『しょこたん☆かばー ~アニソンに恋をして。~』(中川翔子/ソニーミュージックエンタテインメント)
先日注文したのが届いたお(^ω^) ギザ、ウレシス(←だからおっさん、お前、いくつだよ?)。
それはともかく、じっくり聴いてみると、これはそのときかぎりの“企画モノ”の域を超えていて、はなはだ感心した。長きにわたって愛聴するに足る出来栄えである。本人が好きでやってるほど強いことはない。考えてもみたまえ(急にエラそう)。「ロマンティックあげるよ」(『ドラゴンボール』)、「乙女のポリシー」(『美少女戦士セーラームーンR』)、「BIN・KANルージュ」(『魔法の天使クリィミーマミ』)、「残酷な天使のテーゼ」(『新世紀エヴァンゲリオン』)、「青春」(『タッチ』)といったラインナップを、中川翔子はそれこそ子供のころから何百回、何千回と聴き込み唄い込んでいるにちがいなく、自分の持ち歌よりもはるかに時間をかけて磨き上げてきているはずなのである。カバーとしての完成度が高いのは当然のことだ。
中川翔子の歌声は、一、二秒聴けば誰だかわかるといった個性的なものではない。が、彼女のアニソンは、けっして没個性的ではない。強いて言えば、“脱個性”的なのだった。器用に声色を使い分けて原曲のイメージを損なわないようにしているのだが、単なる“ものまね芸”などではない。「どうだ、似てるだろう」とばかりに、似せることに意識を置いているのではなく、原曲への愛ゆえに巧まずして似てしまっているという感じが伝わってきて好もしい。その“愛しかた”にこそ、ほかの誰でもない中川翔子の個性が紛れもなく立ち上がっているのだ。企画モノから駒が出たとでも言おうか、愛のある企画モノの大成功例ですな。
そのむかし、近所にいる“ふつうのコ”をふつうでない状況に巻き込んでアイドル化していた時代があった。いまは、“ふつうじゃないコ”がごくふつうに好きなものを愛でているさまがアイドル化されるのだろう。そんな中川翔子は、いわば“アルファ・プロシューマー・タレント”とでも言うべき存在として、いよいよ相転移にさしかかった現代の消費社会を体現している。まさに、こういう企画で輝くために生まれてきたような才能だ。この、遅れてきた八○年代アイドルは、遅れてきたからこそ、時代に足を取られることなくその風に乗り、強かな無垢を武器に、ごくふつうに羽ばたいている。不思議なコだ。少女よ、神話になれ!
アニソンがとてもアニソンらしかった時代の宝石を、古いオルゴールから取り出してケータイストラップにしてしまう、ふつうじゃないコのふつうさが眩しい一枚。「ロマンティックあげるよ」のPVメイキングを収めたDVD付き。
そうそう、しょこたん、第二弾をやるんなら、おじさんは「わぴこ元気予報!」(『きんぎょ注意報!』)希望!
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