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2008年1月 3日 (木)

都合のいい宇宙人がおったもんやな

宇宙人が地球を観測したら… スペイン・米チームが論文 (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/1231/TKY200712310097.html

 宇宙に生命を求めて太陽系外の惑星探しが盛んだが、宇宙人の天文学者に地球はどんなふうに見えるのか――。そんな論文を、スペインと米国の研究チームが天文学専門誌(電子版)に発表した。地球は、生命の存在につながりうる、気象現象がある「生きた」惑星とわかるはずだという。
 恒星を回る惑星に生命が存在するには、恒星までの距離や、大気があるかどうかなどがカギ。太陽系では、地球のすぐ内側の金星は暑すぎ、すぐ外側の火星は寒すぎる。地球はちょうど良い条件がそろい、水や水蒸気が共存して変化に富む気象現象が起きている。
 チームは、気象衛星が撮影した地球の雲の映像を分析した。遠方の宇宙人には地球が点にしか見えず、明るさの変化だけを観測すると考えられる。だが、そのパターンから自転周期が割り出せ、想定される明るさからのずれの分析で気象現象や海、大陸の存在まで知ることができるはず、と結論づけた。
 ちなみに、金星には地球より厚い大気があり、火星には逆に大気はほとんどないが、宇宙人から見れば、いずれも明るさは変わらないという。
 これまで地球の天文学者は太陽系外惑星を200個以上発見している。

 「遠方の宇宙人には地球が点にしか見えず、明るさの変化だけを観測すると考えられる」と言うんだが、なんか妙じゃないか? 遠方ってのは、どのくらいの遠方を想定しているのだろう? 地球人ですら、現代の科学力で「太陽系外惑星を200個」そこそこしか発見していないわけだよね。自恒星系外の惑星に生命が存在するかなんてことを光学観測で推測しようというほどの技術を持つ異星の生命体が、電波天文学を手にしていないなんてことがあるだろうか? まあ、そいつらにとっての“可視光”は、おれたちのそれとはちがうだろうから、そいつらがどこいらへんの波長の電磁波を観測するのを“電波天文学”と呼んでいるかは知る由もないけどなあ。もし、そいつらが「異星の知性体を探そう」という予断というか目的を持って観測をしているのであれば、光学的に観測してまわりくどいことを考えるよりも、地球から出ている電波のパターンを研究するほうが早道のような気がするんだが……。

 そもそも、この異星人は、あまりにも地球中心的な思考の持ち主である。「大気」だの「熱い」だの「寒い」だのという言葉を、なぜか地球人流に使っているし、生命の存在に水が不可欠であるかのような前提を勝手に持ち込んでいる。不思議なことおびただしい。異星人の科学者は、「どうも、この惑星では生命が存在するには寒すぎるよなあ」などと午後の硫酸をホットで飲みながら首を傾げているかもしれず、「こんな熱い星に生きものがいるはずがない。だとしたら、このガチャガチャした電磁波はなんだ? わからん、ちょっとシャワーでも浴びて気分転換しよう」と液体のメタンを浴びて頭を冷やしているかもしれない。

 結局、この論文は、「もし、自分たちが遠方の恒星系の惑星に遠いとおいむかしに捲種された地球人の同胞であったとしたなら、現在の太陽系第三惑星を光学観測してどのように推理するか」という話なんじゃないの? あ、すまん。「現在の」という言葉も、この場合、不用意に使ってはいかんのだった。おそらく、世界中のSFファンがあちこちでこのニュースにツッコんどるだろうな。



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コメント

デムパ天文学があったら、生命活動はすぐに認識されるでしょう……

投稿: ふみお | 2008年1月 3日 (木) 12時33分

>ふみおさん

 デンパとか呪いとかなら、超光速で伝わりますしね。

投稿: 冬樹蛉 | 2008年1月 3日 (木) 12時37分

 近くの恒星(シリウスとか)に天文学者がいてこちらの太陽を観測してもたぶん地球は見えないだろうし、この人たちは木星か土星あたりの宇宙人が内側の惑星を見ている-と想定してるのかも。

投稿: 村上 | 2008年1月 3日 (木) 16時46分

 恐怖のスペイン宗教裁判の国だからなぁ、カソリック信者以外は知的生命体と認めないかも。

#その上で宇宙には知性体で満ちていると主張するのは、それはそれで筋が一本通っている気はします。三本毛が足りない気もしますが。

投稿: 林 譲治 | 2008年1月 4日 (金) 10時43分

>村上さん

 なるほど、その発想は盲点でした。でも、だったら、なおのこと、地球みたいな、活性の高い猛毒の気体の分圧が高い大気を持ち、なんでも溶かす怖ろしい液相の一酸化二水素が満ち溢れている地獄のような星に生命が発生しているとは、木星人も土星人も思わないような気も……。


>林譲治さん

 むかしモルモン教の伝道師と進化論について議論していたら、なんでも彼らは、キリストはあちこちの星に現れて地元民(?)を救ってまわっているのだそうで(ブラッドベリの短篇にそんなネタがありましたが……)、彼らにしてみれば、地球人の非(未)信者よりも、キリストを信じるゼリー状生物かなんかのほうにより親近感を覚えるのかもしれませんよ。

投稿: 冬樹蛉 | 2008年1月 5日 (土) 01時43分

ディスカバリーチャンネルなんかでたまにある、地球外生命を想像しようって番組でもこういう傾向がありますよね。

投稿: くらげ | 2008年1月 8日 (火) 12時48分

>くらげさん

 まあ、しょせんキリスト教徒なんてのは人類中心主義ですから。

投稿: 冬樹蛉 | 2008年1月16日 (水) 00時10分

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