ラブソングの刺青
知事 「市の教育委員会が先日から調査を進めておりましたが、やはり出てきてしまいました。刺青をしている教職員が十名ほどおります」
市長 「なんとな……。いるんじゃなかろうかとは思っていたが、やっぱりいたか。そいつらは、たとえば、どんな刺青をしているのだ?」
知事 「ある者などは、古いラブソングの歌詞を彫っております。“君が代は 千代に八千代に さざれ石の巌となりて 苔のむすまで”などと」
市長 「……不思議だ。その歌、どこかで聴いたような気がする」
知事 「……わかりました。われわれの遺伝子提供者たちのカールチューンが呼び覚まされているのです」
市長 「なに!?」
知事 「五十万周期の時を超えて」
市長 「大阪市長から市教育委員会へ、大阪市長から市教育委員会へ。これより貴会を援護する」
教育委員会 「――援護!?」
知事 「プロトカルチャーの文化を失うわけにはまいりません」
桂三枝 「プロトカルチャーの文楽は? 守らんと続かん藝もありますさかい」
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