« 短歌は画だねえ | トップページ | 『親愛なる君へ』(柴田淳/ビクターエンタテインメント) »

2008年6月21日 (土)

国際環境保護窃盗団「グリーンピース」

グリーンピース:鯨肉持ち去りでメンバー2人逮捕 (毎日jp)
http://mainichi.jp/select/today/news/20080620k0000e040025000c.html

 国際環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」(GP)=東京都新宿区西新宿8=のメンバーが4月、調査捕鯨船「日新丸」乗組員の鯨肉横領を裏付けようと、宅配途中の鯨肉入り段ボールを無断で持ち去った事件で、青森県警と警視庁は20日朝、GP海洋生態系問題担当部長、佐藤潤一容疑者(31)=東京都八王子市みなみ野3=ら2人を窃盗と建造物侵入の疑いで東京都内で逮捕した。

(中略)

 県警は20日午前、新宿区のGP事務所など5カ所の家宅捜索に入った。2人の身柄は同日中に青森署に移して本格的に事情を聴き、GPが組織的に関与していなかったかなどについても調べる。
 GPは5月15日、乗組員ら12人が鯨肉を着服したとして業務上横領容疑で東京地検に告発。佐藤容疑者は記者会見で、無断持ち出しを認めたうえで「横領行為の証拠を入手するためで問題ない」などと説明していた。
 県警は「持ち出し行為は悪質で、グリーンピースの主張は関係ない」としている。西濃運輸は「同様事件の再発防止を再徹底する。グリーンピースへの損害賠償請求については、弁護士に相談する」とのコメントを発表した。【矢澤秀範、野宮珠里】
 ◇「逮捕は当然だ」 国家公安委員長
 GPメンバー2人が逮捕されたことについて、泉信也国家公安委員長は20日の閣議後会見で「人の所有物を勝手にとるのはあってはならないことで許されない。(逮捕は)警察として当然の責務を果たしたものと理解している」と述べた。

グリーンピース:即時釈放求める声明 (毎日jp)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080620k0000e040079000c.html

 国際環境保護団体グリーンピースは20日、「グリーンピース・ジャパン」の幹部ら2人が窃盗容疑などで青森県警と警視庁の合同捜査本部に逮捕されたことを受けて、「無実の人間が逮捕されたことは驚きだ。即時に釈放されるべきだ」との英文の声明を東京発で発表した。
 声明は、「日本の捕鯨は国際的に批判されている。逮捕された活動家には、捕鯨で誰が得をしているか知る権利がある。(逮捕は)脅迫行為だ」と非難した。(共同)

 おれは最初にテレビでこのニュースを観たとき、目か耳がおかしくなったのかと思ったよ。言っていることがさっぱりわからない。「横領行為の証拠を入手するためで問題ない」って、あのなあ、いつどこで誰がおまえに司法警察権を付与したというのだ?? 環境より先に、自分の脳を心配しろ。

 まあ、どんな組織にもバカはいる。ごく少数のバカが勝手な解釈で突っ走って犯罪に走ることもあろう……と大目に見てやろうかと思っていたら、団体名義の声明で「無実の人間が逮捕されたことは驚きだ」などとほざいている。おまえらが犯人たちを「無実の人間」だと思っているのが驚きだよ。

 こら、あかんわ。こいつらの言っていることは、オウム真理教と本質的には変わらん。テロリストの論理だ。こういう連中は、法というものは自分たちを縛るばかりの枷だとしか考えられない程度の知能と想像力しか持ち合わせていない。その法が守っているものの中には、ほかならぬ自分たちも入っているのだとは夢にも思っていないのである。

 こんなやつらは、どんどんしょっぴけばよろしい。というか、しょっぴかんとまずい。国家公安委員長の言ってることは、まったくもって正しい。こいつらは、“環境保護”という呪文を唱えれば、なにをしてもかまわんと思っているわけだ。“なにをしても許される”と思っているわけではない点に注意されたい。なにをしてもかまわんのだから、“許される”なんて概念そのものがそもそもないのである。

 こういう団体を放っておくと、そのうち集団で秋葉原とか新宿とか霞が関とか東京駅とかでダガーナイフを振りまわし通行人を数十人、数百人と殺傷しては、シー・オー・ツーの排出を削減するためで問題ない」などと、いけしゃあしゃあとほざくにちがいない。おれは冗談で言っているのではないのだ。そういう思想を内包している団体だと、連中は自分たちで誇らしげに明言しているのである。

 まともに環境保護について考えているのだが、うっかりなにかの弾みでグリーンピースに所属してしまっている人は、すぐに脱退したほうがいい。いつなんどきどんな理屈で、“自己批判”を迫られ、粛清されるかポアされるか、わかったもんじゃないですぞ。なにしろ、あなたひとりがこの世から消えれば、あなたぶんの二酸化炭素の排出は確実に削減できるし、あなたぶんの食糧になる動物や植物の命を絶たなくてもすむのもまた、定性的にはまったく正しいことなのだから。



|

« 短歌は画だねえ | トップページ | 『親愛なる君へ』(柴田淳/ビクターエンタテインメント) »

コメント

「環境保護活動のため、あえて自分は窃盗の罪で逮捕されることを覚悟でやりました」と一言言ったら、どれだけ世間から同情されたことか。その程度の計算はしようよ

投稿: ふみお | 2008年6月21日 (土) 10時42分

私もテレビを見た時、よく理解できずに何度も同じニュースを捜して見ました。・・・が、やっぱり
窃盗でした。

投稿: 湖蝶 | 2008年6月21日 (土) 13時07分

冬樹蛉のような食ナショナリズムにとりつかれた連中の意見というのはそんなところだろう。
グリーンピースの行為は社会を良くするためにやった刑法でいう正当行為だから罰には値しない。告発者をなんでもかんでも逮捕していたら誰も告発しなくなる。そのことの社会の害悪の方がおそろしい。
そもそも、警察は警察権を行使してクジラ窃盗団を逮捕しないのが問題で、そういう意味では警察・検察の不作為の不法を告発したという意味でも、グリーンピースの行為は意義のあることだった。グリーンピースの告発を評価する。↓
http://web2.rederio.org/gp/doss.pdf

投稿: ナンテン | 2008年6月21日 (土) 14時36分

このさい名前を「国際秘密結社グリーンピース」に改名して、み~ど~り~ま~め~のポーズをキメると楽しいと思ふ。

投稿: heiwa4126 | 2008年6月21日 (土) 14時52分

 グリーンピース・ジャパンの論理は、“君側の奸を斬る”と同じですからねえ。そりゃ法治国家では認められませんわな。

投稿: 松浦晋也 | 2008年6月21日 (土) 18時08分

>(正当行為)
>刑法 第35条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

 検察官が証拠物件を押収したり、ボクサーが相手選手を殴ったりしても罰せられないってヤツね。
 でも、ヤクザ屋さんが賭博を開帳したり、スリ屋さんが財布を抜き取ったりするのまでは正当行為とみなされないのよ。

投稿: 東部戦線 | 2008年6月21日 (土) 22時09分

>ナンテンさん
> グリーンピースの行為は社会を良くするためにやった刑法でいう正当行為

なるほど。確かに、誰でも好きなだけ鯨が食べられる社会になれば素晴らしいことですが、だからといって、他人の鯨肉を盗むのは法治国家では拙いですよ。

投稿: 小林泰三 | 2008年6月22日 (日) 00時24分

>ナンテンさん

告発したいやつは好きなだけ告発してくれ。告発する事自体は違法行為じゃ無い。
だが証拠が必要なら荷物が処分されないよう証拠保全の申し立てを起こせ。自分で勝手に確保したらそれは犯罪だ。
それに法治国家では違法に収集された証拠物件は公判で証拠採用されないされないから今回のグリーンピースの窃盗行為は最初から無意味だったんじゃないのか。

投稿: 超時空漫才 | 2008年6月22日 (日) 01時11分

 まったく余談なんですけど、今回のゴタゴタに乗じて税務署が出てくるかもしれないですね。
 乗組員に渡された「御土産」は横領には当たらないかもしれませんが、部位としては珍重されている部分ばかりで、量もけっこう多い。小売価格にするとかなりの額になるというのは本当なのでしょう。
 まぁ、多いとは言っても調査捕鯨がある時にしか手に入らないので、転売などせずに、本人や家族、あるいは友人で消費しきってしまうのかもしれません。街中の店とちがって、通常、漁師や農家の自家消費が税務署につつかれることはないです。
 がしかし、こういった騒ぎがあると、税務署は「御土産」を高額のボーナスとみなして、税額を見直すと言い出すかもしれません。

投稿: 東部戦線 | 2008年6月22日 (日) 15時20分

>ふみおさん

 そうそう、それならまだ本来の意味での“確信犯”ですからね。それ相応の法の裁きは甘んじて受けるという覚悟が感じられます。


>湖蝶さん

 ふつうの判断力を有する人であれば、みなそう思うと思います。


>ナンテンさん

 ……と呼びかけるのもなんか虚しいような。というのは、たぶん、バイトかなんかが定型文をコピペしてるんだろうと思いますんで。「冬樹蛉のような食ナショナリズムにとりつかれた連中」という言葉遣いが奇妙でしょ。私はその思想が筆名とリンクして人口に膾炙しているような著名な評論家ではありません。たまーに商業媒体にちょろっと書く程度のSF書評・解説屋です。「○○○のような食ナショナリズムにとりつかれた連中」という言いまわしは、○○○のところに、食ナショナリズムを以て鳴るような人の名前を持ってこないと、わけわからん滑稽な表現になってしまいます。まあ、おそらく、バイトの人は、「内容の如何にかかわらず、ウェブでグリーンピースを非難しているやつのところには、みな機械的にそのようなレッテルを貼ってこい」と雇い主から命じられているのでしょうね。それで一件あたり、いくらくらいもらえるんでしょう?

 いや、それにしても、アカとか左とかフェミニストとかアナーキストとかニヒリストとか売国奴とか非国民とか言われることはときおりありますが、ナショナリスト呼ばわりされたのは生まれて初めてなので、なんかちょっと嬉しいです。米をほとんど食わず、小麦や大豆ばかり食っている私が、食ナショナリストを名のってよろしいでしょうか?

 それにしても、このエントリーのタイトルのせいなのか、上のアマゾンのコンテンツ連動広告のところで、窃盗団の事務局長とかいう人が書いた本が宣伝されてしまうのはちょっと苛立たしいのですが、リンク先に行ってみると、なかなか痛快なボロクソ書評がたくさんアップされていて、それはそれで面白いので、宣伝しておくことにしましょう。グリーンピースの本がたくさん売れてアフィリエイト収入がそこそこ入ったら、十数年ぶりにクジラのベーコンでも買って食おうと思います。


 まあ、私の言いたいことは、ほかの方が書いてくださってますので、あえて屋上屋を重ねる必要もないでしょう。

 本来であれば、ナンテンさんの発言のような非礼なものは速攻削除なんですが、まさに私がこのエントリーで指摘しているようなテロリストの思想の見本のような発言なので、よいサンプルとして、面白いからこのまま晒しておきます。ええ、頼まれたって消すもんですか。

投稿: 冬樹蛉 | 2008年7月 7日 (月) 02時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 国際環境保護窃盗団「グリーンピース」:

« 短歌は画だねえ | トップページ | 『親愛なる君へ』(柴田淳/ビクターエンタテインメント) »