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2011年8月27日 (土)

放射線被曝健康法(※個人の感想です。効果には個人差があります)

「低線量の放射線被曝は、むしろ健康によい」という説がある。おれは専門家じゃないから、これを肯定したり否定したりする研究をする能力はないが、素人でも素朴に不思議に思うのは、「むしろ健康によい」のであれば、これを金にしようとする人が出現しないはずがないということである。「低線量なら、浴びてもさしつかえない」というんじゃなくて、積極的に健康を増進する効果があると言っているわけだろう? だったら、なぜ商売にしないのだろう?

 たしかに、ラジウム泉やらラドン泉やらといった、ある種の温泉などは、低線量の被曝による健康増進効果を期待して商売にしているわけだ。でも、温泉なんて、わざわざこちらから湯治に出かけてゆかねばならない。大きく儲けるには、誰もが手軽にいつでもどこでも低線量被曝の恩恵に浴すことができるような、流通可能な商品を開発したほうがいいのではないか。おお、ビッグビジネスの予感!

 そこで提案である。福島あたりの学校の校庭の隅っこに積んである、汚染された土やら砂やらがあるじゃないか。あれをですな、「低線量の放射線被曝は、むしろ健康によい」説を唱えている学者先生たちに監修してもらって、健康によい程度の分量を割り出し、食品に加工して販売するのである。ただそれだけでは売れないから、そこはそれ、こうした学者先生方の力をお借りして、特定保健用食品の認可を取る。「むしろ健康によい」程度の放射性物質を含んだ食品は、「条件付き特定保健用食品」としてなら認可される可能性は充分あるのではなかろうか?

 むろん、これを実現するには、産業廃棄物関連の法律をはじめ、いくつかの法律を改正しなくちゃならないだろうけれども、放射能汚染された瓦礫の山が健康食品の原料として宝の山に化けるのであれば、骨を折ってくださる議員さんはたくさんいるはずだ。

 特保が取れたら、有名人にCMに出てもらうのもいいだろう。「いやあ、うまい! カイワレはこれくらい汚染されているのが、むしろ健康にいいんですよ!」と、お遍路さん姿の菅直人ににっこりと言ってもらえれば売り上げ倍増である。あるいは、スポーティーな自転車を駆って躍動感たっぷりに現れた元科学技術庁長官/元原子力委員会委員長谷垣禎一が、ペットボトルを咥えて天を仰ぎ、喉仏をダイナミックに上下させながらごくごくと特保のスポーツドリンク「プルト君」を飲み干すというCMも、運動不足の中年層にアピールしそうだ。

 なにも食品や飲料ばかりが銭儲けの種ではない。旅行会社は、“放射線浴”を楽しめるツアーをなぜ組まない? もちろん、件の学者先生方にお願いして、「むしろ健康によい程度に汚染されたエリア」をピックアップしていただき、ツアーにもご同行いただこう。「◯◯先生監修! むしろ健康によい程度に被曝できるマイルドホットスポットめぐり」なんてのはどうだろう?

 いやいやいやいや、誤解してもらっては困る。おれはなにも、「むしろ健康にいい」と世のため人のためを思って無知蒙昧なおれたちを啓発してくださる先生方を茶化しているのではないのだ。ちょっとでも健康によさそうなものがあれば片っ端から商売にするビジネスマンたちが、なぜもっと商売気を出さないのか、いささか義憤すら覚えているのである。

 え? 実現したら、利用してくれるかって? いや、おれはべつにそのあの、そういうむしろ健康によいものを進んで飲み食いするほどには健康に気を遣ってないから、いいよいいよ、いいってば。どうせ独り身だ。日光浴もあんまり好きでないくらいなので、放射線浴も遠慮したい。バカだなあ、遠慮しないで、むしろ健康によいのにって、いやいやいやいや、だからおれなんかはいいから、もっとこう、健康に気を遣っている、妻も子もある人たちに薦めてあげて。


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コメント

有酸素運動も、活性酸素がばきばき発生して細胞内組織にダメージを与えることで逆に免疫力が活性化されて体に良いそうですよ。は、は、は。

そのうち多分東日本の人間の平均寿命がミルミル延びだして、世界中が欲しがる健康食品ジャンルが生まれるのではないかと

投稿: Cru | 2011年8月27日 (土) 14時10分

そう言われりゃ確かに低線量被曝が売りのラジウム温泉なんだから家庭用入浴剤にも放射線源が入ってなきゃ効能はうたえないだろと思って調べてみたら、
入ってるね、放射性物質。
ある製品では1.4マイクロシーベルトとかしっかり書いてあるし。

あとマジレスすると、低線量被曝が健康に良いと言ってる学者先生方の中でも食って良いと言う人は流石に居なかったはず。
とはいえ500ベクレル以下の汚染食品は今後普通に食べることになるので「プルト君」をどう差別化するかも問題だなw

投稿: 超時空漫才 | 2011年8月28日 (日) 05時20分

>Cru さん

 今回のことがじつに悲惨な出来事であることは事実ですが、ある意味、これだけ大規模な被曝が人間の住んでいるナマの環境で起こり続けている(現在進行形)例は、ちょっと思い当たりません。取れるデータはなんでも取っておきたいと思うのが科学者の性だと思います。

 むろん、避けられる被曝は避ける方向に動くのは当然ですが、すでに起こってしまったことは、悔やんでいてもはじまりません。未来の人々のために少しでも役立つよう、被曝した人々(に、今後われわれも当然入ってくるわけですが)の被曝が無駄にならないよう、一方では冷徹にデータを取っておいてほしいですね。


>超時空漫才さん

 へー、うちにはちゃんと放射性物質の入っている入浴剤なんてないので(^_^;)、きちんと表記してあるとは知りませんでした。ちゃんと放射性物質の入ってるやつはきっと上等なんだろうなあ。


>あとマジレスすると、低線量被曝が健康に良いと言ってる学者先生方の中でも食って良いと言う人は流石に居なかったはず。

 私もそう言ってる先生は知りませんが、だからこそ、食った場合は、どの核種をどれくらい食ったら「むしろ健康によい」のかを割り出してもらいたいのですよね。

投稿: 冬樹蛉 | 2011年8月30日 (火) 01時31分

今後、放射能汚染が無ければ発症しなかった病気で亡くなる人は必ず出てくると思います。
でも、それはおそらく統計誤差にうずもれて見えてこない可能性が高い。(※)
逆に言えば、人が生活するうえで、無視できる程度のリスクであるかもしれない。
おそらく、喫煙や野菜不足、危険な運転なんてほうがはるかにリスクが高い。
しかし、放射能という得体の知れないものに人は恐怖する。
これもまた否定できない人間性。
とはいえ、どんなに薄気味悪く感じたとしても、被災者応援で福島産農産物を買う人を愚か者と笑うようなことはしたくはないもんですよね。人生観の問題でもあるし、あるいは、そういう人のほうが冷静にリスク評価が出来てるのかもしれませんしね。


(※ 今後おそらく何十もの疫学研究が当該地域住民を対象に行われることになるのでしょう。そのとき、気をつけたいのは数多くの調査があれば「有意水準5%で棄却されない」という結果を伴うものが必ず出てくるということ。ざっと20回に一回は誤って棄却されないデータが収集できてしまうわけですから、これら研究全体をさらに再評価するところまで行かないと結論は出ないかもしれませんが。人は信じたいものを信じるものであり、皇帝的な結果が出るまで探し続ける研究者もいるでしょうし、メディアは売れるニュースを大きく扱うというバイアスもありますしね)

投稿: Cru | 2011年8月31日 (水) 21時24分

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