『今日の早川さん』(coco/早川書房)
いや、なんちゅうか、早川書房さんが突然マンガをご恵贈くださったのでちょっと面食らったのだが、読んでみて、なーるほどこれはおれにご恵贈くださってもまったく不思議はないにちがいないと思い知った。本好きの女性たちの日常を描く人気のブログコミックを書籍化したものだそうだが、おれはブログでは読んだことがなかったもんで、たいへん新鮮……かつ、身につまされた。
SF者の早川さん、ホラーマニアの帆掛さん、純文学読みの岩波さん、ライトノベルファンの富士見さん、レア本好きの国生さん……おれが女だったら、絶対この五人の女性のどれかになっているにちがいない(ってまあ、男でも似たようなものになってしまっているわけだが……)。やっぱり、いちばん近いのは早川さんだろうけどな。ま、カタギの人から見れば、これらはみんな目くそ鼻くそなんだが……。
『住宅事情、将来的に実現可能な展望など一切考慮せずにせっせと本を買い込んでは居住スペースを圧迫し、「宝くじさえ当たれば」などとはかない夢を抱きつつ、「そのうち家が傾くね」なんて他人事のように呑気な言葉を口にしたり、最後には「地震がきて本に埋もれて死ぬのなら本望」と物騒な居直りをするので、家族の心配の種となっています』って、誰かおれんちに盗聴器を仕掛けマシタカ? カメラもか? 気色が悪いほどである。このような因果な人が女性にもたくさんいるのだとしたら、まことに、まことに心強いことだ。そうさ、日本沈没の際には、みんなで本に埋もれて死のう。♪もうひとりぼっちじゃない あなたがいるから~。
「うんうん、私も本に埋もれて死ぬのなら本望」と、なんの抵抗もなく頷いているそこのヘンなあなたならともかく、カタギの人にとってこのマンガがどのくらい面白いものなのか、おれには想像もつかない。というのは、このマンガ、全然フィクションの部分がない(ようにおれには思える)。日常そのもの、というか、人生そのものではないか。広義には、いわゆるエッセイマンガの範疇に入るのだろうが、『ちびまる子ちゃん』やら『あたしンち』やらをはるかに凌ぐリアリティーがある。えーと、「これのどこにリアリティーがあるの?」とおっしゃる方々は、無理にこちらへは誘いませんから、そっちで楽しく生きていってください。リアリティーとは相対的なものである。
いやー、しかし、なぜかこういう可愛い女性たちには、おれの日常では全然遭遇しないのよなー。日本が一夫多妻制で、この五人の女性たちを全員妻にできたら、さぞや面白い人生が送れることであろう。週休二日でな。もっとも、家の中はぐちゃぐちゃになるにちがいない。ぐちゃぐちゃになったところで、おれも妻もそんなことはほとんど意に介さないであろうから、なんの問題もない。めでたし、めでたし。
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コメント
自分で買い込んだ本に埋もれて死ぬならまだしも、うちなんか、オットが買い込んだロシア語の本に埋もれて共倒れな気がします(笑)。
投稿: ふみお | 2007年9月 8日 (土) 10時48分
そういう女性と生活してますが、何か?
投稿: 林 譲治 | 2007年9月 8日 (土) 10時58分
「本」を「ビデオ」に差し替えると、うちの事情に早変わり。
投稿: 湖蝶 | 2007年9月 8日 (土) 14時05分
美少女フィギュアと超合金に埋もれて死ぬのも楽しそうですよ
投稿: モりやま | 2007年9月 8日 (土) 15時03分
えーと、結論からすると、みなさんもやっぱり目くそ鼻くそということで(;^_^)/。
妻にしたロシア美少女の超合金フィギュアビデオの解説本に埋もれて死ぬということで手を打ちましょう。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月 8日 (土) 20時10分
私ミステリ好きの光元さん、家人コミック読みの秋葉君、いずれ借家の床が抜けます、それが何か?
投稿: 村上 | 2007年9月 8日 (土) 21時36分
>村上さん
木造だとマジで危ないですよ(^_^;)。この事件( http://slip.happy.nu/newsclip/news/a20050208_02.html )のときは、うちは鉄筋コンクリートの借家であるにもかかわらず、母にさんざん厭味を言われました。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月 8日 (土) 23時29分
古本の雄、よしだまさしさんちでは、鉄筋ゆがんできたそうですが……
投稿: ふみお | 2007年9月 9日 (日) 22時27分
>ふみおさん
そういう超人は別です(;^_^)/。私はコレクター癖はないので大丈夫だと思います。気がつくとおのずと溜まっていたぶんだけで手を焼いているので、コレクションなどとてもとても。意識的にコレクションなどしたら、鉄筋でも危ないかもしれません。考えたくないことですが……。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月10日 (月) 00時07分
昨晩、寝ている子供の顔をちらちらと眺めながら読んで、こっちの方向もありえたなぁと。
それはさておき、無性に日本語が読みたくなってきたので、なんか買って帰ろう。
発作のときに本屋にいくと、数冊買っちゃうので危険ですが(笑)。
投稿: 修理屋ア | 2007年9月13日 (木) 20時39分
>修理屋アさん
>こっちの方向
こんな日記をご愛読くださっているわけですから、充分こっちの方向に来てらっしゃるような気もするんですが(;^_^)/
投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月14日 (金) 22時38分
外出時、鞄の中に3,4冊の文庫でも入っていないと不安になるなど十分そっちの人ではあります。
しかしながら今現在、蔵書は本棚1本に制限され、本に埋もれて死ぬ夢は残念ながらかないそうにありませんです(^^;
投稿: 修理屋ア | 2007年9月19日 (水) 19時37分
>修理屋アさん
それはなんとまともな……いや、お気の毒なことです。いつの日か本に埋もれて死ねることをお祈りしております。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年9月20日 (木) 02時19分