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2008年7月の23件の記事

2008年7月31日 (木)

「自働算盤」から「カシオミニ」まで七十年

明治のスパコン、小倉にあった 最古の国産機械式計算機 (asahi.com)
http://www.asahi.com/travel/news/SEB200807270023.html

 福岡県豊前市出身の発明家矢頭(やず)良一(1878~1908)が1902年に作った「自働算盤(じどうそろばん)」が、現存する最古の国産機械式計算機であることを日本機械学会が確認した。現物は北九州市小倉北区の市立文学館(佐木隆三館長)に寄託、保管されており、同学会は近く機械遺産に認定する。
 この自働算盤は外観はタイプライターのような形。そろばんと同じように2、5進法で数値を入力する方式で、レバーを回すと22枚の歯車が数を記憶し、15~16けたの四則計算ができるという。
 機械遺産の選考委員の西日本工業大学工学部の池森寛教授は「日本人になじみのそろばん方式を採り入れた点が独創的なところ。欧米の計算機が主流だった当時、国内の技術者に国産計算機を使うきっかけを与えた」と評価する。
 同館などによると、矢頭は1878(明治11)年、福岡県の黒土村(現在の福岡県豊前市)に生まれた。鳥を見て空を飛ぶことに興味を持ち、中学を中退して鳥類や理工学の勉強のために大阪に出向いた。99(明治32)年に徴兵検査で帰郷。航空機エンジンの研究や開発の資金を得るために、計算機の発明に取り組んだとされる。
 計算機の模型は、官営八幡製鉄所が開業した1901(明治34)年に完成。同年2月22日、矢頭は資金援助を受けるため、軍医として小倉に赴任していた森鴎外を訪問。その様子は鴎外の「小倉日記」にも記されている。矢頭は鴎外から支援を受けて上京し、計算機を量産。1台250円という価格は「家が一軒建つほど」だったが、陸軍省や内務省などに約200台売れたという。
 文学館は秋にも、矢頭の企画展を開く予定。

 うわあ、これは渋いなあ。「自働算盤」ってネーミングがスチームパンクだね。野尻抱介さんなんか、いかにも好きそうだ。なにしろ、タイガー計算機を入手したときなど、あたかも女子高生を愛撫するかのような手つきでにやにやしながらいじくりまわしていた人であるからな。もしこんなのが売りに出されたら、野尻さんなら数十万くらいは軽く出しそうだ。

 調べてみると、あの“答え一発”「カシオミニ」が出たのは、一九七二年「家が一軒建つほど」の小型計算機は、わずか七十年で一万二千八百円(なにしろ、当時CMでさんざん聞かされたから憶えているのだ)になり、庶民の手にもなんとか届くようになったのだった。

 あれから三十数年。二、三年前に一円で買って母に持たせた高齢者向けのシンプルな携帯電話にすら、カシオミニをはるかに凌ぐ性能の電卓機能が搭載されている。「家が一軒建つほど」の計算機は、百年ほどで事実上タダになってしまったことになる。SFだねえ。

 これからの百年、いったいなにがどうしてどうなることやら、想像するだにわくわくしますな。



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クラーク最後の共作、発売迫る

Arthur C. Clarke's last vision (CNN.com)
http://edition.cnn.com/2008/SHOWBIZ/books/07/29/clarkes.last.novel.ap/index.html

PALATINE, Illinois (AP) -- Arthur C. Clarke's health was failing fast, but he still had a story to tell. So he turned to fellow science fiction writer Frederik Pohl, and together the longtime friends wrote what turned out to be Clarke's last novel.
"The Last Theorem," which grew from 100 pages of notes scribbled by Clarke, is more than a futuristic tale about a mathematician who discovers a proof to a centuries-old mathematical puzzle.
The novel, due in bookstores August 5, represents a historic collaboration between two of the genre's most influential writers in the twilight of their careers. Clarke, best known for his 1968 work, "2001: A Space Odyssey," died in March at age 90; Pohl is 89.
"As much as anything, it'll be a historic artifact," says Robin Wayne Bailey, a former president of Science Fiction Writers of America and a writer. "This is a book between two of the last remaining giants in the field."
Clarke originally intended "The Last Theorem" to be his last solo project, and he began writing it in 2002.
But progress was slow because of his poor health, and he missed the book's original 2005 publication deadline. Worried the book wouldn't be published at all, he began to search for a co-author.

 そこで名乗り出たのが、フレデリック・ポールだったというわけだ。いや、すごいね。なんちゅうか、三波春夫と三橋美智也のデュエットみたいな画が浮かぶ。合計百七十九歳の大ベテラン、夢の共作である。合計二百二十一歳というアニメ史上最高齢ユニットのドロンボー一味よりも、平均年齢は上だ。

 クラークもいろんな人と共作してきたが、最後の最後にえらくインパクトのあるやつを遺していってくれましたな。どのような出来栄えであろうとも、このタッグは気になる。

 とりあえず、夏休みの読みものは、これで決まりだな。



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2008年7月30日 (水)

♪おれは涙を流さない、ダダッダー

ASIMOが来た 四川の子ども励ます (asahi.com)
http://www.asahi.com/international/update/0728/TKY200807280084.html

【徳陽(中国四川省)=小林哲】中国・四川大地震で被災した子供たちを励まそうと、ホンダの人型ロボット「ASIMO(アシモ)」が28日、当地の私立外国語学校小学部を訪れ、子供たちとゲームをするなどして遊んだ。
 ASIMOは中国語で子供たちに自己紹介した後、一緒にじゃんけんやミニ・サッカーをしてふれ合った。中国での実演は北京や上海のモーターショーでこれまでにもあったが、学校を訪れて子供たちと交流するのは初めて。30日まで滞在し、徳陽市周辺で被災した小学生や幼稚園児ら計5千人を励ます。
 同小6年の代宸吉さん(12)は「科学技術は進歩している。サッカーでも、やっぱりASIMOが勝った」と目を輝かせていた。

 このニュースを読んで、ネット者はみーんな同じことを思ったとは思うんだけどな、あえて言わせてもらおう。あの、ちょこっと一世を風靡した中国の最先端ロボット、

先行者はこんなときになにをしている!?

 プラモデルまで出た人気者のくせに、外国のロボットに先を越されてどうする。こういうときこそ同胞を励ましに行かんか。じゃんけんやミニ・サッカーくらい、先行者ならお手のものであろう。

 ゆけ、先行者! 中国人民の自由のために、中国共産党と闘うのだ!



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2008年7月26日 (土)

溶けるまなざし

Medama01_3 Medama02_2 このところ暑い日が続いたせいか、ふと魔がさして、コンビニで目が合った「目玉おやじアイス」赤城乳業)を手に取り、あろうことか買ってしまった。アイスと言っても、大部分はかき氷だから、分類は「氷菓」である。

 白目の部分はヨーグルト味のかき氷、虹彩はストロベリージェラート、瞳はブルーベリーソースである。成分表記を見ると、ちゃんと「アントシアニン色素」とあって、つまりこの商品、“目にいい”というオチがついているわけなのだ。

 晩飯のデザートに食ってみると、なかなかどうして、ただの企画モノではない。ガリガリ君の赤城乳業だけあって、目玉おやじでなかったとしても、この取り合わせはなかなかうまい。みなさまも、この猛暑にかなりまいっているんじゃないかと思いますが、ま、洒落で目玉おやじアイスはいかが?

Medama03_2
 ← 『アンダルシアの犬』ごっこ。さては、これがやりたかっただけやな。




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2008年7月25日 (金)

「教育委員は誰か辞めてはいないんですか?」

 高校一年生の姪が、おれの姪にしては英語が苦手なもんだから(まあ、あんまり血縁は関係ないわな)、少し前に、中学の基礎の復習もしっかりできるような高校生向けのよさげな参考書がないかとネットでいろいろ漁ったところ、英語教育の玄人筋にたいへん評判のよい『高校これでわかる基礎英語―基礎からのシグマベスト』(組田幸一郎・宮腰愛美・佐野正之/文英堂)ってのを見つけ、姪に勝手に送りつけて押しつけた。姪は迷惑しているだろうが、おれの気がすまん。おれは英語がそこそこできるが、英語教育に関しては素人である。NHKの講座なんかの最近の教えかたを観ては、「おれたちが学生のころに比べて、ずいぶん進んだなあ」と、いまだに蒙を啓かれたりしているくらいだ。とはいえ、おれがなんだかんだで影響を受けた英語の先生三巨頭(國弘正雄倉谷直臣松本道弘)のうちのひとり、國弘先生ご推薦の本であるからして、とんちんかんな参考書では絶対にあるまい。さすが、漢文ならぬ英文の“只管朗読”を推奨なさる國弘先生お薦めだけあって、「声に出して読ませる」「書かせる」に力を入れているのは、学習参考書として絶対に正しいとおれも思う。

 まあ、姪はそもそも英語という言語そのものが生理的に嫌いなようなので、有効利用するとはとても思えないのだが、おれ自身の経験に照らすと、良書というものは、とにかく当座読もうが読むまいが、“それが手元にある”ということが非常に大事である。ふとしたタイミングで、汗を大量にかいたときに塩気のものが欲しくなるかのごとく、魔法のようにぱらぱらとめくってしまい、その真価に吸い寄せられるように気づくということがあるのである。不思議だが、ほんとうだ。こういう経験のある本読みは、当面読めないだろうなと思いつつも、本能が命じた本をとにかく買って手元に置いておきたがる。

 で、なんの話かというと、姪が英語が苦手なおかげで、おれは情報収集の過程でこの参考書を書いた先生、組田幸一郎氏のブログ「英語教育にもの申す」を発見し、しばしば覗かせてもらっている。学校英語教育の現場の方の声としてたいへん読み応えのある内容で、非常に勉強になる。まったく、姪のおかげだ。

 現時点での最新エントリー「この国は弱いものいじめが通るのか?」には、たいへん感銘を受けた。これは、安全圏からコメンテーターがほざいている台詞ではない。現職の教師が風当たりを承知で投げかけている勇気ある言葉なのだ――

 その一方で、教育長が辞職をしないのはどうして? 県の教育のトップが、「知らなかった」だけで、その職にとどまるのでしょうか。武士としての志が全く感じられない。そんな人間が、教育畑で偉くなっていくのって、ホントに良いんですか。
 教育委員は誰か辞めてはいないんですか? 
 秘書が口利きをしたといわれている議員が辞職しないのはどうして? 報道で名前が出てこなければ良いんですか? 結局は、秘書が行ったこと、自分は知らなかったで通すつもりなのだろうか。日本の政治って、所詮はこんなもんなんでしょうか。
 だいたい、今回の件は大分だけなのかい? そして、教員だけなのかい? 地方自治体の公務員にコネってないのかい? これについて、どうしようもないほどの、腹立たしさがあるけれど、あえて言うまい。
 しかし、組織的な矛盾について、若い教師が辞めることで、一件落着にしてはいけないだろう。

 いやあ、おれはこの先生、ますます好きになっちゃったよ。武士(もののふ)だね。「生涯一教諭のススメ」ってエントリーもしびれるぞ。なんか、これ読むと、教師の業界って、ソフトウェア業界にちょっと似てるな。

 もはや制度的にはぐちゃぐちゃと言ってもよいわが国の教育であるが、この先生みたいな方々が、上向きでも内向きでもなく、子供のほうだけを向いていらっしゃるかぎり、まだまだ日本も捨てたもんじゃないと、ちょっと安心するのである。痴漢とか盗撮とかで捕まってるバカも少なからずいるけどね。



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2008年7月24日 (木)

色即是空、空即是色

広がるちくわの穴 食料・日用品、価格据え置きに苦慮 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0720/TKY200807200189.html

 物価の上昇が止まらない。とりわけ暮らしに影響が大きいのは、食料品や日用品の値上げだ。消費者の買い控えを避けたい企業側は、割高感を与えまいとパッケージを変えたり商品を改良したり。工夫をこらしたあの手この手の商戦が続く。
 水産加工大手の日本水産(東京都)は06年9月から、主力商品「活(いき)ちくわ」の穴を大きくしている。原料のスケトウダラのすり身の価格が、世界的な魚肉需要の高まりで高騰したため、1本30グラムから25グラムへ減量したという。穴の直径は公表していないが、同社は「長さを短く、身も少し薄くしました」と明かす。

 「いらっしゃい、まいど」
 「毎日暑いわねえ……あら、この空っぽの袋はなに?」
 「ああ、それね。ちくわですよ」
 「ちくわ――って、なんにも入ってないじゃない」
 「心外だな、奥さん。いやね、メーカーが言うには、価格据え置きのためにちくわの穴を大きくしていったら、とうとう穴だけになっちゃったらしいんですわ」
 「じゃあ、この袋の中には、ちくわの穴が詰まってるわけ?」
 「ええもう、ぎっしりと。涙ぐましい企業努力ですよ。しかも、サービス期間中は一本ぶん多く入ってます」
 「……い、いただくわ」
 「さすが奥さん、まいどありぃ。なんたって、メタボ対策にはちくわですよ」
 「それはたしかなようね」



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2008年7月23日 (水)

大統領候補のデジタル・ディバイド

Unlike McCain, many seniors surf the Web (CNN.com)
http://edition.cnn.com/2008/TECH/ptech/07/21/wired.seniors.ap/index.html

NEW YORK (AP) -- If Sen. John McCain is really serious about becoming a Web-savvy citizen, perhaps Kathryn Robinson can help.
Robinson is now 106 -- that's 35 years older than McCain -- and she began using the Internet at 98, at the Barclay Friends home in West Chester, Pennsylvania, where she lives.
"I started to learn because I wanted to e-mail my family," she says -- in an e-mail message, naturally.
Blogs have been buzzing recently over McCain's admission that when it comes to the Internet, "I'm an illiterate who has to rely on his wife for any assistance he can get." And the 71-year-old presumptive Republican presidential nominee, asked about his Web use last week by the New York Times, said that aides "go on for me. I will have that down fairly soon, getting on myself."
How unusual is it for a 71-year-old American to be unplugged?

 ニューヨーク・タイムズ紙の記者に訊かれたとき、うっかり「インターネット文盲で、妻に頼りっきり」みたいなことを言ってしまったばっかりに、マケイン候補はすっかりCNNでは電脳社会の文盲扱いである。「この百六歳のおばあちゃんに教えてもらえば?」と揶揄する論調だ。

 たしかに、これはアメリカ大統領候補としては、ずいぶんまずいことを言ったものだ。高齢者や身体障害者が時に命の綱にもしているインターネットに、現代のアメリカ大統領になるかもしれない人物が無関心であるというイメージが広まってしまっては、どう考えたってプラスにはならない。インターネットを使っているかどうかが、自由社会のリーダーたる条件になるかどうかという議論が起こっているそうだが、少なくとも、おれは自分で使いもしないでインターネット社会がどうのこうのとほざいている経営者などは、まったく信用しないがなあ。自分がユーザでないものに関しては、どうしたって“顧客視点”を欠くのが人間というものである。「喫茶店に入ったことのない人が喫茶店をはじめてはいけない」と先日書いたとおりだ。小説を読んだことがない作家なんているものか。アメリカ国民も、その点に引っかかって揶揄しているのだろう。とくに民主党支持者は。

 マケイン候補は七十一歳なんだから無理もない……というのはIT後進国の日本での感覚。記事によると、アメリカ人全体では、六十五歳以上でインターネットを使っている人はわずか三十五パーセントだが、六十五歳以上の白人大卒男性となると話はちがう。じつに七十五パーセントが使っているのだ。マケイン候補は、少数派の電脳文盲(?)に属してしまうのである。

 オバマ候補のほうは電脳リテラシーに関してはあまり心配なく、ブラックベリーに夢中になって歩道の縁に躓いたりしているところを撮影されて、YouTube に流されたりしているくらいだそうだ。危うし、マケイン! ここで挽回するには、iPhone でも常時携帯して見せびらかさないと。

 七十一歳の爺さんがインターネットを日常的に使っていないからといって、日本ではそんなことは論点にすらならないが、まあ、このあたりが腐ってもアメリカである。インターネットに疎いということは、すなわち、水道やら電気やらガスやらといったライフラインに疎いというのに匹敵するマイナスイメージになりかねない。おれ個人にとっては、すでに充分ライフラインなんだけどね、日本でも。

 『日本の電子政府は「おもちゃ」』という意見にはおれも賛成だから、マケイン候補も、日本でならまだおちょくられたりしないのにね。残念ながら、IT先進国で大統領選に出るということは、たいへんなことなのだ。



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2008年7月21日 (月)

竹島消滅

 北朝鮮がいちびって発射したできそこないの核ミサイルが竹島にどんぴしゃり命中するというシナリオはどうだろう? ちっぽけな島だから、きれいさっぱり消滅する。実効支配している韓国の“自警団”の人々は全滅するだろうが、ある意味、人的被害はその程度ですむとも言える。竹島周辺の漁場は放射能で汚染され、韓国も日本も見捨てざるを得ない。

 韓国政府は「北朝鮮による今回の非人道的な攻撃は、学習指導要領解説書問題に対する朝鮮民族の心情を過度に不適切な手段で表現したもので、日本に対する敵対行為、ないしは示威行為である」という声明を発表し、口を拭って問題を棚上げにする。日本政府は「北朝鮮による今回の非人道的な攻撃は、金剛山観光客射殺事件の延長戦上にあるもので、韓国に対する敵対行為、ないしは示威行為である」という声明を発表し、口を拭って問題を棚上げにする。

 竹島がなくなってしまったので日韓の領土問題はうやむやになり、日本も韓国も、北朝鮮が自国を攻撃したという解釈は、それぞれ公式には頑として取らない。北朝鮮は核ミサイルを一発損してしまったのだが、まあ、アメリカに対するデモンストレーションになったかと結果オーライくらいに思っている。日本政府も韓国政府も、じつは「よくぞうまく誤射してくれた」と北朝鮮の怪我の功名に内心手を叩いている。三方一両損??

 結局、島根県の漁民だけがバカを見ることになるけれども、日本政府も韓国政府も北朝鮮政府も、それほどアンハッピーではない……なんてことを酒飲みながら空想してみただけ。あくまで空想ですから。



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2008年7月20日 (日)

爆発ししゃも

 昨晩、おれは酒の肴にと子持ちししゃもを電熱式のオーブンレンジで炙っていた。

 頭と尾がちょっと焦げたくらいになり、ぷすぷすといい感じに音がしはじめたので、「こんなもんかな」と、おれはオーブンのスイッチを切って扉を開けた。ししゃもを皿に移そうと、まさに箸をのばしたそのとき――

ぱんっ!

 と、一匹のししゃもの腹が弾け、卵が飛び出した。

 こ、この光景には、なにやら既視感がある……。関西人はもちろん、もはや全国の人がこの種の既視感を共有しているにちがいない。これを、爆発ししゃもと呼ばずして、なんと呼ぼう。

 おれはししゃもを皿に並べてからも、気を抜くことができなかった。もしかすると、おれがししゃもを口に運び、歯を立てた瞬間、ししゃもが爆発し、おれの口の中に熱い卵が噴き出すのではあるまいかと、びくびくものであった。さいわい、そのようなことは起こらなかったが。

 オーブンレンジじゃなく、電子レンジでやってみたら、ひょっとしたら時限式(?)の爆発ししゃもを作ることができるだろうか? 鶏卵とちがって、ししゃもの腹にはそれほど高圧を封じ込めるだけの構造的な強度がないだろうから、難しいかもしれんな。

Shishamo_2
 ← 左から二番めのやつが“爆発ししゃも”




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2008年7月18日 (金)

こういう会合には、ブルース・スターリングでも呼ばんとなあ

Scientists: Humans and machines will merge in future (CNN.com)
http://edition.cnn.com/2008/TECH/07/15/bio.tech/index.html

LONDON, England (CNN) -- A group of experts from around the world will hold a first of its kind conference Thursday on global catastrophic risks.
They will discuss what should be done to prevent these risks from becoming realities that could lead to the end of human life on Earth as we know it.
Speakers at the four-day event at Oxford University in Britain will talk about topics including nuclear terrorism and what to do if a large asteroid were to be on a collision course with our planet.
On the final day of the Global Catastrophic Risk Conference, experts will focus on what could be the unintended consequences of new technologies, such as superintelligent machines that, if ill-conceived, might cause the demise of Homo sapiens.
"Any entity which is radically smarter than human beings would also be very powerful," said Dr. Nick Bostrom, director of Oxford's Future of Humanity Institute, host of the symposium. "If we get something wrong, you could imagine the consequences would involve the extinction of the human species."

(中略)

"Nanotechnology will not just be used to reprogram but to transcend biology and go beyond its limitations by merging with non-biological systems," Kurzweil said. "If we rebuild biological systems with nanotechnology, we can go beyond its limits."
The final revolution leading to the advent of Singularity will be the creation of artificial intelligence, or superintelligence, which, according to Kurzweil, could be capable of solving many of our biggest threats, like environmental destruction, poverty and disease.
"A more intelligent process will inherently outcompete one that is less intelligent, making intelligence the most powerful force in the universe," Kurzweil writes.
Yet the invention of so many high-powered technologies and the possibility of merging these new technologies with humans may pose both peril and promise for the future of mankind.
"I think there are grave dangers," Kurzweil said. "Technology has always been a double-edged sword."

 今日、オクスフォード大学に諸分野の専門家が集まって、global catastrophic risks について話し合うカンファレンスを持っていたらしいのだが、その global catastrophic risks ってのが、SFファンの関心事そのものである。核テロが起こったらどうなるかとか、小惑星が地球にぶつかってきたらどうなるかとか、人類の知性をはるかに凌ぐ能力を持った機械知性が現れたらどうなるかとか、べつに珍しくもなんともない話なんじゃないかなあ、SFファンにとっては。この種のカンファレンスは初だと記事は伝えているが、ほんとにそうなの? SFファンってのは、寄るとさわるとこんな話ばかりしているし、SFファンには本職の学者も多いのである。おんなじようなもんなんじゃないの?

 人類はいずれみずからを改造して機械と融合してゆくだろうなんてことを、いまさらのように言われてもねえ。しかもそれを“リスク”だと言われてもねえ。おれはそんなこと、リンゴが木から落ちるくらいあたりまえのことだと思ってたけどなあ。眼鏡や入れ歯となにがちがうというのだろう? それとも、“カタギの人”たちは、この期に及んで、人類と機械が今後融合してゆかないとでも、まだ思っているとでもいうのだろうか? そんなアホな。おれの貧しい見識に照らしてさえひとつだけ確かなのは、“人類というものは、できるようになったことは必ずやる”ということである。

 そういうわけで、この記事、SFファンにとってはちっとも面白くないのだが、Dr. Ray Kurzweil の言葉にだけは、「それは、きっとそうだろう」と頷けるものがある。グレッグ・ベアが、かつて似たようなことを言ってたよね。Kurzweil 博士曰く、"This will happen faster than people realize."

 そう、それはいままでも、常にそうだった。



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2008年7月17日 (木)

木製SF化計画

木製宇宙服:木で作成したSFアイテムのいろいろ (WIRED VISION)
http://wiredvision.jp/news/200807/2008071619.html

本当のスチームパンク[蒸気機関が現実以上に発展した世界を描くSFのジャンル]的なビジョンを持つアーティストは、一目見ればわかる。Michael T. Rea氏は間違いなくその1人だ。
しかし、われわれの見方はやや偏っている。マルチバレルの光線銃や、木でできた機械仕掛けの戦闘服などは、ガジェット専門のブロガーが何年もかけて培うようなデザインの好みだ。
Rea氏は、木や黄麻布、ロープなどの材料を使って、空想力あふれるSFの世界に登場するさまざまな物を実物大で制作し、そういった材料を通じて作品に命を吹き込もうとしている。

 “スチームパンク”の定義が狭義すぎてまちがってると思うけど、それはさておき、この木工細工はちょっとクるなあ。日本人だったら、絶対ガンダムとかマジンガーZとかを作るだろうな。ちょっとマイナーだが、魔神ガロンなんかはいかにも木で作りやすそうなんだけどなあ。モノリスくらいならおれにでも作れそう。

 ふと、真面目に考えてしまったんだけど、木製の宇宙船ってのは、ほんとうに不可能だろうか? たとえば、黒檀とかの立派な調度品を思い浮かべると、放射線を照射して特殊な加工を施すとか、特殊な塗装をするとかすれば、短時間の航宙になら充分耐えられるくらいの気密性が得られそうな気もしないでもない。まあ、自分が乗るのは厭だけど。



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2008年7月16日 (水)

コンピューターおばあちゃんの死

'World's oldest blogger' dies at 108 (CNN.com)
http://edition.cnn.com/2008/WORLD/europe/07/14/oldest.blogger/index.html

(CNN) -- An Australian woman often described as the world's oldest blogger has died at the age of 108 after posting a final message about her ailing health but how she sang "a happy song, as I do every day."
Olive Riley died Saturday at a nursing home in New South Wales.
Riley posted more than 70 entries on her blog -- or "blob" as she jokingly called it -- since February 2007.
On the site, The Life of Riley, and in a series of videos post on YouTube, Riley mused on her day-to-day life. She also recounted living through two world wars and raising three children on her own while working as a cook and a bar maid.

(中略)

Riley was born in 1899 and would have turned 109 on October 20. She took up blogging at the suggestion of Mike Rubbo, who filmed a documentary on her life four years ago.
"First of all, I had to explain to her what a blog was and that took some doing," Rubbo said. "Then I got across the idea it was sort of a diary that she would share with the world.
"The reason for its popularity is that she was such a standout talent -- just so touching and funny and such a great story teller."

 おれはこの“世界最高齢ブロガー”のライリーおばあちゃん、この記事を読むまで知らなかったんだけど、いやあ、いいねえ。おれもこういうふうに死にたいもんだ。

 彼女がブログを書いていたのは、ほんの一年半足らず、わずか七十四エントリーを記しただけだ。それでも、彼女にとって、人生の最後に、世界中のいろんな人とこういう形で交流ができたことは、どんなにか新鮮な驚きだったことだろう。

 なにしろ、ライリーおばあちゃんは一八九九年に生まれているのだ。アインシュタインが特殊相対性理論を世に問うたのは、彼女が十六歳のときだということになる。そう考えるだけでも、彼女が経験してきたであろうことどもは、おれたちの想像を絶する。ライリーおばあちゃんは、おれたちには信じられないような、さまざまなものを見てきたにちがいない。Attack ships on fire off the shoulder of Orion. ...とかはさすがに見てないと思うが、それに相当するようなワンダーを経験してきていたのだろう。

 そんな彼女にとっても、百歳を超えた自分が個人用のコンピュータなどというものを使って世界中の人に向けて日記を書くと、見も知らぬ外国の人々が温かいコメントを寄せてくれるなどという出来事は、まるでむかし子供たちが読んでいた Amazing StoriesAstounding Science Fiction の中にいるかのようであったろう。ワンダーは未来の話にのみあるわけではもちろんない。こんなおばあちゃんの人生は、それそのものがワンダーの塊なのである。

 All those moments will be lost in time, like tears in rain. コンピューターおばあちゃん、バンザイ!



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2008年7月15日 (火)

右翼の方々、こういうのをほっといてはいかんよ

田中義剛さんの生キャラメル「200箱売れ」強要の男逮捕 (YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080714-OYT1T00418.htm

 タレントの田中義剛さんが経営する花畑牧場(北海道中札内村)に対し、右翼団体を名乗って生キャラメルを大量販売させようとしたとして、道警帯広署は14日、芽室町西2、不動産業山口栄治容疑者(29)を強要未遂の疑いで逮捕、釧路地検帯広支部に送検したと発表した。
 発表によると、山口容疑者は9日、花畑牧場に電話をかけ、人気商品「生キャラメル」(12粒入り、850円)約200箱の購入を申し込んだが、断られたため、右翼団体を名乗り、「100箱買うんだったら30人で行って買えばいいんだな」「バスに乗って、黒い服を着て行くぞ」などと脅した疑い。
 生キャラメルは昨年4月に発売したところ、大人気となり、今春から1人当たり5箱の限定販売をしている。山口容疑者は「内祝いのお返しに使うつもりだった」と供述しているという。

 なんだかなあ。脅しただけだから強要未遂ということになるのだろうが、実際に押しかけていったら、威力業務妨害だろうな。

 「右翼団体を名乗り」ってあるけど、キャラメルが欲しいからと三十人で押しかけてくる右翼なんているかねえ。ちゃんとした右翼が怒るぞ。「内祝いのお返しに」人気のキャラメルを使いたいんなら、その三十人の手下だか従業員だかに、行儀よく一人ずつ代わるがわるふつうに買いにゆかせればいいだけではないか。それくらいのことは、みんなスーパーの特売とかで家族を動員してやっているぞ。念の入った人は、着替えて行ったり、リバーシブルのジャンパーとかを用意していったりするくらいだ。庶民がふつうにやってる手間を惜しんではいけませんなあ。

 ちゃんとした右翼の方々は、こういうくだらない犯罪で右翼を名告るようなけしからんやつには、再発防止のためにヤキのひとつも入れてやるべきだな。右翼をバカにしている。こういうやつがいるから、左翼に比べて右翼は頭が悪いとか(実際にはそんなことは全然ない。左翼だろうが右翼だろうがアホはアホ、カシコはカシコである)、右翼のイメージが悪くなるのだ。



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2008年7月14日 (月)

『理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性』(高橋昌一郎/講談社現代新書)

 九年前に読んだ同じ著者の『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』が“アタリ”だったもんだから、今回のコレは、けっこう期待して読んだ。結論から言うと、やっぱり“アタリ”だな、これも。

 アロウの不可能性定理ハイゼンベルクの不確定性原理ゲーデルの不完全性定理と、社会科学、物理学、論理学が生んだ“これはそもそも無理ですから”という、三つの知の到達点を軸に議論を展開してゆく。いろんな分野の学者はもとより、会社員や運動選手といったパンピーも登場するソクラテス式の対話をフォーマットに議論が展開されてゆくので、難解な話になってもとても読みやすい。なんとなく、筒井康隆「マグロマル」の哲学版みたいだ。しばしば話に割り込んでは、カントに立ち返ろうとする“カント主義者”ってのは、「マグロマル」で言えば、さしずめ「ワシ、メシクテクル」ばかり繰り返しているガドガド人の役回りといったところだ。

 はっきり言って、本書で取り上げられている議論の多くは、思弁的なSFを好む人なら基礎教養として持っているような話ばかりである。つまり、逆に言うと、思弁的なSFを楽しみたい読者には、お薦めの良書だということだ。不可能性定理、不確定性原理、不完全性定理などに加えて、囚人のジレンマナッシュ均衡ラプラスの悪魔EPRパラドックスシュレーディンガーの猫パラダイム論チューリング・マシンなどなど、現代SF(とくにハードSF)を読むうえで必須のポピュラーなネタを、網羅的にわかりやすく簡潔に解説してくれている。すれっからしのSFファンにとっても、知識を整理したり、「こういう説明のしかたもあるのか」と改めて考え直したりするのには持ってこいの本だ。グレッグ・イーガンテッド・チャンがいまひとつわからない、楽しめないというSF初心者の方は、必読である。現代SFでポピュラーなネタをこれほどてんこ盛りに羅列して、シンプルに解説してくれている本はそうそうありません。理科系の人なら学生時代にどこかで触れるようなネタが多いだろうが、文科系の人にはてっとり早いお勉強に持ってこいである。

 「不可能性・不確定性・不完全性」と題していながらも、やっぱり著者の専門だから、ゲーデルの不完全性定理にはいちばん力が入っている。旧著『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』について、おれは「理論そのものを過度に単純化してわかった気にさせるくらいであれば、いっそ雰囲気だけをうまく伝えるほうがましであるというスタンスが明確だ」と評したが、本書では、ゲーデルの証明そのものにかなり深く突っ込んでいる。専門的な数学的記述を使わずに、ふつうの日本語で不完全性定理をこれほどわかりやすく説明した解説には、おれは初めてめぐりあった。むろん、これで不完全性定理を完全に理解したと思い込んではならないだろうが、少なくとも、どういうことをどういう方法で言おうとしているのかは、わかった気になれる。おれがもし、「不完全性定理ってなに?」と問われて説明しなくちゃならないような羽目に陥ったときには、本書の説明方法をパクらせてもらおうと思う。

 『ゲーデル 不完全性定理』(林晋、八杉満利子訳・解説/岩波文庫)にも述べられているように、ゲーデルの不完全性定理は、フィールズ賞受賞者の小平邦彦をして、「ゲーデルの定理を勉強したが、自分には難しかった。何とか判ったつもりだが、自信は無い」といった意味のことを語らせるほどのものなのである。おれもいろいろな一般向け啓蒙書や解説書を読んだが、数学的操作にかろうじてついてゆける程度であって、その意味するところがほんとうに心からわかったとはとても思えない。だもんで、新書一冊読んだくらいで不完全性定理を理解したと思い込むのは笑止千万であろうとは思うのだが、それでも本書は、じつにうまくゲーデルの証明の要諦を、日常言語で説明することに成功している。これは旧著『ゲーデルの哲学』を超えた成果だと思う。

 不完全性定理というと、なにやらすぐに“人間の知性の限界”といった話に過度に援用されてしまったりするのだが、じつのところ、上述の『ゲーデル 不完全性定理』や、存命中のゲーデルと会見した唯一のSF作家にして数学者、ルーディ・ラッカーInfinity And The Mind: The Science And Philosophy Of The Infinite によると、ゲーデル自身は、紛れもないプラトン主義者なのである。つまり、形式主義的数学を超えた次元で、数学的実体なるものがどこかに確固として存在しており、人間の知性にはそれを直覚する能力があると信じていたわけだ。不完全性定理を、過度にアナロジカルに、人文系の学問に援用したりすることの危険は、充分に認識しておくべきだろう。

 おれ自身、いつかは、この人類の知性のひとつの到達点を、心の底から“理解した”と言える日を迎えたいと思う。だが、哀しいかな、おれの頭脳では、いまひとつ心から“わかった”気がしないのである。老後には、こいつを徹底的に勉強したいと思う。死ぬまでには、わかりたいものである。



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2008年7月10日 (木)

確実な確認方法

ガス自殺…でも生きてる…なぜ?…点火したら爆発・重傷 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0709/TKY200807090034.html

 8日午前8時ごろ、山梨県富士河口湖町船津のテーマパーク「富士スバルランド ドギーパーク」の近くの会社に勤める男性(40)から、「男が倉庫で爆発事故を起こした」と119番通報があった。男は、自殺を図ったとみられ、顔や手足にやけどを負う重傷で病院に運ばれた。富士吉田署は建造物侵入と激発物破裂の疑いで回復次第、事情を聴く。
 東京都町田市の職業不詳の男(20)。調べでは、7日夜、ドギーパークの倉庫に忍び込んだ。ガス中毒自殺をしようと台所のコンロの点火スイッチをひねり、ガスを出したままにして眠った。8日午前7時40分ごろ、目を覚まし、ガスが本当に出ているのかどうか確認しようとコンロに点火したところ爆発。倉庫の天井やドアがへこみ、窓ガラスが割れたという。男は「朝起きたら生きていたので不思議に思った」「爆発するとは思わなかった」と話しているという。同署は、男が青木ケ原樹海で自殺しようと、さまよい歩いているうちに、たどり着いた可能性があるとみている。倉庫は、テーマパークから約100メートル離れた山林にある。事故当時は無人で、犬もいなかった。

 いやあ、こんなマンガみたいなことがホントにあるんだねえ。というか、こんなネタをマンガで描いたら、「ふる~」とか言われそうだ。この男、これで死んでたら、ダーウィン賞確実だったのになあ。

 「ガスが本当に出ているのかどうか確認しようとコンロに点火した」ってところがすごい。“満点大笑い”である。「朝起きたら生きていたので不思議に思った」という述懐もこれまたすごい。「朝起きたら生きていた」ってあなた、「朝起きたら死んでいた」なんてことは、ふつうあまりない。

 この記事を書いた記者も、絶対ウケを狙ってるよな。「事故当時は無人で、犬もいなかった」という、おもろうてやがて哀しい締めかたが秀逸である。「犬もいなかった」ってサゲは、書けそうで書けないと思うぞ。



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2008年7月 8日 (火)

怪獣よ、現れろ!

温室効果ガス、半減目標「合意」うたわず G8宣言案 (asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/0708/TKY200807080214.html

 北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で主要8カ国(G8)は8日、温室効果ガスの世界全体の排出量を「2050年までに半減する」との長期目標そのものには合意せず、「共有を目指す」との文言にとどめる首脳宣言案を固めた。新興国が参加しない目標設定に慎重な米国に配慮した。

 「配慮した」ってのは、じつに便利な表現ですなあ。まあ、日米レイムダック同士でなにを話し合ったとて、そんなもんみんな、あんたらの勝手な花道を演出するための政治ショーだとしか思っていない。あとの六か国は、レイムダック二巨頭のお祭りにつきあって、なんとか自分の国がちょっとでも有利になるようなツケコミどころがないかどうかを虎視眈々と狙っているだけだ。

 おれとしては、十年半前に書いた日記どおりのことを目の当たりにして、とくになんの感慨もない。強いて言えば、ああ、人類というのは、やっぱりなんともいとおしい種属だなあと思うだけである。おれもその人類の一員であり、まあ、しゃあないかなあという感じだ。現生人類というのは、そもそも、百年も二百年も先のことを考えて日々を生きるようにはできていない。“考える”ことはできる。だが、考えることができるだけであって、種属全体として合理的にふるまえるようにはできていない。これはもういたしかたないことだ。生物としての遺伝的限界である。

 だが、いよいよ二進も三進もいかないという段階になれば、そのときには、なんとか種属の一部を生き延びさせる程度の力は発揮するだろうと思う。尻に火が点けば、なんとかできる程度の種属ではあると思っている。そのときおれたちの世代は、「あのバカどもが……」と未来の世代に怨まれるだろうけどね。

 昨今の狂騒的なエコ・ファシズムの裏には、エコ利権の奪い合いが見え隠れして、なんだかなあとおれは思うのだが、つまるところ、百年も二百年も先のことを考えて行動できないホモ・サピエンスの遺伝的限界を見据えながら、短期的な動機で行動することが長期的合理性に繋がるようなシステムをなんとか模索してゆくしかないだろう。二百年後の人類がどうなっているかなどよりも、たいていの人にとっては、来月、来年、おのれが飯が食えているかどうかのほうが大事に決まっている。人類とはそういう生物だという厳然たる事実を認識し割り切ることが、ほんとうの長期的サバイバルの出発点なのではなかろうか。

 かくなるうえは、やっぱり、怪獣を作るしかないよなあ。そういう意味で、このタイミングでギララを復活させた河崎実の遊び心には、存外に深い風刺精神が内在されているのだろう……と思う。



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2008年7月 5日 (土)

電車の女性乗務員を守る提案

電車内で乗務員を連続強姦 男起訴、朝のグリーン車狙う (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0703/TKY200807030489.html

 JR東日本の電車内で今年3月と4月、乗務員の女性が襲われる事件が2件相次ぎ、川崎市川崎区の飲食店従業員、今井卓哉被告(34)が、強姦(ごうかん)や強姦致傷の罪で逮捕・起訴されていたことがわかった。JR東日本は、一部の電車内に監視カメラを設置するなど、車内の防犯、安全対策の強化に乗り出している。
 電車内の強姦事件では、JR西日本管内の特急などで06年、乗客の女性3人が被害に遭うなどしたが、勤務中の乗務員の被害が明らかになったのは初めて。
 捜査当局やJR関係者などによると、今井被告は今年3月下旬と4月上旬ごろ、走行中の電車のグリーン車付近で、乗務員の女性をトイレに連れ込んで首を絞めるなどの暴行を加えたうえ、「静かにしろ。殺すぞ」「死にたくなかったら言うことを聞け」などと脅迫。1人を強姦し、1人は未遂だったが約2週間のけがを負わせたとされる。
 今井被告は、グリーン車には女性乗務員が勤務していることを知っていて、乗客の人目が少ない早朝を狙って相次いで乱暴したとみられる。

 ひえええ、こんなアダルトビデオみたいな事件が現実に起こっているとは……。まあ、車内がガラガラになる時間帯だったら、こういうやつも現れるかもなあ。

 それにしても、鉄道会社も鉄道会社だ。自社のどの路線のどんな列車がどんな時間帯にガラガラになるのかとかは、把握してないのかなあ。女性乗務員をひとりで回らせるのは危険かもしれないくらいのことは、気づきそうに思うんだけどな。ひょっとしたら、女性乗務員たちからも、「あの時間帯は怖い」くらいの訴えはあったのかもしれない。とくに昨年は、北陸本線の特急「サンダーバード」車内で、衆人環視(というか、衆人看過)の下に起こったああいう事件が各メディアに大きく取り上げられたくらいなのだから、もっと早く手を打つべきだったろう。

 監視カメラやなんかを設置する決定をし手配をするまでに時間がかかったのだろうが、どっちにしても監視カメラってのは、モニタを常時見ている人がいなければ、迅速に対応はできないだろう。あとで録画を観たら乗務員が強姦されていました、では話にならないのである。また、抑止力としての監視カメラは、「監視してるぞ~」とこれ見よがしに設置しなければ意味がない。ホンモノであろうが、ダミーであろうがだ。ほとんどのふつうの乗客にとって、ちょっと不愉快だろう。グリーン車となれば、なおさらだ。

 そこでおれは考えたのだが、女性乗務員にヘッドセットを着用させるというのはどうだろう? コールセンター要員が着けてるようなアレだ。実際に機能してもいいし、なんならダミーでもいい。よからぬことを考えている男に、「私はどこかと繋がってます」ということを視覚的にアピールするだけで、大きな抑止力になるだろうと思うのだがどうか? ヘッドセットなら、監視カメラほど不快な印象を与えないし、なにより、女性が装着している姿はあちこちで誰もが見慣れている。

 まあ、問題は、世の中には“ヘッドホン萌え”という趣味の人もあるから、“ヘッドセット萌え”だって、たぶんあるだろうということだけだな。ヘッドセットを装着しているがゆえに、ニッチな趣味(?)の男の劣情を刺激してしまうという可能性はゼロとは言えない。でも、ニッチなフェチで非常識な男であったとしても、「キャー」とひと声叫べばどこかの誰かに聞こえるようになっているかもしれないと“見える化”されていれば、そうそう迂闊に手は出せまい。ひょっとしたら、車内放送のマイクになっているという可能性だって、見るからにあるのだ。

 これ、いいアイディアだと思うんだけどなあ。ダミーでも充分効果あるんじゃないかな。どこかの鉄道会社さん、採用しませんか?

 まあ、最後の手段は、女性乗務員にスタンガンでも携行させるしかないか。それもまた、殺伐としてて厭だけどねえ。日本という国がそこまで落ちぶれてほしくない。



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2008年7月 4日 (金)

お米屋さんじゃないけどプラッシー

Plussy01 Plussy02 ちょっと前から、ペットボトル入りの「プラッシー」ハウスウェルネスフーズ/旧・武田食品工業)をコンビニで見かけるようになったので、ちょっと懐かしくなって買ってみる。期間限定なのか。むかしはお米屋さんが扱ってたもんだよなあ。

 プラッシーなんて飲んだのは何年ぶりだろう。何年なんてもんじゃないな、最後に飲んだのはおそらく十代のころではなかったろうか。懐かしいなあ。おれがむかしプラッシーだったころ、おふくろは名犬ラッシーで、姉さんは吸血鬼ブラッシーだった。わっかるかなあ? 二重にも三重にも四重にもネタが古すぎて、わっかんねーだろなあ。いまどきこんなネタやってるのは、三遊亭小遊三くらいだもんなあ。いぇーい。

 でも、やっぱり、味は変わってるね。ミカンの皮のせいだったのか、むかしはもっとこう、心なしか薬くさいような、かすかにほろ苦い絶妙な雑味があって、それがまたいかにもプラッシーらしかったのだが、五十周年記念という今回のペットボトル版は、今風のさらさらした甘みと酸味だけだ。洗練されていると言えば言えるが、なんだか、素朴なそばかすの少女が、ばっちり化粧をキメた大人の女性になってしまったかのようで、ちょっと寂しいような気もする。

 昭和は遠くなりにけり、か。




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2008年7月 3日 (木)

お買い上げ御礼(2008年6月)

■2008年6月

【最も値段の高いもの】

 おおお、こういうのをひょいと買っちゃう人もいるんだなあ。いやまあ、たしかに便利だけどね。商品そのものに力がある、魅力があるというのは、どんな小手先のマーケティングをも凌ぐことですなあ。

【最も値段の安いもの】

 おなじみ『英会話上達法』、今回も一円で売れております。これを一円で買った人、しあわせな人ですなあ。

【最も多く売れたもの】

 以前に紹介したように、これはマジで値打ちもんですよ。一家に一冊といったレベルですな。

【最もケッタイなもの(主観)】

 ああ、やっぱりこういう人がおったか。おれも鳥居みゆきは大好きなんだけどね。まだ、DVDを買うほどのふんぎりはつかないわけよ。基本、これほどの美人が、なにが哀しゅうてこういうことをしているのかという点に非常に興味が湧くのだな。鏡を見て、「ああ、私はたぶんすごい美人なんだな」と思う人は、お笑いをめざしてみるのも、これからの世の中、正解なのかもしれない。要するに、せっかく美人に生まれた人は、ただ美人なだけじゃつまらないということなのでしょうな。

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2008年7月 2日 (水)

警戒せよ、大阪人!

大阪人、「金が戻ってくる」には弱い? 還付金詐欺急増 (Yahoo!ニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080701-00000901-san-soci

 「オレオレ詐欺」には強くても、税金などの払い戻しを装う「還付金詐欺」には弱い大阪人-。大阪府警が30日まとめた今年1~5月の府内の振り込め詐欺の被害状況で、こんな大阪人像が浮かびあがった。全国での還付金詐欺の被害額は一般にオレオレ詐欺の半分以下だが、大阪府の還付金詐欺は件数、被害額とも前年同期比10倍以上と急増しており、オレオレ詐欺を大きく引き離している。
 府警幹部は「オレオレ詐欺に強い大阪人も、金が戻ると思わせる還付金詐欺には注意してほしい」と呼びかけており、府警は同日、被害抑止に向けた「振り込め詐欺対策本部」を設置した。

 いわゆる“オレオレ詐欺”に最も引っかからないのは大阪人であると人口に膾炙しているのだが、“金が戻ってくる”という話には弱いというのは、じつに面白い。おれは妙に納得し、爆笑してしまったよ。

 だけど、大阪人ともあろうものが、こんな手口に引っかかるとは、もう少し常識というものをわきまえなきゃならんよなあ。そもそも、国やら自治体やらが、「取りすぎていました」などと自分から申し出てくるわけがないじゃないか。民間の優良な企業であれば、そういう良心というものを持ち合わせており、みずからの過ちを誠実に認めることが長期的には自分たちの繁栄にも繋がるということをちゃんと理解しているが、国や自治体を逆さに振っても、そんな良心が出てくるわけがない。取れるところ、取りやすいところからはどんどん取り、取れないところ、取りにくいところからも取れれば取りたいと思っている。そして、一度取ったものは絶対に返すものかと思っている。「公のものは公のもの、民のものは公のもの」くらいに思っているのが、日本の多くの公務員である。ジャイアンみたいなものだ。そういう卑しい身分を恥ずかしく思う人は、たいてい遅かれ早かれ公務員など辞めている。

 原則として、国や自治体が国民・住民(ユーザ)のためを思って、自分たちが損をするようなことを自主的に言ってくるわけがないという、あたりまえのことをわきまえておれば、還付金詐欺などに引っかかるはずがないのである。わかりましたか、大阪人? とにかく、“官”とか“公”とかの名のつくものは“ひったくりの一種”だと思っていれば、大阪人ももっと自然に警戒できるだろう。



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誰を“ほふる”の?

 前から思ってるんだが、証券保管振替制度(あるいは、機構)の愛称が「ほふり」ってのは、あまりといえばあんまりではないだろうか? まず、いちばんに「屠り」と漢字を当ててしまう。あんまり“大切な株券”を預けたくないような名称だよなあ。まあ、おれは株券なんて持ってないが。

 こういう愛称がすんなり通ってしまうということは、「屠る」といった言葉を日常の語彙に持っている人が減っているということなのかもしれんなあ。まあ、このブログを読みにきているような人々にとっては、「屠る」というのは非常に使用頻度の高い日常語だろうとは思うが、どうやら一般世間ではそうではないらしい。

 ひょっとしたら、わざと「ほふり」という名称にしているという可能性もないではないかな。株式投資などとは縁のない経済的弱者を「屠る」という意味を意図的に込めているのかもしれない。いや、あくまで、“かもしれない”だよ。



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躍動する奔放な死体

Donors sign up to have bodies dissected, displayed (CNN.com)
http://www.cnn.com/2008/TECH/science/06/30/body.worlds/index.html

 おわわわ、こういうのは小林泰三さんとかがいかにも好きそうだなあ。

 死体の体液や脂肪をプラスティックで置き換える plastination という技術でもって、死体がそのまま展示物になるわけである。ただただフツーに埋葬されたり火葬されたりするよりは、死後、自分の遺体を人々の教育や啓発に役立てたいと、この死体展示会のために“ドナー登録”をする人が、北米で八百人、全世界で八千六百人もいるそうなのである。英語の苦手な方は、写真だけでも見てほしいが、いや、なかなかこれはすごいものですぜ。なんか、映画の『AKIRA』みたいだ。

 おれはあんまり人様の鑑賞に堪えるような身体をしているとは思えないが、その思想には共感できるものがあるな。おれはいかなる生気論的な立場も取らないので、死んでしまったら、遺体、というか、死体は、放っておけば腐ってゆくばかりの、ただの有機物の塊だと思っている。どうせなら、そういうものを役立てる方法があるなら、なんらかのカタチで役立てたいとも思っている。

 医者の卵のために献体するという手もあるが、多くの人の目に触れるという点では、自分の遺体の利用法としては、こういう“展示”という方法も、オプションのひとつに入れておいてもいいだろう。人体というのは美しいものだなあと見学者あるいは見物人を感嘆させることはできないだろうが、煙草を吸ってるとこんなふうになりますよ、酒を飲みすぎるとこんなふうになりますよという見本くらいにはなれるかもしれない。

 虎でなくても、死して身体を遺すテクノロジーがあることはあるわけだ。



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2008年7月 1日 (火)

今月の言葉

仕事ができる人はなぜコスプレをするのか

 ……という本を中川翔子あたりがいま出したらバカ売れすると思う。




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