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2009年12月23日 (水)

夢を見る能力と子どもたちに託す想い

 今夜はこれにしよう。Sesame Street が生んだ名曲のひとつだと思う。

 この映像に出てくるメンバーは、おれが中学生くらいのころのセサミストリートの住人である。白人も黒人もプエルトリコ系も健常者も障碍者も、いったいどこの生物なのか不明の化けもの(失礼)も、みんな仲良くクリスマスを祝うという Sesame Street の世界は、率直に言って夢物語ではあるのだが、その夢物語を子供向け番組の中できちんと掲げるという点に、おれはやっぱりアメリカ人というのはすごいやつらだと思った。現に連中は、じわじわじわじわと、少しずつではあるが、その夢物語に近づいていっているのはたしかだ。

 おれはいまでも憶えているのだが、クリスマスの喧騒も一段落、みなが家に帰って家族とクリスマスを過ごそうという静かなときになって、ミスター・フーパーのドラッグストアの前を通りがかったボブが、店じまいをしているミスター・フーパーに声をかけ、しばし話をしたあとに、彼らは家に帰ってゆく互いにお祝いの言葉をかける。ミスター・フーパーはボブに「Merry Christmas!」と。ボブはユダヤ人のミスター・フーパーに「Happy Hanukkah!」と。

 これはすげえと、当時中学生のおれでさえ思ったね。連中は、こういう夢物語をきちんと描いて子供たちに向けて発信しているのだ。いろんな大人の事情があって、世の中は見てのとおりではあるんだが、キミたちが大人になるころには、このセサミストリートみたいな国にしてくれ――と、子供たちに夢を託しているのだ。なんだかんだ言っても、この国にはまだまだかなわないと、おれは素朴に思ったものだった。

 アフリカ系アメリカ人が大統領になった現在ですら、いまだこの夢物語は実現しているとは言い難い。だが、連中のことだ。いつの日か、セサミストリートにはイスラム教徒の住人が登場し、むかしボブがミスター・フーパーに「Happy Hanukkah!」と言ったように、その時代のボブがたどたどしいアラビア語でなんか言うんだろう。アメリカには、そういう国になってほしいと思う。そして、わが日本も。

 ミスター・フーパー(ウィル・リー)はとっくに亡き人なんだが、彼もきっと草葉の陰で、いまセサミを観ている子供たちに、そういう国にしてくれよと夢を託しているんだろうと思う。

 おれは、アメリカのこういうところは、大いに見習うべきだと思うんだよなあ。



 

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