エンドレス選挙
「……そうなのか?」
「そう」
「全部、憶えているのか?」
「そう」
「ちなみに、その繰り返しとやらは、いま何回めだ?」
「……今回が、一万五千五百三十二回めに該当する」
「な――!? 長門、おまえはなにを言ってるんだ? それはマジなのか?」
「そう」
「それだけの回数、おれたちはまったく同じことを繰り返してきたってのか?」
「必ずしもそうではない。一万五千五百三十二回中、小泉進次郎が重複立候補を辞退しなかったパターンが、二千三百九十一回めと一万一千五十四回めの二回ある。また、民主党が決起集会でちゃんとした党旗を掲げたパターンが四百三十七回ある。麻生首相が核持ちこみに関するアメリカとの密約などないといけしゃあしゃあとシラを切り通したのは九千五十六回であるが、その内容は六つに分岐する……」
――で、九月一日はついにやってこず、時間はまた、公示前日に戻るわけである。政治家はたいへんだ。いや、本人たちの記憶もきれいさっぱりリセットされるのだからいいか。選挙運動中、何人かの候補は、ミョーな既視感を覚えるかもしれないが……。
このぶんだと民主党が政権を取るだろうが、民主党政権下で、おれたちはある日ミョーな既視感を覚える――な~んてことにならなきゃいいがなあ。
「鳩山首相、この件について、どのようにお考えなのですか!?」
「鳩山由紀夫クン」
「ええ~、年金問題の禁則事項は長妻大臣がいろいろ禁則事項やら禁則事項を禁則事項。拉致問題につきましては禁則事項。禁則事項税は禁則事項と申しておりましたが、現実的に禁則事項。高速道路は禁則事項。非核三原則は禁則事項に鑑み禁則事項を充分に禁則事項しており禁則事項。オバマ大統領は禁則事項ということであります。恐惶謹言、もとい、禁則事項」
いや、おれは民主党のマニフェストには不満を多々抱いてはいるが、民主党に入れますよ。二十一世紀にもなって、成長=幸福だという古き良き時代の呪縛から逃れられない爺さん・婆さんたちの頭の中だけにあるずっと終わらない昭和よりはよっぽどいい。坊主、おまえの未来、返すぞ。
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コメント
釈迦に説法かとは思いますが、その不満多々あるマニフェストには賛否両論議論を呼びそうな政策はあえて記載されていないので政策集INDEXを読みましょう。
民主党への一票は「年金負担が倍増しても、ブログの記事が人権擁護法で検閲されても、無料高速と引き換えに自動車税5万円アップしても、中学生以下の子供のいない家庭が大増税されても、日教組と言う政治団体によって道徳教育が壊滅しても、その他諸々」すべてOKと言う意思表示となりますので気をつけましょうw
あ、ちなみに私は「ずっと終わらない昭和」のシステムの根幹たる旧田中派(竹下派七奉行)の生き残りが揃っている民主党や大番頭金丸の子分である小沢一郎だけはメインストリームに戻したくはありません。
投稿: 超時空漫才 | 2009年8月26日 (水) 06時19分
あー,こういう人いるよね,とにかく小沢が嫌いって言う人.
自民党を選ぶにしろ,民主党を選ぶにしろ,どちらにしても「自分自身の利益」と完全に一致する政党なんてあるわけない(あるとしたら,それは自分自身が党首の絶対独裁制の政党くらいだ).完全に一致するわけではなくても,どちらが「よりマシか」ということをクールに判断して,選挙権を行使することが求められているだけなのに.
なのに,人の好き嫌いだけで判断するんですか? まあ,私人としてなら,そういう判断でも良いのでしょうけど.
投稿: anonymous coward | 2009年8月26日 (水) 10時47分
>超時空漫才さん
むろんそれらのうちのいくつかの気に食わない政策については、メリットとデメリットを秤にかけたうえで、いまこのタイミングでは民主党を応援するのが日本のためであろうと判断しているのです。
私は運転免許を持っていませんが、高速道路の恩恵を受けているさまざまなサービスの恩恵を受けているので、高速道路については“受益者負担”をしてもいいと思っています。また、私は自分自身、結婚もしない、子供も作らないというライフスタイルを選び取っているので、結婚をし子供を作っている人たちよりも楽な暮らしをしていると思っています。そういう選択をしつつ、その子供たちが作ってゆく国で生活して恩恵を受けているのだから、自分の選択のオトシマエとして、子供を作った人たちよりも多く税金を取られるのはあたりまえのことだと思っています。日教組は大嫌いですが、道徳教育などというものは、そもそも親がやるもの、社会がやるものです。それを教師などという赤の他人に任せておいて文句を言うのなら、親がちゃんとしろよと言いたい。親がちゃんとすれば、子供は「ああ、親の言うことと、近所の人が言うことと、先生の言うことはちがうんだ」と、最も大切なことを学んでゆくでしょう。
私は民主党支持者ではないのです。ここへきて、ようやく自民党を完璧に下野させ得る勢力として浮上してきた宗教団体でない保守政党なので、あえて今回の選挙では支持を表明しているだけです。共産党が同じような勢力として台頭してくれば、私は共産党に入れるでしょう。とにかく、“国民をコケにし続けていると、国会議員は職を失うということ、与党は政権を失うということ”を自民党および日本国民に学習させる必要があります。「あ、なんだ。自民党じゃなくても、けっこう国は回るもんなんだな」と一度日本人が目覚めれば、初めてようやく民主主義国家への一歩を踏み出せるのではないでしょうか?
いちばんましなことを言っているのは、じつは新党日本なんじゃないかと私は思っているのですが、彼らにはまだ与党は取れそうにないので、今回は入れません。民主党政権がダメダメだったら、次は自民党なり共産党なりに入れればいいだけのことです。それが民主主義というものでしょう。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年8月27日 (木) 00時24分
実際、かつての角福戦争の続きという見方もあるようです。
田中角栄 is coming back!(内田樹の研究室)
http://blog.tatsuru.com/2007/08/16_0915.php
先日、ラジオで、実は民主党は選挙毎に議席数を伸ばしていて、唯一減ったのが、小泉氏の郵政選挙だった、と言っていました。
つまり、民主党が「第二ファウンデーション」で、小泉氏が「ミュール」だったんですね、たぶん。
そうすると、「第一ファウンデーション」があるのが・・・・
わたしは、民主党は小松左京の「第二日本国」(サービス主体国家)を連想させるので、わりと好意的です。
投稿: いぎたなし | 2009年8月27日 (木) 21時45分