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2008年10月 9日 (木)

たまたま日本で生まれた人がノーベル化学賞も受賞

南部さんは日本人?米国人? 人材流動化で意見百出 (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/1008/TKY200810080230.html

 「南部さんを日本人とカウントしないわけにはいかないが……」。素粒子物理学などの基礎研究を支援する文部科学省は、内部資料としてノーベル賞の受賞者数を国別に毎年集計している。これまでは受賞者の国籍で数えてきた。
 南部さんは注釈付きで日本の受賞者にする方向だが、関係者からは「そもそも国別に数える意味があるのか」という声も聞かれる。「外国人が日本の研究拠点での業績でノーベル賞を受けたら、日本の受賞にカウントするのだろうか」ともらす関係者もいる。
 下村さんは日本国籍のままだが、60年に渡米。そこでの研究が、今回の受賞につながった。
 政府は最近、魅力的な研究環境を整え、逆に世界から日本に人材を集める「頭脳循環」へと持ち込む姿勢を強める。塩谷文科相は8日、「大いに世界に出ていくと同時に、世界の頭脳が日本に集まる環境作りをぜひやりたい。4人もの受賞は、世界の拠点のひとつになりうる証明と思う」と話した。
 文科省は昨年、外国人比率を高める「世界トップレベル研究拠点」を全国に5カ所選出し、事務部門も含めて英語を公用語にした。そのひとつの東京大数物連携宇宙研究機構は、米カリフォルニア大教授だった素粒子論の世界的リーダー、村山斉さん(44)を機構長に引き抜いた。
 「同じ研究環境があれば欧米にこだわる必要はない。米国からは、日本の素粒子物理学が非常に華々しく見えた。かつてとは違う」と話す。
 米国に研究拠点を移して73年にノーベル物理学賞を受けた江崎玲於奈さんは「今の日本は、当時より飛躍的に研究基盤が発達している割に、外国人研究者が根付いていない。二重国籍を許すなど差別のない住みやすい日本を作るため、国内のみんながしっかり取り組まなくてはだめだ」と話した。

ノーベル化学賞に下村脩さん 蛍光たんぱく質を発見 (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/1008/TKY200810080238.html

 スウェーデンの王立科学アカデミーは8日、今年のノーベル化学賞を米ウッズホール海洋生物学研究所・元上席研究員の下村脩(おさむ)さん(80)と米国の研究者2氏の計3人に贈ると発表した。下村さんは、オワンクラゲの発光の仕組みを解明する過程で、緑色蛍光たんぱく質(GFP)を分離し、その構造を解明した。GFPは、生命科学の研究で、細胞内で動く分子にくっつけて追跡する便利な「道具」として世界中の研究者に使われている。

Glowing jellyfish earns Nobel Prize (CNN.com)
http://www.cnn.com/2008/TECH/science/10/08/nobel.chemistry/index.html

(CNN) -- Research into the mysterious green glow of a jellyfish earned three scientists this year's Nobel Prize for Chemistry, the Nobel Foundation announced Wednesday.
Osamu Shimomura of the Marine Biological Laboratory in Woods Hole, Massachusetts; Martin Chalfie of Columbia University; and Roger Tsien of the University of California at San Diego won for the discovery and development of the green fluorescent protein GFP.

(中略)

Osamu Shimomura, a Japanese citizen, was the first to isolate GFP from the crystal jellyfish, discovering that the protein glowed bright green under ultraviolet light.
American scientist Martin Chalfie demonstrated GFP's value as a luminous genetic tag in nature. One of Chalfie's first experiments, the foundation said, involved using GFP to color individual cells in a transparent roundworm.
Roger Tsien, also an American, extended the color palette beyond green. Researchers can now give various proteins and cells different colors, enabling them to follow different biological processes at the same time, the foundation said.

(中略)

Shimomura was born in Kyoto, Japan, and received a Ph.D. in organic chemistry in 1960 from Nagoya University. He is now professor emeritus at the Marine Biological Laboratory and Boston University Medical School.
Chalfie grew up in Chicago, Illinois, and received his Ph.D. in neurobiology from Harvard University in 1977. He is now a professor of biological sciences at Columbia University in New York.
Tsien was born in New York and received a Ph.D. in physiology from Cambridge University in 1977. He is a professor at UC-San Diego.

「化学賞は意外」「クラゲ85万匹採取」下村さん語る (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/1008/TKY200810080259.html

 ——米国に居続けたのは?
 「昔は研究費が米国の方が段違いによかった。日本は貧乏で、サラリーだってこちらの8分の1。それに、日本にいると雑音が多くて研究に専念できない。一度、助教授として名古屋大に帰ったんだけど、納得できる研究ができなかったので米国に戻った」
 ——何が納得できなかったんですか?
 「規模が違う。僕は十何年かけて85万匹のオワンクラゲを採取した。100トンは超すでしょう。何十人もの人を雇いました。家族も手伝ってくれた。ノーベル賞はその副産物なんです」
 ——週末に海辺に行ったりされたのですか?
 「いやいや、夏に1カ月か2カ月滞在して、朝から晩までクラゲを採った」
 ——国籍は日本のままなんですね。
 「何でわざわざアメリカ人に変わる必要があるの? 日本人でもアメリカに住める。研究費を取るにも差別はなかったし、ほとんど不便は感じない」

 今年は物理学賞に引き続き、化学賞も日本で生まれた人が受賞することになった。めでたいことである。利根川進氏が医学生理学賞を受賞したときもそうだったが、前エントリーで述べたようなことをあちこちで話題にしている人がいて、これはじつによいことだと思うのである。

 たしかに、湯川秀樹氏や朝永振一郎氏が受賞したころには、単に日本で生まれた人が受賞したというだけで戦後の暗い世相に明るい光を投げかける大事件だったにちがいないが、もはや日本は、頭脳流出の問題を国家戦略的パースペクティヴで真剣に考えるべき段階に来ている。アメリカで業績を上げた日本人がノーベル賞を取ったからといって、手放しで喜んでいる場合ではないのだ。

 とくに選挙前には、政治家どもなど世論でいくらでも意のままに操作することができる。もっともっと頭脳流出を嘆く世論を盛り上げ、びくびくしている政治家どもから言質を引き出すようにしなくてはならない。食料自給率が四割を切り、天然資源もろくにないような国が一流国家として世界に伍してゆくには、頭脳以外の資源はあるまい。いまこそ、市井の人々が政治家どもを操るときだ。

 日本の新聞に、「京都大学のキルゴア・トラウト教授がノーベル経済学賞を受賞」といった見出しが躍る日を、おれは楽しみにしている。



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コメント

あのTsutomu Shimomuraの父親ですか、と驚いた元HP100LX使い。

投稿: nido | 2008年10月 9日 (木) 02時53分

ところで次にノーベル平和賞を受賞できる日本の政治家は誰なんだろう。

投稿: 林 譲治 | 2008年10月 9日 (木) 08時24分

あれ?勘違いでなければ、キルゴア・トラウトが受賞するのって医学賞じゃありませんでしたっけ??

投稿: 大野典宏 | 2008年10月 9日 (木) 17時43分

たまたま知り合いが借りていたクラゲの本にはオワンクラゲが
「蛍光タンパク質のために乱獲されたことがある」って紹介してあったそうです。
その本が出た頃はそれでがーベル賞に繋がるとは思わなかったんでしょうね。

投稿: こり | 2008年10月 9日 (木) 22時45分

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