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2007年7月14日 (土)

需要と供給のミスマッチ

トイレの1万円札、全国で400枚 誰が? (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0712/TKY200707110546.html

 各地の役所のトイレなどで和紙に包まれた1万円札が見つかっている問題で、同様の届け出は全国18都道府県に上ることが朝日新聞のまとめでわかった。総額は400万円を超える。したためられた文章はほぼ同じ。誰が、何のために?

日記に「おにぎり食べたい」 生活保護「辞退」男性死亡 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0711/SEB200707110049.html

 北九州市小倉北区の独り暮らしの男性(52)が自宅で亡くなり、死後約1カ月たったとみられる状態で10日に見つかった。男性は昨年末から一時、生活保護を受けていたが、4月に「受給廃止」となっていた。市によると、福祉事務所の勧めで男性が「働きます」と受給の辞退届を出した。だが、男性が残していた日記には、そうした対応への不満がつづられ、6月上旬の日付で「おにぎり食べたい」などと空腹や窮状を訴える言葉も残されていたという。

 あるところにはあるし、ないところにはない。コンビニのおにぎりが、まあ、一個百三十円として、一万円あれば七十六・九個食える。食いたかったろうな。

 人が金を勝手に配っているわけであるから、「こんなふうに使え」などとおこがましいことを言う筋合いではないのだが、こういう事件が時間的に隣接して起こると、非常にフクザツな気持ちになることはたしかである。

 おれがこうしたバカ日記を書いているだけで、世間の方々は、おにぎりが買えるくらいの金(ときには、コンビニ弁当が買えるくらいの金)を毎日おれに恵んでくださる。ありがたいことである。それはそこにそういうインフラがあるからだ。この事件の二人を繋ぐ仕組みがどこかにあれば、生活保護を無言の圧力で辞退させられた男性も、あたら命を落とすことはなかったかもしれない。ロミオとジュリエットがケータイを持っていたら、彼らはまんまと駆け落ちしていたはずである。ばらまかれているあの一万円札は“修行用”なのだそうだが、世の中には、修行どころではない人もたくさんいる。情報処理を生業としている人間は、この哀しいミスマッチをわがこととして捉えずばならないだろう。

 こんなに自由に個人が情報を発信でき、情報の風通しが人類史上初というほどによくなっている時代に、なぜに、ばらまくほどに金を持っている人の金を、おにぎりも食べられない人のところに届けられなかったのだろう。情報処理・情報通信とはなんなのか? なんか、そんなことまで考えてしまい、たいへん気が滅入るのであった。



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