♪きらめく風が走る ギンバエが焦げる
以前ご紹介した「電撃殺虫ラケット」、八月に入ってから大活躍である。とくにうっとうしい小バエに有効だ。
通常のハエ叩きでは、飛んでいるショウジョウバエなどに空中でジャストミートすることは難しい。新聞紙を丸めたやつでもダメである。軽すぎる敵は、ハエ叩きや新聞紙のまわりに回り込むような空気の渦に乗り、あたかも大リーグボール一号のように打撃をかわしてしまう。ふわふわ浮かんでいる綿埃を手で摑もうとすると、ひょいと逃げられてしまうような感じだ。
その点、この電撃殺虫ラケットは、空力的にも優れた設計だ。振っても、敵を逃がすような風が起きない。むしろ敵はラケットの金網に自分から飛び込んでくるくらいだ。小バエを一日に六匹葬ったのが、目下の最高記録である。小バエなんて、目で追い切れないから、「ここいらへんにおるな」というあたりでびゅんびゅん振りまわしていると、たまたまバチッとヒットしたりする。これは愉快。
たまに迷い込んでくるでかいギンバエとなると、こちらも腰を据えてかかる。虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。でかい獲物を仕留めると、いかにも「勝った」という感じで痛快だ。
驚いたのは、でかいギンバエの中には、この数千ボルト以上の電撃を食らっても即死しないやつがいるってことだ。あきらかにラケットの通電網に触れ、バチッと青白い火花が飛んだというのに、そのままなにごともなかったかのように飛んで逃げたやつが一匹いた。敵ながらあっぱれである。すごいやつだ。おそらく、羽の先端が通電網に触れたが、本体にはさほどのダメージがなかったのだろう。してみると、ハエの羽ってやつは、さほど導電性が高くないのかもしれない。水分が少なそうだからな。
もちろん、そのすごいハエは二撃めで仕留めた。おれにも学習能力がある。ラケットフェースを垂直に立ててスイングすると、ハエが運よく通電網をくぐり抜ける可能性が高くなる。羽の先端にチップしても、次の瞬間にはラケットは振り抜かれてしまっているということになりかねない。そこでおれは、グリップをコンチネンタル気味にし、ラケットフェースをやや伏せて、ボール、じゃない、ハエが斜めにフェースに当たるよう、ライジングショットの要領で斜め下から振り上げた。こうすれば、ハエは三層の金網に捉えられやすくなり、充分に長い時間電撃を受けることになろう。垂直に当てるのに比べて、ほんのわずかな時間差かもしれないが、それがハエの生死を分けるのだ。
大学の授業でほんの少し教わったオーストラリアンテニスが、こんなところで役に立とうとはな。
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コメント
ふわっとよけるのは大リーグボール3号だと思う。
投稿: 田中哲弥 | 2009年8月18日 (火) 19時55分
>田中哲弥さん
あ、なんてことだ。
頭でははっきり三号だとわかっていながら手が勝手に打ってるんだよなあ、こういうとき。老化の兆候かもなあ(+_+)。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年8月19日 (水) 01時51分