ネクタイの悪魔
▼金色の「勝負ネクタイ」人気急上昇 鳩山首相愛用 (asahi.com)
http://www.asahi.com/shopping/news/SEB200910020003.html
総選挙の日も、首相指名の瞬間も、国連でも――鳩山由紀夫首相が大事な場面で「勝負ネクタイ」として締める金色を基調としたネクタイが、注目されている。問い合わせが相次ぎ、売り場にコーナーまでできた百貨店も。その神通力と人気、いつまで続くか。
売り場には、首相が愛用していると伝えられるイタリア製を含む、金色ネクタイ6種を集めた小さなコーナーがつくられ、陳列棚には「勝負ネクタイはGOLD」と書かれた表示板があった。金一色のネクタイがあれば、金のストライプ入りのものもある。
鳩山氏が9月16日に首相に就いてから、「金色のネクタイはありますか」との問い合わせが相次いだ。予想外の反応を受けて同月25日に急きょ、コーナーを設けた。「お求めになるのは大半が女性で、贈り物用に買っていかれますね」とシャツ・タイ売り場の平島和仁・セールスマネジャー。
小泉元首相の緑のネクタイ、安倍元首相の襟だけが白いシャツ、米・オバマ大統領の赤いネクタイ……。過去にもたびたび、注目政治家の服飾品への問い合わせはあったが、売り場のベテラン女性店員は「今回の鳩山さんのは、別格。ここまでの反響は初めて」という。
テレビの情報番組で「ネクタイ選びは幸(みゆき)夫人」などと伝えられたためか、この店員によると、年配の女性の問い合わせが目立つという。「男性よりむしろ、『うちの夫にも勝利を』と願う女性の心をつかんだのかも」
「お求めになるのは大半が女性で、贈り物用に買っていかれますね」だって? ひいい、かんべんしてくれ! おれはネクタイなどもらったことは数えるほどしかないが、万が一にもおれにネクタイを贈ろうと思っている奇特な人がおったなら、頼むから、金色だけはやめてほしい。あれは、総理大臣という特殊な職業の人が、上から下まで高級なお召しものに身を包んでいるからこそ、それなりに映えるのであって、くたびれたスーツを着たフツーのおっさんがキンキラキンのゴールドのネクタイを締めてたら、悪趣味なことこのうえない。金星にでも行ってきたかと思われる。え? あなた、旦那さんに贈るつもりでしたか? やめなさい! 悪いことは言わない。おとなしく趣味のよいカエル柄にでもしておきなさい。
そういえば、むかし、政治家がテレビに出ても、女性はネクタイしか見ておらず、話の内容なんて聴いてないといった失言をした総理大臣がおったよなあ。話の内容を聴いているかどうかはあくまで個人差だと思うが、たしかに“女性はネクタイを見ている”という端的な指摘だけは、あながちまちがいでもなさそうだ。中曽根さんは、「話をきちんと聴いているうえにネクタイまで見ている」と言うべきだったのだ。
かく言うおれは、ネクタイが嫌いである。おれの勤めている会社は、六月から九月まで“クールビズ”と称してノーネクタイなのだが、十月になってネクタイをしなくてはならなくなったので、うっとうしいことおびただしい。こんなもん、みんなでいっせいにやめませんか? なにもかもルイ十四世が悪いのだ。生産性を落としているだけだと思う。
とはいえ、どのみちしなくてはならないのであれば、それなりに遊び心も必要だ。おれの持っているネクタイの一本に、ケッタイなのがある。面白いのでつい買ってしまったのだ。アインシュタインのうしろにキノコ雲がデザインされており、「E=mc2」の式があしらわれている。面白いので、八月六日や九日にしてみたりもしていたのだが、やっぱりあんまり奇抜なデザインのものはすぐ飽きますな。
理系のSFファンが面白がって作ったんだろうが、シュレーディンガー方程式がデザインされたTシャツってのは見たことがある。でも、さすがにネクタイはないなあ。美しいデザインということであれば、「eiπ + 1 = 0」をあしらったネクタイとかないかなあ。千円くらいなら買うぞ。ま、そんなものがふつうに市販されてたらびっくりだけどね。
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