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2008年8月28日 (木)

じゃあ、ソースネクストの商品は企業じゃ使えなくなるよなあ

USBメモリでPCソフト販売 「どのPCにも使えるメディア」を強調 (J-CASTニュース)
http://www.j-cast.com/2008/08/27025824.html

「PC(パソコン)にソフトをインストールする」といえば、CD-ROMを使うのが、これまでの「常識」だった。ところが、低価格PCの売れ行きが伸び、その風向きが変わりそうなのだ。そうした中で、大手ソフトウェア会社ソースネクストが、ソフトをUSBメモリに入れて発売することになった。記憶媒体の変遷が、また一段と明確になった形だ。
ソースネクストが年内計30タイトルを発売
ソースネクスト(東京都港区)は2008年8月27日、USBメモリにソフトウェアを収容して販売する「『Uメモ』戦略」を展開する、と発表した。具体的には、「ウイルスセキュリティZERO」などの定番ソフト7タイトルを08年9月5日に発売し、08年末までに合計30タイトルを発売する。ソフトが収納されている容量1GBのUSBメモリは、インストール後は通常のUSBメモリとして利用でき、販売価格はCD-ROM版と同価格を維持した(「ウイルスセキュリティZERO」であれば標準価格4980円)。
この背景にあるのが、販売価格が10万円を切る「低価格PC」の伸び。民間調査会社のBCN(東京都文京区)の調べによると、低価格PCの2008年7月時点での販売台数のシェアは、ノートPC全体の4割に達している。この低価格PCの売れ行きがPC市場全体を下支えしている模様で、PC全体の売れ行きを見ても、08年4~6月期の国内PC出荷台数(速報値)は前年同期比8%増の354万台に達している(IDCジャパン調べ)。
しかし、この低価格PCの価格は、「使用頻度の低い機能を削ぎ落とす」ことで実現されている面が強いのも事実。通常であればソフトなどのインストールに必要なCD-ROMドライブが搭載されていないケースも多い。

 これはなかなか思い切った戦略だなあ。

 たしかに低価格パソコンの伸びだけを見ればUSBで提供するのは合理的だが、並みのセキュリティー・ポリシーを持っている企業には、USBメモリをパソコンに接続することをそもそも禁じているところも少なくない。むろん、ソースネクストはそんなことは百も承知だろう。元々ソースネクストの主たるターゲット層は個人である。だが、安価で軽いソフトが多いため、企業でもけっこう重宝していたところが多いのが実情だろうと思う。今回のUSBでの提供は、「ウチの商品は個人のお客様のためのものであり、企業には売れなくてもかまいません。いや、むしろ使わないでください」と暗に宣言しているわけである。当然彼らも損益を緻密に計算したうえでこういう戦略を取ったのだろう。

 なんかソースネクストを見ていると、ノートパソコンが普及しはじめたころに、フロッピィーディスク一枚に入る軽くて安価な“文具”としてのソフトを売り出したアシストの姿が既視感を伴って甦ってくるよなあ。あれはけっこう重宝したよね、当時は。アシストのやったことは、早すぎたんでしょうな。いまでは、アシストはそうしたパーソナルユースの分野からはすっかり撤退しており、企業向けのミドルウェアを中心に扱う会社になっている。

 企業のシステム管理者は、今後しばらく、ソースネクストの商品を社内のクライアントパソコンにインストールしようとするやつに注意してまわる仕事が増えることになるだろう。社員が自分のパソコンにインストールしているソフトをすべて情報システム管理者が把握できるようなデスクトップ管理のインフラを導入している企業であればそうだが、あまり情報システムやセキュリティーにお金をかけられない企業であれば、もっと安価で効果的なシンプルきわまりない施策を採っているところもある。クライアントパソコンのUSB端子を、専用工具がなければ外せない“蓋”で塞いでしまうのだ。そうした用途のための蓋と工具は実際に販売されている。コストパフォーマンスを考えればバカにできない、コロンブスの卵的なソリューションである。USBマウスやキーボードはどうするんだろうと思うこともあるけどね。

 セキュリティーや内部統制がやかましく言われるようになればなるほど、今後ますます、野村総合研究所の言う「産消逆転」という現象は進んでゆくような気もするよね。おれの勤めてる会社なんかでも、完全に産消逆転してるしなあ。



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コメント

「産消逆転」と言うのは面白いですね。トム・クランシーの小説で、軍や警察より犯罪組織の方が最新のITを導入してしまうという現象と同様のものですね。
 これは考えようによっては、セキュリティ意識の一部企業とそれ以外のギャップの産物ではないでしょうか。歌舞伎町をやくざが跋扈する犯罪都市と考えている人間は、そこに行くのに金目のものは持参せず、そもそも歌舞伎町に近づこうとしない。
 逆に歌舞伎町を新宿の一部に過ぎないと考えている人は、現金握りしめ無防備に振る舞う。リスクはこちらが高いけど、自由度も大きい。

 ここで誰もが自分の歩いている街が犯罪都市だと考えると、セキュリティ意識のギャップもなく「産消逆転」も起きない。

投稿: 林 譲治 | 2008年8月28日 (木) 08時21分

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