お買い上げ御礼(2008年5月)
【最も値段の高いもの】
先日、こいつについて書いたばっかりなんだが、いや、マジでいいすよ、これ。もちろん、オーディオ機器だから、当然“値段のわりに”ということだけど。もう少し使い込むともっと音が練れてくると思うんだが、十日ほど使っただけでも充分満足。
おれは基本的には単なる声フェチで、音楽の趣味は雑食だが、総合的には、アニソンも含めてポップス系、ロック系の曲を聴くことが多い。だもんで、低音の厚みを重視しているこいつはとても気に入っている。低音はまったくイコライザでいじる必要がないクオリティーだから、高音をちょっとブーストしてやると、ちょうどおれ好みの音になる。おれの好きな Fleetwood Mac や Scritti Politti や U2 や Styx (オヤジな好みだねえ)なんか、タコなイアホンの音と比べると見ちがえる(ってのもヘンか。聴きちがえる)ようだ。シェリル・ノームの「♪もってっけ~」もいいぞ。
【最も値段の安いもの】
この作品は新刊本で手に入るのだけれども、どうしても旧版が欲しかった人がいるんでしょうなあ。
やっぱりクライマックスがいいよね。もしかしたらやるんじゃなかろうか、いや、そんなことが可能なのだろうかということをやっぱりやるところに手に汗握る。もちろん野尻抱介は、月であれば、ああいう方法でああいうふうに宇宙船に拾ってもらうことも不可能ではないと裏付けの計算をしたうえで、ああいうプロットを立てているわけで、“ああいう”ばっかりで未読の方にはなんのこっちゃわからんだろうが、ネタばらしをするわけにはいかない。“宇宙”というだけですぐブラックボックスのハイテクで煙に巻こうとするSFは凡庸なのであって、野尻抱介のすごいところは、宇宙がホントに“空の続き”だと思わせてくれるところなのだ。“手作り”や“ローテク”でも手の届く場所として提示してくれるのである。この作品は、とくにそんな野尻抱介の真骨頂が存分に発揮されている。
ひょっとしたら、この古本を買った人は、新刊本のほうもとっくに持っているのかもしれないなあ。
【最も多く売れたもの】
そうなんだよ、つまり先月は、最も値段の高いものが最も多く売れたわけなのだ。おれとしてはありがたいことである。まあ、“多く”ったって、一桁だけどね。イアホンに不満を持っていて、安くていいのがあれば試してみようという人が少なくないんだろうなあ。
たしかに、iPod の付属品のアレは、なんぼなんでもなあ。価格とか交通安全とか耳の健康に関する訴訟リスクとか、いろいろ深謀遠慮があって、あのあたりの高音寄りの設計を落としどころにしているのかもしれないが、いくらなんでもアレは音が薄っぺらすぎんか。しょせんアップルはコンピュータメーカであって、オーディオ機器メーカじゃないからねえ。携帯プレイヤーとクライアントソフトウェアとオンラインショップとの三位一体の垂直統合ビジネスモデルが大成功したからといって、虚心坦懐にオーディオ機器としての iPod を見た場合、ユーザインタフェースを除いては、さほど突出して優れたものだとは、おれには思えない。音楽を聴く環境に関するポピュリズムとでも言うべきものをとことん追及した結果成功した、ひとつのモデルであるというだけだ。これだけ大成功したのだから、アップルももう少し音響機器メーカとしての洗練へ向けて進んではどうか? かといって、ゼンハイザーを買収したりするなよ。
【最もケッタイなもの(主観)】
おおお、シーナ・イーストンですか。いいですねえ、おれも好きです。
このブログを検索エンジンで見つけてやってくる人の検索語にも、けっこう「It's Christmas All Over the World」があるのである。クリスマス・シーズンでなくてもだ。以前、この曲を惜しんで書いたエントリーがヒットするのだろう。やっぱり、それだけいい曲だと思っている人が多いにちがいない。この「It's Christmas All Over the World」(邦題「世界中のクリスマス」)が収録されているアルバムは、いまとなっては、この中古の「BEST NOW」しかないんだよねえ。東芝EMIの廃盤クリスマス・コンピレーション『ハート・オブ・クリスマス』にも入っているんだが、こいつはもう、アマゾンのマーケットプレイスでも入荷待ちである。
ホントにバカにならないほどの検索があるので、レコード会社は本気で「BEST NOW」の復刻を考えるべきだと思う。もはや、八十年代のシーナ・イーストン旋風を知らない若者も多いのだ。《007》シリーズの若いファンにだって、「このおばさん、歌うまいわー」などと、美空ひばりのリハを聴いた近藤真彦みたいなことを言っている人がいるにちがいない。そりゃ、歴代007主題歌歌手の中でも、シャーリー・バッシー(最近またCMで再発見している若者も多いかもしれない)とタメを張れるのはシーナ・イーストンくらいのものだよ。まだ現役なのに、日本ではすっかり過去の人みたいになっちゃってるのは悲しいね。
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