが……。



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2007年9月28日 (金)

リンゴは赤いが、氷は冷たい

『忙しい人』と『仕事ができる人』の20の違い (モチベーションは楽しさ創造から)
http://d.hatena.ne.jp/favre21/20070927

 素朴な疑問なのだが、ここに書いてあるようなことがこのまま続くとすると、「仕事ができる人」はそのうちただの「忙しい人」になってしまい、「忙しい人」はそのうちただの「暇な人」になってしまうように思うのだがどうか。

 そもそも「仕事ができる人」は「仕事ができない人」と、「忙しい人」は「忙しくない人」とそれぞれ較べるべきであって、分類基準の異なる二者を比べてみたところで、好きなことがいくらでも言えるだけである。これでは、「仕事ができて、かつ忙しい人」や「仕事ができず、かつ忙しくない人」の立場がない。「“SFな人”は密室に異次元などからエレガントに進入するが、“ミステリな人”は三次元空間でいろいろと見苦しいトリックを考える」などといった言説と変わらないのである。それでは“SFでミステリな人”や“ミステリでSFな人”や超限探偵Σ名探偵Zの立場がない。

 なになに、「『忙しい人』は、同じような仕事でも、イチイチ考えながら仕事をしている。/『仕事ができる人』は、同じような仕事が発生したら、考える事なく、仕事ができる仕組みを作り上げている」とな。なーるほど。きっと、偉大な発見や発明は、忙しい人によって為されたのにちがいないぞ。



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2007年8月15日 (水)

『ザ・ハッカー』を観る

 またまた GyaO でやってた『ザ・ハッカー 』(監督:ジョー・チャペル)を観る。伝説のハッカー・ケビン・ミトニックと日本人科学者・下村努との対決を描く Takedown の映画化である。そのうちテレビかなんかでやるだろうと思っていたが、数年後にネットでタダで観られるようになるとは、テーマがテーマだけに、感慨無量ですな。

 あんまり期待してなかったんだけど、コンピュータにあまり詳しくない人でも充分楽しめる内容になっている。そもそも、ケビン・ミトニックが最も得意としたのは、システムの“人間系”の脆弱性を衝くいわゆる“ソーシャルエンジニアリング”なのであって(もちろん、テクニカルな面もすごいのだが)、これはコンピュータの知識のない人にでもちゃんと理解できるし警戒できる“詐欺”の一種なのである。この映画はそこのところをちゃんと描いている。セキュリティ関係者は一応必見かも。

 ミトニックを演じるスキート・ウールリッチもなかなかホンモノに似ているんだが、下村努役の(たぶん韓国の)俳優さんは妙に山下真司に似ていて、英語が流暢すぎてかっこよすぎ。まあ、ホンモノの下村努さんを知らないので、似てるかどうかはわかりませんが~。

 ご存じとは思うが、ミトニックは臭い飯を食ったあと、足を洗ってコンピュータセキュリティコンサルタントとして活躍している。米国の下院は、ミトニックを呼んでレクチャーまでしてもらっているのである。FBIが血眼になって追っかけていた元犯罪者にでも、必要とあらば教えを乞うというあたりがじつにアメリカ的であって、日本も見習うべき合理主義だ。ミトニックの言う "Companies spend millions of dollars on firewalls and secure access devices, and it's money wasted because none of these measures address the weakest link in the security chain: the people who use, administer and operate computer systems," というのは、企業のあらゆる危機管理担当者が肝に命ずるべきことだろう。

 おれは原書の The Art of Decption しか読んだことがないのだが、ミトニック自身が書いた『欺術(ぎじゅつ)―史上最強のハッカーが明かす禁断の技法』ってのは、なかなかの名著だと思う。つまるところ、ソーシャルエンジニアリングに対する完全な防御は、企業にとっては不可能に近いと言っているにすぎない本なのだけれども……。Good luck, 企業のみなさん。



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2007年8月 8日 (水)

お客様の命はなるべく守ろう

 こないだ、昼に近所の牛丼屋で牛丼食ったらですなあ、目の前にこんな貼り紙がしてあって仰天したのよな。

「一時間に一回手を洗おう運動 お客様の命を守るために」

 義務ではない「運動」で「命を守」られていたのでは、お客様としてはおちおち牛丼食ってる場合ではないような気もするのだが、その店は見るからに若いバイトのコばかりで、たぶん、この貼り紙がヘンなことにもまるで気づいていないのだろうなあ。なんちゅうか、お客様から見れば、たとえバイトでもあんたらはプロなわけで、プロがお客様の「命を守る」ことを“励行”する程度では困るわけよ。ゴルゴ13“できるだけ弾を命中させよう”運動をやってるところを依頼者にアピールしているようなものだと言えばわかってもらえるだろうか?

 いかにも手作りテイストの貼り紙だったから、従業員たちが自主的にやってることなのだろうけれども、お客様としては困惑しますわ。無邪気にもほどがあるちゅうかねえ……。微笑ましい(?)ような気もしないではないのだが、自分たちの身内で“うちらはこんなにがんばってますよ~”的な自己満足に浸っているだけで、“顧客視点”というものが決定的に欠落してることに誰か気づかんか? ま、おじさんは黙って牛丼食って金払って帰りましたけどね。



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2007年7月16日 (月)

GyaO とパチンコの相利共生

 おっと、GyaO『仮面ライダー』特集をやるのか。中江真司追悼って意味も少しはあるのかもしれないが、スポンサーが例のパチンコ台屋さんだから、PR企画の一環でしょうな。先日地上波で復活した『必殺仕事人 2007』にも、なんとなくパチンコ台のヒットが絡んでいそうな匂いがするのだが(喜んで観ましたけどね)、GyaO は懐かし路線のパチンコ台メーカーが組むには格好の相手と言えよう。三十代・四十代のおっさんのためだけに、とくに作品として優れているわけでもない子供だまし顔見世興行的な劇場版『仮面ライダー』の落穂拾いを地上波テレビでやるわけにはいかんだろうが、オンデマンドのネット放送なら、“ただ懐かしいだけ”のコンテンツも十二分に価値を持つ。

 GyaO はつい先日「昭和TV」という、これまたおっさん・おばはん向けのチャンネル(というのも妙だが)を新設したから(こっちのスポンサーはサントリー)、方向性としては京楽産業の懐かしパチンコ台とぴったり。この奇妙な共生関係が、これからどういうふうに展開されてゆくのか、なかなか興味深い。権利関係のクリアがめちゃめちゃ難しそうだけど、ぱちんこ〈ハンナ・バーベラ〉なんて台が出て、GyaO でタイアップ放映をやったら、絶対当たるだろうな。ぱちんこ《少年ドラマシリーズ》とかでもいいけど(実現が難しそうなやつばかり、わざと言ってるな)。

 そのうち、逆の流れも出てきたりしたら面白い。つまりですな、GyaO のオリジナルコンテンツがパチンコ台のほうに進出するわけだ。ぱちんこ『溜池Now はミッドタウンにお引っ越ししました』という“台”が出ないともかぎらない。ま、これじゃ長いから「ぱちんこ・しょこたん」とかね。案外、もう話は進んでいるのかもしれんぞ。

 おれはパチンコはしないが、週末やら連休やらに、夜中ちびちび酒を飲みながら(おれは焼酎党だから、サントリーの酒はあんまり飲まないけどね)、懐かしいだけでべつにどうということもないB級、C級、Z級映画をついついウェブで観てしまうとあっては、GyaO の思うつぼなんだろうなあ。



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2007年7月 9日 (月)

育児グループウェア

The cell phone as baby monitor (CNN Money.com)
http://thebrowser.blogs.fortune.com/2007/07/06/the-cell-phone-as-baby-monitor/

A few years ago, when the price of wireless airtime plummeted, wireless executives sometimes talked about customers who used pairs of mobile phones as baby monitors. (The Browser suspects this is the stuff of urban legend, but a few websites do explain to the technically impaired how to perform this trick.)
Now along comes Babble Soft, an upstart that can turn a number of so-called “smartphones” into a different sort of baby monitor. (Company founder Aruni Gunasegaram, a mother of two, prefers the term “baby manager.”) Gunasegaram has created a web-based application that helps new parents keep track of feedings, sleep schedules and other newborn activities and milestones that pediatricians often ask moms and dads to track. A mobile version of the application, available for many smartphones, such as the Treo, allows users to access their baby data on the go. (Think Google Calendar for the diaperpail set.)

 山村美紗が、幼いころの娘(山村紅葉)にワイヤレスマイクを付けてモニタしながら仕事をしていたという、合理的なミステリ作家らしい逸話は人口に膾炙しているが、この記事が紹介している“赤ちゃんモニタ”はそういうものではない(前振りで触れているのは、ケータイを山村美沙方式で使う方法だけど)。

 Babble Soft のサイトに行っていただければ、どういうものか詳しくわかると思うけど、端的に言えば、乳幼児のケアを夫婦の共同作業と捉えたグループウェアの一種である。以前は、PDAにダウンロードして使うものだったのを、スマートフォン向けに完全にウェブアプリケーションとして提供しはじめたというわけだ。グループウェアっちゃグループウェアなのだが、夫婦だけ(欧米なら、ベビーシッターも加わるだろうけど)で使うことになるのだろう。いつミルクをやったか、いつオムツを替えたか、いつ薬を飲ませたかといった記録を赤ちゃんのケアをする者同士で共有し、共働き夫婦(最近では“片働き”のほうがむしろ少数派なわけだが)の育児コラボレーションを効率化しようという次第である。欧米のエグゼクティブのあいだでは、ブラックベリーはほぼ必需品状態だそうだから、こういうビジネスもイケそうな感じはしますねえ。

 日本でも、ITリテラシーの高い共働き夫婦の一部ではこうしたニーズも顕在化してくるかもしれないから、この企業の日本進出、あるいは、同様のサービスを提供する日本企業の出現も、そう遠い日のことではないような気がするが、文化的に日本に欧米ほどの市場が育つかどうかは、ちょっと不安ではあるよね。つまり、育児をコラボレーションと捉えないと、そもそもグループウェアの必要性なんかないわけだから。

 Hasta la vista, baby!



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2007年7月 5日 (木)

『ソーシャル・ウェブ入門―Google、mixi、ブログ…新しいWeb世界の歩き方』(滑川海彦/技術評論社)

 あちこちで評判がいいので、一応読んでおくべきだろうなと手に取ったんだが、なるほど、こりゃ評判がいいのも道理だ。

 “入門”とついてる本には、ちっとも入門じゃないがちゃがちゃしたものも少なくないけれど、これはタイトルに恥じない優れた入門書にちがいない。たとえば、12くらいしかわかってない人が10くらいの内容を書いたものは、“入門書”じゃないのである。ただの内容の薄い本だ。120わかっている人が10くらいに圧縮して書くと、本書のような好著になるのだろう。この10は濃い。だものだから、「おれは70~80はわかってるつもりなんだけど、深く突っ込まれると、本質を掴んでいるかどうか心許ないかもな……」というくらいの人(というのは手前のことだが)がこの10を読むと、そいつが頭の中で“増えるわかめ”みたいにむわむわっと膨らんで、100くらいになる。要するに、入門者以外にとっても大いにためになるのが、よい入門書というものなのである。

 もっとも、の人がこれを読んでも、やっぱりだと思う。見よう見まねでウェブをあちこちいじくりまわしてみて、くらいになったときに読むと、目から鱗がぼろぼろ落ち、パズルのピースがかちゃかちゃ繋がって、たちまち50くらいになるにちがいない。

 ここ二、三年ばかり、ほとんど“相転移”と呼べるくらいに、音を立てて社会が組み変わってゆくのを感じている人は少なくないと思う。過冷却液体がなにかの拍子に一気に氷結しはじめたかのように、なにもないところに見るみる“構造”ができあがってゆく。そこには常にウェブがある。いやあ、こんなめちゃくちゃ面白い時代に生まれて、ほんとうによかった。

 本書は、一見、新奇な小ネタ的ノウハウと薀蓄を詰め込んだイージーな本に見えてしまうかもしれないのだが、とんでもない。ビシッと一本、筋が通っており、しっかりとしたパースペクティブで“いま、ここ”のウェブと社会をみごとに鳥瞰した本である。蛇のような長い鼻やら、巨木の幹のような脚やら、ひらひらした板のような耳やらに混乱している人にお薦め。たぶん、象らしきものがおぼろげに見える。この象がこれからどうなるのかは、誰にもわからんけどね。なんにせよ、なんだか面白いことが起こりそうだ。Who says elephants can't dance?




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2007年6月18日 (月)

石田純一は反則だろう

Mr.クールビズは、石田純一さんと小泉前首相 (asah.com)
http://www.asahi.com/life/update/0617/TKY200706170142.html

 クールビズが似合うのは安倍首相より、小泉前首相――。カジュアル衣料のユニクロがクールビズが似合う有名人を、ビジネスマン、主婦、OLの3層に挙げてもらったところ、俳優の石田純一さんと小泉純一郎前首相が1、2位を独占。安倍首相は、主婦層の7位で顔を出すのがやっとだった。

 小泉前首相はともかくとして、石田純一の場合は“クールビズが似合う”っていう次元の話じゃないような気がするけどなあ。ふつうのサラリーマンは素足に革靴履くわけにはいかんでしょ、やっぱり。石田純一がアリなんだったら、江頭2:50こそがクールビズの王者だと思うぞ。