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2007年8月19日 (日)

『華氏911』を観る

 『ボウリング・フォー・コロンバイン』を観たからには、やはり勢いでこれも観なくてならないだろう。というわけで、SFには非常に関連のあるタイトルの『華氏911』(監督:マイケル・ムーア/9月30日正午まで)をとうとう GyaO で観た。

 いくらなんでも恣意的な悪意がこもっているのではないかと思う点もないではなかったが、恣意的に悪意をこめたい政権なのだからいたしかたない。おれ的には拍手喝采である。「自分の子供をイラクへ送ってはどうか」というムーアの提案(というか、いやがらせというか)に対する議員たちの反応がケッサク。これが戦争というものなのだよな。

 ムーアがキレているのは、イラク侵略は“必要な戦争”(そういうものがあるかどうかはべつにして)ですらないのに、利権を手にした連中が、貧困層の青年たちを戦場に送り込んでは無駄死にさせているからだ。アメリカ国民たちのナイーヴな愛国心を利用しているからだ。『ボウリング・フォー・コロンバイン』と同じく、人々に必要以上の“恐怖”を注ぎ込んで支配する権力者たちの姿が、いささかブラックすぎるくらいに描かれている。この作品は、二十一世紀の『地獄の黙示録』なのだ。The horror... the horror...

 現代に生きるおれたちが、他人に操られないようするために求められているのは、“正しく怖がる”ということだ。それはとても難しいことだ。詐欺の手口のたぶん半分は、正しく怖がることができない人々に必要以上の恐怖を注入するところからはじまる(あとの半分は、正しく欲しがることができない人に必要以上の欲望を注入するところからはじまるのだろう)。どちらにも引っかからないようにするには、正しく怖がり、正しく欲しがる術を身につけるしかない。これはじつに難しい。しかし、おのれを見失わずに現代を生きるための必須のスキルなのだろう。



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