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2008年11月 6日 (木)

もう、“未来”じゃない

Obama: 'This is your victory' (CNN.com)
http://www.cnn.com/2008/POLITICS/11/04/election.president/index.html

(CNN) -- Barack Obama told supporters that "change has come to America" as he claimed victory in a historic presidential election.
"The road ahead will be long. Our climb will be steep. We may not get there in one year or even one term, but America -- I have never been more hopeful than I am tonight that we will get there. I promise you -- we as a people will get there," Obama said in Chicago, Illinois, before an estimated crowd of up to 240,000 people.
With Obama's projected win, he will become the first African-American to win the White House.

 そう、おれたちの子供のころから、SFに出てくる未来社会では、アメリカ大統領は往々にして黒人だったものだった。逆に言うと、三十年、四十年前には、黒人がアメリカ大統領になるなどということは、ロボットが二足歩行をしたり、誰もが個人用の無線通信機を持ち歩いていたりといったことと同列の“SFの世界のできごと”だったのである。アメリカ大統領を黒人に設定するだけで、「ああ、なるほどこれは遠い未来のことにちがいない」という説得力を持たせられたわけだ。これからは、ただアメリカ大統領を黒人にするだけでは、“未来感”が出なくなっちゃいますな。

 オバマ候補が勝つであろうことは、選挙戦終盤にはもはやかなり確かではあったけれども、今日こうしてオバマ次期大統領の演説を、彼に勝利をもたらした最強の武器とも言えるインターネットを通じて映像と共に聴いていると(八年前には、こんなことも手軽にはできなかった)、なにやら不思議な感慨を覚える。それはちょうど、小学一年生のおれが、親に目医者に連れていってもらって帰ってくると、重そうな宇宙服を着た人が月面をぴょんぴょん跳ねているのを白黒テレビの中に観たときの感慨に似ている。アポロだけに月並みな想像ではあるが、もしもタイムマシンがあったら、目を丸くしてテレビにかじりつきアポロ11号の快挙を観ている六歳のおれに、「黒人がアメリカ大統領になるのは、おまえが四十五歳のときだ」と教えにいってやりたい気持ちでいっぱいだ。

 そう、たしかに、単にアフリカ系アメリカ人が大統領になることが決まったというだけにすぎない。政治手腕は、それこそ、肌の色などには関係ない。その関係ないはずのことでさまざまな悲劇を生んできたホモ・サピエンスの歴史を思うと、よその国のことながら、ホモ・サピエンス全体が、ほんの、ほんのちょっぴりだけ、進化の梯子を登ったような気がするのは、おれだけだろうか? それが幻想であったとしても、今夜ひと晩くらいは、“SFがまたひとつ現実になった”ことを素直に喜んで酒を飲みたいおれなのであった。

 いや、それにしても、オバマさんって人は、演説がうまいねえ。数分も聴いていると、「ああ、アメリカ人に生まれてよかった」としみじみ思えてくる……って、おまえは千駄ヶ谷の病院で生まれたんだよ。

Transcript: 'This is your victory,' says Obama (CNN.com)
http://www.cnn.com/2008/POLITICS/11/04/obama.transcript/index.html

If there is anyone out there who still doubts that America is a place where all things are possible, who still wonders if the dream of our founders is alive in our time, who still questions the power of our democracy, tonight is your answer.

 今夜は、ビリー・ホリデイ「奇妙な果実」U2「Pride (In the Name of Love)」「MLK」でも聴いて寝るとするか。

Billie Holiday - Strange Fruit

Rare U2 Pride In The Name Of Love Live 1984

U2 - MLK (Live From Tempe, Arizona)



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コメント

 アフリカ系日本人が首相になるというのは、SFだろうか、ファンタジーだろうか。

投稿: 林 譲治 | 2008年11月 6日 (木) 16時03分

アメリカ的な基準ではオバマ氏は「黒人」なのかもしれませんが、母親が白人なので、「黒人」と言ってしまっていいものか悩みます。
「先祖に一人でも黒人がいたら黒人」という基準だと、たぶん白人は殆どいなくなるのでは?

投稿: 小林泰三 | 2008年11月 8日 (土) 12時55分

先祖に一人でも魚がいたら半魚人…

未来になったのに「血統」の悪い部分は残ってしまっていますね・・

投稿: すがぬま | 2008年11月 8日 (土) 14時27分

「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト_最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅」(ニール・シュービン)と言う本からすると、我々はみな半漁人のようです。

投稿: ROCKY 江藤 | 2008年11月 9日 (日) 18時02分

半漁人じゃない、半魚人だ。お恥ずかしい。

投稿: ROCKY 江藤 | 2008年11月 9日 (日) 18時10分

ま、何にしても人間はみな六割がたはナメクジウオですからねえ……

投稿: ふみお | 2008年11月 9日 (日) 19時06分

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こちらの日記を読んだ。 そうだよなあ。壁にかけられたテレビを見れば黒人の大統領、路地から空を見上げればガラス張りの超高層。音もなく走り回る電気自動車タクシーに乗ると、後部座席にもモニタがついていて下世話な宣伝やモラル広告が流れてる。運転手は人工衛星を利用... [続きを読む]

受信: 2008年11月 7日 (金) 08時17分

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