ちっちゃくてよくできてるものに対する愛情
これっておれだけなのかなあ~? いやね、身長数十センチのちっちゃい子供がさ、なんとか日本語として聞き取れるようななにごとかを叫びながら、ちょこちょこちょこちょこと走っている姿なんかを街なかで目撃するとさ、おれは「おお、可愛いなあ」と思うよりもほんの少し先に、「おお、よくできてるなあ」と思ってしまうのである。なんというか、よくもこの小さな筐体の中にこのような精妙な機能が詰まっているものだなあと、そのことがとてもいとおしく感じられる。それはたとえば、PDAやら時計やらといった小さく精巧な機器に感じる愛情のようなものと、おれにはほとんど区別がつかない。一度破壊してしまったら、同じようなものは復元できても、まったく同じ状態のものは二度と創り出せないのだなあという危なっかしさゆえ、文字どおり“いと惜しい”感じがする。
おれは、この小さく精巧な機器が自分のゲノムの半分を運んでいるのだなあといった実感を持ったことはないのだが、そうでなくても、ちっちゃい子供の精巧さを見せつけられると、なにやら胸を掻き毟られるかのような奇妙な愛情が湧いてくる。他人の子だろうがなんだろうが、子供一般に対してだ。おれはたぶん、精巧でちっちゃい機械と精巧でちっちゃい子供との区別が、心の底ではできていないのだと思うんだが、「なんでいちいち区別する必要がある?」とも正直なところ思っている。おれの子供に対する愛情は、世間一般的な規範に照らせば、きっとかなり歪んでいるのだと思う。思うが、それがおれの素直な感じかたなのだからしかたがない。自分に嘘はつけませんわ。
ほんと、ちっちゃい子供ってのは、よくできてて可愛いよね~。
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コメント
うっ、同感です。
甥が転んで頭打ったりすると、心配するのと同時に「案外頑丈なハードウェアだなぁ」とか考えてしまいます。
自分の子供なら、見方も変わるもの、なんですかねぇ。
てきとうに話しかけてみて「このAI今の言葉でどれぐらい学習したのかなぁ」とか考えてしまいます。AIじゃないっつーの。
投稿: mom | 2007年8月20日 (月) 01時06分
澁澤龍彦が『少女コレクション序説』で述べていることによると、人形愛というのは自己愛の変形だそうです。
「お持ち帰りにして分解してみたい」とか考えるようでなければ、あまり問題無いと思われます。
投稿: アダチ | 2007年8月20日 (月) 01時52分
自分の子供でもやっぱりそう思います
よ。とくに昨日までできなかったことが
突然できるようになったり、文章を自分
で組み立てたりできるようにようになっ
たときなどは、「こんなもんいったい誰
が作ったんやろ」と感心してしまいます。
投稿: 北野勇作 | 2007年8月20日 (月) 09時40分
>momさん
>AIじゃないっつーの
その子の親に「いえ、この子は天然です」とか言われたら、どう反応していいかわかりません。
>アダチさん
>「お持ち帰りにして分解してみたい」とか考えるようでなければ、あまり問題無い
いやあ、なんか最近アメリカで、“なんの犯罪歴もない、ただ眺めて楽しむだけのペドの人”が、堂々とペドであることをカミングアウトして、少女鑑賞スポットガイドみたいなサイトを立ち上げたところ、地域住民と衝突して問題になってるみたいです( http://www.foxnews.com/story/0,2933,262700,00.html )。子供の親にしてみれば気持ち悪いというか、脅威を感じるでしょうが、たしかにこの人、犯罪者じゃないんですよねえ。自分の性向が反社会的であることはわかっていて、(いまのところ)それを手なずけているわけで、この人にもこの人の権利がある――うーん、難しい問題だ。そのうち、日本でもこういう事件は起こるでしょう。というか、どっかでもう起こってるんでしょうね。
>北野勇作さん
>「こんなもんいったい誰が作ったんやろ」
そっ、それは北野さん、あなたです(;^_^)/。もしあなたでなかったとしたら、それはそれでいろいろ問題です。
それはともかく、そうですか、自分の子でもそんなふうに感じるものですか。でもそれは北野さんだからじゃないですか? 小林泰三さんなんかだとまたちょっとちがって、「分解してみたい」とか思うものなのかもしれません。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年8月21日 (火) 02時55分
リンク先を読んで見ました。このペドさんにはあまり同情できないですね。
映画『シベールの日曜日』は戦争で心に傷を負った男が少女(尋常でなく可愛い)に癒されながらも周囲の人々から偏見の目で見られ、最後に…という話でした。
あれくらいであれば同情もできるのですが。
ところで『シベールの日曜日』と『シベリア超特急(シベ超)』ほど違う、というのはどうでしょう。
投稿: アダチ | 2007年8月26日 (日) 18時39分
>アダチさん
>このペドさんにはあまり同情できないですね
私も“同情”まではしないんですけれども、“SFファン”とか“おたく”一般とかいったものも、世間はこのペドさんを見るように見ているのかもしれないと思えてきて、惻隠の情のようなものは覚えますね。どこかで線が引けるのかと考えると、とても難しい問題だと思います。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年8月30日 (木) 00時39分