七百五十六円で品格が身につきゃ世話ないわい
驚いたのなんの、母がにわかに本が買いたいと言う。怖ろしいほど本を読まない母がどういう風の吹きまわしか、とうとうボケたか、と、一瞬ヒヤリとしたが、なんでも最近流行っているらしくてテレビで紹介されていたのだという。そりゃまあ、近所にまともな本屋なんかないから、おれがアマゾンで買うときに一緒に買っておけばすむことである。というわけで、帰宅したら『クロサギ(14)』やらなにやらと一緒に届いていた。いやしかし、母が本をカバー・トゥー・カバー読むなどということは、十年に一度、いや、二十年に一度あるかないかである。新書なんか読めるのか?
おれはぜーんぜん興味のない分野の本なので、中身も見ずに母に渡したのだが、そもそもタイトルからして、おれの神経に障る。気に食わない。女性の品格も男性の品格もあるか。人間の品格で充分である。だいたい品格なんてものは、他人が勝手に云々するものであって、自分の品格がどーしたのこーしたのと言うのは品格に欠けることおびただしい――といったことを思ったとおりに口に出すと余計なもめごとになるから、まあ、めっずらしく母が文字を読む気になっていることでもあるし、ボケ防止にもよかろう、とにかく読み通そうが読み通すまいが放っておくことにする。というか、できるだけこの本の話題に触れないことにしよう。うん、そうしよう。
まあ、おれも、よっ ぽど暇なときがあれば、母に借りて五分くらいで斜め読みでもしておくか。ああ、なんて品格のない文章だろう。
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コメント
「国家の品格」が当たったからでしょうかね。そうだとしたら品のない企画……。
似たようなのに「武士道」関連本がありますね。ほとんどが「武士道」が軽蔑している卑しい商人みたいな物ですが。
投稿: 林 譲治 | 2007年7月10日 (火) 10時16分
>林譲治さん
そのうち、『品格の品格』って本が出ますよ、きっと。なんか、『俗物図鑑』みたいですけど。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年7月12日 (木) 02時47分
阪東眞理子と阪東眞砂子ほどちがう……あまりちがわないのでしょうか?
読んでみないとわからない。
投稿: 堀 晃 | 2007年7月12日 (木) 10時03分
>堀晃さん
私もこの本が流行っていると聞いたときに、最初に連想しました。
あんなことをするくらいなら、たぶん品格のある行為とは、“そもそも猫を飼わないこと”であろうと。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年7月15日 (日) 04時28分
立ち読みはしましたが、この記述に当てはまってるけどなーんか「品格」のない人も知ってますし、全然当てはまってないのに妙に「品格」のある人も知ってます。男女問わず。
そもそも、「品格」と呼べるほどのものが身につく可能性を持った人は、こういう本、読まないでしょうねえ。「目の前のリンゴを指差して、『リンゴについて考えるな!』と命ずる」と同じような、同じでないような……
でも高齢になってもこういうタイトルの本を読もうと思う冬樹さんのお母様はカワイイです。すてき。
投稿: ふみお | 2007年7月15日 (日) 18時43分
>ふみおさん
>でも高齢になってもこういうタイトルの本を読もうと思う冬樹さんのお母様はカワイイです
いやなに、紅茶キノコとかぶら下がり健康器とかと同様のノリなんでしょう。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年7月15日 (日) 23時56分