« 平成5年の電子書籍 | トップページ | 今月の言葉 »

2010年6月 1日 (火)

ひとつの認識を広めるというのは、じつにたいへんなことなのだなあ

心肺蘇生:胸押し続けて 人工呼吸しなくても効果…京大 (毎日jp)
http://mainichi.jp/select/today/news/20100530k0000e040007000c.html

 心肺蘇生には人工呼吸より、とにかく胸を押し続けて--。従来の救命措置の“常識”を覆す簡単な手法の普及に京都大の石見拓(いわみたく)助教(救急医学)らが取り組んでいる。「救命措置法の普及の壁を破る手法」として海外での評価も高く、今年秋には国際指針となる見込みという。
 事故などで心肺停止に陥った時、蘇生が1分遅れると救命率が約10%下がるとされる。日本救急医療財団は一般の人向けに、人工呼吸と、胸部を一定のリズムで圧迫する心臓マッサージとを組み合わせた心肺蘇生法のガイドラインを策定しているが、口と口をつける人工呼吸への抵抗が根強く、普及は頭打ちになっていた。
 石見助教らは、病院外で心停止した大阪府の18歳以上の男女約4900人の1年後の状態を、心臓マッサージによる胸部圧迫だけと、人工呼吸を併用した場合とに分けて調べた。その結果、胸部圧迫だけでも4.3%が脳機能を回復しており、人工呼吸を併用した場合の4.1%と差がなかった。胸部を押すことで脳にも血液が送られたとみられる。
 この成果を受け、石見助教はNPO法人「大阪ライフサポート協会」(大阪市)とともに胸部圧迫の訓練キットを開発、09年から講習会を各地で実施。6月20日には大阪市東淀川区でも開く。
 心肺蘇生法の国際指針に影響力を持つ米心臓協会もこの結果に注目。既に米国内では心肺停止した大人には、胸部圧迫のみの蘇生法を指導しており、秋に公表予定の新国際指針でもこの蘇生法が採用される見通しだ。
 日本救急医療財団の島崎修次理事長(救急医療)は「人工呼吸は心肺蘇生法普及の壁となっていた。いずれ日本のガイドラインも変更されるだろう」と話す。講習会の問い合わせは大阪ライフサポート協会(06・6370・5883)。【林田七恵】


 あれれ? 二年前に書いた「常識が覆った応急心肺蘇生法」というエントリーで、この石見先生が提唱なさっている方法をアメリカでの記事と共に紹介したのだが、当時ですら、応急処置の研修を受けている教員の方などから、これは現場ではすでに「常識の範疇」といったコメントをいただいていたのだぞ。

 なのに、また記事になるのかよ。いや、そりゃ、こういうことは、何度も繰り返し報じたほうがいいにはちがいないが……。それにしても、「心肺蘇生法の国際指針に影響力を持つ米心臓協会もこの結果に注目。既に米国内では心肺停止した大人には、胸部圧迫のみの蘇生法を指導しており、秋に公表予定の新国際指針でもこの蘇生法が採用される見通しだ」とは、どんだけ遅いねん、国際指針! 「人工呼吸は心肺蘇生法普及の壁となっていた。いずれ日本のガイドラインも変更されるだろう」って、国際指針よりも遅いんかい、日本のガイドライン!



|

« 平成5年の電子書籍 | トップページ | 今月の言葉 »

コメント

湿潤療法も普及するまでに時間かかりましたね。

でもこの話で厄介なのは、ガイドラインが改定される前にこの方法でやって、別の原因で助けられなかった場合でも、人工呼吸をやれば助けられたのに~なんて訴訟を受けるリスクがあることじゃないかと。
早急に改定して欲しいものです。

投稿: 修理屋ア | 2010年6月 1日 (火) 09時27分

>修理屋アさん

 まったく同じ懸念を、上記の二年前のエントリーで書いたのです。それでも、現場はやっぱりすぐ取り入れているみたいですね。人の命がかかってることだから、いいことは指針の改定なんか待たずに取り入れるのが正解でしょうが、とっとと正式なものにしてもらわないと、現場の人が心配ですね。

投稿: 冬樹蛉 | 2010年6月 2日 (水) 00時42分

先日、職場でAEDの使用法を中心とした救急救命講習がありましたが、講師としてお呼びした日赤職員の方も、人工呼吸よりも胸部圧迫のほうが大事で、世界標準は胸部圧迫のみになりつつあると話していました。
あと、人工呼吸をする時に、強く息を入れすぎると、肺ではなく胃のほうに空気が入ってしまい嘔吐を催させるので却って危険であるということを強調していました。

人工呼吸はなかなか難しいようです。

投稿: 琴 | 2010年6月12日 (土) 15時55分

>琴さん

 やっぱり、現場の講習とかでは、すでにとっくにそっちが常識なんですよねえ。ガイドラインやらなにやらが公式に改定されるのは、分野によらず、いつもどえらく遅いようです。

投稿: 冬樹蛉 | 2010年6月16日 (水) 01時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/161330/48511077

この記事へのトラックバック一覧です: ひとつの認識を広めるというのは、じつにたいへんなことなのだなあ:

« 平成5年の電子書籍 | トップページ | 今月の言葉 »