おれは「松下」を忘れないだろう
▼さよなら「松下」 最後の儀式、本社正門の銘板取り換え (asahi.com)
http://www.asahi.com/business/update/0930/OSK200809300092.html
「松下」にさようなら――。30日夜、大阪府門真市にある松下電器産業本社正門の社銘板が取り換えられた。創業90年の松下が、1日付で「パナソニック」に社名変更する最後の儀式だ。
正門横に設置された縦65センチ、横3メートルの石板に付けられた「松下電器産業株式会社」の金属製の文字を作業員が外し、「パナソニック株式会社」の石板が取り付けられた。作業は約1時間20分で終わった。
帰宅する社員のなかには、作業をのぞき込む姿も。「寂しいですね」「新たに気持ちを引き締めます」といった声が聞かれた。
むかし、「また松下に先を越されたか~!」というCMがあったもんだが、そんなCMを憶えている世代も、もう四十、五十ですな。松下の「クーガ7」には、ずいぶんお世話になりました。中学生のころだったなあ。もう、一日中ラジオばっかり聴いては、ネタ番組に葉書を書きまくっていたものだ。たまに読まれると、これがまた嬉しい。♪When I was young, I'd listen to the radio waiting for my favorite songs...
まあ、あのCM観ながら、子供心に思っていたのは、奇抜でカッコいいものを出して先鞭をつけるのはたいていソニーであって、松下はそれを大衆化して金にするのがうまいという感じだった。子供ですらそういうイメージは持っていた。「また松下に先を越されたか~!」とはよく言うよ、と思っていた。むろん、どっちがエラいというわけでもないのだが、むかしのソニーは、やっぱ、カッコよかったよな。一方で、世間に“マネシタ”と揶揄されながらも、「ウチには品川にソニーという研究所がありますから」と言ってのけたという松下幸之助の強かさも、またカッコいいと思うのであった。たしかに、ソニーって、ゼロックスのパロアルト研究所みたいな趣がありますなあ。いつの時代も先進的なすごいことやってるのに、なぜかそれを金にするのはゼロックスではない(笑)。まあ、ソニーと松下、さながら、花形満と左門豊作のようであり、おれはどっちも嫌いじゃない。もっとも、おれは個人的には、いいもの作るのに経営が信じられないくらいナニでアレなサンヨーとか、いいもの作るのにマーケティングが信じられないくらいナニでアレなカシオみたいな、技術以外のところで障害を抱えた職人集団といった地味な会社に親近感を覚えるけどね。総合的に、いちばんスマートにやってるのはシャープのような気がする。
近年、ソニーは急速にソニーらしさを失って、なんだかむかしの松下みたいになってきた。で、その松下は、パナソニックというカタカナ名前になってしまう。企業イメージというものも、いつまでも昭和のままじゃないのだなあと、わくわくもし、ちょっと寂しさも感じる、今日このごろなのであった。
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