カテゴリー「ゲーム」の5件の記事

2010年1月13日 (水)

木材都市

 先日の『探偵!ナイトスクープ』(1月8日)に、工務店を経営するおっちゃんが、廃材を用いて一辺の長さが通常の九倍という巨大なジェンガを作ったので、ゲームしにきてほしいというバカバカしくもすばらしい依頼があった。ゲームを進めて積み上げてゆくと、三メートルを超えるのである。こんなものが、最後にはガラガラと頭上から崩れ落ちてくるのだ。危ない危ない。

 まあ、愛すべきアホなおっさんはさておくとして、おれはあの巨大ジェンガを観ながら、ふと考えた。そもそもジェンガというのは、あの木製のブロックの造形が不完全で、寸法に誤差があるからこそ成立する遊びなのではなかろうか? そもそも誤差がなければ、抜きやすいブロックや抜きにくいブロックが不規則に存在するはずがない。

 たとえば、あの直方体のブロックがすべて寸分違わず同じ寸法、同じ重量で、同じ表面摩擦係数を持っているという、完璧なモノリスみたいなものであったとしたら、ほとんど重量のバランスを計算することのみが勝敗を分ける、きわめて味気ないゲームになるのではなかろうか。ジェンガが金属やプラスティックではなく、木材で作られているというのは、あのゲームの成立に不可欠なことなのだろう。木材はどんなに精密に加工しても、ふたつと同じものはできまい。木目というものがあるからには、抜き出す方向によっても表面の摩擦係数はさまざまに異なるだろう。おまけに、湿度のちがいで膨れたり縮んだりする。遊んでいるうちに摩耗する。最初に積み上げるときに、まったく同じ組み合わせになることもきわめて少なかろう。単純だが、じつに奥の深い玩具と言えよう。

 コンピュータにチェスをさせるなどというゲームに飽きた人類は、将来、人工知能を搭載したロボット同士を、ジェンガで対戦させてその知能を競わせるんじゃなかろうか。

  「ココヲヌケバカテルナ」
  「ハッハッハ。ケイサンドオリニユクトオモッタラ、オオマチガイダ」

 みたいなことをロボットたちが言い交わしながらジェンガに興じる光景というのは、さぞや味わい深いものだと思うぞ。



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2007年12月23日 (日)

『もうひとつの未来 ~ starry spirits ~』(森口博子/キングレコード)

 すばらしい。森口博子ここにありである。ただただ、すばらしい。ゲームのテレビCMで「おおお!」と思い、ウェブでPVを観て鳥肌が立ち、あわててCDを注文した。

 ゲームソフト「SDガンダム Gジェネレーションスピリッツ」(PS2)のテーマソングなわけだが、おれはゲームにもガンダムにもあんまり思い入れはない。だが、実力のわりにメディアでの露出が少なく、あまりに過小評価されている歌手・森口博子には思い入れがあるのである。個人的に顔やキャラが好みであるという点はこの際置いておくとしてもだ、この「もうひとつの未来 ~ starry spirits ~」はすばらしい。元祖バラドルとしてのイメージしかない人々、アニソン歌手として一段下に見ている人々、とんでもない、こいつを聴いて、水をぶっかけられていただきたい。すごいポピュラーシンガーがここにいるのですぜ。

 森口博子の不幸は、そのストレートな天性の歌唱力にあるだろう。つまり、むかしは歳のわりにあまりに巧すぎたのだ。巧いことは文句なく巧いのだが、なんとなく、こましゃくれた(って言葉を大人に使うのも妙だが)感じがした。また、頭がよすぎるため、歌手としての才能以外の部分が評価されすぎた。レコード会社の力があんまりないうえに、宣伝が下手ということもあるだろう。ここへ来てようやく、年齢による蓄積が生まれ持った抜群の歌唱力に追いついてきたという感じだ。才能と技巧と表現力が絶妙のバランスを見せるところにきた森口博子は、これからがすごいぞ。アニソンという“ジャンル歌謡”を歌手としてどこまでも誠実に唄うことに誇りを持った森口博子は、それがゆえにこの曲でアニソンの枠を突き破って普遍に至った。ゲームもアニメもガンダムもまったく知らない人がこの曲を聴いても、「いい歌だなあ、巧い歌手だなあ」と思うはずである。そういう人がもしあなたのまわりにいたら、森口博子だということを伏せてこいつを聴かせてあげていただきたい。「ええーっ! 森口博子ってすごいんだー」と認識を改めるはずである。

 四十代、五十代の森口博子は、根強いファンが根強く支持する大御所として日本の歌謡界に君臨することになるのではあるまいか。そうだなあ、おれたちの若いころで言えば、伊東ゆかりみたいな存在になるんじゃないかなあ。

森口博子:ガンダムソングで歌手復活 「もうひとつの未来」で12年ぶりオリコン30位入り (毎日.jp)
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20071205mog00m200064000c.html

「SDガンダム ジージェネレーション スピリッツ」主題歌「もうひとつの未来 ~starry spirits~」を唄う森口博子さんにインタビュー (GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070924/mori.htm


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2007年1月 5日 (金)

絶滅危惧IA類:福笑い

 NOVAの新春版テレビCMでNOVAうさぎ“福笑い”をやっているのだが、ぶっちゃけた話、日本全国でこの正月に福笑いなどという遊びをした人たちが、いったいどのくらいいるものなのだろうか? というか、あのCMを観たいまの子供たちには、そもそもNOVAうさぎがなにをしているのかさっぱりわからないのではあるまいかと、ちょっと気になっている。

 正直、おれ自身、最後に福笑いをやったのは小学生のころだったかと思う。三十数年はやってない。おれがやらないのはおれの勝手だが、その三十数年、人が実際にやっているところに居合わせたことすらないのだ。もはや実際には、福笑いという遊びは絶滅寸前なのではなかろうか? おれが知らないだけで、子供のいる家庭ではひょっとするといまでもやることがあるのかもしれないが、ほかに面白い遊び(というか、ゲーム)がいっぱいあるいまの世の中、わざわざ好きこのんで福笑いなどというさして面白くもない遊びをするとはとても思えないのだ。はっきり言って、福笑いはつまらない。おれが子供のころにやっていたときですら、正月には福笑いをするものという慣習にあえて従っていただけだったような気がする。いや、ホントに福笑いって掛け値なしに面白いですか?

 それでも福笑いは、誰もやらないのに、“正月の典型的な遊び”という記号としてのみしぶとく生き残っている。その記号すら、若い世代にはすでに伝わっていないかもしれない。福笑いの復興はあるのだろうか? ゲームソフトに福笑いってあるのかな? モンタージュはあるみたいだが、福笑いってのは寡聞にして知らないんだよなあ。



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2006年12月 3日 (日)

手首を鍛える大人のトレーニング

Wii発売狂騒曲 転売目当てに行列 ブローカーの姿も (asahi.com)
http://www.asahi.com/business/update/1202/031.html

 2日朝、任天堂の新型ゲーム機「Wii(ウィー)」を求め、全国各地に行列ができた。もっとも、並んだのはゲームファンだけではなく、転売目的と見られる集団も目立った。人気ゲーム機発売のたびに目にする行列の中身は、ちょっと変わってきたようだ。

 転売目的のブローカーの頭を、あのコントローラーでどついてまわるゲームを発売したら売れると思うのだがどうか。

 それにしても、「Wii」ってのはヘンテコな名前だ。英語圏のメディアの報道を見ると、以前から口を揃えて“ヘンテコな名前”だと言っている。そう言わせるところが狙いなのかもしれないけど、たしかに英語的には、まずあり得ない綴りだよなあ。まあ、英語に合わせてやる必要などないのだが。なにも知らない人が見たら、十中八九、ローマ数字だと思うだろう。

 おれはゲームにはあんまり興味がないが、あのコントローラーは見かけ以上にハイテクらしく、そこいらへんには興味がある。あれでもって耳糞をほじくるゲームとかできそうだよな。でかいのが取れたら高得点。尻を拭くゲームもいいかもしれん。できるだけトイレットペーパーを使わずに、きれいに尻が拭けたら高得点。あのコントローラーを激しく叩きつけるように振ったり、液体を注ぐようにゆっくりと傾けたり、緩急をつけて往復させたりする、どう考えても十八禁のアダルトなゲームの構想もおれにはあるのだが、どういうゲームかはご想像にお任せする。どっかがほんとに開発しそうな気もするんだが……。



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2006年2月 4日 (土)

《ご漬け》シリーズ

 なんかテレビでしょっちゅうCMをやってるニンテンドーDS用の『えいご漬け』ってソフトが売れてるみたいで、おれの妹が先日来たときも、DSを持っている姪たちと「買おうか」などと相談しているという話をしていた。そういえば、正月に姪が『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』をうちに持ってきて、婆さん(というのはおれの母だが)が孫に無理やり「ぱぁ、ぱぁ、ちょき、ぐー、ぱぐー、ぐぁあ、ちょわー!」とか言わされていた。ボケ防止にはいいかもしれん。おれもやらされたが、おれの脳年齢は松嶋菜々子より上だった。まあ、マイクの感度が悪いのだろう。そうにちがいない。

 それにしても、妹よ、おまえ、英語はおろか、日本語だってなんだって、とにかく勉強と名のつくものは大嫌いだったじゃろうが。そんなおまえが「えいご漬け」って、うーむ、ゲームおそるべし。なんで子供のころに、学校のアレはアレでゲームであって、ほんとうの“勉強”はもうちょっと別のところにあると気づかなんだかね? ま、ほんとに買うのかどうか知らんけど、四十過ぎたおばさんが、むかしやり損ねたことを娘と一緒に遊びながらやるのも、傍目にはなかなか微笑ましくてよい。少女老い易く学成り難し、大タコに教えられアーサー・C・クラークと、むかしの人も言うておる。

 しかし、ああいうのが売れるんなら、『らくご漬け』とか作ってほしいよな。米朝やら春團治やらを“聴き取り”ながら、スクリーンにテキストを書いてゆかねばならんという過酷なゲームだ。なにせ落語だから、きっと漢字とか難しいぞ。読めても書けないぞ。枝雀のも入っていたら、『えいご漬け』と『らくご漬け』の一石二鳥である。

 漢文が勉強できる『ろんご漬け』、十八禁の『わいご漬け』『いんご漬け』、あなたも政治家になれる『もうご漬け』なんかもいいな。わかる人にはわかる『なっちご漬け』なんて高度なゲームとなると、大量の洋画を観ながら翻訳して字幕を書かされにゃならんかもだ! トレッキーのための『くりんごんご漬け』、森岡浩之監修の『あーう”ご漬け』などのシリーズ化も期待したい。

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