次に「バレンタイン・キッス」が流行るのは……
昨日、といっても、ほんの数時間前なのだが、近所のお好み焼き屋でお好み焼きを食っていると、BGMに渡り廊下走り隊7の「バレンタイン・キッス」が流れはじめた。
おれはけっこう焼酎も入っていたので、バイトの兄ちゃんをちょっとからかってやろうと、「懐かしいなあ。これ、国生さゆりが唄ってたの知ってる?」と訊いてみたが、案の定、引き攣った笑顔で首を傾げていた。そりゃあそうだろう。まるで二次元アイドルを無理やり三次元映像で観ているかのような渡辺麻友と、魔王・杉田かおるとやりあう国生さゆりおばさんとが、同列に思えるはずがない。けけけけけ。
それはともかく、この「バレンタイン・キッス」は、なかなかの名曲だと思う。渡り廊下走り隊7のPVを観ていて、つくづくそう思う。古びてない。というか、古びてないのは道理であって、これは元々“わざと古びたふりをしている”曲なんだから、かえって古びないのは当然なのだ。
国生さゆりがこれを唄っていたころ、年齢のわりに洋楽懐メロがけっこう好きだったおれは、「ああ、これはシェリー・フェブレーだよな」と思って聴いていた。曲想が、「ジョニー・エンジェル」みたいな、ああいう50~60年代のアメリカンポップスのラブソングによくあった感じにそっくりだ。そういうのを、80年代にあえてあざとくなぞってみせているのだろうと、製作者側の意図が伝わってきて当時にやにやしていた。
シェリー・フェブレーの「ジョニー・エンジェル」は1962年(おれが生まれた年だ)、国生さゆりの「バレンタイン・キッス」は1986年である。二十四年後だ。そして、1986に24を足してみると……2010! いろんな人が「バレンタイン・キッス」をカバーしてきたが、これほどヒットするのは渡り廊下走り隊7を待たなければならなかったのである。ここにはなんらかの隠れた法則が働いているのではあるまいか。
そこで、おれの仮説だ。「バレンタイン・キッス」は、今後も、ほぼ四半世紀毎にリバイバル・スマッシュヒットとなるであろう。次に当たるのは、西暦2034~35年ころにちがいない。そのころの十代のアイドルがまたこれを唄い、「ああ、そういえば、わしらの若いころに渡り廊下走り隊7ってのがあって……」と懐かしがるおっさん・おばはんたちが、またおれと同じようなことを書くのだろうな。
歴史はぶり返す。
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