あなたにもできる地震観測
▼Wanted: amateurs to help track earthquakes (CNN.com)
http://www.cnn.com/2008/TECH/science/09/25/earthquake.trackers.ap/index.html
LOS ANGELES, California (AP) -- Earthquake scientists want to borrow your laptop or maybe a little space in your basement or garage.
Researchers don't have enough high-tech monitoring stations to track every instance of ground shaking, so they are enlisting help from ordinary people to document quakes and pinpoint areas of possible damage.
Almost anyone can participate by equipping laptop computers with special software or installing quake sensors at home.
"If they can provide scientific data that can prepare us for events in the future, then that's extremely important," said Tom Jordan of the Southern California Earthquake Center at the University of Southern California.
The epicenter of the movement is in California, the most quake-prone state in the continental United States. Each year, 10,000 temblors rattle Southern California alone, though most are too small to be felt.
The Quake-Catcher Network was launched this year to tap into the computing power of some 300 participants worldwide, including 50 volunteers in California.
The network relies on a sensor called an accelerometer that is built into many newer laptops to detect sudden motion. If the computer is dropped, for instance, the sensor can alert the hard drive, shielding it from potential damage and preventing data from being lost.
Volunteers download software that links their computers to others in the network and sends information about shaking to scientists through the Internet.
Since any movement -- passing trucks, neighbors moving furniture or a pet jumping on the desk -- can trigger a laptop's internal sensor, scientists scan incoming data only when the U.S. Geological Survey determines that an actual quake has occurred, based on readings from its field stations.
"If there's a bunch of laptops that trigger in one location, there's probably an earthquake," said seismologist Elizabeth Cochran of the University of California, Riverside, who is a leader of the project.
これはなかなか面白いアイディアだなあ。端的に言えば、記事にもあるように、まさに SETI@home の地震版という感じかな。みんなが観測点になれるアメダスのようなものというか。
落下などの際の加速度を検知してハードディスクのヘッドをリトラクトするために加速度センサーを内蔵したパソコンが出てきているが、そういう個人のパソコンを用いて、地震のようすをより細かく把握しようという試みである。もちろん電源を入れっぱなしにしているパソコンばかりとはかぎらないし、加速度センサーは“生活振動”も検知してしまうにちがいないが、充分な数があれば、生活振動は除外できる。同じエリアの多数のパソコンが同時に反応しなければ地震ではないと考えられるからだ。
多数のカーナビからのデータを集約して渋滞情報をフィードバックしたりするシステムはすでに実現しているが、この地震検知システムも、そうした Web 2.0 的なアイディアですな。面白いね。今後、さまざまなセンサーを内蔵した情報家電が普及すると、それらから捕捉できるデータを用いた存外に便利なサービスが出現してくるにちがいない。
加速度センサーといえば Wii のコントローラだが、Wii のコントローラで地震を検知しようとしたりすると、あちこちで大地震が起こっていることになってしまうだろう。まあ、そういう用途には向かない。
だが、Wii のコントローラから取ったデータを集約できるとすれば、たとえば、「雨の日はテニスゲームをする人が多い」とか、「社会保険庁の不祥事が発覚すると、“ぶった斬り”系のゲームをする人が増える」とか、有名な“おむつとビールのアソシエーション”のような、意外で面白い相関がマイニングできる可能性はある。近い将来、さまざまな情報家電から得られる情報を基に、おれたちが度肝を抜かれるような社会科学的な事実が浮き彫りになってくるのだろう。
まあ、おれたち一人ひとりを考えたときには、べつに個人情報を取られるわけでもないから、データのそういう使いかたが普及してきても、さほど気色悪く思うわけでもない。そもそも広告屋だって、個人情報のような危険なものはできるだけ持ちたくないと思っている。たとえば、昨今の行動ターゲティングのように、個人が特定できるような情報を持たなくても効果的な広告が打てる方法論さえあればいいのだ。
この地震データ収集システムのような発想、設計思想のシステムは、これからどんどん出てくるだろうね。もはや、ユーザというのは、情報収集端末でもあるのだ。
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コメント
技術的な問題はあるとして、こうした形の世界規模の地震観測網は、地球と同じ大きさの重力波干渉計として使える可能性もありそうですね。こういうのは背景雑音をどう処理するかが問題になったりしますけど、じつはその雑音の中に地球外の文明活動を原因とするものも混ざっているかもしれない。
しかも、そんな信号がいままで雑音としか思われていなかったものの中から多数発掘され、宇宙は文明でいっぱいということにでもなれば、人類の価値観が変わりますね。
投稿: 林 譲治 | 2008年9月30日 (火) 10時50分
>林譲治さん
>地球と同じ大きさの重力波干渉計として使える可能性もありそう
いわば、分散型のウロボロスですね。
でも、たとえばGPS衛星なら衛星側に原子時計を積んでいるから、受信機側の時計がちゃちくても四個めの衛星で同期が取れるでしょうが、PCをデータ収集端末として使う場合、個々の時計がちゃちいから、そのような精緻な用途に供するには厳密な同期を取るのが難しいように思います。
投稿: 冬樹蛉 | 2008年9月30日 (火) 21時35分
このプロジェクトに参加する機械はGPSを装備することが必須条件なのでは?
投稿: 村上 | 2008年10月 1日 (水) 11時46分
>村上さん
この記事の情報からは、この Quake-Catcher というシステムの端末になるには、GPSは要らないようです。より安定的で信頼性の高い端末になるためには、パソコン内蔵の加速度センサーに頼るのではなく、地下室などに小型の地震計を据え付けるというオプションはあるようですが。
投稿: 冬樹蛉 | 2008年10月 2日 (木) 00時57分