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2008年8月17日 (日)

打ち水が「温暖化対策」なわけないだろう

打ち水で「温暖化止めよう」 暑さ日本一の岐阜・多治見 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0816/NGY200808160002.html

 昨年8月16日に最高気温が40.9度となり、74年ぶりに国内記録を更新した岐阜県多治見市は、毎年この日を地球環境を考える「たじみクールアースデー」と定めた。今年は1日早い15日に催しがあり、市が打ち水や消灯など身近な温暖化対策への取り組みを呼びかけた。
 市役所前での打ち水には、貯水槽にためた雨水が使われた。市民ら約200人のほか、「住民票」を交付された市のマスコットキャラクター「うながっぱ」も登場。約500リットルをバケツやひしゃくで道路にまいた。
 市立精華小学校の近くでは、市街地の地下を流れる虎渓用水の水をくみ上げる手押しポンプ「ガチャポン」がお披露目され、地域の人たちがくんだばかりの水を歩道や庭先に打ち水した。
 用水から給水した散水車も市内を巡回。夕方からは、市役所の敷地内でろうそくをともし、庁舎の照明を落とした。

 ちょ、ちょっと待て。この記事、まず見出しを一瞥しただけで、義務教育を修了した人ならズッコケるだろう。「市が打ち水や消灯など身近な温暖化対策への取り組みを呼びかけた」って、えーと、これは市がトンチンカンなのか、記者がトンチンカンなのか、両方トンチンカンなのか?

 消灯はまあいいとしようや。たしかに二酸化炭素排出削減には繋がる。二酸化炭素を含む温室効果ガスがどのくらいの時間幅でどの程度地球全体の温暖化に寄与しているかしていないかといった議論は置いておくとして、やらないよりはやったほうがいいことだろう。

 だが、打ち水「温暖化対策」などと呼ぶのは、ミスリーディングもおびただしい。教育上、悪い。打ち水の効果は、水が蒸発するときに地表から気化熱を奪い、地表からの輻射熱を減らし、地表付近の気温も多少下げるというだけのことにすぎない。熱エネルギーは地表から水の分子に移動しただけであって、ちょっと広い範囲で見れば、熱の総量は変わっていない。

 こういう文脈で「温暖化対策」なんて言葉を使っちゃいけませんなあ。この言葉は「地球温暖化対策」と解釈されるのが常だ。そういう“流行語”をイベントの広報や新聞記事にちりばめたいという大人の思惑はわからんでもないけど、限度というものがある。これは拡大解釈なんてもんじゃなく、ただの歪曲だ。打ち水を「温暖化対策」と呼ぶのは、水飲み鳥を永久機関と呼んでいるに等しい。いくらなんでもやりすぎだ。「打ち水をすることで少しでもエアコンの電力消費を抑えることができると考えられるから、“温暖化対策”なのだ」と言いたいのかもしれないが、だったらその意図こそを明確に書け。この記事の書きかたでは、打ち水そのものが直接「温暖化対策」として効果があるかのように読めてしまう。

 「温暖化対策」で人類が求められているものの見かたは、打ち水という行為の効果が体感できる範囲のものの見かたと、むしろ真っ向から対立するとすら言えるかもしれない。いや、おれは打ち水が悪いと言ってるんじゃないよ。生活の場に淡水が豊富に存在する日本が育んできた貴重な文化ではある。おれが問題にしているのは、あきらかに地球温暖化対策ではないものに「温暖化対策」などという中途半端な言葉を軽々に貼り付けて、狂騒的な“ブーム”のようなものに乗っかって目立とうとする多治見市だか記者だかのあさましい姿勢である。

 科学部を持っているような大新聞が、こういう、中学生でもおかしいと思うような軽薄で意地汚い言葉遣いをノーチェックで通しちゃいけませんなあ。

 多治見市も多治見市で、ちゃんとオチまでつけている。「夕方からは、市役所の敷地内でろうそくをともし、庁舎の照明を落とした」って、もの燃やしとるやないかあっ! 何本くらい燃やしたのか知らんが、誰か市の職員は二酸化炭素排出量の計算をしたのか? あるいは、然るべきところに算出を依頼したのか? もし、ふつうの蛍光灯が消費する電力を得るために排出する以上の二酸化炭素を蝋燭を灯すことで出しておったとしたら、洒落にもならんイベントだということになる。市民の税金でやっとるんだろう?



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コメント

 打ち水をすると、水蒸気が増えるんですよ。水蒸気が増えると雲も増えるわけです。雲が増えると地球のアルベドが上がって、太陽光の反射が増えて……そこ、笑わないように(‥)/

投稿: 林 譲治 | 2008年8月17日 (日) 17時59分

地球温暖化とヒートアイランド現象を区別できない人は結構いそうです。
打ち水はどちらかと言うとヒートアイランド対策ですね。

投稿: 小林泰三 | 2008年8月17日 (日) 21時59分

こういうのを萌えイベント化しようとして浴衣の女の子たちに打ち水させたり、やりがちでしょ? そうすると、それを見て萌えた人たちがいつもより多量の二酸化炭素を排出するわけですよ。ハイその通り、地球温暖化を促進してしまうんですよ。恐ろしいですね。

投稿: ふみお | 2008年8月17日 (日) 23時28分

温室効果ガスの大半を占めるのが水蒸気な訳だが。

投稿: 超時空漫才 | 2008年8月18日 (月) 06時21分

「温暖化真理教」の教義を突き詰めると、CO2が地表放射の赤外線を吸収した後に「再放射」するから、大気中のCO2濃度が上昇すると気温が上昇するという理屈です。
でも、この理屈が正しければ、CO2よりも多くの赤外線を吸収する「水蒸気」も「加熱」されないことになってしまうので、上昇気流が発生しないことになりますので、高気圧も雨雲も発生しないことになってしまいます。
こんな単純な矛盾点を、なぜプロの気象予報士は、誰一人として指摘しないのですかね?

投稿: スパイラルドラゴン | 2008年8月18日 (月) 10時56分

「熱力学第2法則を知っていることと、シェークスピアの作品を読んだことは同等である。」そうですけど、エネルギー保存の法則を知っていることは、何と同等なのでしょう。

投稿: いぎたなし | 2008年8月19日 (火) 21時00分

 飲食店で割り箸を使わない「マイ箸持参運動」ってのがあります。世の中には私みたいなへそ曲がりもいて、「割り箸は製材所の廃材など、ほかに使い道の無い材木を使っているから自然破壊ではない。むしろゴミ削減になっている」という主張もでたわけです。(日本の割り箸生産が崩壊した結果、残念ながら、現在ではこの主張は成立しなくなっています)
 それに対する推進派の言い分は、マイ箸はシンボルであって、生活態度を改めようという姿勢の問題だというものでした。
 使い捨てを止めるという生活習慣を定着させるために、割り箸のように身近なものからはじめよう。個別にみたときに自然破壊につながっているかどうか一々考えるよりも、使い捨てを止めようという「姿勢」が大切なんだということなんですね。

 それはシンボルなのであって、個別に見たときに妥当かどうかは関係なくなっちゃうわけですよ。
 打ち水やロウソクも「電気を使わない」という生活習慣のシンボルであって、打ち水自体が地球温暖化防止につながるかどうかは関係ないんだと思います。電気消費の削減は(かわりに何か使わなければならないということを無視すれば)炭酸ガス増加を防ぐ効果が無いとはいえないですしね。

投稿: 東部戦線 | 2008年8月19日 (火) 22時46分

いやいや。
「地球温暖化対策」は人間が話題にしてるんだから、特に断りのない限り「人間の地球上における文化活動の維持・発展を前提として地球の温暖化傾向を緩和する施策」の意味しか無いに決まってるじゃないですか。
地球温暖化対策という言葉には、人類滅亡施策とかコロニー落とし施策とか人類補完計画とかは含まれてないんだから、「電力の代わりに打ち水で温暖化傾向緩和」という意味以外にミスリーディングのしようがない。

地上2mの人類生活圏に集中してしまう熱が邪魔だから、なるべく熱を増やさず2mより上空に熱を移動させようと、これが温暖化対策だと思えないのは人類の生活圏とかに興味がなくてとにかく地球を冷却しようと考えてる宇宙人だけ。

投稿: Qべぇ | 2014年8月24日 (日) 17時49分

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