職業病
「いたたたた」
「ああ、これは凝ってますねえ。ふんっ! ひどく凝ってるなあ。なにか非常に緊張を強いられるお仕事なんですか?」
「え、ええ、秒単位で」
「それはたいへんですねえ……おや、背骨も頸椎もかなり歪んでますね。妙に左にずれてるな」
「そ、そうですか」
「頸がとくにヘンだな……左上のほうをしょっちゅう見上げてでてもいないと、こんなふうにはならないはずなんだが」
「え、ええ、そういう仕事でした。それも今日まででしたんで、肩の荷が下りた気持ちです」
「そうですか、お疲れさまでした」
「あ、そこ、いいです。痛いけどいいです」
「ちょっと歪みを直しておきましょう――ふんっ!」
「あぎっ!」
「……ほら、まっすぐになりました」
「あ、なんか軽くなったような……ありがとうございます」
「あと二、三回通ってください。貼り薬を出しておきますね」
「えーと、この湿布薬は、と……。滝川さ~ん、滝川クリステルさ~ん」
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