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2007年12月23日 (日)

『もうひとつの未来 ~ starry spirits ~』(森口博子/キングレコード)

 すばらしい。森口博子ここにありである。ただただ、すばらしい。ゲームのテレビCMで「おおお!」と思い、ウェブでPVを観て鳥肌が立ち、あわててCDを注文した。

 ゲームソフト「SDガンダム Gジェネレーションスピリッツ」(PS2)のテーマソングなわけだが、おれはゲームにもガンダムにもあんまり思い入れはない。だが、実力のわりにメディアでの露出が少なく、あまりに過小評価されている歌手・森口博子には思い入れがあるのである。個人的に顔やキャラが好みであるという点はこの際置いておくとしてもだ、この「もうひとつの未来 ~ starry spirits ~」はすばらしい。元祖バラドルとしてのイメージしかない人々、アニソン歌手として一段下に見ている人々、とんでもない、こいつを聴いて、水をぶっかけられていただきたい。すごいポピュラーシンガーがここにいるのですぜ。

 森口博子の不幸は、そのストレートな天性の歌唱力にあるだろう。つまり、むかしは歳のわりにあまりに巧すぎたのだ。巧いことは文句なく巧いのだが、なんとなく、こましゃくれた(って言葉を大人に使うのも妙だが)感じがした。また、頭がよすぎるため、歌手としての才能以外の部分が評価されすぎた。レコード会社の力があんまりないうえに、宣伝が下手ということもあるだろう。ここへ来てようやく、年齢による蓄積が生まれ持った抜群の歌唱力に追いついてきたという感じだ。才能と技巧と表現力が絶妙のバランスを見せるところにきた森口博子は、これからがすごいぞ。アニソンという“ジャンル歌謡”を歌手としてどこまでも誠実に唄うことに誇りを持った森口博子は、それがゆえにこの曲でアニソンの枠を突き破って普遍に至った。ゲームもアニメもガンダムもまったく知らない人がこの曲を聴いても、「いい歌だなあ、巧い歌手だなあ」と思うはずである。そういう人がもしあなたのまわりにいたら、森口博子だということを伏せてこいつを聴かせてあげていただきたい。「ええーっ! 森口博子ってすごいんだー」と認識を改めるはずである。

 四十代、五十代の森口博子は、根強いファンが根強く支持する大御所として日本の歌謡界に君臨することになるのではあるまいか。そうだなあ、おれたちの若いころで言えば、伊東ゆかりみたいな存在になるんじゃないかなあ。

森口博子:ガンダムソングで歌手復活 「もうひとつの未来」で12年ぶりオリコン30位入り (毎日.jp)
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20071205mog00m200064000c.html

「SDガンダム ジージェネレーション スピリッツ」主題歌「もうひとつの未来 ~starry spirits~」を唄う森口博子さんにインタビュー (GAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070924/mori.htm


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コメント

ううむ……こ、これはすごい……

もうね、こういうのは練習だけで何とかなるものじゃないんですよね。天性の感覚的なものと、先天的にいい声帯を持ってないと。ワタシなんか、発声だけでせいいっぱいなので、こういう「細部」がないのですよ……orz

これはCD買わないといかんですね。

投稿: ふみお | 2007年12月24日 (月) 00時28分

>ふみおさん

 でしょでしょ。

 「ETERNAL WIND」でもそうですが、森口博子のすごいところは、出だしでスッと入ってくるところから、いきなり“静かなフルパワー”をぶつけてくる点です。冒頭で森口の声が聞こえはじめた瞬間に鳥肌が立つんですな。第一声でぐいっと世界観に引き込んでしまう。八代亜紀に匹敵する説得力です。

 サビんところでかすれた高音張り上げてれば巧く聞こえるような歌(つまり、パンピーがカラオケで自己満足に浸るための歌)を当てがわれているだけということにも気づかずに自分はひょっとすると歌が巧いのだと勘ちがいしている小便臭いアイドルには、森口博子の第一声のインパクトに打ちひしがれてほしいもんです。

 森口唯一のスマッシュヒットの「ETERNAL WIND」程度ですら、当時はアイドルにしちゃ例外的に歌が巧いと評価されていたものですが、この「もうひとつの未来」は、「ETERNAL WIND」のころの歌唱力の数段上を行ってますね。次元がちがう。ホント、これからが楽しみです。本田美奈子.は“日本のサラ・ブライトマン”路線に歩み出し志半ばにして逝ってしまいましたが、森口博子には“日本のセリーヌ・ディオン”路線を突き進んでもらいたいと思っています。なにより、もっと曲に恵まれてほしいすけどね。今回の“復活”(なんて書いてるマスコミ、失礼な!)を期に、いい曲がどんどんめぐってくるといいんですけど。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年12月24日 (月) 01時10分

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