ジェットコースターの失敗学
▼コースター脱輪、女性死亡19人けが 大阪・万博公園 (asahi.com)
http://www.asahi.com/special/070505/OSK200705050005.html
5日午後0時50分ごろ、大阪府吹田市千里万博公園の遊園地「エキスポランド」で、ジェットコースター「風神雷神(ふうじんらいじん)2」(6両編成)が脱線し、2両目にいた女性客が車両とレール左側の手すりに挟まれて死亡、他の乗客19人が重軽傷を負った。大阪府警は、車軸の一部が折れて車輪が脱落し、車両が左側に傾いたとみて、業務上過失致死傷の疑いで吹田署に捜査本部を設置し、6日にもエキスポランド社(山田三郎社長)など数カ所を家宅捜索する方針。
ひええ、おっとろしー。オーソドックスな「ダイダラザウルス」のほうは、子供のころから何度か乗ったことがあるけど、あの新型の立ち乗りジェットコースターが事故を起こしたとは、想像するだに背筋が寒くなる。
こういう事故に共通した原因は、ふたつに大別されるだろう。ひとつには、国や自治体が定めた基準そのものが甘く、実態に合っていない。もうひとつは、基準が適切でも、それが形骸化しており、きちんとチェックしているかをチェックするシステムがない。おれはジェットコースターのプロじゃないから、今回の事故(あるいは、事件)の原因がなんなのかはよくわからない。それを調べるのは警察の仕事だろう。
ただ、この手の事故を激減させるための、きわめて効果的な安全管理上の方策は知っている。じつに簡単なことなのである。不二家の工場で働いていたパートのおばさんたちの証言がヒントだ。自分たちが作ったお菓子を「自分たちは絶対買わない」と言ってたよね、あのおばさんたちは。
そう、保守担当作業者やその責任者を、自分が保守しているジェットコースターに毎日乗せることである。できれば、遊園地の経営者にも月に一回くらいは乗ってもらいたいものだ。経営者が老齢でジェットコースターなんかには乗れないというのなら、その子や孫に自主的に乗らせる。
ホント、ただそれだけのことで、こんな事故は簡単に防げただろうと思うんだが、どうだろう? 国や自治体が決めた基準なんぞは、顧客視点からはレベルが低すぎると考えて相手にせず、自分たちが作った、より厳しい基準やルールに則って経営する遊園地というものがあったとすれば、おれはその会社の株を買いたいと思うね。もっとも、生活するのに精一杯で、株買う金なんてないけどね。そんな遊園地があったら、投資家のみなさんは、株買ってやっておくれよ。
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コメント
いつも拝読させていただいていますが、今回ばかりは少し外しているのではないかと思います。
国が基準とする目視検査だけではなく、毎年分解までして詳細に点検していたのがまさにこのエキスポランドだそうですから。
おそらく関係者の誰一人としてこのような事故の発生を危惧していた人はいないでしょう。
不二家なんかと一緒にしては気の毒だと思いますが、それでも事故というのは起きてしまうのです。
推測ですが、15年も連日運行されてきて今更単純な金属疲労だとは考えにくいので、この毎年分解・再組立を行っていたのが
仇となったのではないかと。適正に締付けられていないねじというのは非常に危険です。
いずれにせよ、悪者探しではなく、事故原因の究明と再発防止には真摯に取り組んでもらいたいものです。
投稿: dolfan | 2007年5月 7日 (月) 02時41分
>dolfanさん
どうも、その後いろいろ明らかになってくる事実からすると、エキスポランドはけっして胸を張れないみたいな感じですね。虚偽報告の報道も出ていますし。「点検した」というのと「点検したと報告した」というのは、似ているようでまるでちがうと思います。
どんなに注意しても事故は起きるというのには同意しますが、その注意が惰性になっちゃうのが人間というもので、だから自分の命がかかればかなりちがうだろうという提言なのです。もっとも、人間というのは、自分の命がかかっていたとしても、安きに流れちゃうものではありますが……。
>いずれにせよ、悪者探しではなく、事故原因の究明と再発防止には真摯に取り組んでもらいたいものです
まったくそう思います。でも、悪者もちゃんと探しておかないと、再発防止には繋がらないと思います。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年5月 8日 (火) 02時24分
>自分で
米陸軍や米海兵隊の空挺隊員は自分のパラシュートを自分で畳み、
自衛隊のパラシュート整備員は定期的に
抜き取り検査としてのパラシュート降下
を行うと聞きますね。
>悪者探し
航空機事故の都度思うことですが、悪者探しは事故再発防止として大きな効果があります。
問題は、毎回のように「スケープゴート探し」になってしまうことでしょうか。
投稿: たかつかさ | 2007年5月10日 (木) 10時27分
そういえば三菱小牧工場の工場長は元空自のパイロットで、自衛隊に納入する戦闘機を自分で操縦するそうですね。
ただ組織のシステムでも文化でもなく、あくまでも個人のポリシーなので工場長が変わればこういうことはなくなるでしょう。
投稿: 林 譲治 | 2007年5月10日 (木) 23時09分
>たかつかささん
へぇ~、パラシュート整備員はそんなことをしているんですか。やっぱり、自分の命がかかってしまうようにシステムを組んでいるわけですね。
あ、いいアイディアが。自衛隊員は、自宅のパソコンに必ず自分の“恥ずかしい写真”を入れておくように義務づけてはどうでしょうか?
>林譲治さん
そ、それって、納品時に自分で操縦してゆくってことですか? 事前に自分で飛ばして納得するってことでしょうか? 前者だったら、『トゥルーライズ 』かなんかみたいですが(^_^;)。
投稿: 冬樹蛉 | 2007年5月15日 (火) 01時41分