爆発ししゃも
昨晩、おれは酒の肴にと子持ちししゃもを電熱式のオーブンレンジで炙っていた。
頭と尾がちょっと焦げたくらいになり、ぷすぷすといい感じに音がしはじめたので、「こんなもんかな」と、おれはオーブンのスイッチを切って扉を開けた。ししゃもを皿に移そうと、まさに箸をのばしたそのとき――
と、一匹のししゃもの腹が弾け、卵が飛び出した。
こ、この光景には、なにやら既視感がある……。関西人はもちろん、もはや全国の人がこの種の既視感を共有しているにちがいない。これを、爆発ししゃもと呼ばずして、なんと呼ぼう。
おれはししゃもを皿に並べてからも、気を抜くことができなかった。もしかすると、おれがししゃもを口に運び、歯を立てた瞬間、ししゃもが爆発し、おれの口の中に熱い卵が噴き出すのではあるまいかと、びくびくものであった。さいわい、そのようなことは起こらなかったが。
オーブンレンジじゃなく、電子レンジでやってみたら、ひょっとしたら時限式(?)の爆発ししゃもを作ることができるだろうか? 鶏卵とちがって、ししゃもの腹にはそれほど高圧を封じ込めるだけの構造的な強度がないだろうから、難しいかもしれんな。
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