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2008年4月15日 (火)

あれはこっちではシャベルじゃない

 「家族と、もっと、シャベる。」――というのが、最近の au のコピーなんだが、ちょっと待った。

 テレビCMのあの映像などを観て、関西人の多くは違和感を覚えるはずである。ふつう、ここいらへんではあのハンディな掘削用具をシャベルとは呼ばぬ。あれはスコップだ。

 そりゃまあ、標準語では“シャベル”があのようなものを指すことになっているというのは、知識としては知っている。が、やはり、おれのコアにあるものが、「あれはシャベルではない。スコップだ」と言い張って聞かぬのである。

 小学生のころ、学校の花壇に球根やらなにやらを植えるのに使った道具はなんであろうか? スコップである。断じてシャベルなどではない。花壇にしゃがみこんで夢中で作業をしていたあのコのまぶしい太もものあいだに覗いていた純白のパンティーに誓って、あれはスコップである。

 不思議なことに、“スコップ”と言うと、関東人の多くは、工事現場とかで使っているあのでかいやつが頭に浮かぶらしい。あっちが“シャベル”やんか。

 この“シャベル-スコップ”問題、小林泰三さんがこだわっている“冷麺”問題に匹敵する不可思議な問題である。いかにしてこのような逆転が生じたのであろうか?



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コメント

「アレは『移植ごて』である」と父に教えられたオレは福岡出身です。

投稿: TORI | 2008年4月15日 (火) 01時36分

>TORIさん

 い、移植ごて。そういえば、そんな呼びかたもあったような……。

 ワタシ的感覚では、“こて”類というのは、あくまで“押さえつける”という動作が主目的の道具のような気がするので、アレのような“湾曲している部分に物体を満たして運ぶ”といった用途の道具に用いるのは抵抗があるのですが、腹じゃなくて背のほうの用途に注目すれば、なるほど“こて”の一種ではあるかなあ。九州全般で、そんなふうに呼んでいるんですか? それとも、TORIさんのご家庭の教育方針が近隣とは趣を異にしていたということなんでしょうか?

投稿: 冬樹蛉 | 2008年4月15日 (火) 02時02分

「移植ごて」普通に小学校で使っていた@長野。
世代は主と同じです。

投稿: nido | 2008年4月15日 (火) 04時14分

九州は福岡なのですが、学校などではスコップと呼んでいたと思います。
オレがスコップと言ったときに
「これは『移植ごて』っちゅうったい」
と言っていたと記憶しています。
年代(父は昭和4年、オレは43年です)なのか、それとも、盆栽や庭弄りが趣味の人なので、そっちの世界ではそれが正式名称なのか、だと思っていました。

投稿: TORI | 2008年4月15日 (火) 14時02分

北関東で生まれ育ったものです。
わたしのまわりでもあの「ハンディな掘削用具」は「スコップ」と呼ぶのが普通であったと思います。「シャベル」はやはりもっとでっかいやつをさす用語でした。

ドリフのコントにも、志村演じるスナイパーが「スコープよこせ」と助手(加藤茶)に命じると加藤茶が小さなスコップを持ってくる、というギャグがあったと記憶しております。
これはあの小さいやつが「スコップ」であるという認識がある程度普遍的なものであったことを示しているのではないでしょうか。

それからわたしは地面に穴ぼこを掘ることを生業としているのですが、業界では「移植ごて」と通称しています。あれは「スコップ」だと信じていたわたしは当初戸惑ったことを覚えています。

投稿: いしー | 2008年4月15日 (火) 21時42分

ネットで調べると、シャベルは英語でスコップはオランダ語だそうです。
想像するに、日本のお父さんたちが軍隊時代、陸軍に入隊したひとたちはオランダ風のスコップ、海軍の兵隊さんは英国風にシャベルと覚えたのではないでしょうか。

ところでツルハシといえば普通はあの尖がった工事器具を思い出すのですが大阪の人たちは焼肉を思い出す、というのは本当でしょうか。
やはり大阪の人にノコギリを渡すと「お~まえ~はあほ~か」と歌いだすのはよく見かけますがウソですよね。

投稿: アダチ@初音ミク中毒 | 2008年4月15日 (火) 22時06分

関東の人はショベルカーはなんと呼ぶのでしょうか?

投稿: 小林泰三 | 2008年4月15日 (火) 23時52分

 ううーむ。なにやら、地方で明確に分かれるというものでもなさそうですねー。首都圏と近畿圏ではおおーまかには分かれるのかもしれないけど。

>nidoさん

 もしかしたら「移植ごて」と教科書なんかでは一応は習ったような気もしないのですが、みんなそんな言葉はすっかり忘れて、スコップスコップと言ってましたが~(^_^;)。


>TORIさん

 それはたぶん“そこいらへん”系の世界での正式名称なのだろうと思います。スコップってのはおそらく、急に右下腹が痛くなった人に「盲腸ちゃうか?」と日常では言うようなもんじゃないかと。「虫垂炎ちゃうか?」と言っている人は見たことがありませんが、言われてみれば、たいていの人はその言葉はちゃんと知っている(でも使わない)といった感じじゃないでしょうか。


>いしーさん

 おお、プロの証言が。そうかー、ドリフもアレをスコップと呼ぶことを前提としたコントをやってましたか。でも、放送作家が関西人だったという可能性も残りますよね(^_^;)。やっぱり地方とは関係ないのかなあ。ますますわからなくなってきた。


>アダチ@初音ミク中毒さん

 おお、その軍隊の説は説得力ありますね。

>ツルハシといえば普通はあの尖がった工事器具を思い出すのですが大阪の人たちは焼肉を思い出す、というのは本当でしょうか

 ほんとうです。中でもとくに「鶴一」という特定の店を連想する人が多いようです。

>大阪の人にノコギリを渡すと「お~まえ~はあほ~か」と歌いだすのはよく見かけますがウソですよね

 ほんとうです。テルミンを触らせても同じような現象が見られるようです。


>小林泰三さん

 「スコップカー」と言っている人は見たことがありませんが、「シャベルカー」と言っている人はたまにいますね。私は「シャベルカー」と言われると、ナイト2000を連想します。

投稿: 冬樹蛉 | 2008年4月16日 (水) 01時08分

 おおおお、同じネタにこだわっている人が……。

http://quipara.ti-da.net/e2059740.html

投稿: 冬樹蛉 | 2008年4月16日 (水) 01時09分

|関東の人はショベルカーはなんと呼ぶのでしょうか?

 ショベルカーというのはバックホーのことでしょうか?

投稿: 林 譲治 | 2008年4月16日 (水) 07時40分

あれ、スコップってscoop(サジまたは特ダネ)つまり英語じゃなかったの?とボケてみる年寄りであった。

バックホーは前にシャベル、後にスキ(hoe)。ランダムハウスによれば前についてるものをscoopとも呼ぶらしいです、ホントかしらん?

投稿: 村上 | 2008年4月16日 (水) 09時39分

申し訳ない、hoeはクワでした。
またランダムハウスの説明を最後まで読んだら日本語のスコップはまちがいなくオランダ語のschop、元はscopeで、英語scoopの語源と同じとのことです。ようやく納得

投稿: 村上 | 2008年4月16日 (水) 10時39分

「移植ごて」ですか……

なんか、臓器移植を「シャベル」でやってるところを連想しました@関東

投稿: ふみお | 2008年4月16日 (水) 23時31分

 ちょっと出遅れましたが……

 昔の日本の軍隊では、あの穴掘りに使う道具を「エンビ(円匙)」といったですよ。本当は「エンシ」が正しい読みだという話もありますが、自衛隊でもエンビと呼んでいるようです。
 ですから軍隊説は多分ハズレではないかなと思いますです。

投稿: 東部戦線 | 2008年4月18日 (金) 18時04分

>東部戦線さん

 なるほど、円い匙ですか。字を見ないと、いきなり言われてもなんのことだかわからんですね。ヘンジョウカとか、なんか軍隊の言葉には、音だけではわかりにくいものが多いですね。

投稿: 冬樹蛉 | 2008年4月22日 (火) 00時50分

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