ただごとではない感
夕方にテレビを点けてザッピングしてたら、渡辺篤史の緊迫したナレーションが流れてきたので、思わず手を止めて『奇跡の生還! 九死に一生スペシャル』ってのの再放送をしばらく観ちゃったよ。先日、『大竹まことゴールデンラジオ!』で笑福亭笑瓶が、渡辺篤史の声にはザッピングを止めさせる力があると指摘して感嘆していたが、まったくそのとおりの体験をした。なんかこう、この人の声が聞こえてくるだけで、ただごとではない事態が進行しているかのような気になる。あるいは、小林製薬がまたケッタイな名前の製品を発売したかのような気になる。条件反射とはげに怖ろしい。たとえば、渡辺篤史がレストランでおもむろに立ち上がり、ただただメニューを朗読しはじめたとしたら、みなナイフとフォークを持ったまま手に汗握って、「次の瞬間!」いったい全体どんな災害が襲ってくるのかと息を呑むにちがいない。
もし、テレビのすべてのナレーションが渡辺篤史と小林清志だけだったら、それはそれは緊迫感に溢れた、一瞬も気を抜けないような日常になることであろう。世界中のいたるところで、のべつまくなしに大惨事や大事件が起こっているかのようだ。
想像してごらん。キートン山田でなく、渡辺篤史がツッコむ『ちびまる子ちゃん』を──「振りむいたまる子の眼前に、轟音とともに火砕流が迫ってきた!」
想像してごらん。石坂浩二でなく、小林清志がナレーションの『渡る世間は鬼ばかり』を──「岡倉には泥酔して大吉に絡む長子。一方、幸楽では、五月にもうひとつの災厄が降りかかろうとしていた」
想像してごらん。渡辺篤史と小林清志が語る『まんが日本昔ばなし』を──「爺さんやっ!」「なんだい、婆さんやっ!!」、そこで加藤みどりが「なんということでしょう!!!」
いやまあ、みなさん、ナレーターとしての藝はすごいとは思うけど、おれは家で酒飲んでるときに、そんなにぶっ続けで緊迫したり驚愕したりしたくないぞ。たまにでいい、たまにで。
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コメント
総理の所信表明演説も渡辺篤史か小林清志の声でやれば、国民の反応も違っただろうに。漢字の読み間違えもないだろうし……。
投稿: 林 譲治 | 2009年2月22日 (日) 09時06分
>林譲治さん
“警視庁24時”みたいな番組で交番でクダを巻いている酔っ払いそっくりの大臣をこないだ観ましたよ。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年2月24日 (火) 01時17分
私にとっても渡辺篤史と小林清志のナレーションは事件の徴。
因みに江守徹のナレーションは古代に思いを馳せる徴です。
投稿: ちいこ | 2009年3月 6日 (金) 12時15分
>ちいこさん
ああ、たしかに江守徹は古代っぽいですね。
それと、渡辺篤史が小林製薬なら、江守徹は再春館製薬所。
投稿: 冬樹蛉 | 2009年3月 6日 (金) 22時22分
小林製薬の薬に対するネーミングセンス、とても好きです♪←ん?ちょっぴり日本語が変w
あ、あとピースの「想像してごらん」のネタも大好き♪
若干突っ込みの綾部さんが、サマーズの大竹さんとキャラ的にもネタ的にも被る事ありですが。
投稿: ちいこ | 2009年3月 7日 (土) 16時13分