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2008年5月10日 (土)

天然ウナギイヌ

爬虫類+鳥類+哺乳類=カモノハシ? (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/0509/TKY200805090094.html

 オーストラリアに生息する哺乳(ほにゅう)類のカモノハシは、アヒルのようなくちばしをもち、卵を産むが、体は毛で覆われ、母乳で子どもを育てる。この「世界で最も奇妙な哺乳類」のゲノム(全遺伝情報)を英米豪や日本の理化学研究所の研究員らでつくる国際チームが調べたところ、遺伝子も哺乳類、爬虫(はちゅう)類、鳥類の「パッチワーク」のようになっていたことがわかった。8日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。
 約100人の研究チームが、カモノハシのメスの約1万8500個の遺伝子を調べたところ、オスのつめにある毒はヘビなどの爬虫類と同じたんぱく質だった▽性の決定にかかわる遺伝子は鳥類に似ている▽哺乳類の特徴である母乳をつくる遺伝子がある、といった特徴があった。研究チームの欧州生命情報学研究所のユアン・バーニー氏は「カモノハシは見た目と同じく、遺伝子も奇妙に混ざっていた」とコメントしている。
 進化の過程で、哺乳類が鳥類、爬虫類と共通の祖先から分かれたのは3億1500万年ほど前。カモノハシは約1億7千万年前にヒトと共通の祖先から分かれたが、鳥類、爬虫類の特徴を持ち続けたと考えられる。英オックスフォード大のクリス・ポンティング氏は「カモノハシのゲノムは、ヒトなどの哺乳類がどのように誕生したのかを探るうえでのミッシング・リンク(鎖の環(わ)の欠けている部分)だ」と指摘している。(香取啓介)

 結局、研究者も言っているように“見たまーんま”だったんだなあ。なんか、安心したと同時に、生物の驚異に改めて感じ入ったよ。よくこんな中途半端なやつがいままで生きてこられているもんだが、そこがやっぱり、オーストラリアやニュージーランドあたりの面白いところだよなあ。

 おれが前から不思議でしようがないのは、有名なカモノハシの生体電流感知能力である。あのクチバシにある感覚器で、餌になる小動物のきわめて微弱な筋電位による電場の変動を感知し、視覚がまったく役に立たない水中の泥の中でも獲物を捕えられるのだという。この進化の迷い子は、そのような能力を、遺伝的にはいったいどこから持ってきたのだろう? カモノハシになってから獲得したのか? 以前からゲノムに持っていたコードを、なんらかの形でカスタマイズして使いまわしているのか? 魚類には電場を感知する能力を持っているものは少なくないし、鳥類には磁場に敏感なものがいる。もっと下等な細菌にも、走磁性を持つものがあったよな。

 おれはなんの証拠もなく勝手に面白い方向に想像しているだけなのだが、カモノハシの電場感覚器は、ひょっとすると鳥類の磁場感覚器と遺伝的な起源を同じくしているのではなかろうか? なーんとなく、そんな気がしませんか? 「あ、DNAのこのへんのコーディングは、ちょっといじれば水中で電場センサーとして使えるやん!」などとカモノハシが考えたわけじゃもちろんないだろうが、突然変異と自然淘汰が結果的にそのようなカスタマイズを促したのやもしれない。鳥類は“それ”を地上での磁場センサーとして進化させ、カモノハシは“それ”を水中での電場センサーとして進化させた……んだとして、その“それ”が特定されたら、さぞや面白かろう。

 いやまあ、おれの言ってることは、あくまでワイルドな想像だけに頼った与太にすぎないから、こういうところをこそ分子遺伝学や分子進化学が科学的に解明してくれて、おれたち素人の酒の肴を増やしてくれるのを楽しみにしているのだ。

 それにしても、おれたち“ふつうの哺乳類”は、どうして電場や磁場に対する感覚を捨てちゃった(とも言い切れないけれども)んだろうねえ? 方向音痴のおれとしては、たいへんもったいないと思う。もっとも、そんな感覚を人間が持ったままでいたとしたら、エレクトロニクスの進歩は大幅に遅れたんじゃないかな? いや、あるいは、もっと速く進んだろうか? みんなが生まれつきファラデーやフレミングなのだ。

 まあ、いまのおれたちに、なにかの弾みで、突如、電場感覚や磁場感覚がよみがえったとしたら、“うるさくて”とても生活していられないにちがいないだろうけどねえ。



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コメント

ピラミッドやらマチュピチュの石垣やらが「宇宙人のテクノロジーを使った」と考える系のトンデモネタは多いですが、私は古代(少なくとも西洋は中世になっちゃった頃の南米あたりまで)の人たちは「触ったらミクロン単位で曲がってるのくらいは分かる」感覚を普通に持っていたんじゃないかとか考えております(宇宙人の助けなんかいらない)。電磁波とか、重力とか、湿度とか、平衡とか、ほんとは今でも人類ももっと感じ取れるはずなんじゃないかなあ、なんてね。

投稿: ふみお | 2008年5月10日 (土) 14時54分

>ふみおさん

 熟練した職人さんたちの中には、ミクロン単位の差がわかる感覚の持ち主がけっこういらっしゃるようです。でも、大きさや重さならともかく、電場や磁場はどうでしょうねえ? もしそういうものを感知できる人がいたとしても、自分自身の発生させている電場・磁場、地磁気や身のまわりに溢れている電場・磁場による擾乱で、あんまり微弱な変化は感知できないんじゃないですかね?

投稿: 冬樹蛉 | 2008年5月12日 (月) 00時16分

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