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2008年7月 8日 (火)

怪獣よ、現れろ!

温室効果ガス、半減目標「合意」うたわず G8宣言案 (asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/0708/TKY200807080214.html

 北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で主要8カ国(G8)は8日、温室効果ガスの世界全体の排出量を「2050年までに半減する」との長期目標そのものには合意せず、「共有を目指す」との文言にとどめる首脳宣言案を固めた。新興国が参加しない目標設定に慎重な米国に配慮した。

 「配慮した」ってのは、じつに便利な表現ですなあ。まあ、日米レイムダック同士でなにを話し合ったとて、そんなもんみんな、あんたらの勝手な花道を演出するための政治ショーだとしか思っていない。あとの六か国は、レイムダック二巨頭のお祭りにつきあって、なんとか自分の国がちょっとでも有利になるようなツケコミどころがないかどうかを虎視眈々と狙っているだけだ。

 おれとしては、十年半前に書いた日記どおりのことを目の当たりにして、とくになんの感慨もない。強いて言えば、ああ、人類というのは、やっぱりなんともいとおしい種属だなあと思うだけである。おれもその人類の一員であり、まあ、しゃあないかなあという感じだ。現生人類というのは、そもそも、百年も二百年も先のことを考えて日々を生きるようにはできていない。“考える”ことはできる。だが、考えることができるだけであって、種属全体として合理的にふるまえるようにはできていない。これはもういたしかたないことだ。生物としての遺伝的限界である。

 だが、いよいよ二進も三進もいかないという段階になれば、そのときには、なんとか種属の一部を生き延びさせる程度の力は発揮するだろうと思う。尻に火が点けば、なんとかできる程度の種属ではあると思っている。そのときおれたちの世代は、「あのバカどもが……」と未来の世代に怨まれるだろうけどね。

 昨今の狂騒的なエコ・ファシズムの裏には、エコ利権の奪い合いが見え隠れして、なんだかなあとおれは思うのだが、つまるところ、百年も二百年も先のことを考えて行動できないホモ・サピエンスの遺伝的限界を見据えながら、短期的な動機で行動することが長期的合理性に繋がるようなシステムをなんとか模索してゆくしかないだろう。二百年後の人類がどうなっているかなどよりも、たいていの人にとっては、来月、来年、おのれが飯が食えているかどうかのほうが大事に決まっている。人類とはそういう生物だという厳然たる事実を認識し割り切ることが、ほんとうの長期的サバイバルの出発点なのではなかろうか。

 かくなるうえは、やっぱり、怪獣を作るしかないよなあ。そういう意味で、このタイミングでギララを復活させた河崎実の遊び心には、存外に深い風刺精神が内在されているのだろう……と思う。



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コメント

|かくなるうえは、やっぱり、怪獣を作るしかないよなあ。

 公募で怪獣を募集するんだけど、委員会で選考すると「いたずらに危機感を煽るのはいかがなものか」というような意見が出て、最終的に「おんだんくん」みたいなぬるい名前になりそう。イラストは委員会の幹部の知り合いに500万円で委託するんだけど、何か勘違いしていて、「暖かくつつみこむイメージで描いてみました」と、これまたぬるい造型の怪獣ができあがる。
 気がつくと「これからは温暖化時代だから、温暖化に親しみを持ってもらう怪獣キャラ」になっていたりして。

投稿: 林 譲治 | 2008年7月 9日 (水) 07時06分

>林譲治さん
>「いたずらに危機感を煽るのはいかがなものか」というような意見が出て

 いかにもありそうですねえ、それは。危機感を煽らなきゃならないときにもそういう意見が出るのは、いかにも日本らしくてステキ(笑)。

投稿: 冬樹蛉 | 2008年7月15日 (火) 00時29分

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