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▼都議選 民主が圧勝第1党、自公は過半数割れ (asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/0712/TKY200907120254.html
東京都議会議員選挙(定数127)が12日投開票され、民主党が改選前の34議席から54議席に躍進し、自民党に代わって初の都議会第1党になった。自民は公明党と合わせた勝敗ラインの過半数(64議席)を維持できず、議長選の汚職事件をめぐる「黒い霧解散」で38議席だった65年都議選に近い惨敗。自公の敗北で与党内では衆院解散の先送り論が広がり、「麻生降ろし」が強まりそうだ。民主党は13日にも内閣不信任決議案と首相問責決議案を提出する構えだ。首相が与党の抵抗を押し切って解散に踏み切れるか、問責決議案の提出時に山場を迎えそうだ。石原慎太郎知事の都政運営にも大きく影響しそうだ。投票率は54.49%で、前回の43.99%を10.50ポイント上回った。
「東京からの政権交代」を目指して前回の51人を上回る過去最多の58人を公認した民主党は現有34議席を上回り、第1党を確実にした。
この石原伸晃・都連会長の写真はすばらしいなあ。「崩れ落ちる兵士」といった趣だ。「樫山晃生撮影」とある。名前を覚えておくとしよう。おれは石原伸晃はそう嫌いじゃない。自民党を中から変えたがっている一人だろうとは思う。このタイミングでこのような立場に立たされた不運な彼の複雑な心境がこの一枚の写真からひしひしと伝わってくる。惻隠の情すら覚える。だが、自民党は変われなかった。
『自公の敗北で与党内では衆院解散の先送り論が広がり、「麻生降ろし」が強まりそうだ』とあるが、解散先送りや麻生おろしで多少なりとも支持が増えるとでも自民党がまだ本気で思っているのだとしたら、それは決定的に総選挙での惨敗を意味するだろう。むしろ、解散先送りの声も麻生おろしの声も起こらず、真正面から政策で勝負しようという声が自民党内から湧き起こり、うねりとなって多数派を占めるようなことがあれば(まずないない)、多少は総選挙での勝算があろうというものだ。ここで自民党内から、人事院に大鉈をふるう決意や、消費税を上げることに国民の理解を求める真摯な議論が出てくるものならば、腐っても鯛、さすが政権与党と見直す気にもなろうというものだが……。いまの自民党は、全然正攻法の勉強をしないくせに、偏差値がどうの試験のヤマはどうのと、その場の受験テクニックだけで入試にさえ合格できれば一生安泰とでも思っているアホ学生のようである。あの大学に受かりさえすれば、文学部でも理学部でも法学部でも経済学部でもそのほかでもとにかくなんでもいいと言っている、なにがしたいのかさっぱりわからんダメ学生のようである。
もう盤面は“詰まって”いるんだから、解散を先送りにしようが麻生おろしをしようが、結果はたいして変わらん。というか、そのどっちをやっても、国民に見離されるばかりだ。その点、さすが小泉純一郎は、親バカではあるが、やはり腹が据わっている。自民党が下野することもあり得るし、だとしても議会制民主主義なんだからべつにあたりまえだと思っている。また取り返せばよかろうと、あたりまえに思っている。これは自民党の中では、ものすごく変わったマインドセットだと思う。変人だよねえ。国民からするとあたりまえの感覚なのだが、自民党の中で“自民党だって当然下野し得る”ということを、現実的なオプションとして常に念頭に置いている人がいったいどのくらいいるものであろうか? 目の前にドラえもんが現れるくらいにあり得ないことだと、何十年にもわたって刷り込まれてきている連中が大勢いるとおれは思う。おれは、そういう人々は、次の総選挙後に発狂するか、ショックのあまり頓死するんじゃないかと思っている。
おれは選挙権を得てから二十六年半、ひどい風邪で身体を起こせなかった一回を除いて、すべての地方選挙、国政選挙に欠かさず票を投じてきた。自民党から共産党まで、選挙の性質をその都度考えて、いろいろな政党のいろいろな候補者に票を投じてきた(おれをよく知る人は当然だとお思いになるだろうが、もちろん公明党にだけは一度も入れたことがない。おれは宗教を必要としないし、宗教が嫌いである。よって、幸福実現党も自動的に選択肢から外す)。その多くは“死に票”になったが、おれは後悔はしていない。おれはおれの意思をその都度表明した。「おまえは何党支持なのだ?」と非難されようと、おれはおれがその都度いろいろな党のいろいろな候補者に票を投じてきたことに、恬として恥じるところはない。
おれは十三年弱、ウェブで日記を書いているが、いままでに一度も選挙前に自分の“今回の支持政党”を表明したことはない。なんか、選挙運動みたいになるのが厭だったからだ。だが、今回、初めてその禁を破る。おれは次回の総選挙では、小選挙区も比例も、民主党に入れるつもりだ。おれは民主党の支持者なのではない。ただ、自民党を一度“ほんとうに”完膚なきまでに下野させないと、今後の日本のためによくないと考えるからだ。これまでおれが野党に入れた票は、「政権を取ってくれ」という意味ではなく、「しっかり自民党をチェックしてくれ」という意味で入れてきた。だが、今回はちがう。民主党に政権を取らせたい。というか、自民党を下野させ、官僚の中の腐った連中とのしがらみを一度断ち切りたい。そして、民主党に、官僚の癌を掃除してもらいたい。ほんとうに国を憂えている優秀な官僚たちが、ほんとうに動けるようにしてもらいたい。それから、消費税を上げる議論を真剣にしてもらいたい。「この時期に議論すらすべきではない」などとふざけたことを言ってる場合か。そもそも、議会制民主主義下において、「議論すらすべきではない」などというアホなことを代表が口にすべきではない。核武装だろうが天皇制廃止だろうが、議論すらすべきでないことなど存在しないのが民主主義国家というものだ。ともかく、増税は避けて通れないことだ。ほんとうにちゃんと使われるのなら、おれは二十パーセントくらいでもしんどいけど払うよ。おれが民主党に期待するのは、それだけだ。
ある意味、民主党は自民党によく似ているからこそ、おれは今回あなたたちに賭けてみる気になった。自民党と官僚の癌たちは、お互いに依存していて、お互いをがんじがらめにしている。千日手だ。涼宮ハルヒの夏休みのように、ちょっとずつちがうだけで同じことを延々と繰り返している。それを断ち切ることで起こる変化に賭けてみるしかない。かといって、社民党やら共産党やらに国を預ける気になりますか、あなた? ないない。共産党はまだ、政権のチェック機関としての調査能力やツッコミ能力には端倪すべからざるものがあるから、一定の議席を与えておくことは長期的に国益に資するが(それにしても、そろそろ党名変えたらどうよ、共産党?)、社民党なんてあってもなくても同じである。旧・社会党のしがらみを断ち切って、民主党と合併したら? おれはあんたたちの北朝鮮問題に関する禊がすんでいるとは全然思っていない。公明党? まあ、節操のない政党だから、ピンチになったらどことでも野合するだろう。民主党の集票マシンとして利用する目も、いずれはあるかもしれない。集票マシンとしては、一定の存在価値はあるしな。トップが右向けと言えば都合よく全員に右を向かせることができる便利な政党だ。幸福実現党とやらも、集票マシンとしての使いみちはそのうち出てくるかもしれん。
やれやれ、ちりめんじゃこにタコが入っているかどうかに一喜一憂するアホ日記であるべく心がけているのだが、このところ、マジで国を憂えてしまっているな。おれの身の丈に合わない。こんなの、読んでて面白くないだろう。
ああ、それにしても、総選挙が楽しみだなあ! おれはいままでこんなに選挙が楽しみだったことはない。選挙権というもののありがたみを、いま都こんぶのように噛み締めているところだ。
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コメント
私も政策によって票を投じるので”死に票”多いです。が、投票しなくては文句も言えませんしね。
一昨年から杉並区から仙台に異動になって都議選に投票できなくて残念(´・ω・`)ショボーン
投稿: いい子 | 2009年7月13日 (月) 10時50分
開票速報を見ながら
「でもなあ、民主党もろくでもない政党なのは確かだからなぁ」
と言ったら、母は
「じゃけん政権交代ゆーんをやるんじゃろーが。自民がだめじゃゆーて、未来永劫民主党政権がえーとは誰も思うとらん」
と言いました。
都市プロレタリアートの娘として生まれ、戦後民主教育の一番いい時期を体験した人だけのことはある、と感心しました。
投稿: 大名死亡 | 2009年7月13日 (月) 22時13分
>いい子さん
>が、投票しなくては文句も言えませんしね。
まったくそう思います。白票であっても投じにゆかねば、文句は言えません。というか、わたしゃ、投票しにゆくたびに「これで堂々と文句を言う権利を得た」とわくわくします(をい)。
>大名死亡さん
なんというすばらしいお母さまでありましょう! その基本の基本を忘れてしまっている政治家がうようよいるんじゃないかとげんなりします。将来的には、「自民も民主も基本的に言ってることはそんなに変わらんが、アイディア力じゃ民主が上かな」「いやいや、プロジェクトマネジメント力では自民が上だ」「ま、今回は民主5、自民3、共産1、その他1くらいになってくれるとちょうどいいかな」みたいな選びかたができるような国にしたいものです。そして、二大政党が、国民に不利益を生じないように、継続的な一貫性が必要な政策であれば、政権交代を繰り返しつつ、ちゃんとハンドオーバーし合う……なーんて、夢のようなことになりませんかね? まあ、それにはわれわれ国民も成熟して、不断の学習と監視を続けにゃなりませんが。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年7月14日 (火) 02時27分