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2007年8月16日 (木)

『ボウリング・フォー・コロンバイン』を観る

 GyaO のタダ映画観まくり週間、第三夜は『ボウリング・フォー・コロンバイン』(監督:マイケル・ムーア/9月1日まで)。いやあ、はっきり言って、GyaO の配信映画の多くはB級、C級、Z級だが(おれは嫌いじゃないけど)、こういうメジャーな映画を配信してくれるとは思わなかった。

 通して観るのは初めてとはいえ、この映画のあっちゃこっちゃの断片はいろんなところで観ている。マイケル・ムーアというのは、まったくすごい男だ。これだけ深刻な問題を描きながら、ブラックなユーモア感覚を忘れない。自分もアメリカ人なのだということを常に忘れずに撮っている。そこが凡百のアメリカ批判と一線を画すところであり、ムーアの稀有な才能と言えるだろう。カート・ヴォネガットにも比肩する異才だと思う。

 おれもむかしアメリカの銃社会を茶化したことがあったが、マイケル・ムーアに比べればまだまだ浅い浅い。アメリカと同じように銃が簡単に手に入り、巷に銃が溢れているカナダでは、なぜかくも銃犯罪が少ないのかという指摘は、じつに面白い。“それで儲けてるやつが権力と通じているから”というのが一応納得のゆく答えではあるのだが、どうもおれはそれだけじゃないような気もするんだよなあ。はっきりとはわからないけどさ。

 マイケル・ムーアとハロルド・ピンターは気が合いそうだね。こういう人たちがもっともっと評価されるといいと思う。というか、世界はこういう人たちを評価してゆかねばいかん(ま、すでに充分評価されてるけど、批判されてるほうが聞く耳を持たないだけかもしれんが……)。アメリカ人だってバカじゃあない。むしろ、奇妙な強迫観念から解放されさえすれば、合理的で有能な人々である。なんだかんだ言って、おれはアメリカが好きだ。だけど、大嫌いだ。でもまあ、マイケル・ムーアのような人が殺されもせずに映画が作れる国なのだと思えば、まんざら捨てた国じゃないように思えるんだよ。

 What a wonderful world!



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コメント

 何かの調査で、「戦争をやってる国は殺人事件も多い」みたいな結論が出ていた記憶があります。誰のなんという調査だったか忘れてしまったのが残念。

投稿: ゆうきまさみ | 2007年8月17日 (金) 09時10分

>ゆうきまさみさん

 マイケル・ムーアも、作品中でその点は示唆しています。『華氏911』でもそうですが、どうやらムーアは、政府やマスコミによって必要以上に一般市民に注入される恐怖が、銃犯罪にも関連しているのだと見ているようですね。

投稿: 冬樹蛉 | 2007年8月19日 (日) 05時44分

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今回紹介するのは、マイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』です。 まずは映画のストーリーから・・・ 1999年4月20日に発生したコロンバイン高校銃乱射事件に題材を取った、マイケル・ムーア監督のノンフィクション・ドキュメンタリー作品。 事件の被害者、犯人が心酔していたと言われる歌手のマリリン・マンソンや全米ライフル協会会長のチャールトン・ヘストン、サウスパークの制作者マット・ストーン、清教徒のアメリカ大陸移住から現在までの銃社会の歴史検証や、コロンバイン市民らへのイン... [続きを読む]

受信: 2007年8月19日 (日) 02時34分

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