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2008年9月の28件の記事

2008年9月29日 (月)

あなたにもできる地震観測

Wanted: amateurs to help track earthquakes (CNN.com)
http://www.cnn.com/2008/TECH/science/09/25/earthquake.trackers.ap/index.html

LOS ANGELES, California (AP) -- Earthquake scientists want to borrow your laptop or maybe a little space in your basement or garage.
Researchers don't have enough high-tech monitoring stations to track every instance of ground shaking, so they are enlisting help from ordinary people to document quakes and pinpoint areas of possible damage.
Almost anyone can participate by equipping laptop computers with special software or installing quake sensors at home.
"If they can provide scientific data that can prepare us for events in the future, then that's extremely important," said Tom Jordan of the Southern California Earthquake Center at the University of Southern California.
The epicenter of the movement is in California, the most quake-prone state in the continental United States. Each year, 10,000 temblors rattle Southern California alone, though most are too small to be felt.
The Quake-Catcher Network was launched this year to tap into the computing power of some 300 participants worldwide, including 50 volunteers in California.
The network relies on a sensor called an accelerometer that is built into many newer laptops to detect sudden motion. If the computer is dropped, for instance, the sensor can alert the hard drive, shielding it from potential damage and preventing data from being lost.
Volunteers download software that links their computers to others in the network and sends information about shaking to scientists through the Internet.
Since any movement -- passing trucks, neighbors moving furniture or a pet jumping on the desk -- can trigger a laptop's internal sensor, scientists scan incoming data only when the U.S. Geological Survey determines that an actual quake has occurred, based on readings from its field stations.
"If there's a bunch of laptops that trigger in one location, there's probably an earthquake," said seismologist Elizabeth Cochran of the University of California, Riverside, who is a leader of the project.

 これはなかなか面白いアイディアだなあ。端的に言えば、記事にもあるように、まさに SETI@home の地震版という感じかな。みんなが観測点になれるアメダスのようなものというか。

 落下などの際の加速度を検知してハードディスクのヘッドをリトラクトするために加速度センサーを内蔵したパソコンが出てきているが、そういう個人のパソコンを用いて、地震のようすをより細かく把握しようという試みである。もちろん電源を入れっぱなしにしているパソコンばかりとはかぎらないし、加速度センサーは“生活振動”も検知してしまうにちがいないが、充分な数があれば、生活振動は除外できる。同じエリアの多数のパソコンが同時に反応しなければ地震ではないと考えられるからだ。

 多数のカーナビからのデータを集約して渋滞情報をフィードバックしたりするシステムはすでに実現しているが、この地震検知システムも、そうした Web 2.0 なアイディアですな。面白いね。今後、さまざまなセンサーを内蔵した情報家電が普及すると、それらから捕捉できるデータを用いた存外に便利なサービスが出現してくるにちがいない。

 加速度センサーといえば Wii のコントローラだが、Wii のコントローラで地震を検知しようとしたりすると、あちこちで大地震が起こっていることになってしまうだろう。まあ、そういう用途には向かない。

 だが、Wii のコントローラから取ったデータを集約できるとすれば、たとえば、「雨の日はテニスゲームをする人が多い」とか、「社会保険庁の不祥事が発覚すると、“ぶった斬り”系のゲームをする人が増える」とか、有名な“おむつとビールのアソシエーション”のような、意外で面白い相関がマイニングできる可能性はある。近い将来、さまざまな情報家電から得られる情報を基に、おれたちが度肝を抜かれるような社会科学的な事実が浮き彫りになってくるのだろう。

 まあ、おれたち一人ひとりを考えたときには、べつに個人情報を取られるわけでもないから、データのそういう使いかたが普及してきても、さほど気色悪く思うわけでもない。そもそも広告屋だって、個人情報のような危険なものはできるだけ持ちたくないと思っている。たとえば、昨今の行動ターゲティングのように、個人が特定できるような情報を持たなくても効果的な広告が打てる方法論さえあればいいのだ。

 この地震データ収集システムのような発想、設計思想のシステムは、これからどんどん出てくるだろうね。もはや、ユーザというのは、情報収集端末でもあるのだ。



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2008年9月28日 (日)

ポール・ニューマン逝く

ポール・ニューマンさん死去 「明日に向って撃て!」 (asahi.com)
http://www.asahi.com/obituaries/update/0927/TKY200809270187.html

 【ロサンゼルス=堀内隆】米国を代表する俳優の一人で、映画「明日に向って撃て!」(69年)、「タワーリング・インフェルノ」(74年)などで知られるポール・ニューマンさんが26日、がんのため米コネティカット州の自宅で死去した。83歳だった。米メディアが27日報じた。
 昨年5月に記憶の衰えなどを理由に俳優を引退。今年6月には、がんで闘病中だと、同氏の知人が明らかにしていた。
 25年、米オハイオ州クリーブランド生まれ。父親が共同経営するスポーツ用品店を継ぐため大学では経済学を専攻したが、途中で海軍入りし、第2次世界大戦に無線士として従軍した。復員後に演劇の道に進み、エール大スクール・オブ・ドラマに学んだ。映画デビューは54年の「銀の盃」。ロバート・ワイズ監督の「傷だらけの栄光」(56年)で、不良少年からボクシングの世界王者にのぼりつめたロッキー・グラジアノの半生を演じて脚光を浴びた。
 反抗的で野性味に満ちたヒーロー役が多かったが、「明日に向って撃て!」以降、知性を前面に出したスマートな役柄が増えていった。同作品で共演したロバート・レッドフォード氏とは「スティング」(73年)でも共演した。

 八十三歳か。男性としては大往生だよねえ。

 『明日に向って撃て!』とか『スティング』とかも好きだけど、やっぱりおれにとっては、『タワーリング・インフェルノ』の建築技師が最高だなあ。スティーヴ・マックィーンとの“男のかけあい”みたい会話が絶妙にいいんだよね。そもそもあの超高層ビルが火事になるのは、オーナー(ウィリアム・ホールデン)の娘婿(リチャード・チェンバレン)が阿呆で、ポール・ニューマン演じる技師が指定した仕様を勝手に改竄して安物の部品を使わせたからなんだが、それでもポール・ニューマン演じる技師は、設計者としての責任を背負って、命を賭してひたすら人命救助に当たる。かっこいいじゃあ、ございませんか。姉葉さん、あんた、この映画観たか?

 それにしても、『タワーリング・インフェルノ』のスターたちは、これでほとんど故人になってしまったことになるねえ。製作・アクションシーン監督のアーウィン・アレンも死んだ。スティーヴ・マックィーンももうこの世にはいない。ウィリアム・ホールデンジェニファー・ジョーンズフレッド・アステア……往年の名優たちもみんな逝ってしまった。O.J.シンプソンはまだ生きているけど、ナニなアレで、まあソノ……そういうわけだ。あと、誰が生きている? フェイ・ダナウェイロバート・ヴォーンくらいか。長生きしてほしいものだ、ナポレオン・ソロ。

 そうかあ、ポール・ニューマンも逝ったかあ……。

 いま、おれの頭の中では、『タワーリング・インフェルノ』のラストシーンのマックィーンとニューマンがストップモーションになった。

Chief O'Hallorhan(McQueen): You know we were pretty lucky tonight, body count's less then 200. You know, one of these days, you're gonna kill ten-thousand in one of these firetraps, and I'm gonna keep eating smoke and carrying out bodies until someone asks us... how to build them.

Doug Roberts(Newman): Ok, I'm asking.

Chief O'Hallorhan: You know where to reach me.

 お疲れさま、ポール・ニューマン。おれが逝くころには、またそっちでオリジナル・キャストでリメイクしてくれるかもな。



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2008年9月26日 (金)

哀愁の薄牛乳

 まあ、似たようなことを思いついている人も世間には多いことであろうが、思いついちまったものはしかたがない。とりあえず、書き残しておこう――


♪誰が言ったか知らぬけど 儲けすぎてる業者は
 牛乳が薄いなんて 誰が言ったのよ
 あたしの知ってる あの業者 乳が薄いので有名
 水増ししてる乳なのにとても人気があるのよ
 ところがウチは正直に言うけど いままで薄めてないの
 チャンスがなかったわけじゃないけど 薄め切れなかった
 そうなのウチの牛乳は 味が薄くて水みたい
 だけどよそより安いの 薄めてなんかないのに
 メラミン濃度が高いだけ それがどうしたってゆーの
 だけど分析されるたび 心は沈んでく

 メラメラミンミン メラミンミン
 メラメラミンミン メラミンミン
 メラメラミンミン メラミンミン
 メラミン メラメラメラミン



 

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2008年9月25日 (木)

『量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世界」の実在』(コリン・ブルース/訳:和田純夫/講談社ブルーバックス)

 おれはいくつかある量子力学の解釈というものは、あくまで“解釈”であって、どの解釈を取るかは好みの問題にすぎないのではないか、しょせん、“ほんとうに”なにが起こっているのかなど、おれたちにはわかりっこないのではないか、宇宙が“そういうふうに”ふるまうのであれば、どう解釈しようが受け容れるしかないではないかくらいに思っていた。

 だが、この本を読むと、なるほど多世界解釈というのはとても合理的で、オッカムの剃刀の切れ味が冴える考えかたなのだということがよくわかった。これが“正しい”んじゃないかと、ほとんど説得されそうになっちゃいましたな。惜しむらくは、おれには「多世界解釈はおかしい」と自信を持って反論できるだけの、あるいは、多世界解釈を強力に推すだけの、知識も能力もない。「なるほど、言われてみればそうですな」くらいの感じで、ほとんど納得しちゃうのである。近年の実験も多世界の実在を“示唆”(“証明”じゃないのだ。ここ重要!)しているとあっては、素人としては説得される以外にないじゃないか。

 「まえがき」には、非常に挑発的かつ魅力的なくだりがある――「ここ数年【冬樹註:原著の刊行は二〇〇四年】、量子論の暗がりに突然の輝きが見られた。半死半生の猫、あるいは宇宙全体の状態を収縮させる力を備えた、意識を持つ観察者といった不思議な登場人物が現れる古い物語は、時代遅れとなった。新しい物語がいくつか登場し、そのうちの1つは特に有望である。それは我々に、古典的な宇宙を取り戻させる。ものごとはランダムではなく予測通りに振る舞い、相互作用の働く範囲は長距離ではなく局所的である。しかし犠牲も払わねばならない。我々が住む宇宙は、考えていたよりもはるかに、予想外の意味で広大であることを受け入れなければならない」

 まあ、実際になにが起こっているのか、あるいは、量子力学的な現象をどう解釈す“べき”なのかについては、おれにはなんとも言いようがないのだが、ひとつたしかなのは、おれは多世界解釈が好きだということである。実際にこのようなことが起きているのであってほしいと思う。だって、なにより、こうであったほうが面白いじゃないか!

 意識を持った存在とやらの“観測”が全宇宙のありように影響を及ぼすなんて考えかたは、どうも気色が悪い。意識を持った存在に特権的地位を与えているのが、なんとも気味悪い。そんなふうに思う人には、本書は一読の価値があると思うよ。あなたが物理学者であればいろいろとツッコミどころもあるのかもしれないが、そうじゃなければ、たぶん説得されちゃうと思いますな。少なくともおれには、意識を持つ存在になにか特別な力があると思うよりは、おれがいま認識しているこの世界とは決して情報交換できない世界がいっぱいあると考えるほうが、よほど合理的に思えるよ。



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2008年9月24日 (水)

日本のお米は世界で一番??

 昨今の汚染米騒ぎのとばっちりをいちばん食っているのは誰かと考えた場合、おれはたぶんBerryz工房だろうと思う。まあ、「行け 行け モンキーダンス」なんてのは、なにやら歌詞といいコード進行といい「LOVEマシーン」の焼き直しみたいな曲ではあるが、それなりに可愛らしい面白い曲ではある。しかし、「よっしゃ/与も野も 食べましょ/ご飯を 食べましょ/日本の お米は/世界で 一番」とか、「よっしゃ/民も官も 食べましょ/ご飯を 食べましょ/元気が 出るから/力に なるから」なんてところは、いかにも唄いにくい社会状況だ。かわいそうに。

 おまけに、アラジン「陽は、また昇る」なんてのも、空元気的な日本応援歌として、内容がかぶっている。日本って、こんなところしか褒めるとこないか? それに、この歌で褒められている日本というのは、どっちかというと、日本の社会では迫害されてきた個人の業績が多いような気がするのだがどうか。ガイジンに褒められると、いままで迫害していた個人の業績でも掌を返したように褒めはじめるのは、なんともいやらしいと思うんだが、どうかね、日本人? この歌で“日本の業績”として取り上げられているようなものを、“日本”の手柄じゃなく、あくまでたまたま日本人であった個人の業績として捉えるところから、日本の真の再生がはじまるようにおれは思うんだが……。




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2008年9月19日 (金)

「すてきなチーズ切り」くらいなら、もう造れるんだから

エレベーターで宇宙に行けるかも 東京で今秋国際会議 (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/0919/OSK200809180102.html

 「上に参ります。次の階は宇宙でございます」――長さ約10万キロのケーブルをよじ登って、ロケットを使わず、そのまま宇宙へと飛び出す「宇宙エレベーター」の研究団体が日本で結成された。海外の研究者を招き、11月に第1回国際会議を東京で開催する。従来はSFの世界の乗り物とみなされてきたが、ナノテク新素材の開発によって実現の可能性が見えてきた。
 宇宙エレベーターとは、赤道の上空、高度約3万6千キロに浮かぶ静止衛星から地上に向けてケーブルを垂らし、それをガイドとして利用して、宇宙との間を昇降するエレベーター型宇宙船のこと。
 バランスが取れるように、静止衛星から地球と反対方向の宇宙にも向けてケーブルを伸ばすため、その総延長は月までの距離の約4分の1にも達する。ケーブルは、静止衛星と共に宙に浮いた状態となるので、よじ登っても落ちてこない。地球の重力を脱出する燃料がいらないので、宇宙旅行のコストが約100分の1になると見込まれている。総建設費は、約1兆円の予定。
 SF作家の故アーサー・C・クラークが小説「楽園の泉」で紹介して有名になったが、実現は不可能に近いと考えられてきた。どんな素材でもその重さに耐えきれず、ケーブルが途中で切れてしまうからだ。計算上は、鋼鉄の約180倍もの強度が必要。だが、日本宇宙エレベーター協会会長で、IT会社社長の大野修一さん(40)によれば、軽くて強いカーボンナノチューブが開発され、必要強度の約4分の1の強さの繊維がすでに造られているという。米国では、米航空宇宙局(NASA)が賞金を出すコンテストも開かれている。
 大野さんは「海外旅行感覚で、誰でも宇宙にいけるようになる。放射性廃棄物の太陽への投棄や、太陽光発電衛星の設置などいろいろな利用案も出されている」と話す。
 約50人の会員の中には、大学教授や宇宙関連産業の技術者などもいる。来年には、ケーブルを昇る模型の速さを競う国内大会を開催する計画もある。ホームページは、http://www.jsea.jp/(久保田裕)

 こういう会議が日本で開かれ、一般紙が報道するような時代になったか。感無量だねえ……。

 おれは最近しみじみ思うのが、一九六二年あたりに生まれてほんとうによかったなあということである。おれたちの世代は、家の中にある最高のハイテク製品として箪笥の上に載っていた、あのチューナーの赤い針が物理的に移動する大きなラジオを知っている。白黒テレビを知っている。“ウチにカラーテレビがやってきた日”というのを、子供のころの大きな事件として胸に刻み込んでいる。ソノシートでアニメや特撮モノの主題歌を聴いた。人類が月に立ったとき、ちゃんとその意味がわかる年ごろになっていた。やがてデジタル技術の産物が次々と生活に入ってきた。新しい技術が出現するたびに、人類が一歩SFの世界に近づいたような気がした。ほんとうにした。オリヴェッティの機械式タイプライターで卒論を書いた。パソコン通信に感動した。インターネットにもっと感動した。牧歌的なアナログの世界にもノスタルジーを覚えつつ、デジタルなハイテクにもいちいち感動してきた。生まれたときからコンピュータがコモディティー化していた世代とはあきらかに一線を画する。着々と夢が現実になってゆくさま、テクノロジーが人々の生活や人間のありかたそのものを確実に変えてゆくさまを、みずからの成長や成熟と重ねて、まざまざと見てこられた世代なのだ。なんていいときに生まれたんだろう――と、このごろホントに思うのだ。

 でもって、とうとう軌道エレベータである。あんまり長生きしたくないなあ、死ぬときにはスイッチが切れるように死にたいなあというのがおれの基本的願望ではあるのだが、こういう話に触れると、おれの生きているうちに実現するかなあとわくわくする。むかしのように「こんな夢みたいなものが実現したらいいなあ」という段階ではもはやないのだ。多少なりとも、要素技術の展望が開けてきたからこそ、こういう国際会議も開かれるのであって、人類が手を伸ばせば届く距離にそれは近づいてきているのである。あと四十年くらい生きられたとしたら、そのころには実現しているだろうか? もし間に合いそうだったら、酒も煙草もやめてみようかという気にすらなる。八十五歳でも乗せてくれますか? それこそ『楽園の泉』じゃないけれど、軌道エレベータの中で(できれば“帰路”で)息絶えるんなら、それはそれは素敵な死にかただと思う。

 「総建設費は、約1兆円の予定」だって? なんだかずいぶん安いように感じるのだが、専門家が弾いているんだから、それなりに根拠のある見積りなのだろう。安い安い。FRBがAIGの救済に投じる金があれば、軌道エレベータが九基も造れるのか! そう考えると、ホントに安いなあ。



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そんなに安全なら、ちゃんと商品にしようよ

「あきたこまち」に萌え系イラスト JA、若者獲得狙い (asahi.com)
http://www.asahi.com/food/news/TKY200809170292.html

 市女笠(いちめがさ)をかぶり、稲穂を手に笑顔を浮かべる黒髪の美少女。秋田県羽後町のJAうごが、萌(も)え系のイラストが米袋に印刷された「あきたこまち」を発売する。
 事故米のニュースが連日報道されるなか、米離れが進む若者に身近に感じてもらおうと、ゲームのデザインなどを手がける原画家に依頼した。
 東京の百貨店には「店の雰囲気に合わない」と断られたというが、「若者なら受け入れてくれるはず」とJA担当者は強気。米袋は1万枚発注済みで、ホームページで22日から注文を受け付ける。

 いやまあ、この企画自体が優れているとかスベっているとかいう話じゃないのだ。まともな米を食用に売っているちっちゃな町のJAですら、このように涙ぐましい知恵の絞りかたをしているということに感銘を受けたのである。おれ自身は、米はあんまり食わないけどさ。

 太田農林水産大臣農林水産省の役人どもは、JAうごを表敬訪問して、担当者の爪の垢でももらって煎じて飲むがいいぞ。アフラトキシンB1メタミドホスほどの害はあるまい。

 農水大臣が「低濃度で、人体への影響はないと自信をもって言える」などとほざくのなら、最初からそのような米であると宣言して消費者に食用のちゃんとした商品として売ればいいのだ。国民を騙そうとするからいかんのであって、農水大臣が安全を保証した商品なら、最終消費者の中には“安かろう悪かろう”を納得して買う人が出てくるはずだ。コロンブスの卵だと思うがどうか。なに? 法律がある? かまわんかまわん、人体に害がないのなら毒入りでもいいと納得して食う消費者がいるんなら、法律なんぞ適当に変えればよろしい。

 そうだな、ほれ、よく「私が作りました」なんて、農家のおじさん・おばさんの写真が印刷してあるパッケージとかがあるじゃないか。ああいうふうにして、にこにこと微笑む太田農水大臣の写真に「あまり安全だと言わないが、でも安全なんだ」というキャプションを添えて袋に印刷しよう。商品名は、『汚染米「かなり安全」』とでもしようか。

 もっとも、テグレット技術開発から文句が出るかもしれないけどさ。



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2008年9月15日 (月)

とても“マジメ”なやつが自分の仕事をかんちがいするとダークサイドに堕ちる

三笠フーズ、農政事務所元課長を接待 05~06年 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0914/OSK200809140075.html

 農薬などに汚染された事故米を食用に転用していた米販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の冬木三男社長らが05~06年、農林水産省近畿農政局大阪農政事務所の当時の消費流通課長(62)を、大阪市内の飲食店で接待していたことが14日、わかった。元課長は朝日新聞の取材に対し、飲食接待を受けたことを認めたうえで「三笠フーズに便宜をはかったことは一切ない」と話している。
 同消費流通課は大阪府内の米の流通業務全般を管轄し、政府が保有する輸入米や備蓄米の販売・入札、業者の監督・指導をしている。輸入米を購入していた三笠フーズの調査は同課が業務としており、接待は同社が事故米を食用と偽って不正転用していた時期と重なる。

「三笠フーズはお客さん」 接待受けた農水省課長 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0915/OSK200809150005.html

 ――便宜供与は?
 ない。農政事務所には供与できる資料は何もない。うちは政府米を買ってもらう立場であり、(三笠フーズは)お客さん。行政をしているようで商売している感じ。千トンの米を保管したら年に1千万円かかる。米を売らねばという思いだった。ずっと断り続けるのは失礼にあたると思った。
 ――三笠フーズの印象は?
 輸入米を一生懸命買ってくれる大事なお客さん。10年ほど前から米の在庫が問題化し、食糧庁長官が「米を売れない農政事務所長は辞表を出せ」と言ったという話まで広まっていた。消費流通課長には相当なプレッシャーだった。三笠フーズが事故米を買っていたことは新聞で初めて知った。

 誰もが疑っていたとおりの展開になってゆくなあ。こんなのは序の口で、もっと大口のがどんどん出てくるんじゃないの?

 それにしても、奇妙な構図である。こんな感じだ――

   悪代官 「事故米を持って参りましてございます。毎度のお買い下げ、かたじけのう存じます」
   越後屋 「苦しゅうない苦しゅうない。この米、なんに使うかは言いっこなしじゃぞ」
   悪代官 「手前どもの商売は、事故米を売るところまででございます。あとは手前どもの与り知らぬこと」
   越後屋 「お主もワルよのお」
   悪代官 「越後屋様ほどでは……」
   越後屋 「まま、近う寄れ。まずは一献。今宵はよい焼き鳥が入っておる」
   悪代官 「かたじけのう存じます」
   越後屋 「よい焼酎も入っておるのじゃが……」
   悪代官 「そ、それはけっこうでございます。越後屋様もお人が悪い……」
   越後屋 「はっはっは、戯言じゃ。われらは麦酒といこう」

 どっちが悪徳商人なんだか。♪ややこしや~。

 三笠フーズに対して「輸入米を一生懸命買ってくれる大事なお客さん」などという意識になってしまっている時点で、すでにこの人は公務員じゃなくなっているよね。あんたに給料をくれるほんとうのお客様、いやさ、パブリック・サーヴァントたるあんたのほんとうの主人はいったい誰だと思っているのだ?

 もし“事故瓜”とか“事故李(すもも)”とかがあったら、農水省に大量に送りつけてやりたいよ。



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Diminished Reality を描くアニメ

 Augmented Reality(AR) に対して Diminished Reality(DR) というものを Mixed Reality(MR) の一分野として研究している人々がいる。ARとは逆に、DRは、現実に存在する情報量を減じてユーザに与えることで有用にするような技術だ。

 ARが普及した世界を描いたフィクションとしては、第39回星雲賞メディア部門に輝いた『電脳コイル』があまりにも有名である。では、DRの世界を描いたアニメはないだろうかと考えてみたところ、すぐに思い当たった。『あたしンち』である。

 考えてみれば、このアニメはすごい。不必要な情報を極限まで削ぎ落としている。“モブシーン”というものがまったくない。主要登場人物以外の通行人などは、ほとんど目も鼻も口もない輪郭だけの亡霊のようなものとして描写される。とくにストーリー展開に関係がなければ、“そこに人がいる”ということさえわかれば、『あたしンち』の世界ではオーケーなのである。

 その主要登場人物にしてからが、これ以上省略できないほどすっきりしている。なにしろ、立花家の四人家族のうち、常態で黒目が見えているのは“母”だけである。にもみかんにもユズヒコにも、ふだんは黒目がない。父はメガネだけで目、みかんは白目だけで目、ユズヒコは線だけで目なのである。表情を構成する要素として最も重要であろうと思われる“目”に関する情報をここまで意図的に削ぎ落としているのは驚嘆に値する。これが Diminished Reality でなくてなんであろうか?

 将来、実現された“電脳メガネ”をかけると、たちまちおれたちのまわりの世界が『あたしンち』の世界のように単純化されて見える――なんてDRアプリケーションをおれは夢想してみたりする。とにかく、世の中情報が多すぎる。たまには『あたしンち』の中のようなところへ逃避して、単純な世界に浸ってみたいとは思わないか?

 しかし、いくら単純化されているからといって、いつ見ても思うのは、あの“母”は、絶対アンクル・トリスの親戚だよなあ。さすが同世代(けら・えいこは、おれが生まれた二日後に生まれている)だなあ。



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2008年9月14日 (日)

電脳メガネができるまでの辛抱だ

 おなじみ、《ヘンな検索語》シリーズである――

「ipod nano 老眼」

 な、なんだか身につまされる。第四世代も出たことだから、買おうかどうか検討している中年の人が、老眼でも大丈夫かどうか調べているのであろうか。あるいは、敬老の日に爺ちゃん・婆ちゃんに贈ろうと考えている若い人が調べているのであろうか。

 おれは第三世代の iPod nano を使っているが、まあ、フォントがきれいだから、そろそろ老眼がキているおれでも不自由はないよ。起きぬけとかに、しばしばものが二重に見えたりするのだが、そういうときはちとキツイね。



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“語学”って言いかたをそろそろやめないか?

 “語学”という言葉がある。おれはこれが気に入らない。「外国語の練習そのものはちっとも“学”なんかじゃない」などとずいぶん前から言っているのだが、いまだに語学力がどうのこうのという言葉がふつうに使われている。これは嘆かわしい状況であるとおれは思う。

 言語を駆使する力そのもの(そうだな、仮に“言語力”とでも呼んでおこう)は、“学問”とはまったく関係がない。むしろそれはスポーツに近いものだろう。“語学力”などと言われると、おれには、特定の言語の構造や語彙の意味領域などを歴史を遡って解明する研究をする力であるかのように聞こえる。あるいは、言語とはなにかといったことを科学的・哲学的に解明する学問に秀でる能力であるかのごとく聞こえる。フェルディナン・ド・ソシュール丸山圭三郎みたいな人に“語学力”があるというのならわかるが、そこいらへんのただ外国語がしゃべれるだけの人に“語学力”があるなどといった表現には、非常に違和感を覚える。そもそも、日本語に関する知識が豊富でその運用能力にも優れた人を“語学力がある”というふうには、一般的には言わないではないか。それがおかしい。

 外国語を理解し駆使することが、すなわち、外国語や言語一般に関する学問に秀でていることであるといった感覚が、そもそも発展途上国的、あるいは、敗戦国的感覚なのではあるまいか? そりゃまあ、むかしは両者はほぼ一致していただろうから実用上問題はなかったであろうが、もはやそんな時代ではない。現在、日本語で一般的に“語学力”と呼ばれているものは、“言語力”とでも言い直したほうがよいと思う。学問と技能とをないまぜにするべきではないと思うのである。

 言ってることが抽象的でよく伝わらないかもしれない。伝わるかどうかよくわからないが、なんとか例を挙げてみることにしよう。

 たとえば、“食の安全”といったテーマが英語圏のメディアで取り上げられるとき、しばしば“You are what you eat.”というフレーズが使われる。まあ、英語が母語でない人間にもズバッと伝わる、いわゆる“キレのよい”英語的表現である。

 おれの認識で言えば、“You are what you eat.”という表現を、「ああ、ポパイが“I am what I am.”ってよく言ってたよなあ」などとゼロから自分の表現として感覚的に編み出せるのが“言語力”、これが英語圏では決まり文句的に使われている表現であると知っていて使えるのが“言語運用能力”、さらにこの表現の背景に、『美食礼賛』を著し焼き菓子にもその名を遺すブリア・サヴァラン“Dis-moi ce que tu manges, je te dirai ce que tu es (Tell me what you eat and I will tell you what you are)"などといった言葉や、ルドルフ・シェーンハイマー生物の動的平衡に関する発見の業績などに思いを致しつつ理解できるのが、単なる“教養”というものである。

 おれは、里田まいを言語力に優れた人だと考えるが、言語運用能力や教養に優れた人だとは考えない。おれが言っているのは、そういうことだとお考えいただきたい。

 ま、要するに、英語が反射的にしゃべれるだけのバカもたくさんいる、ということをおれは言いたいのである。もっとも、“単なる教養”というのは、クソの役にも立たないし、表立って表現されないことがほとんどであるものなのだけれどもね。



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汚染米じゃなまぬるい、“毒入り米”と呼べ!

 いま焼酎のお湯割りを飲みながらこれを書いている。幸か不幸か、おれが飲んでいる銘柄は幸か不幸か“いまのところ”毒入り銘柄には挙がっていない。

 マスコミは最初あれを“事故米”と呼んでおり、やがて一部を除いては次々と“汚染米”と呼びはじめたが、ふつうに考えれば“汚染米”でもまだまだなまぬるい。転売した業者の犯意農林水産省の不作為(ひょっとして業者と癒着していたとすれば犯意)という二重の“人間の意志”が介在しているのだから、“汚染されていた米”などというニュートラルな言葉を使っている場合ではないだろう。例の農薬の入ったギョーザをみな“毒入りギョーザ”と呼び習わしているのだから、今回のこの米も“毒入り米”と呼ぶのが適当ではあるまいか。焼酎メーカーやらお菓子メーカーやらなにやら、善意の第三者として“毒入り米”を購入し、それを原料とした商品を作って売ってしまった方々にはまことに気の毒ではあるが、腐った役人どもの根性を叩き直すためには、被害者となった善意の第三者の方々にも、あえてこれを“毒入り米”と呼んでいただきたい気持ちがおれにはある。誰もあなたがたが犯意を持って毒を混入したなどとは、もはや思いませんから。すべては、毒と知りつつ転売した業者と、そもそもそんなものを売って、容易に転売できるような仕組みを作った農林水産省が悪いのです。

 もし業者を検査した農水省の担当者に充分な能力があったのなら、同じ業者に過去五年間のあいだに九十六回も検査に入っていて見抜けなかったなどということはまずあるまい。その場合、作為義務がある状況に於いての不作為があきらかに認められるだろう。公務員による犯罪だ。もし検査担当者が、公務員であるにはあまりに能力的に適格を欠く場合、また、そのような業務を行わせるにはあまりにも能力的に適格を欠く場合(早い話が、税金で養われているにしてはあまりに阿呆な場合)、その直属上司から農水大臣までがみな悪い。阿呆にその知能以上のことを無理やりやらせているのだから、そんな状況で当の阿呆を責めては阿呆がかわいそうだ。阿呆(すなわち、検査担当者)たち自身には罪はない。ただ阿呆なだけで、それは生まれつきのものだから、本人たちの努力ではどうにもならないのである。なにかのまちがいで公務員に採用されてしまっただけの話だ。採用のしかたそのものにも、大きな問題があるだろう。だからこの場合、当然そういう重要な仕事を阿呆に命じているやつらが悪い。もし検査担当者たちが阿呆でないというのなら、明白な犯意があるとしか考えられないから、農水省は、転売した業者だけではなく、とっとと検査担当者たちを刑事告訴しろ。おれの言っていることになにかおかしいところがあるか?

 というわけで、マスコミの方々、もうそろそろあれをちゃんと“毒入り米”と呼んではどうか? もちろん、善意の第三者である、米を原料とした食品を作るちゃんとした業者さんたちの損害を国が賠償するべきであるのは言うまでもない。警察には、転売した業者と検査担当者たちの金銭授受を伴う癒着関係がないかどうかを徹底的に調べてもらいたい。



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2008年9月13日 (土)

「マダム・フユキの宇宙お料理教室」──タマネギの丸かじり、カボチャのチン食い

 以前のエントリー「タマネギの丸かじり」で、相澤仁美の芸当に驚嘆していたのだが、まあ、おれもタマネギの辛さには強いほうだし、そもそもタマネギは好きだから、丸かじりするとどの程度の刺激を受けるものなのか、やはり実際にやってみなくてはなるまいと思い立ち、スーパーでタマネギを買った。淡路島産だ。

 で、頭とお尻の固いところを包丁で落とし、表面の茶色い皮を剥き、最外殻の固い層を一枚剥いた。すると、適度な湿り気を帯び、白くつるつるとした野球のボール大のうまそうなものが顕われた。おれは、まる剥きのタマネギとはこんなにうまそうだったろうかとしばしそれを見つめ、おもむろにリンゴをかじるように歯を立てると、ばりべりぼりばりっとひと口齧り取った。

 おっ?

 悪くない。悪くないぞ! たしかに独特の刺激が舌を刺してはくる。が、同時に、ほんのりと甘い。辛くて甘い。やってみるものである。たぶん、まともに調理すると包丁で細かく切るから揮発性の刺激物が目にクるのであって、丸かじりは意外と悪くない。異食などと言って悪かったよ、相澤仁美クン。

 これは酒のアテにいいかもなと思い、おれは急いで焼酎お湯割りを作ると、台所で夕食の準備をしながら、タマネギを丸かじりしては焼酎をちびちびやりはじめた。タモリじゃないが、台所で料理しながら飲む酒はなんでこんなにうまいのでしょうな。

 ちなみに、今夜の夕食のメインは、閉店前のスーパーで三割引きになっていたハマチの刺身カボチャである。カボチャを適当な大きさに切って電子レンジでチンするとそのまま食べられておいしい、ものぐさなお兄ちゃんにはぴったりやないか……と、肉親を客観的に見ることができる妹が先日教えてくれたので、さっそく実践してみた。もっとも、“適当な大きさに切る”というパートがおれには気に入らなかったので、二分の一に切ってあるカボチャを買ってきて、よく洗ってから四分の一に切った。おれにしては、えらく手のかかった調理である。四分の一にまで切ると、頭とお尻の固いところが包丁で落としやすくなる。で、それをそのまま電子レンジに放り込み、十分ほど温めると、外側の皮ごと箸で楽々と切れるほどのうまそうな塊になった。ほお。これはいける。

 あとは、炙ったウルメイワシの干物、めかぶ白菜の漬物(柚子風味)というのが、今夜のメニューだ。おそらく、いちばん人工的な味がついているのは、白菜の漬物だろう。極力素材の味を生かした料理(?)ばかりの、ボリュームたっぷりの夕食となった。

 お茶と酒があれば、タマネギの丸かじりもなかなかいけるもので、結局、野球ボール大のを、まるまるひとつ、生で平らげてしまった。リンゴを一個食ったくらいの食い応えがある(あたりまえだ)。なるほど、これは食わず嫌いだったな。タマネギを丸かじりするなどという発想が単におれにはなかっただけで、やってみるとなかなかどうしてうまいものだ。なにごとも、考えたとて詮ないことをうだうだ考えているくらいであればまずやってみることだ。相澤仁美様々である。

 このような意表を突いたうまい食いかたを教えてくれた彼女に敬意を表して、わが家ではこれを“タマネギのアイザワサラダ”と呼称することにする。要するに、丸かじりなのだが。

 まあ、個人差、個タマネギ差の大きい料理だと思われるので、あなたがやってみてうまいかどうか、当局は一切関知しないからそのつもりで。

 Good luck, Jim! This entry will NOT self-destruct in five seconds.



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2008年9月11日 (木)

北の決死圏

金総書記「四肢マヒの可能性」、元CIA部長が分析 (YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080910-OYT1T00391.htm

 【ワシントン=黒瀬悦成】米中央情報局(CIA)元東アジア部長で、北朝鮮問題の専門家アーサー・ブラウン氏(58)(現・情報コンサルタント会社役員)は9日、読売新聞と会見し、健康悪化説が伝えられる北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記(66)について、「脳梗塞(こうそく)にかかった公算が大きい」との分析を明らかにした。
 ブラウン氏は、複数の関係筋からの情報として、金総書記が倒れたのは8月中旬か下旬で、倒れた数日後に中国から医師団が到着、治療に当たっているとした。「総書記は過去に糖尿病の治療のため欧州などから医師を招いているが、今回、中国からただちに医師を呼び寄せたのは、緊急治療を要する容体だったことを示している」と指摘した。

 たぶん世界中のSFファンがおれと同じことを考えているのだろうとは思うが、その中国からの医師団は、いまごろ縮小光線でミクロ化されて金正日の体内にいるにちがいない。彼らは「縮み組」と呼ばれているとかいないとか。

 なぜ今回、ヨーロッパからではなく中国から医師団を招いたかというと、縮小光線の技術はいまのところ中国しか持っていないからだろう。人口増加による食糧不足などの諸問題を解決するため、じつは中国では「1/8計画」が極秘裡に進行しており、人体や物体の縮小技術には一日の長があった。おそらく、「1/8計画」のための研究をしているうちに、1/8どころか、どえらく縮んでしまう技術を手にしたのだろう。

 それにしても、一か月近く経っても効果が持続するような縮小光線がすでに開発されていたとはな。いや、もしかすると、そのような完成度の高い縮小光線でもさすがにそろそろ効果が切れてきて、少し大きくなってしまった中国の医師団は、いまごろ襲いくる白血球と闘いながら、難しい治療に苦戦しているのかもしれない。

 まあ、当たらずといえども遠からずといったところだろうな。CIAの元部長ともあろう人が、なんでこんな簡単なことに気がつかないのだろう。情報分析力を疑うよなあ。



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2008年9月10日 (水)

副大統領候補は眼鏡っ娘

Sarah Palin's glasses are style hit (Marie Claire)
http://www.marieclaire.co.uk/news/fashion/272941/sarah-palin-s-glasses-are-style-hit.html

Style conscious voters in the US are racing to get their hands on a pair of Sarah Palin's signature rimless glasses.
Opticians in the States have seen an influx in demand for Palin's specs, which she wore during her convention speech last week.
The $375 frames are by Japanese designer Kazuo Kawasaki, and are made from titanium. They are from a collection entitled the 704 series, and her specific style is the 34 grey.
Retailers are now clamouring to stock the style, as demand has continued to soar.
Palin bought hers from an optician in Chugiak in Alaska, where owner Joy Leedham helped her choose the design. Leedham has since been inundated with orders, and told The Observer this weekend that she has been swamped by emails with the same query, 'Sarah Palin glasses please.'

ペイリン副大統領候補の日本製メガネ 米国で注目され大流行? (J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2008/09/08026468.html

米共和党の副大統領候補のサラ・ペイリン・アラスカ州知事(44)がかけているメガネが米国で大きな話題になっている。日本の有名プロダクトデザイナー川崎和男氏が設計し、日本のメーカーが製造したものだが、「国民の目は知事ではなく、彼女のメガネに向けられている」と報じる米紙も出ている。これをきっかけに「日本メガネ」がブレークする可能性もある。

 なんかもう、眼鏡が副大統領候補になったかのような騒ぎだね。たしかに、サラ・ペイリンの眼鏡はカッコいいよなあ。野尻抱介さんがアメリカ人で大統領選挙人だったら、政策もイカの頭もなく、共和党に票を投じそうだ。眼鏡っ娘ファン的には、ヒラリーなんか目じゃないね。あくまで、ルックスは。《R.O.D》シリーズをハリウッドで実写映画化する際には、もう読子・リードマンのキャスティングは決定だね。ちょっと年齢的にナニなものはあるけどね。

 「あの眼鏡は伊達じゃないの?」( Are Sarah Palin's glasses fake? )なんてウェブで尋ねてる人がいたりして、眼鏡っ娘萌えはインターナショナルなものなんだなあと嬉しくなる(?)。最高の回答は、これだな―― As fake as Biden's hair and Obama's smile.

 自民党の総裁選もアキバ系に色目を使っているけど、アメリカも似たり寄ったりかもねえ。それだけオタク票は大事だということなのだろう。

 いやあ、でも、こんな司書さんが出てきたら、週に三日くらい図書館に通っちゃいそうだね。小浜市の次は、福井市鯖江市が喜びそうだ。

 ご注文は、カズオ・カワサキの the 34 grey だ。



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2008年9月 9日 (火)

『時速250kmのシャトルが見える トップアスリート16人の身体論』(佐々木正人/光文社新書)

 いやあ、すごい世界だなあ。おれはスポーツとはほとんど縁のない人生を送ってきたが、おれなどからは超人としか見えないような人々が、いったい全体、主観的にはどのような世界を感じているのかということには、たいへん興味がある。本書は、認知科学に於けるアフォーダンス理論のわが国での第一人者、佐々木正人氏が、常人の実感も想像も超えた独自の宇宙を体感している十六人のトップアスリートたちにインタビューを試みた刺激的な仕事である。トップアスリートが“環境”からどのような情報を受け取り、それをどう制御しているかを、主観的な言葉で表現するというのには、たとえば、才能に恵まれた数学者が、高次元空間の抽象的な幾何学を「これをこうすると当然こうなります」などと、あたかも日常的な三次元空間の物体を手に取って動かしているかのように語るのを聞いているみたいな不思議な感じがある。

 興味本位で読みはじめたところが、あまりに面白いのでつるつる読める。この人たちは、ほんとうに人間なのか。というか、人間だとしたら、人間の認知能力というのはどえらいものであるなあと、改めて感じ入る。

 潮田玲子(バドミントン)は、本書のタイトルどおり、初速が時速250キロで0.3秒後には時速50キロにまで減速するシャトルの動きを、コート上の空間を二十分割して瞬時に捉えているそうな。鈴木亜久里(F1)は、「見ることと思考の回路は全然違うところにあると思う。流れ作業をやっている人が会話してても、作業してるじゃないですか。それと同じように300kmで走っていても普段と同じように冷静に考えられるんです」と語る。船木和喜(スキー・ジャンプ)によれば、「冬と夏だと風の重さが違」うそうで、武田大作(ボート競技)は、オールを水に入れるのは「豆腐に包丁を入れる感じですね。豆腐に包丁を入れて壊さないで後ろへ持っていくような感じです。水を壊しちゃ絶対にダメです」などとお料理教室のようなことを言う。「シドニーはとにかく全体が重くて硬い感じで、アテネは比較的好きな感じのタイプでした。全体が重くて硬いというのは、グラデーションがないということです。シドニーのほうが、硬くてコキコキしていた」武田美保(シンクロナイズド・スイミング)が語るのは、プールの水の話なのである。

 なんというか、おれの日常感覚とはかけ離れた、とてつもない感覚だ。おれのようなスポーツ音痴にとっては、まるで山田風太郎忍法帖でも読んでいるかのようだ。

 彼ら・彼女らの主観的表現を科学的にどうこう言うことにはあまり意味がない。彼ら・彼女らが、信じられないほどの鋭敏な感覚で主観的に環境を捉え、それを制御しようとするさまを常人になんとか伝えようとするときに、なんだか山田風太郎じみてくるだけのことである。人間の認知能力とは、なんとものすごいものかと感動する。

 自身でスポーツをやる人はもちろん、スポーツに縁のない人にも面白いこと請け合い。これはね、トンデモとは一線を画するフィールドワークですよ。歴とした認知科学の仕事でしょうね。



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2008年9月 8日 (月)

「あなたとはちがうんです」って、どう英訳します?

 今年の流行語大賞候補に早くも挙がっている、福田首相の「あなたとはちがうんです」であるが、これ、どう英訳されているのか、ちょっと興味が湧いて、ニュースサイトやブログを調べてみた。いくつか、例を挙げよう。

  I can see myself objectively, as opposed to you. (telegraph.co.uk

  I can see myself through an objective perspective. I am different from you. (Asia Times Online

  I am able to view myself objectively and that is my strength. (Business Week

  I am able to look at myself in an objective manner. I am different from you in that respect.  (Asian Gazette

  I can see myself objectively. I'm not like you. (Reuters > Yahoo! News

 面白いのは、アジア系の媒体では、福田首相の「ちがう」という言葉を、different と訳しがちなことである。欧米的な indivisualism が無意識にでもベースにあると、AさんとBさんとが different であるのはあたりまえのことであって、different では「おれはおまえより上等な人間なのだ」という倣岸なニュアンスが出ない。しかし、英語を外国語として学習したアジア人が読むと、たしかに福田さんの言いたいことは different でわからんでもない。おれはアジアのほかの国の言葉をよく知らないが、他と“異なる”ということに、個別には積極的な価値を見い出さないとか、そこに階層的な差異を見い出してしまうとかいったものの感じかたがベースにあるあたり、同じアジア人だなあと思う。アジア人にとっては、同一階層にある者同士が different であることは悪いことであり、different であることを誇示してもよい対象は異なる階層(とくに下の階層)にある者なのだろうな。

 その点、欧米系の媒体では、さすがに different という言葉は使っていない(まあ、時間かけて調べれば使ってるところもあるやもしれんけどな)。日本語を外国語として学習した英語ネイティブには、福田さんの言わんとするところを英語で表現するには、different ではないよなあという思いが働くのだろう。“I'm not like you”というのは、じつにうまい。そうだよね、これが福田さんの言う「あなたとはちがうんです」のニュアンスを最も正確に伝えているだろう。やはり、あたりまえかもしれんが、英語としていちばんこなれているのはロイターだろうと思うね。日本語と日本文化について深い知識と理解があるからこそ、このようなキレのよい訳ができるのだ。

 Business Week の“and that is my strength”ってのも力作だと思うが、これは文字で読むと、福田さんがこの言葉に乗せた厭味なニュアンスがうまく伝わらない。音声通訳だったら“my”を強調して読むことで正確なニュアンスを伝えることができるだろうし、そうするのなら、これが最高傑作じゃないかな。文字にするなら、“and that is MY strength”と、大文字にするくらいの工夫は欲しいな。

 中学校や高校の英語の先生に於かれては、福田さんのこの「あなたとはちがうんです」を生徒に英訳させてみて、言語と文化について考えさせてみるなんて授業を試みてご覧になるのはいかがだろう?


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2008年9月 7日 (日)

これを検索してなにが知りたいというのだろう?

 おなじみ《ヘンな検索語》シリーズ、じつに世間は広いということを、改めて実感した――

「北野勇作 アホ」

 なにが知りたくて検索しているのだ、この人は? 北野勇作に心酔していて、彼を誹謗中傷している記述を探しているのであろうか? はたまた、北野勇作がアホであるという、主に田中哲弥田中啓文小林泰三牧野修らによって吹聴されている噂の真偽を確認したくて検索しているのであろうか? はたまたまた、本人が世論調査をしたくて検索しているのであろうか? 彼はしばしば「アホ、ちゃうで」と強く主張しているので、そういうことが気になるのかもしれない。

 まあ、おれの見解としては、SFなどというものを書くには知能は高い必要があるが、ある種のアホでなければ、そもそもそんなものを書く気にはならないだろうことはたしかであって、まあ、そういう意味では、北野勇作ばかりではなく、田中哲弥も田中啓文も小林泰三も牧野修も、アホと呼ばれるに足る“歪み”を抱えて生きているにちがいない。“頭のよい歪な人々”がSF作家なのである。



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2008年9月 6日 (土)

ひっさびさの「マダム・フユキの宇宙お料理教室」

Banderu01_2 じつにひさびさの「マダム・フユキの宇宙お料理教室」である。

 今日の料理は、バンデル星人のホイル焼き”。まず、バンデル星人を買ってきます。バンデル星人は写真のように親子で売られていることが多いですね。熱線銃などでの損傷が少ないものを選びましょう。広島産のバンデル星人がポピュラーです。体積のわりにとても安いので、人類の防衛にもなるうえ家計の防衛にもなります。バンデル星人を知らない人は、お父さん・お母さん、あるいは、お爺さん・お婆さんに訊いておきましょう。

 バンデル星人を使ったレシピは、ちょっとウェブを漁るとうようよ出てきますが、当お料理教室では手のかかるものは一切扱いません。可能なかぎり手抜きをするのが当お料理教室のモットーです。世間ではこれを「素材の味を生かす」と言っていますね。

 まず、バンデル星人を軽く水洗いし、縦に適当に切ります。あまり薄く切ると食い応えを減じるので、六、七ミリくらいの厚さがよいでしょう。子供のバンデル星人などは、三枚におろすくらいのつもりでよろしい。

Banderu02_3 次に、オーヴンにアルミホイルを敷き、切ったバンデル星人を並べて焼きます。バンデル星人の体液が流れ出し、しなっとなるくらいが適当です。焦げるくらいに焼いては、縮みすぎて風味を損ねます。

 最後に、焼いたバンデル星人にレモン汁をたっぷりふりかけ、醤油とオリーブオイルをかけます。オリーブオイルこそが欠かせないポイントです。これがじつにバンデル星人に合います。醤油だけではクリープを入れないコーヒーのようになってしまいます。よく絡めてできあがり。

 シャキシャキとしたバンデル星人の繊維の歯応えとシナモンのような香味が、酒の肴にぴったりです。オンニョゴニョン。



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交通安全教育

スイカ、フロントガラスにドスン 北九州の高速道路 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0906/SEB200809060002.html

 6日午前2時45分ごろ、北九州市門司区上藤松1丁目の北九州都市高速4号線で、乗用車のフロントガラスが割れたと県警高速隊に通報があった。つぶれたスイカが車に付着していたことから、門司署は高速道を横断する陸橋から何者かがスイカを落とした可能性が大きいとみて、器物損壊の疑いで調べている。
 調べでは、車を運転していたのは福岡県古賀市の主婦(43)。下り車線を走行中、陸橋の下付近で突然「ドン」という音がしてフロントガラスの助手席側がクモの巣状に割れ、驚いて停車したという。通りがかった道路管理会社のパトロール車が高速隊に通報した。

 フロントガラスが割れるなんて、スイカってすごい破壊力なんだあ……などと子供たちは思うかもしれないが、それはちがうよ、キミたち。走っている自動車のほうがすごい破壊力を持っているんだ。クルマが歩いている人を跳ね飛ばしても、フロントガラスが割れたりするだろう? 陸橋から落ちてきたスイカそのものが持っている運動エネルギーは、たいしたことはないんだよ。

 こう考えてみよう、子供たち。スイカが当たった自動車にはキミが乗っていて、じつはずっと道路の上に止まっていたんだとしよう。そこへ、前方から時速百キロメートルくらいのすごいスピードで陸橋が走ってきて、突然スイカを発射した。スイカは、キミの乗っているクルマに前方斜め上から一直線に迫ってきて、フロントグラスにぶつかった。スイカには陸橋が走ってきた勢いと陸橋から落ちてくる勢いの両方が加わって、すごい破壊力を持つ。そういうわけだ。

 陸橋が走ってくるなんておかしいって? いやあ、そりゃわからないよ。宇宙の中のどこかの星には道路やクルマを発明している宇宙人だっていて、そこではひょっとすると、陸橋というものは走ってくるのがあたりまえということになっているかもしれない。陸橋が移動したら、歩行者には便利かもしれないからね。え? だったら、クルマに乗らずに陸橋に乗っていろんなところへ行けばいいって? そうそう、その調子だ、そういうふうに考えてみるんだ。

 道路を横断するとき、キミはせいぜい小走りしているくらいに思っているかもしれないが、クルマを運転している人から見ると、キミのほうが六十キロ、七十キロというスピードで斜めに道路を横断しながらクルマに向かって突っ込んでくるように見える。見えるだけじゃなくて、実際にそうなんだ。自分が七十キロで走っているんだと考えたら、とても怖いだろう? スイカみたいになりたくなかったら、道路を横断するときに、ちょっとおじさんの話を思い出してほしい。

 で、こういうものの見かたがちょっと面白いなあと思ったら、本屋さんや学校の図書室や近くの図書館に行って“SF”と書いてある本を手に取ってみてほしいんだな。星新一って面白いおじさんの本から読んでみようか……。



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次の選挙はお祭りだ! 若人よ、投票所へ走れ!

選挙近いし…露出狙って候補者続々 自民総裁選 (asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/0906/TKY200809050354.html

 自民党総裁選レースに意欲を示す議員が後を絶たない。4日に意欲を見せた棚橋泰文・元科学技術担当相(45)と同様、若手議員の結束を訴える山本一太参院議員(50)も5日名乗りを上げた。推薦人確保のあてがない意欲表明は売名行為と紙一重でもある。

 どのみち麻生さんで決まりの出来レースなんだろうが、自民党もいまがチャンスとばかりに、なりふりかまわぬショーアップに励んでますなあ。こうやってブログのネタにすること自体が、自民党の思うツボみたいでちょっと癪に障るけどね。

 どのみち選挙管理内閣だ、遠からずやってくる総選挙のときには、地味な民主党にはさらなる露出で挽回してもらいたい。薄々みんな思っていることであろうが、かくなるうえは、山本モナを出馬させるしかあるまい。そうすると、自民党は、小渕優子あたりの応援演説に、絶対DAIGOを引っぱり出してくる。「平成」と書いた半紙を持たせてな。うぃっしゅ。そうすると、民主党は、天津木村“マニフェスト詩吟”を吟じさせる。あると思います。対する麻生自民党は、AKB48を総動員してアキバ票の獲得に走る。焦った民主党は、オタク票・ニート票を奪還しようと、稲垣早希を引っぱり出したり、ガリガリガリクソンを引っぱり出したり、ラジバンダリ。

 世も末やなあ……。



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『ディファレンス・エンジン』が復刊されたぞ!

  おおお、「『ディファレンス・エンジン』(ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング/黒丸尚・訳/角川書店)の復刊希望。こういう記念碑的古典(というには新しいが、やっぱり“スチームパンク”という意味では古典だよなあ)が古本でしか入手できないのは、じつにもったいない」などとほざいていたら、ほんとうに復刊されてしまったぞ。しかも、ハヤカワ文庫として。会社の帰りにリアル書店に寄ったら平積みされていた。どこかでどこかでエンジェルがちゃんとちゃんとちゃちゃーんと眺めてるにちがいない。まあ、おれ以外にも復刊しろしろと願っていた人はたくさんいるだろうけれども。

 十七年前にはまだ字が読めなかった若者よ(奇しくも、いわゆる“デジタルネイティブ”のほんのちょっと上の世代から、もろの世代までを含むな)、古本で読んでいなければ、今回は読もう。まあ、今後、遠い未来まで、絶版・復刊を繰り返しては、それでも読み継がれてゆくにはちがいないが、今回手に入れ損ねたら、また二十年近く待たなきゃならないかもしれないぞ。

 ふと生まれてみるとコンピュータがブラックボックスとして身のまわりにあったキミたちよ。“蒸気コンピュータ”がシュッポシュッポ(?)と稼動する、もうひとつの歴史を堪能せよ!



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2008年9月 5日 (金)

真実はときに人を傷つける

 最近、お気に入りのCMは、「おむすび山 赤飯風味・公園」篇ミツカン)。もうこりゃ、片桐はいり以外あり得ないキャスティングだよな。最後の当惑した親子の間も最高。うん、人生、こういうもんだ。



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2008年9月 3日 (水)

お買い上げ御礼(2008年8月)

■2008年8月

【最も値段の高いもの】

 ほー、この【最も値段の高いもの】には、たいてい電化製品や玩具がランクインしてくるものなのであるが、8月は書籍がトップに輝いた。

 イマニュエル・ウォーラーステインってのは、「世界システム」論で有名な学者さんだよね。ウチみたいなアホ日記を経由して、ずいぶん硬い本を買う人がいるもんだ。おれはこの人の論をまだちゃんと読んだことがないもんで、やっぱりこのグローバルでボーダーレスな時代には、たまにはこういう巨視的なものを読んで視座を増やしておかねばいかんなあ。ビジネス誌ごときですら名前を見かけるような人は、SFファンとしては把握しておかんといかん。不勉強を反省。

 でもまあ、個人的好みとしては、どうしても小説や科学書を優先しちゃいますな。

【最も値段の安いもの】

 あららら、あのベストセラーも、いまや一円で売ってるのか。いや、おれは養老孟司が嫌いではなく、どちらかというと、あの頭がよすぎるがゆえのミもフタもなさ西村博之みたいで面白くて好きなほうだ。が、まあ、さすがにこの本はぱらぱらとめくってはみたものの、新刊で買うほどのものでもないと、いままでスルーしてきている。こんなに安くなっているなら、そのうちよっぽど暇なときにでも読んでみようか。なんだかね、アオリやら書評やらを読むにつけ、やっぱりあたりまえのことしか書いてないような気がますますしてきて、食指が動かないんだよなあ。

【最も多く売れたもの】

 まあ、この本はおれも“アタリ”だと宣伝したこともあって、けっこう関心を持ってくださった方が多いようで、そこそこ売れましたね。こういう知的好奇心を掻き立ててはくれるけれども、べつに実利的にはなんの役にも立たない本が売れるというのは喜ばしいことだ。

 母の証言によれば、おれは二歳のときにはひらがな・カタカナと簡単な漢字交じりの本が読めたそうだから、四十四年弱、本を読んできて思うことだが、当座の役に立てようと読んだハウツー本など、あとから振り返ると、なんの役にも立っていないことが多い。つまるところ、いかにも当座の役には立ちそうにない、ものごとの根本をテーマにしたような本のほうが、深く記憶に残り、気がつけばしばしば想起し、折に触れて読み返したくなったりするものだ。四十代くらいになると、なんの道によらず、“古典”ってのはほんとうに大事だなあとしみじみ思うようになる。結局、最高の書評家は“時間”なのだ。わかろうがわかるまいが、二十代くらいまでのあいだに、いろんな分野の“古典”と呼ばれているような書にはできるだけ多く触れておくことが、中年以降の知的生活を豊かにしてくれると思う。若者よ、当座の役には立たない本を読め。当座の役に立つような本は、どのみち読みたくなくても読まざるを得ない状況に追い込まれるものである。仕事で読まなくちゃならない本などは、その最たるものだ。そういう実利的読書とはまったく別の次元で、おのれの知的好奇心に忠実な読書にあえて時間を割く勇気が持てるかどうかが、歳食ってからの主観的幸福を大きく左右する。

 まあ、この本なんかは、これをハブにして、とくに好奇心を刺激された分野を深堀りしてゆくと、有意義な思索に耽れると思うのよのさ。

【最もケッタイなもの(主観)】

 なななんじゃこれは、さほど面白くもなさそうなゲーム機なのになあ、と思って調べてみると、なるほど、ある種の納得を得た。

 このゲームのしゃべる声は、初音ミク“中の人”である藤田咲が担当しているとのこと。つまり、初音ミクの声でしゃべるゲーム機なわけだ。だったら、ゲームの面白さなどは度外視して、その付加価値だけを目当てに買う人がいても不思議ではない。みっくみくな人は、検討の価値あり?

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証拠隠滅の定番パターン

理事長部屋…まさか 露鵬・白露山から大麻反応 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0902/TKY200809020359.html

 角界が恐れていたことが2日、現実となった。日本相撲協会が関取衆を対象に抜き打ちで行った尿検査で、ロシア出身の露鵬(大嶽部屋)と白露山(北の湖部屋)から大麻の陽性反応が出た。秋場所の初日まで2週間足らず。元若ノ鵬容疑者の大麻事件に続く薬物汚染の捜査は理事長の部屋も直撃した。

 「親方、ウチもバレたらどうしましょう? あいつの部屋にたくさんありますよ」
 「なあに、堂々と撒けて、まず捜査されない場所があるじゃないか」



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おれが映画監督だったら……

 はるな愛椿姫彩菜のレズシーンを撮ってみたい。“怖いもの見たさ”というやつだ。

 いよいよ佳境に入ったところへ、なだぎ武がフレームインしてくる。「♪ややこしや~、ややこしや~」



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2008年9月 2日 (火)

今月の言葉

麻生感

 福田さんが急に辞めたので、ますます麻生感が漂ってきたぞ。

 ♪パフォーマンスはいたしません
   期待にも応えないけど
   福田の辞任は大目に見て
   麻生感 麻生感
   このチャンスだけは
   死んでもはなさない
   すがりたい
 ♪このままじゃ 終わるわけない

 ……って、歌変わってるじゃん。



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2008年9月 1日 (月)

ゴミの体積を減らして家計防衛

 生ゴミにせよプラスティックゴミにせよ、なにやら無駄に体積が大きくなってしまうのに腹が立つ。なにしろ、京都市では四十五リットルのゴミ袋が一枚あたり四十五円もするのだ。そこでおれは、最近、ゴミの体積を減らす大作戦に取りかかった。

 ゴミの圧縮機を買うとかいった金のかかる方法ではない。ゴミをすぐに捨ててしまわず、極力、ゴミの中にゴミを入れるようにするという作戦である。煙草の空き箱の中に細かいゴミを詰める。さらにそれをティッシュペーパーの空き箱の中に詰める。エリンギを入れて売っている容れものはとくに体積が大きいので、その中にほかのプラスティックゴミを詰め込んで捨てる。でかいヨーグルトの容器にも、いろいろほかのプラスティックゴミが入る。とにかく、できるだけゴミを“入れ子”になるようにして捨てるのだ。

 これは案外バカにならないぞ。おれはこの作戦を勝手に「マトリョーシカ作戦」(cf.『サラマンダー殲滅』)と呼称して、わが家で励行している。

 まあ、ほんのわずかでもね、家計の防衛にはなるよ。百五十円でも二百円でも防衛できれば、それで iTunes Store で一曲買えるわけだよ。ペットボトルのドリンクが一本買えるわけだよ。“金を払って空気を捨てる”ようなアホなことをできるだけ避けるため、みなさんもマトリョーシカ作戦を励行せよ!



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