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2007年9月14日 (金)

がんばれ原器

Official prototype of kilogram mysteriously losing weight (CNN.com)
http://www.cnn.com/2007/TECH/science/09/12/shrinking.kilogram.ap/index.html

「国際キログラム原器」が謎の減量50マイクログラム (CNN.co.jp)
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200709130016.html

 不思議なこともあるもんだ。増える原因のほうが減る原因よりもずっと多そうに思えるんだが、はてさて、真相はいかに?

 もし、ほんとうに質量が減ったんだとしたら、まず誰もが考えつく原因は、放射性崩壊だろう。作ったときにごく微量の放射性元素が不純物として混入していたとしたら、質量が減ることもあり得るだろうけどなあ。

 現在でも、質量だけが、普遍的な物理量に依らず、人工物が基準になっているというのは、言われてみれば無理もないよなあ。エネルギーを光速の自乗で割ればいいなどというのはあくまで理屈であって、実際問題として、一キログラムの質量に相当するエネルギーを「はい、これが原器です」などと扱えるわけがないのだ。

 それにしても、なぜ軽くなっちゃったのかなあ? えーと、誰ですか、「右に回しすぎたんだろ」なんて言ってるのは?



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コメント

ええと。1キログラムの定義からして、キログラム原器の重さは1キログラムに決まっています。
キログラム原器が軽くなったというような、非科学的なことは言わずに、「全宇宙のすべてのものがたまたま同時に一様に50×10^(-7)%ずつ重くなった」と考えるのが正しく科学的な態度でしょう。

投稿: 小林泰三 | 2007年9月14日 (金) 21時16分

>小林泰三さん
>1キログラムの定義からして、キログラム原器の重さは1キログラムに決まっています。
キログラム原器が軽くなったというような、非科学的なことは言わずに

 すばらしい! まさにそのように考えるべきでした。マスコミの言い種に引っぱられてしまうとは、私はまだまだ修行が足りません。予見に囚われないそのような態度こそが、相対論や量子論を生んだのでしょう。

 私はもちろん「オッカムの剃刀」なんて言葉は知りません。知りませんとも。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月15日 (土) 05時31分

この手のニュースを見るたびに思うのは、どうやって測定しているんだろうって事ですね。

投稿: おおじじ | 2007年9月15日 (土) 14時11分

>おおじじさん

 キログラム原器の質量を1キログラムと定めた単位系で測っているんでしょう(;^_^)/。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月16日 (日) 02時56分

ネタにマジレスすると,キログラム原器は,まったく同じものが複数作られて,その内でもっとも成績が良かったものが「原器」としてパリに保管され,それ以外のものは各国に配布されたはずです.それで,何年かに一回,その原器と原器(複製)をつきあわせて,どのように変化しているかを測定しているそうです.

投稿: Anonymous Coward | 2007年9月16日 (日) 13時05分

ちょっと調べたら電子天秤使ってでも、0.01mg = 10μg の精度が出せるんですね。何か、原子数百個レベルの違いと勘違いしておりました。

投稿: おおじじ | 2007年9月16日 (日) 16時55分

 比較に使った「複製」に指紋がついて重くなった-というのがいちばんありそうなのでは?

投稿: 村上 | 2007年9月17日 (月) 09時33分

そんな単純な話ではないと思います.> 指紋
原器(複製を含む)は,ガラス製の二重容器に保管されており,取り扱いは遠隔操作のピンセット(みたいなもの)でするそうです.なので,指紋の油が…ということはないはずです.たとえ,そういう単純ミスだとしても,原器(複製)は10数個存在するはずですので,全ての原器(複製)でそういう単純ミスをする可能性は低いと思います.
えと,このあたりの話は全て,昔読んだ「単位のおはなし」の受け売りなので,興味のある方はそちらをどうぞ.

投稿: Anonymous Coward | 2007年9月17日 (月) 13時15分

 軽くなった分だけ、温かくなっていたらつじつまはあいますね。

投稿: 林 譲治 | 2007年9月17日 (月) 17時55分

wikipediaの「キログラム」の項によると、原器のレプリカは40個あるそうです。
一度に全部のレプリカと比較するのかはよくわかりませんでした。
また、作られてから少しづつ重くなっていた、ということなので、今回の減少は不可解ですね。

パウリ効果?

投稿: アダチ | 2007年9月18日 (火) 03時01分

 うーむ。たくさん用意しておいてリスクヘッジするというのは確率的には有効でしょうし、現実的にはそうせざるを得ないのはわかりますが、ヒネた見かたをすれば、小林さんの説を論理的に完全には撃破できませんね(^_^;)。まあ、人類の技術水準というのは、質量に関してはまだまだ未熟なのでしょう。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月19日 (水) 02時30分

原器作成時にも,「1気圧,摂氏4度の水1リットル」を質量の定義としようとしたが,安定した値が得られなかった…という話が書いてありました.多分,本当に測定できるようになったら,「何かの原子(素粒子)の何個分」という定義によって置き換えられるんじゃないですかね.メートル原器みたいに.

投稿: Anonymous Coward | 2007年9月19日 (水) 16時51分

>Anonymous Cowardさん

 他の物理量から再現性のある現象に基いた定義をしてこそ、論理的に信頼できるというものでしょうね。そもそも“原器”という考えかた自体が、妥協の産物という気がしてならないです。

 あ、それから、Anonymous Coward ってハンドル(?)は、発言が無責任な感じがして、私は好みません。発言主体として社会的責任が感じられるような名を名のられたほうがよろしいかと思います。ふざけた名前が好かんと言っているわけではなく、たとえ「チョチチョチアババ三世」といった名であっても、長く愛着を持ってネット上で使っていれば、ちゃんと社会性を帯びるものです。そもそも、Anonymous で Coward なんであれば、一切の言論活動などしないのが身のため、黙っていればよいではないかという印象を受けてしまいます。ご一考をお願いいたします。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月20日 (木) 02時18分

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