火災警報器の恐怖
土曜日に業者が火災警報器を取り付けに来た。消防法の改正によって新築住宅では二〇〇六年六月から設置が義務付けられているが、既存の住宅に関しても、多くの市町村では二〇一一年六月からは設置が義務になるようだ。だもんだから、おれんちは市営住宅だから、タダで取り付けにきてくれるわけなのである。「既存の住宅でも、いま取り付けないと罰せられる」などとほざいて“消防署のほう”から来た詐欺師が火災警報器を売りつける例があるそうなので、そこいらは各自で注意してください。
しかしまあ、これがなかなかたいそうだ。いや、取り付けは数分ですむんだが、“各部屋にひとつ”取り付けなければならないのである。おれんちは狭い。3DKと風呂とトイレだ。さすがにトイレには付けなくてもいいみたいだけど、ダイニングキッチンには熱感知式のものをひとつ、ほかの三部屋には煙感知式のものをひとつずつ取り付けなくてはならない。ぶっちゃけた話、すべての部屋の床にできるだけ速くタッチしてまわるというゲームをやったとしたら、おれんちは数秒でゲームが終わる。家の中のどこにいても、ケータイが鳴ったらわかる程度の面積しかない。それでも、やっぱり各部屋に火災警報器を取り付けなくてはならないのである。四個の火災警報器のうち、最も離れているもの同士でも、おそらく直線距離にして五メートルくらいだろう。まさに、鶏を割くに牛刀を以てす、という感じである。
たとえば、台所でおれが目玉焼きを作ろうとしているときに、フライパンの油に火が移って、それがカーテンにでも燃え移ったとしよう。おそらく、ダイニングキッチンの感熱式の警報器が鳴り出すだろう。で、たぶん、十数秒もしないうちに、ほかの三つの部屋の煙感知式の警報器も、すべて鳴り出すにちがいない。おれんちは、ちょっとしたボヤでも出そうものなら、四つの火災警報器(と、たぶん揮発性の気体に反応するガス漏れ警報器)がいっせいに鳴り出すことになるだろう。あまりのけたたましさに、かえってパニックになってしまいそうだ。
半径数メートルくらいの円内にある五つの警報器がいっせいに大音量で鳴り出すことを想像すると、これは怖いぞ。そんなとんでもない状況を招かないためにも、火の元には気をつけなくてはいかんなあと、改めて思ったことであった。そうか、日本のウサギ小屋住宅の各部屋に火災警報器を取り付けろというのは、そういう立法主旨があったのか。
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