お買い上げ御礼(2008年8月)
【最も値段の高いもの】
ほー、この【最も値段の高いもの】には、たいてい電化製品や玩具がランクインしてくるものなのであるが、8月は書籍がトップに輝いた。
イマニュエル・ウォーラーステインってのは、「世界システム」論で有名な学者さんだよね。ウチみたいなアホ日記を経由して、ずいぶん硬い本を買う人がいるもんだ。おれはこの人の論をまだちゃんと読んだことがないもんで、やっぱりこのグローバルでボーダーレスな時代には、たまにはこういう巨視的なものを読んで視座を増やしておかねばいかんなあ。ビジネス誌ごときですら名前を見かけるような人は、SFファンとしては把握しておかんといかん。不勉強を反省。
でもまあ、個人的好みとしては、どうしても小説や科学書を優先しちゃいますな。
【最も値段の安いもの】
あららら、あのベストセラーも、いまや一円で売ってるのか。いや、おれは養老孟司が嫌いではなく、どちらかというと、あの頭がよすぎるがゆえのミもフタもなさが西村博之みたいで面白くて好きなほうだ。が、まあ、さすがにこの本はぱらぱらとめくってはみたものの、新刊で買うほどのものでもないと、いままでスルーしてきている。こんなに安くなっているなら、そのうちよっぽど暇なときにでも読んでみようか。なんだかね、アオリやら書評やらを読むにつけ、やっぱりあたりまえのことしか書いてないような気がますますしてきて、食指が動かないんだよなあ。
【最も多く売れたもの】
まあ、この本はおれも“アタリ”だと宣伝したこともあって、けっこう関心を持ってくださった方が多いようで、そこそこ売れましたね。こういう知的好奇心を掻き立ててはくれるけれども、べつに実利的にはなんの役にも立たない本が売れるというのは喜ばしいことだ。
母の証言によれば、おれは二歳のときにはひらがな・カタカナと簡単な漢字交じりの本が読めたそうだから、四十四年弱、本を読んできて思うことだが、当座の役に立てようと読んだハウツー本など、あとから振り返ると、なんの役にも立っていないことが多い。つまるところ、いかにも当座の役には立ちそうにない、ものごとの根本をテーマにしたような本のほうが、深く記憶に残り、気がつけばしばしば想起し、折に触れて読み返したくなったりするものだ。四十代くらいになると、なんの道によらず、“古典”ってのはほんとうに大事だなあとしみじみ思うようになる。結局、最高の書評家は“時間”なのだ。わかろうがわかるまいが、二十代くらいまでのあいだに、いろんな分野の“古典”と呼ばれているような書にはできるだけ多く触れておくことが、中年以降の知的生活を豊かにしてくれると思う。若者よ、当座の役には立たない本を読め。当座の役に立つような本は、どのみち読みたくなくても読まざるを得ない状況に追い込まれるものである。仕事で読まなくちゃならない本などは、その最たるものだ。そういう実利的読書とはまったく別の次元で、おのれの知的好奇心に忠実な読書にあえて時間を割く勇気が持てるかどうかが、歳食ってからの主観的幸福を大きく左右する。
まあ、この本なんかは、これをハブにして、とくに好奇心を刺激された分野を深堀りしてゆくと、有意義な思索に耽れると思うのよのさ。
【最もケッタイなもの(主観)】
なななんじゃこれは、さほど面白くもなさそうなゲーム機なのになあ、と思って調べてみると、なるほど、ある種の納得を得た。
このゲームのしゃべる声は、初音ミクの“中の人”である藤田咲が担当しているとのこと。つまり、初音ミクの声でしゃべるゲーム機なわけだ。だったら、ゲームの面白さなどは度外視して、その付加価値だけを目当てに買う人がいても不思議ではない。みっくみくな人は、検討の価値あり?
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