『floating pupa』(pupa/EMI Music Japan)
高橋幸宏、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦によるユニット pupa のファーストアルバム。え? どうせおまえは原田知世目当てだろうって? いや、たしかにそうだけどさ、おれは高橋幸宏も好きなんだよ。サディスティック・ミカ・バンドも好きだしさ。今風の木村カエラちゃんも好きだけどさ、おれはやっぱりSMBと言えば桐島かれんの世代なのよのさ。そんな八〇年代には、知世ちゃんはまだひっくり返った声で主演映画の主題歌を唄う初々しいだけのアイドルであって、よもやその後独自の世界を確立するミュージシャンに大成しようとは、当時のおれには神ならぬ身の知る由もないのであった。
そんなわけで、高橋幸宏が原田知世と組むと聞いたときには仰天した。と同時に、高橋幸宏のセンスのよさに唸った。原田知世に白羽の矢を立てたかー。二十数年前のおれに、将来、高橋幸宏と原田知世がユニットを作るんだよなどと教えてやっても、絶対信じないよな。
pupa の音楽はとにかく品がいい。押しつけがましくない。じっくり聴くと、なるほどあちこちに職人気質が迸っているのだけれども、BGMとして流していると、とにかく品がよくて耳障りでない。不思議な浮遊感がある。原田知世という人は、こういうふわふわした感じに持ってこいなのである。かといって、知世ちゃん、いや、知世さんは、ヴォーカルばかりで活躍しているわけではないのだ。エレクトリック・バグパイプなる楽器で、演奏も聴かせてくれる。
灰汁がなさすぎてもの足りないという声もありましょうが、なんちゅうか、意地汚い主張がなくてよろしいなあ。原田知世の声はとにかくうるさくなくていい。BLENDYやなあ。案外、いそうでいないんだよねえ、原田知世みたいなヴォーカルって。
ともあれ、SFファン的には、『さなぎ』ってネーミングがいいよねえ。べつにSFとは関係なくて、高橋幸宏が近年フライフィッシングに凝ってるからこういう名前になったそうなんだが……。
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コメント
冬樹蛉 様
昔、高橋幸弘氏は原田知世さんのお父さんをしていましたから、(映画「天国に一番近い島」)不思議とは思わないですが、娘とユニットを組むようになったということでは、別の感慨があるかもですね。
投稿: いぎたなし | 2008年8月14日 (木) 22時21分
>いぎたなしさん
おおおおお、いま言われてようやく思い出しました。そうでしたねえ。劇場にまで観にいったのに、すっかり忘れていました。そういう因縁があったのかあ。
投稿: 冬樹蛉 | 2008年8月14日 (木) 23時42分