北陸地方、午後はくもりのちおたまじゃくし、ところにより雷魚となるでしょう
▼「ファフロッキーズ」じゃありませんから (山本弘のSF秘密基地BLOG)
http://hirorin.otaden.jp/e42900.html
スペルはFafrotskiesである。「Falls From The Skies」(空からの落下物)の略。 命名者は有名な超常現象研究家のアイヴァン・T・サンダースンだ。彼はオーパーツ(OOPARTS = Out Of Place Artifacts)という言葉も発明している。こういう変な略し方が好きなのかもしれない。
このスペルをよく見てほしい。もしかしたら「ts」は「ツ」ではなく「ス」と発音する可能性もある。つまり「ファフロツキーズ」もしくは「ファフロスキーズ」である。
でも、「ファフロッキーズ」にはならんだろう、どう見ても。
なりませんよねえ、というか、するべきではないですね、どう見ても。なんか、今回の石川県おたまじゃくし事件(?)関連の報道でもって、マスコミまで「ファフロッキーズ」などという表記をにわかに広めはじめているみたいなので、気味の悪い表記が定着しないように、微力ながら妥当な表記の普及に協力させていただこう。“エンターティナー”みたいに、「どう考えてもこれはちゃうやろ」という表記でも、一度定着してしまうとしぶとく生き残りますからなあ。
カタギの人があんまり使わん言葉だからといって、マスコミもマスコミだ。記事に書いたり放送したりする前に、どうして調べない? そりゃまあ語源がバスク語かなんかだったらともかく、英語だぜ? 二十年前ならこういうのを調べるのはひと苦労だったろうが、いまは中学生がケータイでだって調べられる二十一世紀だぜ。
取材中に「こういうのは“ファフロッキーズ”と言う」という情報を得たら、「はあそうですか、そういうのは“ファフロッキーズ”ですか」などと、そのまま書くんかい!? どういう綴りだろう何語だろうなんかの略なんだろうか調べて裏を取らなくては──くらいのことは、べつに報道人じゃなくたって思うぞ、ふつう。それともあんたらナニか、そこいらへんの眼鏡かけた小太りのおっさんの写真を誰かが「金正日の三男です」と言うたら、「はあそうですか、これが金正日の三男ですか」などと、そのまま報じるんかい!? あ、報じますね。すんません。
というわけで、お知り合いが「ファフロッキーズ」と言ったり書いたりしていたら、「fafrotskies なんだから、“ファフロツキーズ”あたりが妥当なんじゃない? ロシアの革命家に“トロッキー”なんてのがいたら気色悪いでしょ」とでも説得し、どう見ても気味の悪い表記の蔓延を防ごう。
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コメント
「ウォッカ」「カムチャッカ半島」などの例もありますね。
日本語は -tsk- , -tk- の連鎖を嫌うのかもしれません。
それにしても、報道業界人の「裏を取ることへの怠惰さ」はもっと非難されていいとは思います。
「ググレカス」と叫びたくなる例も目にしますからねー。
投稿: 大名死亡 | 2009年6月13日 (土) 00時39分
>大名死亡さん
>それにしても、報道業界人の「裏を取ることへの怠惰さ」はもっと非難されていいとは思います
いや、ほんとにそう思います。不思議なことに、べつに「プレス」の一語で特権的な情報アクセス権を行使できるわけでもない一般人ですらネットで調べられる程度のことを、当のプレスが調べてないんじゃないかと思うことがしばしばあります。不思議なことに、情報検索技術がコモディティ化して便利になればなるほど、報道人が怠慢になっていっているんじゃないかと。「こんな単純なことを裏も取らずに記事にしているのか」みたいな事件が、むかしに比べて増えているように思いませんか? まあ、逆に言うと、そういうプレスの怠慢を、一般人が容易に発見できるようになったということでもあるんでしょうが。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年6月13日 (土) 00時49分
えーと、このエントリーをはてブでブックマークしてくださった( http://b.hatena.ne.jp/entry/http://ray-fuyuki.air-nifty.com/blog/2009/06/post-1e9c.html )zorioさん、「間違ってる方を連呼するのはどうかと」とのコメントなんですが、「ファフロッキーズ」を検索する人を引っかけるには、このほうがよかろうという狙いなんですよ(;^_^)/。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年6月13日 (土) 00時54分
語源から考えると「ふぁふろすかいず」とかでもいいような気もしますが、ダメ?
ロシア語をちゃんとやってる人たちは「ウォッカ」等の表記を嫌い、「ウォトカ」とか書いたりします。でも口語でそこまでやってる人は見たことないので、やっぱり、めんどうなんでしょうね。それは分かるんですが、日本語が超できるロシアのお役所の人たちが日本語を話す時、「ウォッカ」「カムチャッカ」とベタに日本語化してくれていた時は、さすがに内心「すんません」と思いました……
投稿: ふみお | 2009年6月13日 (土) 22時49分
トロッキーで思い出しましたが、ゲッペルスというのもよく聞きますよね。
書籍リストを検索すると、本のタイトルにも『ゲッペルスのナンタラ』というのがあります。これもちっちゃい「ツ」のせいかしらん。
投稿: 東部戦線 | 2009年6月14日 (日) 11時05分
そうだよな、ヴィソッキーなんていうシンガーが歌っても締まらなさそうだもんなぁ
投稿: koga | 2009年6月14日 (日) 15時32分
>ふみおさん
>語源から考えると「ふぁふろすかいず」とかでもいいような気もしますが、ダメ?
英語ノリ的には「-fro-」のところに第一アクセントがくるのが自然でしょうから、そうなると「-skies」の部分は第二の弱アクセントですね。すると、二重母音にしないほうが可能性としては高いかと。というか、他の「-skies」で終わる語彙の綴りと発音の慣用に引きずられて、たいていの人は、「-キーズ」と読んだほうが自然と感じるでしょうね。あえて、二重母音にするなら「ファフロツカイズ」ということになります。どのみち、こういうのはネイティブでも日常語彙ではないわけですから、どういう発音を自然と感じる人が多いかで、多数決的に決まってゆく面がありましょう。だから、「これはいくらなんでもないない」というのを排除できればいいと思うんですよ。原音主義にあまりにもこだわると、世界中の言語を学習しなけりゃならなくなりますから。それだけに、馴染みのない言葉をカタカナで初めて紹介する人の責任は大きいのであります。
>東部戦線さん
Goebbels(ああ、オーウムラトがサニタイズされてしまうので、やむ得ずラテンアルファベット表記)の場合は、「ッ」が入るかどうかは許容範囲の表記のゆれで(ハイデガーとハイデッガーとか)、「ベ」か「ペ」かのほうが問題ですよね。おっしゃるように、「ッ」が入ると、むかしは「ペ」にしたくなる雰囲気があったのかもしれません。現代なら、みんな「ドルチェ&ガッバーナ」とか平気で言ってますから、「ッ」に引きずられることもないのでしょうが。
>kogaさん
「ベツキー」なんてアイドルがいても気色悪いですしねえ。丸谷才一さんでも、固有名詞は「ベツキー」などとは書かないはずです。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年6月15日 (月) 00時50分
スターリン「トロッキーはウソッキー」
投稿: ROCKY 江藤 | 2009年6月15日 (月) 15時50分
>ROCKY 江藤さん
ああ、「ポツキーガールはやっぱりガツキーじゃなきゃ」とか言ってる人、よくいますよね~(どこに?)。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年6月15日 (月) 20時20分