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2009年4月 5日 (日)

日本沈没、さよならジュピター

 北朝鮮がロケット(ミサイル?)を打ち上げたと政府が誤報を流してしまったことに関して、やたらマスコミが「こんなことで国民を守れるのか」といった論調で批判的な報道をしているが、そりゃあちょっと政府がかわいそうだよ。日本の政府や防衛省に国土や国民が守れるわけがないことは周知の事実でしょうが。というか、おれたちが、おれたちの一票を以て、そういう政府や防衛体制を作ってきたのだから、今回のことで政府を非難するのは、天に唾しているようなものだ。おれたちは、自国の国土や国民を、自国の力で物理的な脅威から守ることから目を背け、放棄してきたのだから、こういうことに直面してにわかに政府を非難するのはいかがなものかと思う。自国の力で自国を守れなくてもいいという覚悟を前提にしておれたちはやってきているはずであって、マスコミもそういう世論をいままで作ってきたはずだ。いまさら、どの口が「政府は国民を守れるのか」などとほざくか。守れねーよ、そんなもん。守れなくていいという道をおれたち自身が選んできたんだから、秋田にだろうが東京にだろうが、なにが落ちてこようと、それはおれたちの覚悟の中に織り込みずみのできごとのはずだ。

 今回のことが自然現象なのだと考えてみればよい。地球には元々成層圏に達するほどの巨木が生えていて、その巨木はときどき梢のあたりから種子を弾けさせる。それはどこに落ちるのかわからないし、種子にはけっこうな質量があるので、種子が“着弾”した場合、相当の被害が出る。また、その種子は、場合によっては、放射性物質すら含んでいる可能性がある。そんな木が地球のあちこちに生えているとしようや。先進国は、そのような巨木を切り倒したり、若木のうちに制御したりする技術を持っているが、どの国でもそんなことができるわけではない。

 そうした条件下で、「ウチは種子が飛んできたら、アメリカが撃墜してくれることになってますから」と、自然現象に対する備えをほとんど行わずに、ひたすら経済成長に注力するという道を選んできたのがおれたちだ。おれはそれを悪いと言っているのではない。そういう道をみずからの意志で選んできたのなら、種子が飛んできたときには、みずからの哲学相応の覚悟があって然るべきであると言っているのだ。従容として“着弾”を受け容れるべきである。種子が飛んでくるときになって、「政府はなにをしている」などと非難するのは、あまりにも潔さに欠けるのではなかろうか。もし、種子が京都府南部に落ちてくるがどうしようもないということがわかったのだとすれば、おれはそれを“日本人の総意”として受け容れる覚悟だ。自国を自然現象から守るということすらできないリーダーたちを選んできた、おれの不見識な一票の報いとして受け容れよう。

 ないものねだりをしてはいけない。おれたちがおれたちの票で作ってきたこの日本の政府には、巨木が種子を飛ばしてこようが、北朝鮮がミサイルを撃ってこようが、小惑星が東京めざして落ちてこようが、ブラックホールが太陽に迫ってこようが、そういう事態に対処する能力がもとよりあろうはずがない。いまの政府や防衛省は、さまざまな制約の下で、まだよくやっているほうだ。これで非難されるのなら、いっそ「なにもしないほうがいい」のかもしれない。

 要するに、投票場へゆくということは、自分の家に向けてミサイルが飛んできた場合に、国家にどう対処してほしいかという意志を表明しにゆく行為なのであるということを、今回のことは日本人に教育してくれているありがたい機会であると思うのよな、おれは。投票に行かないやつは、ミサイルが飛んでこようが、ブラックホールが迫ってこようが、文句を言うなということだ。どんなに平和的な思想を持って、どんなに呑気に暮らしていたって、サメが襲ってくることだってあるのさ。



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コメント

物体Oが落ちてくるんですね、わかります。

投稿: 超時空漫才 | 2009年4月 5日 (日) 02時30分

そう言えばお隣の国が「脅威を感じる国ベスト5」みたいのに、日本が入ってたのにはかなり驚きでした。
自国を守れない国が、何故脅威なのか…?何がそんなに脅威なのか…?謎です。

投稿: ちいこ | 2009年4月 5日 (日) 12時34分

迎撃って何となくできるんじゃないかと思ってた、何でそう思い込んでたか、よーく思い出してみたら、あれだ、筒井康隆の「霊長類、南へ」

投稿: 村上 | 2009年4月 5日 (日) 17時49分

でも「俺が絶対木星をぶつけてやる」と頑張る本田主任の様な技術者は沢山いますよ、日本に。そういうことになったら、政府には邪魔はして欲しくないなあ。

投稿: 齋藤 | 2009年4月 6日 (月) 23時09分

>超時空漫才さん

 『首都消失』は「物体O」のシリアス長編化ですしね。


>ちいこさん

 見るからに猛々しい巨漢が、じつは犬とか虫とかが怖い気弱で乙女チックなキャラだみたいな設定がよくありますが、日本も外からは猛々しい巨漢に見えているのかもしれません。


>村上さん

 迎撃ってフィクション以上に難しいんだというのを実感したのは、レーガン大統領のSDIでした。


>齋藤さん
>「俺が絶対木星をぶつけてやる」と頑張る本田主任の様な技術者は沢山いますよ、日本に。

 いや、それはほんとにそうだろうと思います。問題は、日本はいままで本田主任のような人々に頼りすぎてきたということでしょう。そろそろ、そのしっぺ返しが絶対来ます。世界に誇る技術を持つ中小企業をどんどん潰しているようでは、国防的にも経済的にも、金の卵を産むガチョウを殺して今日明日の飯にしているようなものです。

投稿: 冬樹蛉 | 2009年4月12日 (日) 16時30分

あ~、何となく分ります。
時折ニュースなどでいかにもと言った悪人顔の人の写真が出てて、凶悪犯罪が行われていると知った時、「こいつならやりそうだわ…くわばらくわばら…」なんて思ってたら、その人が被害者の方だったりって感じですかね???
あれ???それとは違います???

投稿: ちいこ | 2009年4月14日 (火) 23時41分

>ちいこさん

 暴力団がゲーム賭博をさせている店に踏み込んだ刑事のほうが、よっぽど暴力団っぽいてのとはちがいますか。ちがうかー!?

投稿: 冬樹蛉 | 2009年4月16日 (木) 00時17分

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