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2007年6月 4日 (月)

『ツキアカリ』(Rie fu/パームビーチ)

 おれがいま毎回観ているアニメの中でいちばん気に入っているのが『DARKER THAN BLACK 黒の契約者』なんだけれども(“いちばん優れていると思う”となると、『電脳コイル』に軍配を上げるけど、おれはなにかにつけて判官贔屓なのだ)、アニメの内容は横に置いておくとしてだ、初回を観たときガツンとやられましたな、このエンディング曲「ツキアカリ」に。「CDが出たら買っちゃうだろうな」とは思っていたが、やっぱり買っちゃいましたわ。

 この Rie fu って人、二〇〇四年にデビューしてけっこうファンもついているらしいので、単におれが知らなかっただけなんだが、いや、いいねえ。おれはまあ、なんちゅうか、音楽ファンというよりは一介の“声フェチ”なもんで、基本的に音楽情報に疎いわけなのだが、今回ばかりは声フェチとしての不明を恥じましたな。こんな人を知らなかったとは、疎いにもほどがある。

 この「ツキアカリ」を聴いて最初に感じたのは、“七〇年代の歌謡曲みたいな懐かしさ”である。声からすると、そんなに年食った歌手だとは思えないので、『DARKER THAN BLACK 黒の契約者』の擬似レトロなモチーフに合わせて年配の作曲家が作ったのかなあとも思ったんだが、Rie fu の公式サイトのプロフィールを見て、その若さに驚くと同時に合点がいった。そうですか、子供のころアメリカにいて、七〇年代ポップスにどっぷり浸かって過ごしましたか(そのときはもう、九〇年代なのに)。カーペンターズの影響をもろに受けているとなれば、そりゃおれのアンテナが反応するはずだよ。もっとも、おれが「ツキアカリ」に感じた懐かしさは、アメリカンポップスというより、日本の七〇年代歌謡的な匂いだったんだけどね。Rie fu という日本人のフィルターを通って出てきた七〇年代アメリカンポップスの薫りが、ちょうどおれくらいの年齢の人間には、日本の七○年代歌謡みたいに感じられるということなのかな?

 ということは、Rie fu は、ある意味、しょこたんに似ているのかな。つまり、親の世代が好きだったものに子供のころに影響を受けて、実年齢に合わない好みを醸成してしまったがゆえに、おれたちの世代に不思議な懐かしさを伴った新鮮さを感じさせるのだろう。とすると、オンデマンドなメディアが発達してくるにしたがって、Rie fu やしょこたんみたいな“遅く生まれすぎた子供たち”が、さほど特別な家庭からでなくとも、これからどんどん出てくるということだな。

 てなわけで、ここ三、四日、「ツキアカリ」をやたら聴いているのだった。ちょっと鼻にかかった独特な声が、おれの耳には妙に心地よく癖になる。ちなみに、六月十五日まで、Yahoo!動画で「ツキアカリ」のビデオクリップがまるまる観られるので、ぜひお試しあれ。四十代以上の人なら、おれが「懐かしい」と言っている感じがおわかりいただけるかと思う。



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