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2007年7月の25件の記事

2007年7月30日 (月)

自民惨敗の夜

Japan's Abe unbowed by defeat (CNN.com)
http://www.cnn.com/2007/WORLD/asiapcf/07/29/japan.election.reut/index.html

Critics say Abe, whose top priorities are revising the constitution and reforming education to nurture patriotism, was out of touch with voters' worries about bread-and-butter issues.

Abe takes blame for 'utter defeat' (ALJAZEERA.NET)
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/66F4296D-A860-4C0A-A248-34D6E913ABCE.htm

Analysts said that while the Liberal Democrats were worried that they did not have anyone better than Abe, it would be impossible for him now to govern.
"Abe is finished," said Gerald Curtis, a Japan expert at New York's Columbia University. "I think if he's smart, he'll quit tonight."
The longer he stays, "it will just be more and more chaotic politically", he said.

 自民惨敗。まあ、これくらいにはなるだろうと思っていたから、なんの驚きもない。“小泉政権のゲッベルス”世耕首相補佐官も、トップがあまりにズレていて、閣僚がアホぞろいでは、腕の振るいようがなかったのだろう。世耕氏の能力がもっと活きる形で使ってあげれば、これほどまでの惨敗を喫することはなかったのではないか。

 ウチの母親なんぞ、「美しい国」云々を語る安倍首相がテレビに出てくると、「なに言うとんのや、こいつは?」とキチガイを見る目で見ていたからなあ。bread-and-butter issues を甘く見てはいかん。ウチの母は、朝は頑なにトーストじゃないとダメだから、なおさらだ。

 この際だ、このままではどうせなんにも進まんから、早晩、衆議院も解散して、ガラガラポンをやってしまえ。



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2007年7月29日 (日)

京ぽんのデータをアドエスに移す

 先日機種変更したAdvanced/W-ZERO3[es]に、長年使ったケータイ“京ぽん”(っつっても使ったのは三年だが、同一機種では個人的最長記録だ)のアドレス帳データを移す。「週末の夜中に、なにをせっせと仕事みたいなことをしているのだろう?」と、ちょっとフクザツな気持ちにならないでもないが、まあ、京ぽんご苦労さん、アドエス(という愛称が、すでにAdvanced/W-ZERO3[es]にはついているようだ)こんにちわという気持ちで執り行う儀式のようなものだから、文句を言ってはいけない。いままで世話になったマシンを労い、これから世話になるマシンにご挨拶をするという、機械に対する礼儀としてのセレモニーである。

 PDAのデータはどのみちOutlookと同期されているわけだから簡単に移るが、ケータイのアドレス帳はそうはいかない。多少手間がかかる。WILLCOMのユーティリティー「H"問屋」で京ぽんからCSV形式でエクスポートしたデータをExcelに読み込んで掃除・整形し、Outlook 2003にインポートする。あとはアドエスを繋ぐだけで、自動的にOutlookのデータと同期される。

 こう書くと簡単だが、ケータイのアドレス帳とOutlookとでは、そもそも項目の体系がまるでちがう。どの項目をどの項目に移せばあとで編集がしやすいか、捨てることになってもよい項目はどれか、最悪手作業で移しても差し支えないデータはどれかなどなどを考えつつ作業を進めるので、なんだかんだで小一時間かかってしまった。Outlook側のインポート/エクスポート機能にいろいろと親切なコンバータが用意されているから、MS-DOS時代に電子手帳のデータをあれこれ移行したほどの労苦はないわけだが、それでも多少はこういうことをやり慣れた人でないと難しいと思う。少なくとも、年賀状ソフトとExcelとのあいだでデータのやりとりをさせられたりする若いハケン事務員の女のコくらいのスキルは要るのではなかろうか? 街のケータイショップなどではどうしているのだろうな? やっぱり、ちゃんと教育する制度があるのかな?

 そういえば、アドエスに機種変更したとき、ヨドバシカメラのカウンタのねーちゃんは、「データはどうされます? ご自分で移されますか?」という訊きかたをしていたな。できればご自分で移してほしいというニュアンスだった。アドエスは立派なPDAだから、データの移行はユーザがご自分でやるものとばかり思っていたおれは、ちょっと面食らって、「え、ええ、もちろん、自分で移します」と答えたのだが、するってえとなにか、「いえ、お願いします」と言ったら、店のほうでやってくれるのだろうか? だとしたら、けっこうたいへんだよなあ。いま使っているケータイからご自分でデータを移せるような人しかこんな機種買わないと思うんだが、そうでない客もたぶんいるんだろう。というか、そうでない人はたぶんなにか勘ちがいしているので、こういうものはおれならお薦めしないが、そこはそれ、ケータイ屋さんも商売なのだろう。欲しいと言ってくる人を断るわけにはいかないのだろうなあ。

 「データは消えちゃいますがなにか?」みたいな無愛想なケータイショップの店員がCMのネタになっていた時代もあったんだが、最近のケータイショップの店員は、各種スマートフォンの出現によってパソコンの知識まで身に着けなきゃならなくなっているんだろうか? だとしたら、たいへんだなあ。あんなの簡単なバイトだろうと思って面接に行ったら、「えーと、初級シスアドくらい持ってますよね? Microsoft Office Specialist は? アプリケーションはどれとどれ?」とか言われたりして……。



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2007年7月26日 (木)

手術はブラック・ジャック先生にお願いしよう

ロシア大統領、「英国は脳入れ替える必要」 激しく批判 (asahi.com)
http://www.asahi.com/international/update/0725/TKY200707250054.html

 「英国の連中は脳を入れ替える必要がある」。ロシアのプーチン大統領は24日、外交官の追放合戦などで関係が悪化している英国の政府幹部らを激しく批判した。
 ロシア元情報将校リトビネンコ氏の毒殺事件で英国側が求めるルゴボイ・ロシア連邦保安局元幹部の引き渡しについて「ロシア憲法が引き渡しを禁じているのなら改正せよと英国はいう。わが国、国民への侮辱だ」と強調。「これは前世紀の植民地主義的思考の名残だ。変えるべきはわが憲法でなく、彼らの脳だ」とこきおろした。

 このプーチン発言、おれの日記を読んでいるような方の五人に一人くらいは、「おおお、これはロシアSFの伝統を踏まえた発言かなあ……」などと反射的に考えてしまったのではなかろうか。プーチンが頭の隅で、ちらとでも『ドウエル教授の首』を思い浮かべていた可能性は、かなりありそうな気はするな。《キャプテン・フューチャー》よりは、ありそうな気がする。でも、「首」じゃなくて「脳」って言ってるしなあ……。じつは、「脳光速―サイモン・ライト二世号、最後の航海」(田中啓文『銀河帝国の弘法も筆の誤り』所収)だったらどうしよう。

 まあ、そういう特殊な方向への連想はともかくとして、イギリスも、「前世紀の植民地主義的思考の名残」などとプーチンに言われたかねえわなあ。目くそ鼻くそだとは思うが、おまえが言うかー!

 あ、そうだ。いっそ、イギリスの政府幹部の脳だけと、プーチンの首だけとをテーブルに置いて、ゆっくりと話し合ってもらってはどうだろう? これがほんとの首脳会談――ってさてはそれが言いたかっただけやな。



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2007年7月24日 (火)

Advanced/W-ZERO3[es]に機種変更

Advancedes01 Advancedes02

 先日、ケータイの機種を変更した。同一機種ではいちばん長く使った“京ぽん”(AH-K3001V/京セラ)から、一気に最新のAdvanced/W-ZERO3[es]に乗り換えたのである。少々高くついたが、まあ、これにはそれだけの値打ちがある。いままでPDAとケータイを身につけて持ち歩いていたのを、一台にまとめてしまうことができるからである。おかげでずいぶんと身体が軽くなったよ。いやホントに、物理的に。

 まあ、まだ使いはじめたばかりだから、レヴューというほどのことはできないのだが、いまのところは大満足である。Pocket PC などというタコなOSを使い慣れた身にとっては、Windows Moblie も似たりよったりで、“電話もできるPDA”と考えると、じつにけっこうなマシンだ。おれみたいに長年のPDAユーザで、この際、PDAとケータイとを一台にまとめたいという方にはお薦めだが、ケータイひと筋でやってきて、より高機能のケータイにでも乗り換えるつもりでご検討中だという方は、もう少しよく研究したほうがいいと思う。このマシンを“ケータイのノリ”で使う気なら、たぶん「しち面倒くさい」という印象のほうが先に立つだろうからだ。はっきり言って、これはもう“携帯電話”ではありません。“通話機能付き携帯情報端末”だ。

 まるでHP200LX時代に戻ったようなキーボードも長文を打つときにはいいが、キーボードを収納したままの“縦型状態”でも、かなり快適な使い勝手である。縦型状態で、左手でケータイ風入力キーを駆使しながら、右手でスタイラス(この機種から内蔵スタイラスはなくなったので、おれはもちろん「ROTRING エクステンションインプット」を使っている)を持ち操作するのが存外に快適。縦横のモードを自在に使い分けられるのが、たいへんよろしい。むろん、ただ電話をかけるといった基本的なアクションは、左手だけでできる。文句ないすね、いまんとこ。

 いやあ、生きているあいだにこんなに便利なものが持てるようになるとは、まるでSFのようだよ。細かい使い勝手は、今後おいおいネタにしてゆくことにしよう。とりあえずいまは、握っているだけで掌にしっくりときてしあわせになれるマシンなのだよのな~。



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2007年7月22日 (日)

アニメ版『時をかける少女』を観る

 去年劇場公開されたばかりだというのに、アニメ版の『時をかける少女』がもう地上波テレビで放映されるというのを金曜日に知り、さっきリアルタイムで観ながら録画した。

 なるほど、評判どおりの名作ですなあ。丁寧な脚本もいいし、素朴なキャラクター造形もいいし、青春映画らしい声優もいいし、なにより緻密で美しく懐かしい“風景”(背景ではない)がいい。大胆に新たなストーリーを作り、デジタルの目覚まし時計やケータイといった、大林宣彦版『時をかける少女』には出てこないような今風の小道具が出てくるわりに“風景”はどこまでも懐かしく、作品から受ける感動は大林版のそれと本質的には同じである。いわゆる“青春”というのは、いつの時代でもおんなじもんだからだろう。いつも青春は時をかけるし、待ってられない未来がある。それを眩しく眺める芳山和子の使いかたもいい。おれたちくらいになると、芳山和子に感情移入しちゃうわけよ、この映画は。でしょ? そこのおじさん、おばさん?

 タイムリープの能力を得たとしたら、“あの日”に戻って、あれをやり直したい、これをやり直したい……と、若いころは思うこともあった。だが、いまこの歳になって振りかえってみると、つらいことも悲しいこともなにもかもひっくるめておれの人生なのであって、いまのおれを作ってきた二度と体験できないことどもなのである。おれはたぶん、未来人の技術で何回かタイムリープできる能力を与えられたとしても、いまのおれ自身を変えるような跳びかたはしないだろう。日曜の深夜に四十八時間前に跳ぶというのを繰り返して長期休暇を取るみたいな、みみちい使いかたしかしないだろうな。おれは、いままでのおれの人生で、“あの日からもう一度やり直したい”などと思うことはない。そんなしんどいことはまっぴらごめんである。おれはいまのおれが好きだし、いまのおれでいいし、おれのいままでの人生はそこそこ面白かった。それはたぶん、一回きりだから面白いのだ。つらくてもしんどくても悲しくても、一回きりだから面白いのである。

 そんなふうに思えるくらいの歳のおっさんが、この『時をかける少女』を観ると、これまたなんとも眩しく甘酸っぱく微笑ましく思えるのだ。『ウルトラマンコスモス』の傑作「雪の扉」(脚本:太田愛)に匹敵する名作ですな。青春映画のよさがほんとうにわかるのは、おっさん・おばはんになってからだというパラドックスも、皮肉といえば皮肉ではあるんだけどね。



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2007年7月19日 (木)

ほおぉ、「投票率が上がるとまずい」とな

期日前投票10%増 与党に警戒感も (asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/0717/TKY200707170660.html

 参院選の期日前投票の出足が与野党の注目を集めている。選挙結果を左右する投票率を占う指標になりそうだからだ。13~15日分の総務省の中間発表では投票者総数(選挙区)は68万3046人。前回04年の同時期に比べて10.46%増えた。与党内では夏休みとなる29日の投票日の前の投票を働きかけた成果と評価する見方がある一方、「投票率が上がるとまずい」(公明党幹部)との声も漏れる。

 「投票率が上がるとまずい」ねえ。正直にもほどがあるわい。まあ、しょせん公明党など、なんの節操もない宗教集票マシンにすぎないが、ここまで開き直られるとあいた口がふさがらん。「投票率が上がるとまずい」だと? 政治家として口にすべき最後の台詞だ。この“公明党幹部”とやらが誰だか知らんが、おまえのようなやつは地獄に堕ちろ。

 こんなやつがいるからには、くどいと言われようがなんと言われようが、何度でも言ってやる「そもそも民主主義が機能していない現段階では、むちゃくちゃな投票をしてでも票の絶対数を増やし、地位の安定にぬくぬくとしている粗悪な政治家を追い落とすことが先決だ」

 「投票率が上がるとまずい」やつら、覚悟しろ。上等じゃねえか、少なくとも、おれの一票ぶんだけでも“まずく”してやる。



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2007年7月18日 (水)

ベッカムでも曲がらんと思う

スプーン曲げ、ネット中継 本当に曲がる? (asahi.com)
http://www.asahi.com/komimi/TKY200707120400.html

 インターネットの力で「超能力が存在するのか、しないのか」を解明する。そんな“壮大”な試みが始まった。(アサヒ・コム編集部)
 サイトにアクセスすると、透明な箱に入ったスプーンの映像。「念」を送っている人の人数が表示されるが、今のところ、スプーンには何の変化もない。箱の奥に置かれた時計の針だけが動いているのが見える――。
 これは、ITベンチャー「面白法人カヤック」(神奈川県鎌倉市)が7日に始めた「超能力ラボ」というサイト。第1弾の「スプーン曲げ実験」で、同社内に置かれたスプーンを、同社の動画配信技術で24時間実況中継している。
 利用者は、その画面を見ながら「念」を送る仕組み。念を送っている人同士で、チャットもできる。もちろん、送らずにただ見ているだけでもOKだ。

 「見ているだけでもOKだ」って言われてもねえ。ほかにどうしろと……。

 いやしかし、こういうノリは好きだね。動画配信技術のアピールに、まず絶対に動かないものを撮り続けるという人を食った発想がすばらしい。「田中哲弥24時間監視カメラの映像」にも比肩し得る。

 念力に自信のある人は、やってみてはいかがだろうか。もっとも、万が一曲がったとしても、誰の念で曲がったのかわからないところが珠に瑕だが……。「ありがとう」と書いた紙を、みなでディスプレイに貼るというのもいいかも。スプーンのほうにもだんだん感謝の念が湧いてきて、「こちらこそありがとう」とおじぎしてくれるかもしれんぞ。

 おれも一応、三十秒ほど念を送ってみたのだが、三十年送ってもたいして変わらんような気が激しくしてきたので、早々に匙を投げた。


超能力ラボ 超能力企画第1弾 スプーン曲げ実験中 期間:7月7日~7月21日まで (面白法人カヤック)
http://esp.kayac.com/



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2007年7月17日 (火)

『クロサギ(14)』(黒丸/原案:夏原武/ヤングサンデーコミックス)

 12巻あたりから、ひとつの詐欺ネタで連載八回といった長い話と三回くらいの短い話が交互に出てくるようになった。人気が不動のものになったために、長い話でも充分読者がついてくると判断したのだろう。実際、長い話のほうが、大がかりな詐欺が扱えて面白いのである。14巻ともなると、脂が乗り切っている。

 14巻の大部分を占める「テナント契約詐欺」(第145話から第152話までの八回分)は、いままでのエピソードでいちばん面白い。巨額の遺産を相続した学者バカの先生を寄ってたかって食いものにするのは親戚や銀行。詐欺同然の賃貸借契約書で世間知らずの学者先生から金を毟り取っている銀行をターゲットに、黒崎は学者の秘書として動き出す。ところが、悪辣な銀行とくれば、もうひとりの詐欺師が狙っているのはお約束。そう、黒崎のライバル、大企業専門の詐欺師、白石である。銀行、シロサギ、クロサギという三種類の詐欺師が、金融庁や財務省まで絡めて、虚々実々の詐欺合戦を展開する。いやあ、日本のマンガはほんとにレベル高いねえ。

 このエピソードで作者は、とくにバブル期における銀行の悪辣な行為を容赦なく糾弾する。巻末の「シロサギ・データ・ファイル 14」で、原案の夏原武は、銀行を「ハイエナ」とまで呼んでいるくらいだ。以前おれは、「もしかすると『クロサギ』は、“この社会そのものが、合法的な巨大詐欺システムである”というところにまで斬り込んでゆこうとしているのかもしれない」と書いたが、14巻を読んで、その期待をいよいよ膨らませた。行け、黒崎、行くとこまで行け!



 

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2007年7月16日 (月)

「時東ぁみ」の「ぁ」はどう読むのか?

 ふと思ったのだが、「時東ぁみ」を「トキトー・アミ」と読むのは、よろしくないのではないか。つまり、小さい「ぁ」に強勢が来るとは思われないのである。「トキトーァ・ミ」と読むのが妥当だと思う。日本語を学んでいる外国人は、案外、悩んだ末にそんなふうに読んでいるのではあるまいか? 時東ぁみには、けっこうオタク系のガイジンのファンもいるだろうから、「あの“ぁ”はどういうふうに読むのか?」と、どこかの国のオタクのサークルかなにかで激論を交わしていたりして。ありそうなことだよなあ。



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GyaO とパチンコの相利共生

 おっと、GyaO『仮面ライダー』特集をやるのか。中江真司追悼って意味も少しはあるのかもしれないが、スポンサーが例のパチンコ台屋さんだから、PR企画の一環でしょうな。先日地上波で復活した『必殺仕事人 2007』にも、なんとなくパチンコ台のヒットが絡んでいそうな匂いがするのだが(喜んで観ましたけどね)、GyaO は懐かし路線のパチンコ台メーカーが組むには格好の相手と言えよう。三十代・四十代のおっさんのためだけに、とくに作品として優れているわけでもない子供だまし顔見世興行的な劇場版『仮面ライダー』の落穂拾いを地上波テレビでやるわけにはいかんだろうが、オンデマンドのネット放送なら、“ただ懐かしいだけ”のコンテンツも十二分に価値を持つ。

 GyaO はつい先日「昭和TV」という、これまたおっさん・おばはん向けのチャンネル(というのも妙だが)を新設したから(こっちのスポンサーはサントリー)、方向性としては京楽産業の懐かしパチンコ台とぴったり。この奇妙な共生関係が、これからどういうふうに展開されてゆくのか、なかなか興味深い。権利関係のクリアがめちゃめちゃ難しそうだけど、ぱちんこ〈ハンナ・バーベラ〉なんて台が出て、GyaO でタイアップ放映をやったら、絶対当たるだろうな。ぱちんこ《少年ドラマシリーズ》とかでもいいけど(実現が難しそうなやつばかり、わざと言ってるな)。

 そのうち、逆の流れも出てきたりしたら面白い。つまりですな、GyaO のオリジナルコンテンツがパチンコ台のほうに進出するわけだ。ぱちんこ『溜池Now はミッドタウンにお引っ越ししました』という“台”が出ないともかぎらない。ま、これじゃ長いから「ぱちんこ・しょこたん」とかね。案外、もう話は進んでいるのかもしれんぞ。

 おれはパチンコはしないが、週末やら連休やらに、夜中ちびちび酒を飲みながら(おれは焼酎党だから、サントリーの酒はあんまり飲まないけどね)、懐かしいだけでべつにどうということもないB級、C級、Z級映画をついついウェブで観てしまうとあっては、GyaO の思うつぼなんだろうなあ。



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2007年7月14日 (土)

需要と供給のミスマッチ

トイレの1万円札、全国で400枚 誰が? (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0712/TKY200707110546.html

 各地の役所のトイレなどで和紙に包まれた1万円札が見つかっている問題で、同様の届け出は全国18都道府県に上ることが朝日新聞のまとめでわかった。総額は400万円を超える。したためられた文章はほぼ同じ。誰が、何のために?

日記に「おにぎり食べたい」 生活保護「辞退」男性死亡 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0711/SEB200707110049.html

 北九州市小倉北区の独り暮らしの男性(52)が自宅で亡くなり、死後約1カ月たったとみられる状態で10日に見つかった。男性は昨年末から一時、生活保護を受けていたが、4月に「受給廃止」となっていた。市によると、福祉事務所の勧めで男性が「働きます」と受給の辞退届を出した。だが、男性が残していた日記には、そうした対応への不満がつづられ、6月上旬の日付で「おにぎり食べたい」などと空腹や窮状を訴える言葉も残されていたという。

 あるところにはあるし、ないところにはない。コンビニのおにぎりが、まあ、一個百三十円として、一万円あれば七十六・九個食える。食いたかったろうな。

 人が金を勝手に配っているわけであるから、「こんなふうに使え」などとおこがましいことを言う筋合いではないのだが、こういう事件が時間的に隣接して起こると、非常にフクザツな気持ちになることはたしかである。

 おれがこうしたバカ日記を書いているだけで、世間の方々は、おにぎりが買えるくらいの金(ときには、コンビニ弁当が買えるくらいの金)を毎日おれに恵んでくださる。ありがたいことである。それはそこにそういうインフラがあるからだ。この事件の二人を繋ぐ仕組みがどこかにあれば、生活保護を無言の圧力で辞退させられた男性も、あたら命を落とすことはなかったかもしれない。ロミオとジュリエットがケータイを持っていたら、彼らはまんまと駆け落ちしていたはずである。ばらまかれているあの一万円札は“修行用”なのだそうだが、世の中には、修行どころではない人もたくさんいる。情報処理を生業としている人間は、この哀しいミスマッチをわがこととして捉えずばならないだろう。

 こんなに自由に個人が情報を発信でき、情報の風通しが人類史上初というほどによくなっている時代に、なぜに、ばらまくほどに金を持っている人の金を、おにぎりも食べられない人のところに届けられなかったのだろう。情報処理・情報通信とはなんなのか? なんか、そんなことまで考えてしまい、たいへん気が滅入るのであった。



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段ボールよりはましですけど

 ふと、ちょっと懐かしい歌が頭に浮かんだら、また替え歌ができてしまった……。


 ♪初めて試したミンチがミートホープー (パッパ)
  おやじを諌めてそのくせどんと混ぜるー (パッパ)
  たちまち儲けでくらくら 牛は入れずー (パッパ)

  目覚めのブタ肉
  食後のブタ肉
  授業をさぼって喫茶店でブタ肉
  風呂入ってブタ肉
  糞してブタ肉
  創意工夫でブタ肉

  朝から晩まで二度挽きブタ
  朝から晩まで二度挽きブタ
  牛バーグは二度挽きブタ


 いや、わからん人は読み飛ばしてください。年寄りの繰り言ですから。




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2007年7月13日 (金)

灯台下暗し

放射線防護エプロンから放射線検出 輸入業者が自主回収 (asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0713/OSK200707120152.html

 大阪府は12日、米国製の放射線防護エプロンに使われていた鉛から放射線が検出され、輸入業者が自主回収を始める、と発表した。大阪市北区の医療機器製造販売会社「スーガン」が米・ピーク社(99年廃業)から輸入・販売した768枚が対象。人体に対する影響はほとんど無いという。
 このエプロンは病院の放射線科などで使用されている。スーガン社によると、和歌山県立医大付属病院から9日、「エプロンの鉛から放射性同位元素『鉛210』を検出した」と報告があった。エプロン26枚のうち5枚から検出し、同病院は着用していた放射線技師の被曝(ひばく)線量も調べたが、ほとんど影響がなかったという。

 いやあ、笑いごとではないかもしれないが、やっぱり笑っちゃう事件だよなあ。作ったギャグみたいだ。

 調べてみると、鉛210は放射性同位元素だとはいえ、さほどタチの悪いものではなさそうだ。なんでも、天然のウラン238が壊変してラドン222になり、こいつがα崩壊してポロニウム218を経て鉛214になり、こいつがβ崩壊してビスマス214を経てポロニウム214になり、さらにα崩壊して鉛210になるのだそうである。で、鉛210は半減期22・3年でβ崩壊してビスマス210を経てポロニウム210になり、最後にこれがα崩壊して鉛206となって安定する――ということだ。

 要するに、鉛210はβ線、つまり電子を出すわけですな。β線は透過力が弱いので、体外から被曝する場合は、今回のようにエプロンに縫いこまれていたとなれば、さほど大騒ぎするほどのことではないと思う。ただ、粉塵のような形でいったん体内に核種を取り込んでしまうと、透過力が弱いだけに単位飛距離あたりに周囲の組織に与えるエネルギーが大きく、効果的に遺伝子に損傷を与える可能性がある(α線だと、それ自体は紙一枚で遮蔽できるが、α崩壊する核種を体内に取り込むと、逆にたいへん遺伝子へのダメージが大きい)。大事を取るに越したことはないだろう。えーと、べつにおれはラジオアイソトープの専門家でもなんでもないが、チェルノブイリ原発事故のときに集中的に本を読み漁ったので、基本的なことくらいはおのずと知ってしまったのだった。

 いやしかし、こんなネタ繰りしたかのような事件が起きるもんなんだねえ。このブラックなユーモア感覚(っつっても、わざとやったわけじゃないだろうけど)は、なにやらSFっぽいよなあ。こういうのを“βネタ”というのかもしれない。おあとがよろしいようで。



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2007年7月11日 (水)

♪どーでもいいですよ

 大部分の人にとってはどうでもいいんだが、最近、京阪電車京橋駅で電車が発車するとき、「朝靄の京橋で乗り換え」(中之島ゆき)をアレンジしたジングル(というのかなあ、あれは?)が流れる。京阪電車の企画モノCD『出町柳から』に入ってるカップリング曲ですな。このCDは、もう新品では入手できないはずなんだが、京阪電車は、なにをいまさら思い出したように、こういう洒落たことをするのだろう?

 ちなみに、もう忘れている人がいるかもしれないので、念のため言っときますが、この企画モノCD『出町柳から』だけに単発で登場した謎の歌手・中之島ゆきの正体は、三浦理恵子ですから。ああ、CD買っといてよかった





中之島ゆき/出町柳から



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2007年7月10日 (火)

七百五十六円で品格が身につきゃ世話ないわい

 驚いたのなんの、母がにわかに本が買いたいと言う。怖ろしいほど本を読まない母がどういう風の吹きまわしか、とうとうボケたか、と、一瞬ヒヤリとしたが、なんでも最近流行っているらしくてテレビで紹介されていたのだという。そりゃまあ、近所にまともな本屋なんかないから、おれがアマゾンで買うときに一緒に買っておけばすむことである。というわけで、帰宅したら『クロサギ(14)』やらなにやらと一緒に届いていた。いやしかし、母が本をカバー・トゥー・カバー読むなどということは、十年に一度、いや、二十年に一度あるかないかである。新書なんか読めるのか?

 おれはぜーんぜん興味のない分野の本なので、中身も見ずに母に渡したのだが、そもそもタイトルからして、おれの神経に障る。気に食わない。女性の品格も男性の品格もあるか。人間の品格で充分である。だいたい品格なんてものは、他人が勝手に云々するものであって、自分の品格がどーしたのこーしたのと言うのは品格に欠けることおびただしい――といったことを思ったとおりに口に出すと余計なもめごとになるから、まあ、めっずらしく母が文字を読む気になっていることでもあるし、ボケ防止にもよかろう、とにかく読み通そうが読み通すまいが放っておくことにする。というか、できるだけこの本の話題に触れないことにしよう。うん、そうしよう。

 まあ、おれも、よっ           ぽど暇なときがあれば、母に借りて五分くらいで斜め読みでもしておくか。ああ、なんて品格のない文章だろう。



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2007年7月 9日 (月)

育児グループウェア

The cell phone as baby monitor (CNN Money.com)
http://thebrowser.blogs.fortune.com/2007/07/06/the-cell-phone-as-baby-monitor/

A few years ago, when the price of wireless airtime plummeted, wireless executives sometimes talked about customers who used pairs of mobile phones as baby monitors. (The Browser suspects this is the stuff of urban legend, but a few websites do explain to the technically impaired how to perform this trick.)
Now along comes Babble Soft, an upstart that can turn a number of so-called “smartphones” into a different sort of baby monitor. (Company founder Aruni Gunasegaram, a mother of two, prefers the term “baby manager.”) Gunasegaram has created a web-based application that helps new parents keep track of feedings, sleep schedules and other newborn activities and milestones that pediatricians often ask moms and dads to track. A mobile version of the application, available for many smartphones, such as the Treo, allows users to access their baby data on the go. (Think Google Calendar for the diaperpail set.)

 山村美紗が、幼いころの娘(山村紅葉)にワイヤレスマイクを付けてモニタしながら仕事をしていたという、合理的なミステリ作家らしい逸話は人口に膾炙しているが、この記事が紹介している“赤ちゃんモニタ”はそういうものではない(前振りで触れているのは、ケータイを山村美沙方式で使う方法だけど)。

 Babble Soft のサイトに行っていただければ、どういうものか詳しくわかると思うけど、端的に言えば、乳幼児のケアを夫婦の共同作業と捉えたグループウェアの一種である。以前は、PDAにダウンロードして使うものだったのを、スマートフォン向けに完全にウェブアプリケーションとして提供しはじめたというわけだ。グループウェアっちゃグループウェアなのだが、夫婦だけ(欧米なら、ベビーシッターも加わるだろうけど)で使うことになるのだろう。いつミルクをやったか、いつオムツを替えたか、いつ薬を飲ませたかといった記録を赤ちゃんのケアをする者同士で共有し、共働き夫婦(最近では“片働き”のほうがむしろ少数派なわけだが)の育児コラボレーションを効率化しようという次第である。欧米のエグゼクティブのあいだでは、ブラックベリーはほぼ必需品状態だそうだから、こういうビジネスもイケそうな感じはしますねえ。

 日本でも、ITリテラシーの高い共働き夫婦の一部ではこうしたニーズも顕在化してくるかもしれないから、この企業の日本進出、あるいは、同様のサービスを提供する日本企業の出現も、そう遠い日のことではないような気がするが、文化的に日本に欧米ほどの市場が育つかどうかは、ちょっと不安ではあるよね。つまり、育児をコラボレーションと捉えないと、そもそもグループウェアの必要性なんかないわけだから。

 Hasta la vista, baby!



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2007年7月 7日 (土)

いつも青春は時をかける

 芳山和子が目を覚ましてテレビを点けると、立派な身なりの紳士に報道陣がむらがってマイクを突きつけていた。どうやら何大臣だかがなにかしら不正に関わっていると疑惑を持たれているらしい。

 和子がダイニングキッチンでトーストをかじりながらテレビを観ていると、今度は総理大臣に報道陣がむらがってボイスレコーダを突きつけていた。

 「しっかりと説明されたと聞いている」
 「野党から辞任という声も出ていますが……?」
 「そういう問題じゃない」

 放課後の理科室。ラベンダーの香り。

 芳山和子が目を覚ましてテレビを点けると、立派な身なりの紳士に報道陣がむらがってマイクを突きつけていた。どうやら何大臣だかがなにかしら不正に関わっていると疑惑を持たれているらしい。

 和子がダイニングキッチンでトーストをかじりながらテレビを観ていると、今度は総理大臣に報道陣がむらがってボイスレコーダを突きつけていた。

 「しっかりと説明されたと聞いている」
 「野党から辞任という声も出ていますが……?」
 「そういう問題じゃない」

 放課後の理科室。ラベンダーの香り。

 芳山和子が目を覚ましてテレビを点けると、立派な身なりの紳士に報道陣がむらがってマイクを突きつけていた。どうやら何大臣だかがなにかしら不正に関わっていると疑惑を持たれているらしい。

 和子がダイニングキッチンでトーストをかじりながらテレビを観ていると、今度は総理大臣に報道陣がむらがってボイスレコーダを突きつけていた。

 「しっかりと説明されたと聞いている」
 「野党から辞任という声も出ていますが……?」
 「そういう問題じゃない」

 放課後の理科室。ラベンダーの香り。

 芳山和子が目を覚ましてテレビを点けると……。



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2007年7月 6日 (金)

7月10日はなんだかすごい日らしい

7月10日はウルトラマンの日 (asahi.com)
http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000707040004

 10日が「ウルトラマンの日」だとご存じですか――。館山市相浜の鈴木馨さん(75)はTBS番組宣伝部員としてシリーズの最初の企画段階から深くかかわった。41年前のことだ。(福島五夫)
 記念日のいきさつはこうだ。
 「ウルトラマン」の放送が始まったのは、1966年7月17日。ところが、初めてウルトラマンがテレビに登場し、その姿がお茶の間に流れたのはその1週間前の「7月10日」だった。
 10日に予定されていた「ウルトラQ」の最終回が突然取りやめになった。理由は「内容が難解」。前日にあったウルトラマンのイベントの様子を映した映像を「ウルトラマン(前夜祭) ウルトラマン誕生」として放映して、乗り切った。
 「慌てました。苦し紛れのアイデアでしたが、結果は大成功でした」と鈴木さんは振り返る。

7月10日の「納豆の日」を前に、業界団体がPR (asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0705/TKY200707050280.html

 7月10日の「納豆の日」を前に、約260社の納豆メーカーでつくる全国納豆協同組合連合会はPRに懸命だ。
 今年1月、「納豆ダイエット」を取り上げたテレビ番組がデータを捏造(ねつぞう)していたことが発覚。年間約2000億円の納豆の売り上げへの影響が懸念されたが、2月は前年同月比1割増、3~6月はほぼ前年並みと、踏みとどまっている。
 テレビや雑誌、各種イベントなどで納豆の普及に一役買う「納豆クイーン」には今年、タレントの真鍋かをりさんを選んだ。毎日納豆を食べるという真鍋さんに「ねばり強い人気をさらに後押ししてほしい」(連合会の笹沼隆史会長)。

 なんか、七月十日は「ウルトラマンの日」「納豆の日」だということだから、少なくともおれは軽く扱ってはいかん日のような気がしてきた。当日はウルトラマンと納豆に敬意と感謝を捧げつつ、清く正しくおだやかに過ごすことにしよう。

 『ウルトラQ』の“難解”な最終回というのは、「あけてくれ!」のことだよね。時代を感じますな。あれが難解で放映できないというのなら、いまのアニメなんて初回から放映できないやつだらけだ。

 それにしても、眞鍋かをりはユビキタスだねえ。今度は納豆クイーンなのか。こういう姿勢と見識が納豆業界に高く評価されたにちがいないぞ。納豆クイーンとなれば、ますます応援しちゃうね。

 眞鍋かをりと言えば、このところ、「Tokyo Local」でおなじみの星ちゃん(放送作家・星知美)のブログがものすごいことになっている。と言いつつ、はらはらしながら読んでるわけだが……。ここまで私生活のドロドロをネタにぐいぐい押してくるとは、放送作家というよりは吉本芸人のようで、見上げたものというか業というか……いや、結局面白いければいいんだけどさ(きっぱり)。いやあ、いいなあ、星ちゃん




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都会の店舗だけ値上げします

 先日から、マクドナルドが大都市だけで値上げをし、価格に地域差をつけたことはご存じかと思うが、平日は毎日大阪でハンバーガーを食っているおれにとっては、なかなかどうしてバカにならない打撃である。

 ややこしいのは、商品によって値上げ幅が異なる点で、おれはまだ新価格に馴染んでいない。まあ、全商品を一律に上げてしまうと割高感が大きくなってしまうものも出てくるから、多少ややこしくてもしかたないのかなあ。

 いや待て。商品の価格を据え置いたまま、わかりやすく値上げをする方法があるぞ。こうやればいいのだ――


スマイル …… 10円

あんしん …… 10円


 東京だと、たぶんスマイルもあんしんもそれぞれ15円くらいしそうだ。



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2007年7月 5日 (木)

『ソーシャル・ウェブ入門―Google、mixi、ブログ…新しいWeb世界の歩き方』(滑川海彦/技術評論社)

 あちこちで評判がいいので、一応読んでおくべきだろうなと手に取ったんだが、なるほど、こりゃ評判がいいのも道理だ。

 “入門”とついてる本には、ちっとも入門じゃないがちゃがちゃしたものも少なくないけれど、これはタイトルに恥じない優れた入門書にちがいない。たとえば、12くらいしかわかってない人が10くらいの内容を書いたものは、“入門書”じゃないのである。ただの内容の薄い本だ。120わかっている人が10くらいに圧縮して書くと、本書のような好著になるのだろう。この10は濃い。だものだから、「おれは70~80はわかってるつもりなんだけど、深く突っ込まれると、本質を掴んでいるかどうか心許ないかもな……」というくらいの人(というのは手前のことだが)がこの10を読むと、そいつが頭の中で“増えるわかめ”みたいにむわむわっと膨らんで、100くらいになる。要するに、入門者以外にとっても大いにためになるのが、よい入門書というものなのである。

 もっとも、の人がこれを読んでも、やっぱりだと思う。見よう見まねでウェブをあちこちいじくりまわしてみて、くらいになったときに読むと、目から鱗がぼろぼろ落ち、パズルのピースがかちゃかちゃ繋がって、たちまち50くらいになるにちがいない。

 ここ二、三年ばかり、ほとんど“相転移”と呼べるくらいに、音を立てて社会が組み変わってゆくのを感じている人は少なくないと思う。過冷却液体がなにかの拍子に一気に氷結しはじめたかのように、なにもないところに見るみる“構造”ができあがってゆく。そこには常にウェブがある。いやあ、こんなめちゃくちゃ面白い時代に生まれて、ほんとうによかった。

 本書は、一見、新奇な小ネタ的ノウハウと薀蓄を詰め込んだイージーな本に見えてしまうかもしれないのだが、とんでもない。ビシッと一本、筋が通っており、しっかりとしたパースペクティブで“いま、ここ”のウェブと社会をみごとに鳥瞰した本である。蛇のような長い鼻やら、巨木の幹のような脚やら、ひらひらした板のような耳やらに混乱している人にお薦め。たぶん、象らしきものがおぼろげに見える。この象がこれからどうなるのかは、誰にもわからんけどね。なんにせよ、なんだか面白いことが起こりそうだ。Who says elephants can't dance?




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2007年7月 4日 (水)

ある日、職場に安めぐみがやってくるとしたら……

 『サイエンスZERO』(NHK)を観てるといつも思うんだけどさ、大学やら研究施設やらで、日々学究に励んでいる人たちのところへですな、ある日、眞鍋かをりだの安めぐみだのがやってくるということになったらですよ、やっぱり大騒ぎになるのではあるまいか?

 女性の理系研究者をもっと増やさにゃならんと国が腰を上げているくらいだから、現状では、そういうところでは男のほうが断然多いだろう。当然、むさくるしい。また、アウトプットがどんなに華々しくカッコよさげに見える研究であっても、そもそも研究という過程が華々しくカッコいいわけがない。どんな研究であれ、研究というものはジミ~~~なものにちがいない。

 そんな地味でむさくるしいところに眞鍋かをりやら安めぐみやらがやってくるということが事前にわかってみろ。ベトナムの戦場にプレイメイトが慰問に来たかのような状態になるのではあるまいか。いやまあ、表立ってキャーキャー騒ぐやつはいないかもしれないが、内心かなりそわそわするだろうと思う。というか、おれだったらする。その日は休みなのに、わざわざやってきたりする研究者や学生もいるにちがいない。

 えらい先生であれ、男だったら悪い気はすまい。男のタレントが取材に行くよりも多めに回してくれるというか、とにかく、野郎が行くよりも、ちょっと余分にいろいろ見せてくれたりするなんてこともあるんじゃなかろうか。もしかしたら、『サイエンスZERO』がオヤジウケのいい女性タレントを起用するのには、そんな理由もあるのではないかと邪推するんである。

 だってさ、VTRに出てくる男の研究者たちは、相手が熊倉アナだと、ちょっとがっかりした顔をしているというか、な~んとなくテンションが低いように見えたりすることがあるんだよ(まあ、誰が来るか、事前に聞いているにしても)。おれの先入観がそんなふうに見せるのかなあ。



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2007年7月 3日 (火)

電流火花が塩基を走る

DNAに電流通る ミクロの電子デバイスに道 (asahi.com)
http://www.asahi.com/science/update/0628/OSK200706280026.html

 細胞の核にあり、遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)の中を電流が流れることを、大阪大産業科学研究所の真嶋哲朗教授(光化学)の研究グループが突き止めた。DNAの2本の鎖がつくる二重らせんの幅は2ナノメートル(ナノは10億分の1)。これを利用してナノサイズの「電線」ができれば、半導体など超ミクロの電子デバイスの作製につながる。今週の米科学アカデミー紀要電子版に発表する。
 DNAに電流が流れる可能性があることは指摘されていたが、そのルートはわかっていなかった。真嶋教授らは、実験によって、電流は二重らせんの鎖の部分ではなく、二つの鎖の間にまたがっている塩基を伝わって流れていることを初めて確認した。
 研究グループは、10~100個ほどの塩基が並ぶDNAを人工的につくってガラス基板に張り付けた。一方の端に光増感剤を、もう片方の端に蛍光色素をくっつけ、ガラス基板の裏から紫外線を当てた。すると、光増感剤から正電荷が発生し、反対の端まで移動して蛍光色素と反応し、蛍光を消す現象が観測できた。4種類の塩基の並び順によって、電気が流れる速さが変わることもつかんだ。

 ちょっと前のニュースだけど、なんか気になってたのよな。なんで話がいきなり電子デバイスに跳んでしまうんだろう?

 いやまあ、そういう役に立てば立つで面白いけど、素人なりに真っ先に抱く疑問は、「DNAに電流が通るというなら、なぜそんなふうにできているのだろう?」ということである。ふつう、そういうふうに思考が働きませんか? DNAは、なにも将来電線に使ってもらおうと思って誰かが作ったわけではないだろう。ひょっとしたら、電流が通るという性質は、DNAの構造や働きにとって、なにか重要な意味を持っているのではあるまいか。つまり、DNAに電流を流したら流れたという結果オーライみたいな話じゃなくて、DNAにはなにかの理由で電流が流れなければならないのではないか――と、想像しちゃうわけだ。「4種類の塩基の並び順によって、電気が流れる速さが変わる」ってのも、なんだか意味深な匂いがするじゃんか。それにもなにか機能と結びついた必然としての意味があるのだろうか? わくわく。

 なにかの理由とは、どういう理由かって? そんなこと、おれにわかるもんかよ。それを調べるのは学者さんにお任せする。

 あなたはどっちだろう? “問答無用でこういう性質があるから、こういうふうに使えるのではないか?”という方向に考えるタイプか、“そもそも、なぜこういう性質を持っているのだろう?”という方向に考えるタイプか? なんとなく前者のほうがお金になりそうな気もするが、あんまりそっち方向ばっかりに偏ってほしくないなあ。まあ、今回、DNAに電流が通ることが初めて実験的に立証されたのだというのなら、なぜ電流が通るのかをとんでもなく斬新な方向から考えはじめる人が出てくるのかもしれないよね。わくわく。



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2007年7月 2日 (月)

テッド・チャン、キターーー!

 「Ted Chiangの『The Merchant and the Alchemist's Gate』、Amazon.co.jpで今なら¥ 254OFF」という案内が、十三時間前にアマゾンからやってきていた。おおおお。こ、これは買いだ。二百五十四円引きかどうかなどは、この際どうでもよい。とにかく買いだ。内容なんぞ知らん。面白くないわけがない。なにしろテッド・チャンなのだから、万一面白くなかったとしても面白いにちがいない(もはや、なにを言っているのかおれもよくわからん)。とにかくテッド・チャンだから買いなのだ。誰がなんと言おうと買いだ。その証拠に買いだ。ゲシュタルトがわたしを呼んでいる。

 「Amazon.co.jpで、以前にTed Chiangの著書をチェックされたお客様に、このご案内をお送りしています」、はいはい、チェックしましたしました。『あなたの人生の物語』はご恵贈いただいておりますが、Stories of Your Life and Others はハードカバーで買いました。

 というわけで、さっそくポチッとやって予約してきた。♪テッド・チャーン、テッド・チャーン、スキスキー(ハァ、ヨォイト)。



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《ヘンな検索語》の時間がやってまいりました

 ひさしぶりに《ヘンな検索語》ネタである。このブログに検索エンジンからやってきた人が検索に使った妙な検索語を愛でるおなじみのアレだ。さあ、今日の検索語は――

「痴漢での始末書の書き方」

 け、検索している場合ではないと思うのだが……。というか、始末書ですむのか、それ?

「蛙の糞図鑑」

 たしかに世の中にはいろんな図鑑が出ているけれども、それはたぶんないんじゃないかなあ……。

「大人のメルモちゃん」

 いやまあ、探したくなる気持ちはわからないではない。母胎回帰願望がある人が探しているという解釈を取るかどうかはあなたの自由である。おれは取らないけどな。



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2007年7月 1日 (日)

今月の言葉

ドラえもん のび太の新魔界大冒険
~21人の法使い~

 説明は不要だと思うが、[『死刑廃止大作戦』 第24話「幼稚人間」]をご参照のこと。

 弁護士にだって、自分の思想信条・主義主張があろう。だがな、そういうものの表明はよそでやれ法廷でやるな。事件を、被告を利用してやるな。ある意味、あの光市の母子殺害事件の被告は、すでに死刑を執行されていると言ってよい。この二十一人の恥知らずな弁護士どもに、おのれの命を売りわたしてしまっているのだ。

 被告の“元少年”よ。おまえはもう少年ではない。ドラえもんがどうしたという話はどうでもよい。被害者に、おれたちに、おまえ自身の主張を聞かせろ。万一、死刑を免れるようなことがあったとしてだ。その“儲けた”人生はおまえにとってなんだというのだ? まあ、ここに書いても詮ないことではあるな。おまえがこれを読むようなことは、まずないだろう。だが、言わずにはいられない。いずれ絞首台に赴くとしてもだ、あいつらにおまえの人生をすべて任せたままでよいのか? よいのだと言うのなら、おまえは理解されることを拒んで純然たる悪人として死んだ宅間守にも数段劣る虫けらだ。



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