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2010年11月11日 (木)

尖閣映像を漏らした主任航海士は、正しく懲戒免職にしてあげなくてはいけない

ビデオ流出 「逮捕しないで」海保に電話やメール相次ぐ (asahi.com)

http://www.asahi.com/national/update/1110/OSK201011100082.html

 ビデオ映像の流出問題をめぐり、第5管区海上保安本部には10日、午後2時までに約300件の電話やメールが届いた。神戸海上保安部にも同日午後7時までに約120件の電話と約240通のメールがあったという。

 5管と神戸海保の関係者によると、「(流出への関与を告白した海上保安官は)間違ったことはしていない」「逮捕はしないでほしい」「(流出行為の)犯人捜しをやめてほしい」といった保安官を激励する内容がほとんどで、批判や抗議は少ないという。

 おれもいままでこのブログで、自分のことを棚にあげてずいぶんと世の嘆かわしきことどもについてぼやいてきたが、これはもう、近来稀に見る嘆かわしさである。というか、このところ起きたどんな事件よりも、「日本という国は、ほんとうにやばいのではないか」と背筋が寒くなった報道である。

 「間違ったことはしていない」――って、しとるわい! 海上保安官は国家公務員じゃ! 職務上知り得た秘密を勝手に公開していいはずがなかろう。明々白々たる国家公務員法違反だ。それは、阿呆な政府が最初から公開すべきものを秘密にしたということとは、まったく関係がない大罪である。これがどれくらい度し難い犯罪かというと、国民が選挙で選んだ人々よりも、たかが試験に受かっただけの公僕風情のほうが、より本質的に“正義”を行う能力があるし、そうしてもよいのだと勘ちがいしている点において、民主主義をその根幹から否定する大罪である

 「逮捕はしないでほしい」――って、アホか、犯罪者なのだから、逮捕されてもしかたがない。ましてや当該の犯罪者は、国家公務員の職務上の権限で知り得た、ほかのどんな秘密をさらに公開するかわかったものではない状況である。それはあなたの個人情報であるかもしれないし、国益を著しく損じる防衛上の機密かもしれん。“おれの正義”がなにものにも優先するという思想の持ち主であることは容易に推測されるからには、一刻も早く身柄を拘束すべきだ。

 「犯人捜しをやめてほしい」――めでたいやつだ。将来、おれがあんたの大事な人を殺したり、財産を奪ったりしたときにも、同じように警察に嘆願してもらいたいものである。

 そりゃあ、国家公務員が、そのときどきの阿呆な政府のやることに不満を抱くこともあろう。だが、それは国家公務員という職業に当然伴なう不満である。それが厭なら、国家公務員になどならねばいいだけの話だ。国家公務員として禄を食み、その名誉に浴して生きてきたのであれば、その不満を抱えつつも、公僕としてあるべき行動を取るのが当然のことである。

 おれがもし、なにかのまちがいで国家公務員であって、今回のいわゆる“尖閣映像”を入手できる立場にあったとしたら、おれはきっと以下のように行動する。

  (1)実名と職業・立場をあきらかにし YouTube に投稿する。

  (2)投稿した旨を Twitter でツイートする。

  (3)映像の情報が充分にゆきわたり、まず隠蔽が不可能な状態になったことを確認してから、職場への辞表を投函する。

  (4)最寄の警察署に出頭し自首、自分のしたことをつぶさに包み隠さず報告し、捜査の手間を省く。

  (5)予定どおり辞表は受理されず、自分が懲戒免職になることを従容として受け止め、懲戒免職してくれたことに「ありがとうございました」と頭を下げる。

 これが、おのれの信ずる義によって法を冒そうとする国家公務員の正しい行動だろう。国家公務員の身分であることで得られるおいしいとこ取りをしつつ、正義の味方ごっこをしようとするのは、ただ意地汚いだけであり、義士の行動ではない。国家公務員が義憤によってその身分にあるまじきことを行なおうとする場合は、叛逆者、国賊のそしりをあまんじて、否、すすんで受けてこそ、その行動には価値があると言えよう。

 今回情報を漏洩した主任航海士はきちんと逮捕し、懲戒免職にすべきである。こうした思想の持ち主を、二度と国家公務員にしてはならない。かえすがえすも残念なのは、この主任航海士が、みずからの職を賭して最初から堂々と実名で犯罪を行わなかったことである。おれはやはり、田母神俊雄元航空幕僚長を批判したのとまったく同じ考えかたで、この主任航海士を批判せざるを得ない――「しかし、田母神氏もあんまり褒められたもんじゃない。そんなふうに思いつつ面従腹背を続け空自のトップにまで昇りつめるというのは、サムライとして潔くないのではないか? 退職金が欲しかったからだとしか思われない。あなたがほんとうのサムライならば、とっとと自衛隊を辞めて、そのような言論活動を以て、世間に自分の思想をぶつけるのが本筋であったはずだ。退職ギリギリになって、鬱憤を晴らすかのように開き直るのは、サムライらしくない。あんたも卑しい」

 でもまあ、いつかどこかで、罪を償って社会復帰したこの元主任航海士に会うようなことがあれば、おれはひとこと言ってやりたいな――「あのときは、よくやってくれた」




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コメント

ほぼ賛成。
一井の市民としては、身を守りたい心情もわからないではないですが。

ビデオ流出で、だれがみても犯罪行為であることが明確になったわけですが、
これで、例の船長が不起訴にでもなると、尖閣諸島には日本の司法権が及ばない
ってことになりますね。
すくなくとも、船はぶつけ放題だ。
裁判になったら、このビデオを出して、これが無罪なら、こっちも同じ。
違うという証拠をだせと言えるでしょうから。

投稿: 修理屋ア | 2010年11月11日 (木) 12時48分

どんなに政治家がバカで能なしでも、公務員の暴走を国民が容認したら悲劇しか残らない。
というのは日本が数百万の人柱を立てて学んだ歴史の教訓だと思うのですけどね。
民主主義の死を主権者である国民が自ら願っているような光景はぞっとします。

投稿: はる | 2010年11月12日 (金) 00時12分

こんな動画は秘密にあたらないんで、逮捕はありえないし免職もしてはならない。
誰だか知らんがくだらん駄文をウェブに垂れ流すのはやめてほしい。

投稿: aaa | 2010年11月13日 (土) 15時04分

>修理屋アさん

 あの船長は絶対に返すべきではなかった。ごく早い段階でこの映像を世界に公開し、国際世論に訴えるべきだった。じつに、民主党の現政権は阿呆揃いです。

 しかしそれでも、何党が政権を持っていようが、今回のこの行為はクーデターに匹敵する度し難い勘ちがい行為です。自民党政権であったとしても、要するに、こういうことをする公務員にとっては、常に政治家は“自分たちの下にある阿呆ども”なのですよ。そういう思想を許してはならない。政治家が阿呆どもなら、それは国民全体を阿呆どもと認識しているということなのですから。


>はるさん

 おっしゃるとおりです。私もまずそれを連想しました。どうも、昨今のあらゆる状況は、第一次大戦後、第二次大戦前夜の状況にいろいろと酷似してきているように思えてなりません。こわー。


>aaaさん

 くだらん駄文をウェブに垂れ流す権利が私にはあります。それは、公務員が職務上入手できてバカな政府が秘密にしたがっていた映像をウェブに垂れ流すのよりも、はるかに正当な権利です。

投稿: 冬樹蛉 | 2010年11月14日 (日) 02時35分

だから秘密でも機密でもなんでもないから国家公務員法違反でもなんでもないって言ってんだろ・・・
無罪の人間を犯罪者呼ばわりとかふさげるな

投稿: aaa | 2010年11月14日 (日) 13時01分

ご主張については概ね合意します。

ただし、日本は立憲君主制に基づく国であり、アメリカ合衆国のような大統領制に基づく国ではない、ということがあります。
アメリカ合衆国のように、民意により選ばれた大統領が国権の最高位にあれば、国家公務員は国法に基づき行動することが求められますが、日本のように天皇が最上位にある国では天皇に忠誠を尽くすのが国家公務員の務めとなります。
今回、天皇陛下は尖閣諸島問題については特にご意向を明らかにしていません。
現行の憲法では天皇が国政に意向を反映させることは不可能なのでそうならざるをえないのですが、そうした場合は国家公務員たる者、天皇陛下の御意を推し測り行動しなければなりません。
「ビデオを公開することが天皇陛下の大御心(おおみこころ)である」という確信を持った場合、ああした行動に至るのは止む終えないことと思われます。
ただし、天皇陛下の大御心(おおみこころ)を勝手に推し量り、また僭称することは天下の大罪に当たります。死を以て償う以外、あのような行動は取れないはずなのです。

本件において、実行犯(件の海上保安官が真犯人であるか否かは未確定です)がビデオを流出させた直後に自害していないとすれば、それが残念でなりません。

投稿: アダチ | 2010年11月15日 (月) 02時45分

>アダチさん

 なるほど!

 私は、憲法の第一章をまるごとなくして天皇制を政治と切り離したうえで伝統文化のひとつとして(祇園祭か時代祭かなにかのように)存続させ、第九条を改訂して国軍を持ち、日本を共和国にしたいのですが、残念ながら、現在は立憲君主国です。

 悪法も法ですから、国家公務員のありかたは、まことにアダチさんのおっしゃるとおりではありますね。畏れ多くも天皇の意思を勝手に推測し代行するからには、命懸けで行うべきでしょう。かかる畏れ多い行動をした者が、何者であれ、おめおめと生きておれるのが不思議です。

 今回のことは、あきらかにクーデター以外のなにものでもなく、おのれの正義を以て、天皇の任命した内閣総理大臣が組織した内閣に国家公務員の立場で叛旗を翻すのならば、腹を切る覚悟を以て行うのが当然です。

投稿: 冬樹蛉 | 2010年11月15日 (月) 03時10分

これで海保の職員も無罪放免になれば、中国と変わらぬおかしな専制国家になる。
中国の思う壷である。

投稿: 日本人 | 2010年11月23日 (火) 01時48分

 自由報道協会(仮)が、「元海上保安官・一色正春氏記者会見」を行うとのことです。うだうだしている政府と記者クラブメディアがわけのわからない報道を繰り返す中、公務員としてオトシマエをつけた一色氏は、実名を明かして堂々と口を開き、非常にバランスの取れた言論活動をはじめられています。この記者会見でどのようなことが話されるのか、また世間がそれをどのように受け止めるのか、たいへん注目されます。

 以下、自由報道協会(仮)のサイトより。

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http://fpaj.exblog.jp/14234770/

「元海上保安官・一色正春氏記者会見」

[時間]2011年2月21日(月)16:00開始予定(受付15:00〜)
[会場]東京都港区虎ノ門一丁目15番16号海洋船舶ビル10階ホール
[主催]「自由報道協会」設立準備委員会

尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件。その様子を収めたビデオを「sengoku38」のハンドルネームでYouTubeに公開した元海上保安官・一色正春氏の記者会見を「自由報道協会(仮)」主催で行ないます。
詳細については、決まり次第アップデートしてきます。よろしくお願いいたします。

「自由報道協会(仮)」設立準備会 暫定広報担当・畠山理仁

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投稿: 冬樹蛉 | 2011年2月20日 (日) 13時59分

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