ポール・ニューマン逝く
▼ポール・ニューマンさん死去 「明日に向って撃て!」 (asahi.com)
http://www.asahi.com/obituaries/update/0927/TKY200809270187.html
【ロサンゼルス=堀内隆】米国を代表する俳優の一人で、映画「明日に向って撃て!」(69年)、「タワーリング・インフェルノ」(74年)などで知られるポール・ニューマンさんが26日、がんのため米コネティカット州の自宅で死去した。83歳だった。米メディアが27日報じた。
昨年5月に記憶の衰えなどを理由に俳優を引退。今年6月には、がんで闘病中だと、同氏の知人が明らかにしていた。
25年、米オハイオ州クリーブランド生まれ。父親が共同経営するスポーツ用品店を継ぐため大学では経済学を専攻したが、途中で海軍入りし、第2次世界大戦に無線士として従軍した。復員後に演劇の道に進み、エール大スクール・オブ・ドラマに学んだ。映画デビューは54年の「銀の盃」。ロバート・ワイズ監督の「傷だらけの栄光」(56年)で、不良少年からボクシングの世界王者にのぼりつめたロッキー・グラジアノの半生を演じて脚光を浴びた。
反抗的で野性味に満ちたヒーロー役が多かったが、「明日に向って撃て!」以降、知性を前面に出したスマートな役柄が増えていった。同作品で共演したロバート・レッドフォード氏とは「スティング」(73年)でも共演した。
八十三歳か。男性としては大往生だよねえ。
『明日に向って撃て!』とか『スティング』とかも好きだけど、やっぱりおれにとっては、『タワーリング・インフェルノ』の建築技師が最高だなあ。スティーヴ・マックィーンとの“男のかけあい”みたい会話が絶妙にいいんだよね。そもそもあの超高層ビルが火事になるのは、オーナー(ウィリアム・ホールデン)の娘婿(リチャード・チェンバレン)が阿呆で、ポール・ニューマン演じる技師が指定した仕様を勝手に改竄して安物の部品を使わせたからなんだが、それでもポール・ニューマン演じる技師は、設計者としての責任を背負って、命を賭してひたすら人命救助に当たる。かっこいいじゃあ、ございませんか。姉葉さん、あんた、この映画観たか?
それにしても、『タワーリング・インフェルノ』のスターたちは、これでほとんど故人になってしまったことになるねえ。製作・アクションシーン監督のアーウィン・アレンも死んだ。スティーヴ・マックィーンももうこの世にはいない。ウィリアム・ホールデン、ジェニファー・ジョーンズ、フレッド・アステア……往年の名優たちもみんな逝ってしまった。O.J.シンプソンはまだ生きているけど、ナニなアレで、まあソノ……そういうわけだ。あと、誰が生きている? フェイ・ダナウェイとロバート・ヴォーンくらいか。長生きしてほしいものだ、ナポレオン・ソロ。
そうかあ、ポール・ニューマンも逝ったかあ……。
いま、おれの頭の中では、『タワーリング・インフェルノ』のラストシーンのマックィーンとニューマンがストップモーションになった。
Chief O'Hallorhan(McQueen): You know we were pretty lucky tonight, body count's less then 200. You know, one of these days, you're gonna kill ten-thousand in one of these firetraps, and I'm gonna keep eating smoke and carrying out bodies until someone asks us... how to build them.
Doug Roberts(Newman): Ok, I'm asking.
Chief O'Hallorhan: You know where to reach me.
お疲れさま、ポール・ニューマン。おれが逝くころには、またそっちでオリジナル・キャストでリメイクしてくれるかもな。
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コメント
はじめまして。といいつつ、実は京フェスでお話しさせていただいたことがあるのですが……
冬樹さんが、まず「タワーリング・インフェルノ」を、と書かれているのを発見し、狂喜乱舞しつつコメントを書かせていただいています。わたしにとって、あれがポール・ニューマンという役者を認識した初めての映画であり、そしてとにかく、かっこよかった! からです。冬樹さんの記事を読ませていただいて、嬉しい~ の一言に尽きます♪
投稿: たなか | 2008年10月 1日 (水) 10時49分
>たなかさん
>はじめまして。といいつつ、実は京フェスでお話しさせていただいたことがあるのですが……
あ、これはどうも、といっても、たなかさんは、あのハチャメチャな田中コンビをはじめ、あちこちにいらっしゃるので、どなたかはわからないのですが(^_^;)。
あの映画はなにしろワーナー・ブラザーズ系のスターと、二十世紀フォックス系のスターが共演するという、ふつうならまずあり得ない豪華キャストというところが特別なのですよねえ。アメリカのビジネスの冷徹な合理主義を感じましたね。マックィーンとニューマンが共演するなんてことは、当時ではまず考えられなかったことで、当時の大人たちも狂喜乱舞していたんだろうと思います。結果、パニック映画の歴史に残る名作として、いまも人口に膾炙しているんだから、たいしたもんだと思います。
私はとくに、ポール・ニューマン演じる技師が展望エレベータの配線をちょこちょこっといじって、降りる用途に一回だけ使える“重力エレベータ”に改造するところなんかは、子供心に萌えましたね。技師なんてふだんは地味な人たちなのに、ああいう場面ではやたらカッコいいんですよねー。
投稿: 冬樹蛉 | 2008年10月 2日 (木) 01時08分
「『崖の上のポニョ』と『火事の上のポール・ニューマン』くらい違う」
というのはどうでしょう?
違い過ぎますか、そうですか。
投稿: アダチ@初音ミク中毒 | 2008年10月 2日 (木) 01時49分
>アダチ@初音ミク中毒さん
ち、ちがいすぎます(^_^;)。
投稿: 冬樹蛉 | 2008年10月20日 (月) 23時09分