『ハイキック・ガール! 』(主演:武田梨奈/監督:西冬彦/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
空手家でロシア語SF翻訳家でアイドル好きの大野典宏さんが劇場公開時から武田梨奈ちゃんを激賞してたもんで、子供のころに志穂美悦子のハイキックを見て以来、強い女性の美しいハイキックをこよなく愛するおれは、DVDが出たら買おうと思っておったのだった。年末年始はこれで楽しめたねえ。
えーと、お話を楽しもうという方にはお薦めしません。まあ、アレだ、腕に覚えはあるが精神的に未熟な主人公が、師匠の闘いぶりを見て成長してゆくという定型フォーマットであり、悪党どもに捕えられた主人公の空手少女を助け出そうと敵地に乗り込んだ師匠が、次々と立ちはだかるキャラの立った敵を倒して前進してゆくという『死亡遊戯』的フォーマットだ。べつにお話はこの際どうでもよろしい。
それでも、見応え充分。当てる当てる、ホントに当てる。素人のおれが観ていても、大丈夫かいなと思うくらい当てている。空手はもちろん、ムエタイやらテコンドーやら、“ほんまもん”の手練者が出演して、バシバシ当てている。デキる者同士だから、フルコンタクトが可能なんでしょうな。素人の役者相手だったら、手加減しても怪我するよ、これじゃ。しかも、いくら空手の大会で優勝経験のある美少女アイドルとはいえ、むくつけきおっさんがアイドルの顔面を頭を肩を腹を蹴るわ蹴るわ、こんなもん、ふつうのアイドルなら一発で失神だろう。
武田梨奈ちゃんもカッコいいが、彼女の師匠役(中達也:日本空手協会総本部師範)がこれまたカッコいいのよ。おれは空手なんて知らんから、こんな美形の達人が空手界におるなんて、これ観て初めて知った。なんちゅうか、『柔道讃歌』の“秒の殺し屋”、帯刀省吾(喩えが古いかねえ?)が空手をやっておったらこういう感じだろうという、気品のある美しさと立ち居振る舞いである。立ってるだけでただただ美しく、強そうなのだ。
女子高生空手家のハイキックをコマ送りしてスカートの中を覗こうなどという邪念のある人でも(いやまあ、おれもそういう邪念が皆無であったとは言わんが)、この映画を観ているうちに、そんなところを見ている場合ではない“ただごとではなさ感”に引き込まれること請け合い。人間の筋力や重力を無視したワイヤーアクションやら、なんでもありのCGやらに食傷気味の方には、ワイヤーなし、スタントマンなしの“ほんまもん”の突き合い・蹴り合いを、ぽか~んと口開けて堪能していただきたい。なるほど、脚本なんてどうでもいい映画ってのは、たしかにあるもんだな。この映画、あちこちのブログなどでの評価を見ると、武道を嗜む人は激賞する傾向にあるようだ。たぶん、素人が見てもわからんレベルで、「よくこんなことするなあ」という、とんでもないことをしているんだろうな。メイキングやら詳しい解説なども観てみたい武道家の方には、二枚組の豪華版のほうがいいかもしれない。
それにしても、武田梨奈ちゃん、眼がいいなあ。このコになら蹴られてみたい(が、下手すりゃ死ぬ。マジで)。二十一世紀の志穂美悦子、ここに登場である。
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コメント
細かいところだと、大学空手部の主将をKOするシーン、あそこで靴を履いた足でジョーの部分を蹴っているじゃないですか。あれは危険です。ただ、足の甲で蹴っているのでまだ威力は無くて、爪先で蹴っていたら顎の骨が折れるでしょうね。あと、中先生は本当に危ない突きの時、ギリギリで寸止めしているのがさすがでした。あれで打ち抜いたら大怪我しますね。とはいえ、伝統派空手特有の遠い間合いから飛び込むスピードの凄さは十分にわかってもらえると思います。
投稿: 大野典宏 | 2010年1月 2日 (土) 19時00分
>大野典宏さん
>爪先で蹴っていたら顎の骨が折れる
トレイラーとかでも看板シーンとして出てくるところですね。あれはそんなに危ないのか。
>中先生
土下座の体勢から、ムエタイ女の腹を前蹴りするシーンがあるじゃないすか。あれは素人目にもすごいと思ったな。あんな動きは常人には絶対できません。
投稿: 冬樹蛉 | 2010年1月 3日 (日) 16時42分
蹴られる側も事前に来る場所がわかっているので大丈夫ですけど、でもあの蹴りを爪先で当てていたら点で力が入ってくるのでマジメに危険です。それだけ凄いシーンなので、宣伝にも使ったんでしょうね。
>土下座の体勢から、ムエタイ女の腹を前蹴りするシーン
あれは空手協会系の道場だと稽古で普通にやります。しゃがんだ状態からの前蹴り、正座からの前蹴りは、股関節を柔らかくして蹴りの時に膝をしっかりと上げるための稽古としてやらされますね。フルコンタクト空手とかキックボクシングには無い技術なので、習っていない人が目にする機会は滅多に無いでしょうから、驚きは大きいと思います。
投稿: 大野典宏 | 2010年1月 3日 (日) 21時19分
見てみました。美少女と脚とアクション。すばらしい。
これであとエロがあれば完璧なのになぜあの悪役どもは(中略)せめてぱんつ(再度略)
美少女の顔に蹴りは入れられてもモザイクは入れられないということか。
二枚組の方を買ってもよかったかな?
投稿: すがぬま | 2010年1月11日 (月) 19時57分